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レビュー
待望のミドルクラス市場向けNavi 2X世代はGeForce RTX 3060と戦えるのか
MSI Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GB
既報のとおり,AMDは,ミドルクラス市場向けとなる新型GPU「Radeon RX 6600 XT」(以下,RX 6600 XT)を発表した。モデルナンバーから分かるように,「Radeon RX 6700 XT」(以下,RX 6700 XT)の下位に置かれるGPUだ。そのRX 6600 XTのベンチマーク情報が解禁となったので,MSIが発売予定の「Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GB」(関連記事)でテストを行ってみたい。
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RX 6000世代初のミドルレンジ市場向けの新型GPUは,ライトゲーマーやこれからゲームを始めるエントリーユーザーの福音になり得るのだろうか。
新規設計のNavi 23 XTコアを採用
RX 6700 XTの7割前後の規模のGPU
まずは,RX 6600 XTがどのようなGPUなのか説明しておこう。
RX 6600 XTは,GPUコアとして新規開発した「Navi 23 XT」を採用している。Navi 23 XTは,RX 6700 XTなどが採用する「Navi 22」と同じく,TSMCの7nmプロセスで製造されるGPUだ。ただ,ダイサイズは237mm2と,Navi 22比で約7割の規模に縮小されており,トランジスタ数も約111億個と,Navi 22の約65%の規模に留まっている。
ほかのRadeon RX 6000シリーズGPUと同様に,RX 6600 XTもRDNA 2アーキテクチャを採用する。それゆえ,RX 6600 XTでも,シェーダプロセッサ16基を束ねて,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶ実行ユニットとしているのは上位モデルなどと同じだ。さらに,SPを4つ集めて,キャッシュメモリやレジスタファイル,スケジューラやテクスチャユニットなどと組み合わせた演算ユニット「Compute Unit」(以下,CU)を構成している点も変わらない。RX 6600 XTでは,CUが32基あるので,SPの総数は64×32で2048基という計算になる。
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さらに,RX 6600 XTにも,リアルタイムレイトレーシング処理を担う「Ray Accelerator」(以下,RA)が組み込まれており,その数は32基と,RX 6700 XT(40基)の8割だ。また,RDNA 2アーキテクチャの最大の特徴とも言える「Infinity Cache」は,RX 6600 XTでは32MBを実装する。RX 6700 XTが96MBだったので,こちらはかなり削減された格好である。
そのほかに,CPUがグラフィックスメモリに対するフルアクセスを可能とする「Smart Memory Access」や,PCI Express 4.0(以下,PCIe 4.0)にも,もちろん対応する。
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グラフィックスメモリにはGDDR6を採用しており,メモリクロックは16GHz相当なので,この点はRX 6700 XTと同じだ。ただし,メモリインタフェースは128bitに絞られている都合上,メモリバス帯域幅は256GB/sと,RX 5700 XTはもちろんのこと競合となる「GeForce RTX 3060」(以下,RTX 3060)にも差を付けられている。
RX 6700 XTはミドルハイクラスながらも容量16GBものグラフィックスメモリを用意したことで注目を集めたが,RX 6600 XTは8GBと,このクラスでは一般的な容量に収まっている。
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そんなRX 6600 XTの主なスペックを,RX 6700 XTと,RX 5700 XT,それにRTX 3060とともに仕様をまとめたものが表1となる。
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上位モデルや競合製品との差をチェック
ドライバはレビュワー向けのものを使用
Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GBのカードそのものについては,すでに別記事で紹介しているので,本稿では,テスト環境の構築に話を移そう。
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今回,比較対象には,表1で挙げたRX 6700 XTとRX 5700 XT,それにRTX 3060を用意した。つまり,上位モデルとの差と前世代からの伸びがどの程度なのかを確認したうえで,競合製品に対してアドバンテージがあるのかどうかを見てみようというわけだ。
なお,Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GBは,メーカーレベルで動作クロックを引き上げたクロックアップモデルだが,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.4 Beta 3)でリファレンスレベルにまでブースト最大クロックを低くすると,ゲームクロックが1300MHz台まで大きく下がってしまった。しかたなく,今回は動作クロックを変えることなく,メーカー設定値のままでテストを行っている。そのため,RX 6600 XTのリファレンス状態と区別を付けるため,以下では文中,グラフ中ともに,本製品をRX 6600 XT OCと表記することをここで断っておく。
一方,RX 5700 XT搭載カードとして利用したSapphire Technology製「SAPPHIRE PULSE RADEON RX 5700 XT 8G」と,RTX 3060搭載モデルとして使用したZOTAC Technology製「ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC 12GB 192BIT GDDR6」もクロックアップモデルだが,これらはクロックを下げても問題が起きなかったため,先ほどのAfterburnerで動作クロックをリファレンスと同じまで下げてテストを行っている。
グラフィックスドライバには,Radeon勢は「21.20.23.01-210729a
