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印刷2019/06/12 21:39

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[E3 2019]ダークでコミカルな新作RPG「The Outer Worlds」のライブデモをチェック。ディレクターへの単独インタビューも

 Take-Two InteractiveのレーベルであるPrivate Divisionのビジネスブースで,RPG開発では手堅い実績を持つObsidian Entertainmentの新作RPG「The Outer Worlds」PC / PS4 / Xbox One)のライブデモをチェックしてきた。さらに,本作のディレクターを務めるレオナルド・ボヤースキー(Leonard Boyarsky)氏にインタビューを行ったので紹介しよう。

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 すでに日本語版の発売も決定している本作のストーリーは,銀河の果てに位置する,地球から最も離れたコロニー“ハルシオン”に向かう入植者の輸送船の中で冷凍睡眠から目覚めた主人公が,この星で大きな陰謀に巻き込まれていくというものだ。

 ハルシオンは宇宙の資源独占を企む企業連合体“モナーク・インターステラー・インダストリーズ”によって支配されており,土地や人々はすべて企業によって制圧されている。そんな辺境の地で自分の思うがままに行動できるという,自由度の高さが本作のウリだ。

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 今回のデモは,すでに公開されている短い金髪の女性エリー(Ellie)と,新たに登場したドレッドヘアの黒人女性ナイヨカ(Nyoka)という2人のコンパニオンを連れて,どこか西部開拓時代のような町にやって来るところから始まった。
 この町では2つのギャング団が争っているらしく,その1つを仕切るキャサリン・メイリンという女性から,養豚工場を持つクライヴ・ランバーという男を始末してくるよう要請されるというのが,今回のミッションの内容だ。

 ハルシオンはもともと,宇宙の開拓に乗り出した地球政府が管理していたものの,テラフォーミングの失敗によって,樹木が巨大化したり,動物が獰猛になったりといった変貌を遂げている。しかも,そうした生物を駆逐するために,別の惑星からさらに狂暴な生物を輸入してくるという,とんでもない政策をやらかしてしまった結果,企業連合体に売却されたのだという。

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 デモではアクションシーンはほとんどなく,ステルスの技能を駆使して養豚工場に潜り込み,工場で働く人々を騙して帰宅させたり,警備ロボットに見つからないように物陰を進んだりしながら,クライヴのいる部屋を突き止める様子が披露された。この養豚工場では,がん細胞まみれのCystypigという動物から“ベーコン味のコブ”を切り出して,ハルシオンの住民達に売りつけているようだ。

 クライヴの居場所に潜入してからの会話シーンが,本作の本領発揮といったところ。会話の選択画面は「Fallout: New Vegas」を彷彿とさせるもので,“魅惑”や“強硬”といったコンパニオンの特性が会話オプションに加味されることにより,交渉が有利になったりする。

 さらに本作では,コンパニオンがプレイヤーの選択に口出ししてきたりと,プラスαが加えられているだけでなく,なんとクライヴから「キャサリンを始末すれば,ベーコン味のコブを一生提供する」という逆提案を受けたり,「2人で手を組んで企業連合を追っ払おう」といったオプションが展開したりと,非常に複雑で奥深い会話に仕上がっていた。

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 さて,今回のインタビュー相手であるObsidian Entertainmentのレオナルド・ボヤースキー氏と言えば,知る人ぞ知る古参のゲーム開発者だ。もともとはアートディレクターとして,Interplay Productions時代に「Stonekeep」(1995年)でデビュー。翌年の初代「Fallout」では,1950年代の冷戦初期に影響を受けたアートワークを完成させるとともに,あの“ヴォルトボーイ”を生み出した。

 Interplayが倒産すると,相棒のティム・ケイン(Tim Cain)氏らとTroika Gamesを結成し,スチームパンク風の世界観が話題になった「Arcanum: Of Steamworks and Magick Obscura」(2001年)や,吸血鬼ファンを唸らせた「Vampire: The Masquerade - Bloodlines」(2004年)のアートディレクターとして手腕を発揮。その後はゲーム開発の疲れからTroika Gamesを退社するものの,Blizzard Entertainmentに招待される形で,「Diablo III」の世界観デザインをリードした。

 Troika Gamesは2008年に倒産しており,ケイン氏は紆余曲折を経て,同じInterplayのメンバーが立ち上げたObsidian Entertainmentに入社。そこへ,2016年にBlizzardから離職したボヤースキー氏が合流し,久々に2人がコンビを組んで開発に挑んでいるのが,この「The Outer Worlds」というわけだ。

 本作は,ボヤースキー氏とケイン氏の「共同ディレクター」という形で開発が進められているらしいが,そのあたりからボヤースキー氏に聞いてみることにした。

「The Outer Worlds」の共同ディレクターであり,今回のインタビューを受けてくれたレオナルド・ボヤースキー氏
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4Gamer:
 共同ディレクターという体制では,意見の相違なども考えられますが,どのようにして担当が分けられているのでしょうか?

