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印刷2019/06/12 01:55

インタビュー

[E3 2019]「聖剣伝説3」が25年を経て,新たなゲームとしてよみがえる。PC/PS4/Switch用ソフト「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」インタビュー

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 名作アクションRPG「聖剣伝説3」のリメイクとなる「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」PC/PS4/Switch)が,E3 2019に合わせて発表された。
 「聖剣伝説3」はスーパーファミコン末期の1995年に,スクウェアから発売されたタイトルだ。個性豊かな6人のキャラクターから,主人公1人と仲間2人を選ぶ。この組み合わせによって物語が変化するのに加え,彼らのクラス(職業)も「光」と「闇」の2系列6種に分岐する。つまりストーリーとバトルシステムがどちらも,繰り返してプレイを楽しめる作りになっているわけで,主人公とクラスを変えて何度も遊んだファンも多いことだろう。

 2017年に「聖剣伝説コレクション」で移植が行われるまで,バーチャルコンソールなどでの展開は一切なく,リメイクされるのは今回が初めてとなる。オリジナルから25年の時を経てよみがえる「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」は,どういった内容になるのか。「聖剣伝説」シリーズのIPを管理する,シリーズプロデューサーの小山田 将氏と,リメイク版プロデューサーの田付信一氏に聞いてみた。

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25年間に溜め込んだ力を解き放つ


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今回,ついに「3」がリメイクされるということで驚きました。これまでバーチャルコンソールでの展開もなく,「聖剣伝説コレクション」でやっと遊べるようになったという状況でしたから。

シリーズプロデューサー 小山田 将氏
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小山田 将氏(以下,小山田氏):
 プロジェクト自体は,「聖剣伝説2」のリメイク版である「聖剣伝説2 SECRET of MANA」の開発終盤から動いていました。元々このリメイクは,ワールドワイドで最も人気のある「2」を現行機で遊べるようにし,「聖剣伝説」のIPを改めて家庭用ゲーム機で展開しようというものでした。その流れで「3」のリメイクも決まったんです。
 石井浩一さん(「3」のゲームデザインディレクション,キャラクターデザイン)や,田中弘道さん(「3」のディレクター)には制作状況を報告させていただき,当時,技術的な問題で実現できなかった構想などのお話をうかがいつつ,リメイクを進めています。

4Gamer:
 リメイクの方向性はどういったものでしょうか?

小山田氏:
 「2」は海外でもSNES(海外版スーパーファミコン)版が発売されていたため,「オリジナルのプレイフィールを現代によみがえらせる」形でのリメイクとなりました。しかし,「3」は日本でしか出ていないので,「2」と同じ方向性でリメイクしても,海外のファンには伝わらないんです。これに加え,国内からの期待もありましたから,“進化形としてのリメイク”を作ることになりました。

田付信一氏(以下,田付氏):
 初めてのリメイクということで期待値も高いでしょうから,25年間に溜め込んだ力をドンと出し,既にオリジナルをプレイされた方でも新しい体験ができ,初めて遊ぶ方には現代風のゲームとして楽しんでいただけるといいなと思っています。


6人の主人公達の組み合わせで変化する「トライアングルストーリー」はリメイクでも健在


4Gamer:
 進化系としてのリメイクとのことですが,ではオリジナルから受け継がれる「3」らしさとはどういった部分になるのでしょう?

プロデューサー 田付信一氏
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田付氏:
 「6人の主人公達から3人を選んでプレイし,その組み合わせで異なる話やイベントが展開する」ことです。当時としても斬新ですし,現在でさえあまり例を見ないシステムだと思います。デュランとアンジェラ,リースとホークアイといった,ペアになるキャラクター達の関係性を掘り下げる仕組みも入れてあります。もちろん,キャラクター達には豪華声優陣によるボイスも入ります。

4Gamer:
 関係性を掘り下げるということは,追加の物語があるのでしょうか?

田付氏:
 話の大筋自体はオリジナルから変えていません。キャラクター達の関係性を表現するシステムが追加されるということですね。詳細は,続報を楽しみに待っていてください。

4Gamer:
 「3」のキャラクター達は人気がありますから,ファンからすると,リメイクによって昔からのイメージと違ったものにならないかという心配もあると思います。そのあたりはいかがでしょう。

小山田氏:
 セリフやキャラクター性については,しっかりとチェックを行い,イメージが損なわれないように配慮しています。また,「ボイスがつくとキャラクターのイメージが変わるのではないか」と心配される方もおられるかもしれませんが,この点に関しても自信を持って「大丈夫だ」と言えますね。

4Gamer:
 これまでのコラボでボイスが入ったりもしていますしね。

田付氏:
 ただ,ドットと3Dキャラクターの違いのせいか,当時のままセリフを当てると違和感が出るところがあったりもしました。そうした部分については,皆さんが当時抱いたイメージに寄せる補完を行っています。

4Gamer:
 違和感というのはどういうことでしょう。当時のゲームはテンポ良く進んでいきますから,イベントにおける「間」に違いがあるという感じでしょうか。

田付氏:
 そうなんです。昔のテンポを今のゲームにそのまま当てはめると,唐突になりすぎたりするんですよね。そこは,ちゃんと流れを考えて違和感のないようにするなど,調整しています。

4Gamer:
 「3」は,主人公やクラスを変えつつ,繰り返し遊びたくなるゲームでしたが,リメイクでは周回プレイを楽にするようなシステムなどはありますか?

