「Kanon」のSwitch版が発売されるのを記念して，極上のたい焼きを作る。俺のコラボカフェ：Menu 049

　4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。様々なゲームに出てくる料理をプロの料理人が本気で作ったり，プロ目線で勝手に検証して発表したりする「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。

　先日，4Gamerを見ていたところ，「Kanon」のNintendo Switch版が発売されるという嬉しいニュースを発見しました。
　1999年に発売されたアドベンチャーゲームが，2023年に改めて登場するということは，不朽の名作であることの証明なのではないでしょうか。鍵っ子たちもさぞ誇らしいことでしょう。

　「Kanon」は，ギャルゲーながらもエロ表現は控えめで，感動的なストーリーが魅力の，いわゆる「泣きゲー」という一大ジャンルを生み出した紛れもない名作です。私がプレイしたのはPC版で，専門学校の寮で涙を大量に流したことを思い出します。アニメも大ヒットし，一躍有名になりましたね。

　この頃の京アニ（京都アニメーション）作品の快進撃は本当にすごかったのですが，アニメ版Kanonはアメリカでも大人気となりました。そして，本作のヒロイン「月宮あゆ」が食べている「たい焼き」までもが，海外でブームになったというのです。

　あゆはたい焼きが大好きで，本当に幸せそうな表情で食べるのですが，アメリカ人からしたら何を食べているのか分からなかったかもしれません。「クッキーでもクラッカーでもないこの食べ物は何だ……ぜひ食べてみたい！」と興味を持ったのではないでしょうか。

　ということで今回は，たい焼きをガチ解説するのですが，たい焼きとは，ケーキのような生地に餡を入れ，鯛の形の型で焼いたお菓子です。こう説明すると，カオスな食べ物ですよね。

　今はアレンジされたものも多く，餡子の代わりにクリームやチョコを入れたり，米粉やタピオカ粉を使ったもちもち生地で作ったり，卵の白身だけを使った「白いたい焼き」なんかもあります。

　調べていて興味深かったのは「天然たい焼き」です。何が天然かというと，1枚ずつ型に入れて手焼きしたものを天然と呼んでいるそうです。そして，大型の型で一度に大量に作られるのが「養殖」となるそうです。なんだか面白いですね。

　せっかくなので今回は，型を購入して餡は小豆から手作りし，あゆを大満足させるような「天然たい焼き」を作るとしましょう。

■餡子の材料
小豆　500g
上白糖　500g
塩　5g
水　適量

小豆をよく洗い，沸騰したお湯に入れ再沸騰させる。半分お湯を捨て，水を入れ再沸騰を6〜8回繰り返し，アク抜きをする

水を入れ替え，豆が柔らかくなるまで30~60分煮て，豆・茹で汁を分ける

豆，砂糖，豆，砂糖の順に乗せ，茹で汁を全体に掛け，混ぜて砂糖を溶かす

焦げつかないように混ぜながら煮詰める

適度な固さになれば完成

　思わず「うぐぅ」と唸るほどになかなか大変です。たい焼き作りの本丸は餡作りですね。では，ここから生地を作って焼いていきます。

■生地の材料
ホットケーキミックス　150g
水　170ml
塩　5g

塩を水に溶かす

ホットケーキミックスを少しずつ入れ，ダマにならないよう混ぜる

焼き型に油を塗り，生地，餡，生地の順に乗せてしっかりと閉じる

弱火〜中火で両面をじっくりと焼く

時々開けながら焼き色を確認する

生地を作ってしまえば，あっという間です

実食

　さあ，食べてみましょう。うん「やっぱたい焼きは焼きたてが一番だよねっ！！」といった感じです。

　今回は生地に牛乳と卵を入れずパリパリにして，餡たっぷりの薄皮たい焼きに仕上げました。私の出身地である北海道十勝産の小豆で作った餡のうまさが際立ちます。市販品の餡子を使えば，生地は簡単に作れるので，友達と集まったときや，子どもと一緒に作るのも面白いかもしれません。

　それにしても，熱々のたい焼きを真冬に食べると，Kanonの世界観を久しぶりに思い出すことができ，数々の名シーンが頭に浮かび涙が出てきました。Nintendo Switch版Kanonをプレイするときには，また作ろうと思います。せっかく買ったたい焼き型ですし。

　今回のテーマはいかがでしたでしょうか？　面白いと思ったり，実際に試したりした人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。

　それでは，またお会いしましょう！　したっけ！

■■大西哲也（クッキングエンターテイナー）■■
　あるときは，東京都，西調布にある「料理うまいBAR COCOCORO」のシェフ，またあるときは，「COCOCOROチャンネル」のYouTuber，しかしてその実体は……，料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する，クッキングエンターテイナーだ！　そんなシェフもたい焼きを作る経験は初めてで，火加減が中々難しく何度か失敗したという。やはりどんなものにも職人技があるのですね。

※次回の掲載は2023年3月25日を予定しています