プレイレポート
キツい,汚い,危険,帰れない! ブラックな宇宙開拓企業の厳しさを満喫できる「Journey to the Savage Planet」ファーストインプレッション
本作は宇宙開拓時代を舞台に,業界4位を自称する惑星探査会社「キンドレッド・エアロスペース社」の新入社員となって,未知の惑星を探索する一人称視点のゲームだ。
このキンドレッド・エアロスペース,規模はともかくやってることは“ブラック企業”そのもの。宇宙船に積まれた食料は謎の黒いペーストだけで,探査用の装備は何もなし。それどころか帰りの燃料すら用意しておらず,あらゆるものを現地調達して仕事を進めろと言い出すとんでもない会社だ。それでも仕事をこなさないと帰ることもできないので,プレイヤーはほぼ裸一貫で未知の惑星探査に(否が応でも)挑んでいくことになる。
そんな悲壮感漂う(?)本作を発売前にプレイできたので,そのレポートをお届けしよう。
未知の惑星「AR-Y26」に挑む!……ただし装備も武器も燃料も現地調達
本作の舞台は,地球から遙か遠くにある,「AR-Y26」というコードが割り当てられた惑星だ。ゲームは宇宙船がこの惑星に着陸したところから始まる。
一人乗りの宇宙船は狭く,食事はペースト状の宇宙食だけだったが,比較的順調な旅……のはずだった。
ところが到着してみると事態は一変。安物の宇宙船は着陸しただけで破損し,武器どころか探索用のまともな装備すら用意されていない。おまけに宇宙船の燃料は“片道分”しかないことが分かる。そして愕然とするこちらにお構いなく,本社からはCEOの激励動画と,買う手段もない商品の広告が送られてくるというありさまだ。
会社から命じられた調査の目的は「人類の移住に適した惑星か確かめる」ことだが,プレイヤーはそれに加えて,この星から帰還すべく,装備の調達や燃料の発見までしなければいけないという,困難なミッションに挑むことになってしまう……。
記事の冒頭でも触れたが,本作は一人称視点のアクションゲームだ。不時着した宇宙船からスタートし,雪山や自然豊かな草原,そして洞窟や溶岩地帯などバラエティ豊かなフィールドを探索しつつ,人がいないはずの惑星になぜか存在している人工物の調査を進めていく。フィールドは広いが自由に行き先を決められるオープンワールドではなく,ミッションに従ってエリアを順次クリアしていくタイプだ。とはいえフィールドには隠し要素も多く,後述する装備を入手しないと行けない場所も多々あるため,一本道感はあまり強くない。探索要素が強く,「ゲームを進めるほど行動範囲も広がっていく」といった印象だ。
プレイのベースとなるのは「惑星の調査と自己の強化」だ。プレイヤーの宇宙服にはスキャナーが内蔵されており,ボタン一つでスキャンモードに移行して惑星内の動植物やオブジェクトを調査できる。スキャンすればその物体の特徴のほか,パズル要素がある場所では一種のヒントも表示される仕組みだ。
スキャンしたクリーチャーを図鑑のようなものに登録できたり,スキャン自体がミッション進行のキーなっていたりするので,新たなエリアや行き止まりに来たら,まずは片っ端からスキャンしてみよう。一応,これが本来の任務ということになる。
とはいえ前述のように,プレイヤーはほぼ丸腰で無人の星に放置されてしまったので,そのままでは先に進むことすらままならない。危険なモンスターに素手で立ち向かうのは無謀だし,そもそも険しい山や崖を歩いて越えることは不可能だ。行動範囲を広げるためには,装備を整える必要がある。そこで役に立つのが「3Dプリンター」だ。
3Dプリンターは拠点となる宇宙船に設置されており,武器の作成やアップグレードだけでなく,宇宙服に装備されたスキャナーやスラスターの強化なども行える。本作には経験値という概念はなく,キャラの強化はフィールドに設置された「オレンジグー」と呼ばれる,謎のエイリアンフードを食べて体力とスタミナを増加させるか,装備をアップグレードして攻撃力や機動力を向上させるしかない。
また「二段ジャンプ」や「ぶら下がり」といったアクションも装備の作成でアンロックされるため,行動範囲を広げるためにも,3Dプリンターの活用は必須だ。アイテムの作成には「素材」と「設計図」が必要で,前者はモンスターからのドロップやオブジェクトの破壊,後者は主にミッションの進行で入手できる。
周囲を探索して素材を収集し,装備を作成。作成した装備を使ってさらに先へ進み,ミッションをクリアして設計図をアンロック。その装備を作成するため,更なる探索に赴く……といった流れが基本となるだろう。アンロックした装備を使うと,崖の上や破壊可能な壁の向こうなど,今まで行けなかったところに進入できてワクワクする。また,そういう場所には大概何かのアイテムが隠されているので,無駄にもならないのだ。