なお,RTX 3060のグラフィックスドライバには「GeForce 471.41 Driver」を使用したが,これはテスト時最新のバージョンとなる。それ以外のテスト環境は表2のとおり。
CPU | Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz, |
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マザーボード | MSI MEG X570 ACE(AMD X570, |
メインメモリ | G.Skill F4-3200C16D-16GIS |
グラフィックスカード | MSI Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GB (Radeon |
Radeon RX 6700 XTリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量12GB) |
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Sapphire Technology (Radeon RX 5700 XT, |
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ZOTAC Technology (GeForce RTX 3060, |
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ストレージ | Samsung Electronics SSD 850 |
電源ユニット | Corsair CMPSU |
OS | 64bit版Windows 10 Pro(Build 19042.1110) |
チップセットドライバ | AMD Chipset Drivers 2.13 |
グラフィックスドライバ | Radeon: |
GeForce 471.41 Driver |
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション24.0に準拠。ただ,RX 6600 XTはレイトレーシングに対応しているので,その性能を確かめるために,「3DMark」(Version 2.17.7137)におけるレイトレーシングテストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を追加した。
さらに,レギュレーション25を先取りする形で,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズベンチマーク」に代えて,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を採用している。テスト方法は,最高品質でベンチマークを実行して,総合スコアのほかに平均フレームレートと最小フレームレートを結果として採用するという,レギュレーション24世代までと同じやり方だ。
解像度は,AMDがRX 6600 XTのターゲットを1080pでのゲームプレイとしているため,1920×1080ドットと2560×1440ドット,さらに3840×2160ドットの3つを選択している。
RX 6700 XT比で75%前後の性能
多くの場面でRTX 3060を超えるスコアを発揮
それでは,3Markの結果から順に見ていこう。グラフ1は,DirectX 11世代の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものとなる。
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RX 6600 XT OCのスコアは,RX 6700 XTの76〜86%程度といったところ。RX 5700 XTに対しては,勝ったり負けたりのいい勝負を演じているが,RTX 3060には25〜28%程度もの差を付けているあたりは見所と言えよう。
続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics test」の結果を抜き出したものになる。
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RX 6600 XT OCのスコアは,RX 5700 XTの77〜81%程度で,総合スコアに準ずる結果となった。RX 5700 XTと肩を並べているのは変わらずだが,RTX 3060に対しては30〜33%程度と,差を広げる傾向が見て取れる。
同じくFire Strikeから,ソフトウェアベースで「Bullet Physics」を実行する事実上のCPUテスト「Physics test」の結果を抜き出したものがグラフ3となる。CPUが共通なのでスコアは横並びとなっているが,RTX 3060だけは,やや高いスコアを記録していた。
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GPUとCPU両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だ。
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ここでは,CPU性能がスコアに与える影響が大きくなるため,Fire Strike“無印”では,スコアが丸まりつつあり,RX 6700 XTとRX 6600 XTの差は約4%しかない。それ以外を見ていくと,両GPUの差は32〜46%程度とそれなりに大きい。だが,ここでもRX 5700 XTとは,有意な差はあまりない。
続いて,3DMarkのDirectX 12のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。
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ここでもRX 6600 XT OCは,RX 6700 XT比で77〜79%程度といったところで,RX 5700 XTに対してはやはり勝ったり負けたりのいい勝負となっている。Time Spyでは,GeForceシリーズがスコアを伸ばす傾向があり,それゆえRTX 3060はRX 6600 XT OCとの差を詰めているが,それでもRX 6600 XT OCは,10〜12%の差を見せ付けている点は立派の一言だ。
次なるグラフ6は,Time SpyからGPU testの結果を抜き出したものになるが,ここでも総合スコアを踏襲するスコア傾向が出ている。
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RX 6600 XT OCの結果は,RX 6700 XTの75〜76%程度で,RX 5700 XTに近いスコアを記録した。RTX 3060との差も11〜14%程度と,総合スコアをなぞった形だ。