レオナルド・ボヤースキー氏(以下,ボヤースキー氏):
 確かに意見が分かれて議論することもありますが,私はアートディレクターであり,ナラティブ(物語)も担当しています。そしてプログラマー畑の彼が,技術面やゲームデザインを見ているといった感じでしょうか。私のダークでシニカルな世界観と,彼のコミカルで昔ながらのゲームへの取り組みが,うまくマッチしていると思います。昔から一緒に仕事をしてきた仲ですから,割と融通が利きますし,多くの面でスムーズに進行していますね。

4Gamer:
 今回のライブデモでは,会話シーンの作り込みをメインに紹介しているように思えました。

ボヤースキー氏:
 そうですね。本作ではアクションも楽しめますが,その中核にあるのはRPGであり,プレイヤーにさまざまなオプションを与えるというものです。今回は,多彩な会話オプションを見せることによって,ストーリーがさまざまに分岐していくことを皆さんに知ってもらいたかったのです。

4Gamer: 
 実際に,プレイヤーにはどれくらいの自由度があるのでしょうか。例えば,企業連合体に加担することもできますか?

ボヤースキー氏:
 企業連合体には10社が参加しており,それぞれが微妙なバランスで成り立っています。さらに言えば,そもそも主人公は企業によって開拓民として送られてきたので,もちろん企業に加担するというオプションもあり得ますね。
 本作は,とある理由から冷凍睡眠装置が壊れてしまい,その修理方法が分からないまま輸送船の中の人々が眠り続けているという設定です。主人公は何かのきっかけで60年ぶりに眠りから覚め,そのことを示すために,1つの企業からミッションを与えられるというのが冒頭の流れにもなっているんです。

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4Gamer:
 さまざまな武器が登場することが予想されますが,時間をスローモーションにする何かの仕掛けがありますね。

ボヤースキー氏:
 ええ。あれはプレイヤーキャラクターの基本スキルの1つで,冷凍睡眠から無理やり目覚めたことの副作用みたいなものです。

4Gamer:
 会話システムでは,コンパニオンが口を挟んできたり,彼らのアビリティが加味されたりといった仕組みが秀逸でした。特定のコンパニオンの思いどおりにならない選択ばかりしていると,彼らがグループから離れてしまうこともありますか。

ボヤースキー氏:
 確か,そのように設計されているはずですが,プレイヤーキャラクターのリーダーシップのスキルにポイントが割り振られていると,どこかの時点でまた仲間に加わるよう諭すことだってできますよ。

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4Gamer:
 会話シーンのアートワークなどが「Arcanum: Of Steamworks and Magick Obscura」を連想させるというか,独特の雰囲気を持っているように感じました。

ボヤースキー氏:
 そう言っていただけると嬉しいですね。私は油まみれの大きな機械とか,アールデコのような古風なデザインが大好きで,とくに今回の養豚工場のような施設には思い入れがあるんです。

4Gamer:
 今回のライブデモでは,キャラクターのアビリティのようなものは紹介されませんでしたが,下敷きになったルールセットなどはあるのでしょうか。

ボヤースキー氏:
 「Fallout」ではGURPS(テーブルトークRPGのルールセットの1つ)をライセンスしていたのですが,その契約が打ち切りとなって仕方なく自社開発したのが「S.P.E.C.I.A.L.」(現在までFalloutシリーズで利用されているRPGのルールセット)です。もちろん,「The Outer Worlds」はそれに従ったものではなく,独自のルールセットを作っていますよ。名称までは決めていないはずですが。

4Gamer:
 10月25日の発売が近づいてきましたが,プレイヤーには本作をどのようにプレイしてほしいと思いますか。

ボヤースキー氏:
 とにかく,自分の思うがままのプレイを堪能し,未知なるハルシオンの世界で活動してほしいですね。ティムと私にとって,2人で手掛ける久々の独自IPですから,皆さんと一緒に育てていけたらと願っています。

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