田付氏:
 そこは今後の情報をお待ちください。開発側としても周回プレイが大事なゲームであることは認識しています。


グラフィックスの表現方法の違いを乗り越える


4Gamer:
 リメイクではグラフィックスが2Dのドット絵から3Dになっていますね。

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田付氏:
 現在「聖剣伝説」シリーズのイラストを描いていただいている,HACCANさんのイラストが画面の中でそのまま動くようなグラフィックスを目指しています。

小山田氏:
 先にあったセリフの話と同様,ドット絵の動きやイベントを,3Dグラフィックスでそのまま再現するわけにはいかないので,気を付けて開発しているところです。

4Gamer:
 やはり,ドット絵とは作り方も違いますか。

小山田氏:
 ドット絵のキャラクターは,結構芝居がかった動きやポーズをしますが,デフォルメされた頭身ですし,プレイヤー側が脳内で「結城信輝さんのデザインされたキャラクターがドットの世界で戦っている」というイメージをするので,不自然に感じることはありません。しかし,高めの頭身をした3Dキャラクターに同じ動きをさせると,とたんに違和感が生じるんです。

田付氏:
 具体例を出すと,城塞都市ジャドで牢屋に捕らえられて脱出するシーンで,アンジェラの場合は,色仕掛けで看守の獣人をおびき寄せ,一瞬で位置をくるっと入れ換えてしまいます。しかし,「牢の外にいたはずの獣人が,いつのまにか中に入ってしまっている」という表現を3Dキャラクターでやると,不自然ですよね。
 また,リースが弟のエリオットとはぐれてしまうシーンも,3Dキャラクターにすると「舞台になる部屋は狭いのに,エリオットがついてきていないことに気づかず走っていってしまうのはおかしいんじゃないか?」と思ってしまったりとか。

4Gamer:
 ドット絵だからこそマンガ的な表現が許されていたというわけですね。

田付氏:
 「3」は25年間ずっとリメイクがなく,ドット絵からいきなり現代の3Dグラフィックスになるという稀有な例なので,そのぶん苦労は多いです。

小山田氏:
 風の神獣「ダンガード」とは,フラミーの背中に乗って戦うんですが,これがまた……。3Dグラフィックスでどう表現するかは,苦労の連続です(笑)。

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バトルはアクション性を高め,直感的に楽しめるものに

敵のカウンターや魔法は回避可能で,アンジェラにも光が!?


4Gamer:
 バトルはどのように変化しているのでしょうか。

小山田氏:
 オリジナルのバトルは“距離”と“攻撃できるタイミング”による駆け引きでした。ここに現代的な解釈を加え,アクション性を高めています。

田付氏:
 例えば,1種類だけだった通常攻撃も,リメイクでは「弱攻撃」「強攻撃」の2種類になり,組み合わせてコンボを出せるようになっています。また「ジャンプ攻撃」というまったく新しい要素も入れました。キャラクターが成長すると,使えるアクションもさらに増えていきます。

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4Gamer:
 キャラクターの成長といえば,光と闇のクラスチェンジが特徴ですが,新たなクラスが増えたりしているんですか?

小山田氏:
 どうなんでしょうかね(笑)。続報をお待ちください。

4Gamer:
 では「聖剣伝説」名物の「リングコマンド」(※)についてはどうなっているのでしょう。

※魔法やアイテムなどのアイコンが円形に配されている,独特のメニュー

田付氏:
 進化したリングコマンドでプレイしていただけます。またそれとは別に,“ちょっとプレイしやすい仕組み”もご用意しています。

4Gamer:
 本作はアクション性が高くなるそうですが,難度はどれくらいになるのでしょうか。気合いの入ったアクションゲーマーでも死にながら遊ぶような感じですか?

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田付氏:
 いえ,指先が忙しくなるというより,直感的に気持ちよくなっていただけるものになっています。アクションが苦手な方でも,レベルを上げていけばボタン連打で敵に勝てたりすることもありますので,難しいというものではないですね。

4Gamer:
 「3」といえば,ゲージを溜めて放つ「必殺技」も特徴ですが,リメイクではどうなっていますか?

