プレイレポート
今度は終末だ! 衝撃のラストの“その後”を描くシリーズ最新作「ファークライ ニュードーン」のプレイレポートをお届け
絶海の孤島やヒマラヤの奥地などを舞台にした,狂気や支配による抑圧がテーマの作品がリリースされてきた本シリーズ。前作である「ファークライ5」(PC / PlayStation 4 / Xbox One)では,アメリカの片田舎を支配するカルト教団との激しい戦いが繰り広げられたのは記憶に新しい。
だが結果的にそのラストは文字通り「破滅的」なものとして描かれ,物語に関しては賛否両論が飛び交うことになった。
作品ごと……どころか,DLCですら世界を一新することが多いファークライシリーズなのだが,最新作のニュードーンはファークライ5の物語を受け継いだ続編となっている。プレイヤーは,あの破滅の後,つまり「終末後のホープカウンティ」を舞台に,再度激しい戦いに身を投じることになるのだ。
今回はいち早くそんな「懐かしいけど,大きく変わってしまったアメリカの片田舎」を再訪できたので,その模様をお届けしたい。
なお,今回はPlayStation 4版をPS4 Proでプレイしており,画面写真は本体のSHARE機能で撮影したものになっている。
“あの”核戦争から17年
カルトの脅威は去ったが,新たな敵「ハイウェイマン」がやってきた
ネタバレになってしまうのだが,本作の導入部を理解するうえで必要になるので,まず前作のファークライ5のストーリーを軽く振り返っておこう。
物語の舞台は,現代アメリカの片田舎にある「ホープカウンティ」と呼ばれる地域。ここには「エデンズ・ゲート」と呼ばれるカルト教団が本拠地を構え,世界の終末を吹聴し,薬物や暴力によって地元の住民を支配しつつあった。プレイヤーの分身である新人保安官の「ルーキー」は,エデンズ・ゲートと対決する地元のレジスタンスと協力し,長い戦いの末に教団の教祖ジョセフ・シード,通称「ファーザー」を追い詰め,逮捕に成功するも,その直後にホープカウンティへ核爆弾が着弾する。
核戦争に至った原因は明確でないものの,ファーザーが予言していた世界の終末である「崩壊」は,本当に起こってしまった。そう,ファーザーは“正しかった”のだ。
しかし人類は滅びなかった。恐らく国家という枠組みは失われてしまったが,それでも生き残った人々は,復興を目指した。
そして前作からは17年後,本作の物語は始まる。
前作と同じく,ニュードーンでもプレイヤーが主人公をクリエイトする形で始まる。最初に性別を選び,その後チュートリアルを兼ねたプロローグが終わってから本格的なメイキングが可能だ。主人公の立場は「警備キャプテン」で,ホープカウンティにある生存者の拠点「プロスペリティ」の援助に向かった,ある人物を護衛する任務に当たっている。
だが護衛任務は早々に危機を迎える。物資と人材を輸送していた列車が襲撃に遭い,武器と物資,そして人材のほとんどを失い,襲撃者のただ中に取り残されてしまったのだ。
犯人は双子の姉妹,ミッキーとルー。彼女らは「ハイウェイマン」と呼ばれる凶悪なレイダーたちを率いる,ホープカウンティ地区のボスで,暴力や略奪といった手段で好き勝手に暴れ回り,この地域を支配していた。
ハイウェイマンたちは,かつて隆盛を誇ったあのエデンズ・ゲートすら駆逐し,数少ない人々のコミュニティであるプロスペリティは,まさに存亡の危機にあったのだ。
彼女らの襲撃を何とかひとり逃れた主人公は,死にかけていたところを前作の仲間であるニック・ライの娘であるカルミナに助けられ,何とか拠点であるプロスペリティにたどり着く,というのが物語のプロローグである。
そこからプレイヤーは,ホープカウンティの唯一の希望であるプロスペリティを存続させるため,生存者たちと共にハイウェイマンとの戦いを繰り広げていくことになる。