メインミッション優先で次のエリアにどんどん進んでいくのもいいが,新たな装備が使えるようになったら一度戻って再度探索してみると,より惑星探査を楽しめるだろう。
Co-opプレイでは,協力して惑星の探査を進められる
本作はシングルプレイのほかに,最大2人がプレイできるCo-opモードも用意されている。ロビーなどを使って不特定多数を募るタイプではなく,すでにつながっているフレンドを招待してプレイするものだ。なおオフラインのマルチプレイには対応していないので,ネット環境が必須となる。
Co-opプレイでは同じエリアで協力して目標をクリアしてもいいし,別のミッションを個別に進行させてもいい。体力や手に入れた素材は別になるが,ミッション進行度や装備の作成(アンロック状態)といったものや,宇宙船に持ち帰った素材(アイテム)なども共有されるのが特徴だ。基本的には人手が純粋に増えるのと同じなので,ソロプレイよりも楽になるはず。
手分けしてゲームを進めるのもいいが,2人一緒に活動すれば,ライフや攻撃力が実質2倍になるので,とくにボス戦などはかなり有利になるだろう。フレンドリーファイア(同士討ち)は存在するので,お互いの立ち位置に注意する必要はあるが,死んだ仲間は時間内ならレスキューできるので,そういった点でも行動を共にしたほうがよさそうだ。
本作は道中で死んだり,宇宙船外でプレイを終了したりすると収集したアイテムを落としてしまい,後から拾いに行く必要があるので,その場で復活できるのは嬉しい。
個人的には,Co-opプレイ専用の仕掛けやミッションが見当たらなかったのがちょっと残念だった。どうせ2人でプレイするのだから,それに合わせた要素が用意されていても面白かったのではないかと思う。
とはいえ,ひとりでプレイするのとはまた違った感覚で楽しめるのは間違いないので,もし本作を遊んでいるフレンドがいるなら,プレイしてみてほしい。
規模は小さめだがしっかり作り込まれている印象
B級SFや探索型アクションが好きな人にオススメ
一見FPSのようにも見える本作だが,射撃のテクニックよりも,アイテムの活用や謎解き,あるいはジャンプ移動やフックによるぶら下がりといったアクションの方が重要になる場面が多い。未知の惑星で大量のクリーチャーを倒しまくり! といった作品を期待すると,恐らく肩すかしを食らうだろう。ストーリー設定の通り,主人公は英雄でも軍人でもないわけだ。
逆に探索要素はかなりのボリュームだ。最初に訪れたときは後ろ髪引かれる形でスルーするしかなかった場所が,装備が充実することによって次々と行けるようになるのは楽しいし,探索しただけアイテムが見つかって装備や体力・スタミナの強化につながるため,先へ進むのも楽になる。
シークレットエリアも最初は見つけやすいが,徐々にパッと見では分からなくなり,場所が分かってもそこにたどり着くのが大変,といったことも珍しくない。
またそれだけではなく,拾っておいた卵塊をジャンプ台代わりにしたり,ぶら下がるためのフックを自分で設置したり,食虫植物のようなクリーチャーの近くにエサを使って敵を誘導したりと,少しだけ頭を使ってパズルを解くような仕組みも多い。こういった謎解きアクションが好きなら,より楽しめるはずだ。
全体的な作風としては,キンドレッド・エアロスペースのブラック企業ぶりが細かく描かれたり,ナビゲーターのコンピューターが非常に辛辣だったり,こちらに敵意のないモンスターが簡単にビチャッと砕けたりと,コミカルだがちょっと悪趣味寄りな,言ってみればバカバカしいB級SFのような印象だ。筆者個人としては,結構好きなほうである。
Co-opプレイもあるため,一緒に遊べるフレンドがいれば,ソロとはまた違う楽しみ方もできるはず。ただ,ミッションマーカーはあるがミニマップがない関係でたまに迷うことがあったり,一人称視点でジャンプを多用する関係上,下が見えずに落下して少々イライラしたりと,プレイしていて少し気になる部分はあった。
また,(ゲーム中の)動画再生シーンと字幕の表示タイミングが少しずれていたり,一部の漢字が俗に言う中華フォントだったりといったことはあったので,このあたりのローカライズ要素は今後のアップデートで修正してほしいところだ。
決して大作とは言えないが,世界設定やゲームシステムはしっかり練られている印象で,価格も3080円(1月28日22:00までは10%オフの2772円)とお手頃。探索型のアクションゲームが好きなら手に取ってみてほしい作品だ。
「Journey to the Savage Planet」公式サイト
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