田付氏:
 ゲージを溜めて必殺技を出すという基本の部分は同じです。ただ,ゲージの溜まる条件や溜まり方が変わっていて,攻撃を1発当てるとゲージが1つ溜まるというものではありません。また,オリジナルでは戦闘が終わる度にゲージがリセットされていましたが,リメイク版では溜めたゲージをずっと維持することができます。

4Gamer:
 オリジナル版では,こちらの必殺技や魔法に対して,敵が「カウンター」を仕掛けてきました。魔法中心のアンジェラでのプレイは,相当に苦しめられた記憶がありますが……。

小山田氏:
 カウンター自体は存在します。ただ,オリジナルのように,「カウンターが発動すれば必ずキャラクターに当たる」というわけではありません。バトル自体の仕組みを変えています。

田付氏:
 ちゃんとタイミングを計って攻撃すれば,カウンター自体を発動させずに勝つこともできます。また,カウンターが出てしまっても,カウンター攻撃を回避することが可能です。オリジナル版ではカウンターの能力を持っている敵がたくさんいましたが,リメイク版ではそこまで数が多いわけではないです。

4Gamer:
 安心して必殺技や魔法を使えますね。リメイク版の魔法はどうなりますか?

田付氏:
 味方の魔法については,使えば必ず当たるものが多いですね。一方,敵の魔法は発動時に予め攻撃範囲が表示されますので,回避することが可能です。

小山田氏:
 カウンターにしろ,魔法にしろ,オリジナル版をプレイしたユーザーさんの声をしっかり分析した上で,リメイクに反映しています。

田付氏:
 敵のカウンターが必中の仕様のため,キャラクターの性能にも差があるように感じましたが,リメイク版では皆が活躍できるようにして,極端な差を付けないようにします。

4Gamer:
 アンジェラファンには朗報ですね。

田付氏:
 一度「聖剣伝説コレクション」でオリジナルの「3」を遊んでから,改めてリメイク版に触れるといいかも知れませんね。「これが噂のカウンターか!」という感じで(笑)。

小山田氏:
 ただ,私自身がリアルタイムで遊んでいた時は,カウンターをそこまで気にはしていなかったですね。「ビル&ベンやルガー(※)と戦うと,なんか2回くらい死ぬんだよな」と首を捻りつつ,「天使の聖杯」(※)を買い込んだりしていました(笑)。

※いずれもカウンターを多用する強敵。多くのプレイヤーを苦しめた。
※戦闘不能を回復する,いわゆる復活アイテム。つまりは死亡前提で戦っているというわけで,カウンターの危険さがうかがえる。


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プレッシャーをはね除け,新たな「聖剣伝説」へつなげる


4Gamer:
 名作として名が挙がることも多い「3」ですが,リメイクに携わるうえで,プレッシャーを感じたりはしましたか?

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小山田氏:
 リメイクは,ユーザーさんそれぞれの思い出の中の「聖剣伝説」との戦いのようなものですから,やる度にプレッシャーしかないですね。ただ,これは“次”の「聖剣伝説」へつなげていくための戦いでもあると思っています。
 美化された「聖剣伝説」とリメイクの「聖剣伝説」,両者の差を埋めるための表現は常に考え続けています。「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」をプレイしていただき,「ああ,今遊ぶためにこういうアレンジをしたんだ」と感じていただけると幸いです。

4Gamer:
 海外ではこれまで「3」が出ていなかったそうですが,それはなぜなんでしょうか。「聖剣伝説コレクション」も日本版のみですし。

小山田氏:
 当時の事情は分かりませんが,「聖剣伝説コレクション」については,「3」のローカライズがネックになっていました。海外から,出してほしいと問い合わせはいただいていたのですが。
 今回のE3で,海外で「聖剣伝説コレクション」を発表できたのは,「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」で「3」をリメイクすることになり,ローカライズを進められることになったからです。それでも,ROMの容量がギリギリなうえ,UIも固まっているので大変でした。
 もともと海外では,リメイク版だけを出す予定だったんですが,販社の方とお話ししている時に「リメイクが出るのはわかった。じゃあ,オリジナルはいつ出るんだ?」と聞かれて(笑)。

4Gamer:
 25年を経ても,オリジナル版を遊びたいと願うファンがいるあたり,いかに魅力のあるシリーズなのかが分かります。
 それでは,最後に読者へメッセージをお願いします。

小山田氏:
 今回のリメイクは「聖剣伝説」としての新しいチャレンジになります。ぜひともプレイしていただき,ご意見はもちろん,シリーズが発展していくための応援の声などもいただければと思います。リアルタイムでプレイされた方は,当時触れていなかったキャラクターも改めてプレイしてみてください。声が入ったことで,お気に入りが変わるかも知れません。初めてプレイされる方は,ご自分のお気に入りキャラクターを見つけてほしいですね。

田付氏:
 物語,キャラクターなどオリジナルの良さを残しつつも,グラフィックス,ゲームシステム共にかなり新しいゲームになっています。開発一同,良い作品にしようと日々チャレンジを続けておりますので,原作をプレイされている方も,一度も聖剣伝説シリーズをプレイしたことがないという方も,ぜひ遊んでみてほしいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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