Time SpyにおけるCPU testの結果がグラフ7だ。ここではFire Strikeと同様に,CPUが同じなのでスコアもほぼ横並びとなった。
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リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。
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これまでRX 6000シリーズのレイトレーシング性能は,競合製品に対してお世辞にも高いとは言えないものだったが,それはRX 6600 XT OCでも同じ。RX 6600 XT OCは,RX 6700 XTの約77%に落ち着いているあたりは,Fire StrikeやTime Spyの総合スコアと似た傾向だが,RTX 3060には逆転を許して,約13%の差を付けられてしまっている。
なお,RX 5700 XTのスコアが「N/A」なのは,レイトレーシングユニットを持たないためだ。
この傾向は,グラフ9のDirectX Raytracing feature testでより顕著なものとなった。
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RX 6600 XT OCとRTX 3060との差は,約74%にまで広がっており,まったく勝負になっていない。RX 6700 XTでさえ,RTX 3060に太刀打ちできていないあたり,RX 6000シリーズのレイトレーシング性能は,ウィークポイントになってしまっていることが分かる。
実際のゲームだとどうなるか。グラフ10〜12は「Watch Dogs Legion」のテスト結果となる。
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ここではレイトレーシングを有効にしてテストを行っているため,3DMarkで見られたように,RX 6600 XT OCの結果はあまり奮わないものとなった。平均フレームレートで,RTX 3060に32〜100%程度もの大差を付けられており,やはり勝負になっていない。RX 6700 XTに対しても,48〜127%程度と差が広がっているあたりは,GPUの性能差に加えて,グラフィックスメモリ容量の差が影響したと捉えるのが妥当だろう。
続いてグラフ13〜15は「バイオハザード RE:3」のテスト結果となる。
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レイトレーシングを含まないテストになると,RX 6600 XT OCは息を吹き返し,RTX 3060に対しては,1920×1080ドットの平均フレームレートで約9%の差を付けた。ただ,解像度が上がるにつれて両GPUの差は縮まり,3840×2160ドットで逆転を許すあたりは,ここでもグラフィックスメモリ容量の差が影響しているのだろう。
一方,RX 6700 XTとの差は,平均フレームレートで75〜82%程度となり,RX 5700 XTと肩を並べるあたりは,3DMarkの結果と同じだ。レギュレーションでは平均70fps以上を合格点としているが,RX 6600 XT OCは,2560×1440ドット以下でそれを満たしている点は評価できよう。
「Call of Duty: Warzone」(※グラフ内ではCoD Warzone)のテスト結果がグラフ16〜18だ。
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ここではRX 6600 XT OCがさらにスコアを伸ばして,平均フレームレートでRX 6700 XTの75〜86%程度となった点は3DMarkなどと似た傾向だ。さらに,RTX 3060には11〜25%もの差を付けた。とくに,事実上の最小フレームレートに当たる1パーセンタイルフレームレートで,RX 6600 XT OCはRTX 3060に1920×1080ドットで約15fps,2560×1440ドットで約25fpsもの差を付けており,ゲームの快適性で大きな優位を保っている。
グラフ19〜21は,「Fortnite」の結果となる。
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ここでも,やはりRX 6600 XT OCは,平均フレームレートでRX 6700 XTの73〜78%程度といったところ。ただ,RTX 3060には11〜22%程度もの差を付けられており,RX 5700 XTに対しても3〜11%程度届いていない。このあたりは,RX 6600 XT OCのFortniteに対する最適化が足りていない印象だ。
グラフ22〜24は「Borderlands 3」のテスト結果だ。
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ここでもRX 6600 XT OCは,平均フレームレートでRX 6700 XTの72〜74%程度に留まるといったところ。RX 5700 XTに対しては,26〜34%程度もの大差を付けられてしまっている。Fortniteがそうであったように,やはりRX 6600 XT OCの同ゲームの最適化があまり進んでいないためと思われる。ただ,1パーセンタイルフレームレートの1920×1080ドットで,RTX 3060が60fpsに届いていないのに対して,RX 6600 XT OCであれば,60fpsを超えているあたりは注目すべきポイントだ。
続いてグラフ25は,ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチの総合スコアをまとめたものだ。
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同ベンチマークはGeForceシリーズへの最適化が進んでいるため,Radeonシリーズは不利な戦いを強いられているが,それはRX 6600 XT OCでも同じ。とはいえRTX 3060との差は1〜8%程度と,RX 6600 XT OCが意地を見せてかなり踏みとどまった印象だ。
とはいえ,解像度が上がるにつれてRX 6600 XT OCは,RX 6700に最大約38%もの差を付けられてしまっており,グラフィックスメモリ容量の差が,かなり影を落としている。また,RX 5700 XTに対しても,解像度が上がるにつれて差が広がる傾向が見て取れるあたりは,最適化が足りていないのだろう。
なお,スクウェア・エニックスが示す指標では「15000」以上が最高評価となっており,RX 6600 XTは,1920×1080ドットでその基準を満たし,2560×1440ドットでもあとちょっとのところまで迫っている点は評価できよう。
そんなファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ26〜28である。