本作はファークライシリーズの伝統であるオープンワールド型のFPSで,広いフィールドを自動車やヘリはもちろん,水辺はボートなどで移動し,ミッションや探索を自由に楽しめる。前述のとおり舞台は前作と同じホープカウンティだが,核戦争をはさんで長い時間が経ったせいか,全体的な雰囲気は大きく変わっている。具体的には妙に華やか……というか,ハイウェイマンたちのグラフィティ(ペイントや落書き)や異常に咲き乱れている植物や花のせいで,全体的にピンク色が多くどぎつい感じだ。
不毛の荒野よりはいいかもしれないが,何となく常に“落ち着かない”感じが印象深い。
物語を進めるメインストーリーミッションはもちろん,仲間やアイテムを入手できる「サイドミッション」,パズル性の高い探索型の「トレジャーハント」などに分かれており,自分が行ける範囲で自由にクリアしていけばいい。重要度が高いものは最初からマップに表示されているが,味方の拠点や街道を歩くNPCに話しかけることで登場するものもあり,「探索を続けると,次から次へと出てくる」という感じだ。
ただミッションの難度はランクで決まっており,初期装備で高難度のものに挑むのは無謀としか言いようがない。となると,ゲームを進めていくには,自らを強化しなくてはいけない,ということになる。
終末はDIYを楽しもう!敵の撃破や狩猟など,材料の入手先はたくさん
さて,ホープカウンティ地域のほとんどはハイウェイマンの支配下にあり,敵が拠点にしている大型の施設などはもちろん,街道や森林などにも敵はうろついている。野生動物もほとんどが凶暴で,見かけ次第こちらを襲ってくる始末。一部の動物は突然変異すらしており,どこもかしこも危険ばかりだ。当然だが,ミッションをクリアするのにも敵の排除が必要となる。
敵に対処するには強力な武器や味方が必要だが,文明が滅びた結果,物流はもちろん貨幣経済まで失われており,お金で装備や乗り物を購入できた前作とは事情が異なっている。要するに「ないものは奪うか作るしかない」というわけだ。
終末ものとクラフト要素は相性が抜群なのは言うまでもないが,本作ではクラフトがキャラクターの成長要素と密接に関わっており,そもそも「必要なものを作らないと強くなれない」という感じだ。例えば攻撃力を上げるには強い武器を作るしかないし,道を安全に移動するには丈夫な乗り物を用意しなければいけない。
強化要素は,大きく3種類に分かれている。
1つめは「PERK」による自キャラのパワーアップだ。これは「特定の武器で敵を○○体倒す」といったチャレンジや,宝が隠されたトレジャーポイントに置いているPERKマガジンを入手することで得られるポイントで,弾丸の所持数増加や肺活量アップなど,さまざまな能力をアンロックできる。これは前作から引き続き登場する要素なので,馴染みがある人も多いだろう。
2つめは拠点となる「プロスペリティ」の強化で,作業台やラボを強化すればより強力な武器が作れたり,診療所を充実させればライフがアップしたりする。後述する仲間も施設を充実させると強化されるので,“間接的な強化”という印象を持ちやすいが,実際はまずここをグレードアップさせないと,強いものはクラフトできないので,実は非常に重要だ。
3つめは実際の武器や乗り物のクラフト,つまり制作すること。これは各地の拠点にある作業台やガレージでおこなったり,消耗品はその場で作成できたりする。前述のように,本作は武器や乗り物のグレードでプレイヤーの性能が決まる部分が大きく,端的にはランクが高い装備や乗り物の方が強い。そして強いものを作るには材料も必要だが,グレードが高い作業台やガレージが必要で,まずはプロスペリティの強化を行わないと,作るスタートラインにすら着けない。
クラフトの材料となるさまざまな部品や金属といった資源は,敵を倒したり,狩猟した動物の素材と交換してもらったり,トレジャーポイントでゲットしたりすることになる。
そんな資源の中で特に重要なのが「エタノール」だ。文明崩壊により石油の採掘や精製が行われなくなったのかはわからないが,これがほとんどの燃料として使われているようだ。
プロスペリティの強化には大量のエタノールが必要なのだが,基本的にザコ敵が落としたり民家に放置されていたりといったことはない。敵の大型の基地に貯蔵されているものを陥落させて入手したり,街道を警備付きで輸送されているタンクローリーを強引に奪ったり,といった方法で手に入れる。平たくいうと,敵から奪い取る必要があるということだ。
