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「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」インタビュー。シアトルで展開するバンパイアの物語について,ストーリー制作の2人に話を聞いた
2019年10月19日と20日にドイツのベルリンで開催されたイベント「PDXCON 2019」にて,Paradox InteractiveとDMM GAMESの協力のもと,日本メディア向けの合同インタビューが行われた。
デベロッパのHardsuit Labsから,1作目に続きメインシナリオライターを務めるNarrative LeadのBrian Mitsoda氏と,本作より制作に加わったSenior Narrative DesignerのCara Ellison氏というストーリー制作を担当する2人に,Bloodlines 2の世界観や物語について聞いてきたので,その内容をお届けしよう。
「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」公式サイト
――ストーリーの開発状況について教えてください。発売が延期となりましたが,これはストーリー部分に関するものですか。
Cara Ellison氏:
メインストーリーはほぼ完成しており,サイドストーリーやNPCとの会話を制作しているところです。
発売延期となったのは,ゲーム全体のクオリティを上げるためです。1作めは不具合があったことで有名になってしまったので,そのあたりは制作陣も気を使って制作を進めています。
――シナリオに注目しているゲームファンは多いと思います。注目点を教えてください。
Brian Mitsoda氏:
シアトルという街自体がキャラクターとなっているところです。さまざまなランドマークが再現されたゲームの舞台というだけではなく,街で起こっている多くの出来事をシアトルの物語として描きました。
――1作目とは異なる物語の始まり方でしたが,まったく異なる物語が展開するのでしょうか。
Brian Mitsoda氏:
はい。もちろんところどころに前作の要素が感じられるかと思いますが,本作で描かれるのは,あくまでシアトルを舞台とした新たなバンパイアの物語です。前作をプレイしていなくても問題なく楽しめるようになっています。
――どの段階でシアトルという街にバンパイアの物語を当てはめようと思ったのでしょう。
Brian Mitsoda氏:
シアトルとバンパイアの物語は,偶然結びついたといえるところがあります。
まず大前提として,物語にはオリジナルである「World of Darkness」のライセンスで定められたルールがあります。一方で,いち作家として私は物語に情熱的に取り組まなければなりません。そこで私は,シアトルの歴史や特徴的な天候などの話をしました。それらがバンパイアの物語を作るうえで興味深い設定になるのではないかと思ったのです。
Cara Ellison氏:
犯罪史やさまざまな派閥による権力闘争など,シアトルの歴史には見えない部分があります。それをとおして描かれるバンパイアの物語は面白いと思いました。
――この世界のシアトルにとって,バンパイアはどのような存在なのでしょう。
Brian Mitsoda氏:
人間の血を吸って暮らすバンパイアは,捕食者として人間より強い存在です。つまりこの街の権力構造の上の層にあると考えられます。
しかし,彼らは人前で吸血をすると警察に退治されてしまいますし,血を吸って殺してしまうと,食料がなくなってしまいます。つまり,表だって力を振るうのではなく,密かに隠れながら,都市の中で権力を維持しなければならない。そういった面白い存在ですね。
――ここは前作から変えずに守ってきたというところはありますか。
Brian Mitsoda氏:
最も大事な部分として意識していたのは,“バンパイアたちの,人間の常識とは異なる物語”という点です。それを描くための血族や登場人物,ゲーム全体の雰囲気などといった世界感構築のアプローチは変わりません。
そして,そういった物語を描くうえで間違いなく重要となるのが,強力な個性を持つキャラクターを作り上げることと,プレイヤーの選択でどのようにキャラクターたちの反応がするかという,会話の選択肢とその後の変化です。
――メインストーリーの制作期間はどれくらいだったのですか。
Brian Mitsoda氏:
明確に何年というのは難しいですが,企画段階から考えると本当に長い時間がかかりました。登場人物はたくさんいますし,彼らとの会話の数は膨大で,もちろんボイス収録もありますから。
最も大変だったところは,やはり会話の分岐でしょうか。プレイヤーの選択で異なる反応,そして異なる物語と結末を迎えることになるため,選択によって変わる多くのプランや,それぞれのバージョンのテスト版を作成するのに時間がかかりました。
Cara Ellison氏:
1作めに比べてファクション(派閥)が多くなったので,それによって物語も大きくなりましたね。
Brian Mitsoda氏:
クラン(血族)よって会話も変わり,異なる物語が展開しますから,本当にすごい時間がかかりました(笑)。
――舞台となるシアトルの街で注目してほしい場所はありますか。
Brian Mitsoda氏:
ゲームの始まりの場所である,ダウンタウンの中心にあるパイオニア・スクエアですね。パイオニア・スクエアはシアトルで最も古い地区で,観光としても人気のあるエリアの1つです。この,実在する歴史的な土地をゲーム上に再現するというのは,とても興味深いことでした。
できるだけ多くの場所を再現しようと考えているので,シアトルに行ったことがある人ならとても馴染みある場所として映るでしょう。
――Cara Ellisonさんに質問です。前作のシナリオライターであるBrian Mitsodaさんとの共同作業にプレッシャーはありませんでしたか。
Cara Ellison氏:
思いついたアイデアはまず彼にチェックしてもらいましたし,そのほとんどは気に入っていただけたようで,採用してもらいました。彼は私に素晴らしいテストの機会を与えてくれたんです。
あと,ほかの女性ライターとともに女性のキャラクターを描いていました。とはいえ,彼自身が女性を描くのがとても上手なんです(笑)。なので,私たちは彼が手を掛けられない部分を担当しています。
――バンパイアの物語を描くうえで大事にしたことはなんですか。
Brian Mitsoda氏:
さまざまな種類のバンパイアがいるということと,彼らの物語ひとつひとつを面白くしなければならない。それが最も重要なことです。彼らの性格,会話,物語上での彼らの役割……それはすべて大事なことです。
シアトルは比較的若い都市で,そこにいるバンパイアも長い年月を生きているわけではありません。ですが,一般的にバンパイアというと,100年以上生きているイメージがあると思います。そんな彼らがこの世界をどのように見ているのかを理解して描かなければならない。それはとても興味深いことであり,挑戦でもあります。
――前作のファンの反応はいかがでしょう。コミュニティの声を反映したことはありますか。
Brian Mitsoda氏:
ええ,ファンコミュニティはこの15年間でかなり大きくなりましたし,本作をとても期待して待ってくれているのを感じています。
私たちは間違いなくファンの声に耳を傾けていますが,最終的にそれは,パブリッシャであるParadox Interactiveと,デベロッパの私たちHardsuit Labsの中から届く声でもあるんです。
両社には多くのBloodlinesファンがいて,彼らは最初にゲームに触れるBloodlinesファンとなるわけですね。そんな彼らがBloodlinesらしいと感じるか,そう感じないかは重要です。最高のBloodlinesを制作するため,彼らの声が反映されています。
Cara Ellison氏:
私自身,もともとBloodlinesのファンでした。制作に参加する前はジャーナリストとしてBloodlinesについて書いていたくらいですから(笑)。
――日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
Brian Mitsoda氏:
日本語版が出ることはとても幸せなことですし,本当に興奮しています(笑)。
1作目はもう15年も前の作品ですし,欧米での評判は届きましたが日本ではどれくらいの人がプレイしていたのか分からないので,日本の皆さんにどのように興味を持っていただけるのか気になりますね。
Cara Ellison氏:
私も日本の皆さんがBloodlines 2をプレイして,どのような反応をしてくれるのか本当に楽しみです。皆さんの考えや感想を届けてほしいですね。
あと,日本に友人がいるのですが,みんな喜んでくれています。ぜひ東京ゲームショウに私たちを呼んでください(笑)。
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