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ここでは,2560×1440ドットの最小フレームレートに注目してほしい。RX 6600 XT OC,RTX 3060ともに,2560×1440ドット時の総合スコアは,スクウェア・エニックスが示す最高評価の指標に若干届かなかった。しかし,最小フレームレートではRTX 3060が60fpsを割っているのに対して,RX 6600 XT OCは60fpsを上回っており,RX 6600 XT OCのほうが本作における快適性は優れていると言っていい。
ゲームの最後として,「Project CARS 3」の結果をグラフ29〜31にまとめた。
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ここでは,RX 6600 XTが再び伸び悩む形となった。RTX 3060に対して,平均フレームレートで7〜9%程度の差を付けられており,1920×1080ドットでも30fps程度しか発揮できていない。とはいえ,RX 6600 XT OCのスコアは,RX 6700 XTの72〜78%程度であり,RX 5700 XTと横並びである点は3DMarkと同じ傾向にある。
RX 6600 XTの消費電力はRTX 3060と同程度
RX 5700 XT比で50W以上も低下
さて,RX 6600 XTのTDPは160Wと,RX 6700 XTから70Wもの消費電力低減をはたしている。しかし,今回利用したRadeon RX 6600 XT GAMING X 8GBは,クロックアップモデルであるため,リファレンス仕様よりは若干消費電力が大きくなるだろう。とくにRTX 3060に対して,消費電力で優位に立てるのかどうかは気になるところだ。実際にはどの程度の電力が必要なのだろうか。
そこで今回は,NVIDIA製の消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中の結果を示している。
その結果をグラフ32に示そう。
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RX 6700 XTとRX 5700 XTは,200W以上で推移しているのに対して,RX 6600 XT OCは170前後で推移しており,RTX 3060とあまり変わらないように見て取れる。ただ,190Wを超えた回数をカウントすると,RX 6600 XT OCは21回であるのに対してRTX 3060は0回だった。クロックアップモデルである影響も看過できないが,RX 6600 XT OCのほうが消費電力の振れ幅は大きいように思える。
グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたものがグラフ33となる。
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RX 6600 XT OCは約174Wと,RX 6700 XTから40W以上も消費電力が低減しており,RX 5700 XTとは50W以上も差が付いている点は,なかなかインパクトが大きい。結果的にRTX 3060とほぼ同じ消費電力に落ち着いており,RX 6600 XT OCのワット性能はかなり良好だ。
次に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力のみを計測した結果も見てみよう。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
その結果がグラフ34だ。
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ここではピーク値を結果として採用するため,差がより顕著になるのだが,RX 6600 XT OCとRX 6700 XTの各アプリケーション実行時における差は,51〜88W程度にまで広がっている。RX 5700 XTに対する差は,63〜104W程度にまで達しており,RX 6600 XT OCの省電力性がよりはっきりと見て取れる。
一方,RTX 3060との比較では,若干バラツキはあるもの,いい勝負でを演じていると言っていいレベルだ。
最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,RX 6600 XT OCを始めオリジナルファン搭載モデルをテストに使用している都合上,それぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はないことを覚えておいてほしい。
それを踏まえた結果は,グラフ35のとおりだ。
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RX 6600 XT OCは,高負荷時でも70℃を下回っており,GPUクーラーの冷却性能は十分足りているようだ。RX 6600 XT OCの消費電力の低さを考えると,PCの冷却能力に対してハードルが低いのはうれしいところだ。
Radeon RX 6600 XT GAMING X 8GBの動作音について,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,かなり静かな印象を受けた。消費電力が低いこともあり,静音性に特化したモデルも期待できるのではないだろうか。
レイトレーシングや最適化などの問題はあるものの
高いワット性能は魅力的
以上のテスト結果を踏まえると,RX 6600 XTの性能は,RX 6700 XTの70〜80%ほどでRX 5700 XTと同程度。ちょっと強引な表現をすると,リアルタイムレイトレーシング機能が付いた省電力版RX 5700 XTと言っても過言ではないだろう。RTX 3060を上回る場面も多く,それでいて消費電力が同程度に抑えられている点はかなり魅力的だ。
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次の問題は,ゲームに最適化が進んでいないことだ。少なくともRX 5700 XTに後れを取る場面があるあたり,早急に最適化を進めて欲しいと思うのは筆者だけではないはずだ。
AMDによるRX 6600 XT搭載カードの想定売価は379ドルとされている。同様に想定売価が479ドルだったRX 6700 XT搭載カードが,国内での実勢価格が8万円弱であったことを踏まえると,RX 6600 XT搭載カードの実勢価格は,6〜7万円といったところだろうか。RTX 3060搭載カードの実勢価格が同程度であることを考えると,価格帯でも十分勝負になるGPUではないだろうか。
レイトレーシング性能などの弱点はあるものの,フルHDでゲームを快適にプレイしたいと考えるユーザーにとって,RX 6600 XTは魅力的なGPUであると言っていいだろう。
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