前作でも敵基地の解放や輸送物資の強奪というフィーチャーはあったが,前者はストーリーを進めるためのレジスタンスポイントの入手,後者はあくまでアイテム入手の手段の1つという位置づけで,ちょっと単調になってしまうこともあった。
だが,今作では「強い武器や乗り物を作るには材料がいる → 材料があっても施設がなければ作れない → 施設の強化にはエタノールが必要」という流れになっているので,重要性が格段に上がった。
意義が明確になるとモチベーションも上がるもので,筆者は街道でタンクローリーに会うたび,全力で追いかけて奪い取ったし,解放した基地はそのローリーの届け先にも使えるので,発見次第カチコミをかけていた。
前作に引き続き経験値やレベルアップといったものは存在しないが,拠点を落としたり,材料を入手するほど強くなれる可能性が高まるので,休むつもりがついつい「もうちょっと」とプレイを続けてしまうこともしばしばあった。
なお,今作では解放した敵拠点を資源を奪い尽くしたあとで,放棄できる。そうすると再度敵が拠点を占領し直し,敵や拠点は強化され,難度はあがるが,再度解放すればより多くの資源が入手できるので,やる価値はある。自信が出てきたら,試してみるといい。
頼りになる仲間と再び旅に出よう
ヘリでホープカウンティ以外の場所にも行ける
上でも少し触れたように,今作でも強力な味方と一緒に冒険できる。前作では弱いがどこにでもいる一般的な兵士と,より強力なスペシャリストが選択できたが,ニュードーンではスペシャリストのみに変更され,それ以外の味方は「たまたま敵を居合わせたら一緒に戦う」程度の存在になった。
また前作では特定のPERKさえアンロックすれば,序盤から2人(あるいは2匹)の仲間を連れ歩けたが,今作にはそのようなPERKはなく,連れ歩ける仲間は1人のようだ。全体的に,仲間関係のシステムはスリム化されてよりシンプルになったと言える。
とはいえ,彼らが強力な味方で,かつ旅を楽しくしてくれるものであるのは間違いない。時代設定の関係から多くが新顔だが,手にしたライフルやショットガンなどで頼もしい援護をしてくれる。また,道中の会話で前作との空白の時間に何があったのか語ったりするので,話を聞くだけでも面白い。
もちろん強力な動物の仲間も登場する。特にパワフルなイノシシのホレイショーは,前作で猛威を振るったクマのチーズバーガーを少し思い出してしまった。ちなみに今作のクマは敵として戦う機会が多く,前作の敵はこんな怖ろしい目にあっていたのかと,17年越しに実感してしまった。
プロスペリティの設備を充実していくことで仲間を強化したり,クラフトの幅を広げたりできるのは前述した通りだが,もうひとつ別の重要な機能も持っている。それは「探険」と呼ばれるミッションだ。
探検はヘリポートを整備することでプレイできるミッションで,ホープカウンティの外に資源を回収しに行くというもの。一番最初にプレイできる「HMSマカブリー」というミッションでは,ハイウェイマンが発見した「放棄された軍艦」から,軍事物資を横取りするのが目的だ。当然ながら,すでに陣取っているハイウェイマンとの衝突は避けられない。
探険のマップはホープカウンティとは別に作られており,ヘリから降下後に敵を倒したり,あるいは隠れたりしながら物資の場所を見つけ,入手後に回収場所まで無事脱出する,という流れで行う。
仕組みとしては拠点攻略と若干似ているが,目的は物資の回収なので敵をいくら倒してもクリアできず,それどころかいくらでも湧いてくるようなので,適当に見切りを付けてお目当てのものを探さなくてはいけない。
敵こそ同じハイウェイマンであるものの,アイテムを回収しても道半ばで,ピックアップ地点でヘリを待たなければいけないのは,結構緊張感がある。ビビッドすぎるホープカウンティに目が疲れたら,気分転換に違った場所で資源の回収を楽しむのもいいだろう。
RPG的な成長要素がさらに強くなったファークライ最新作
腰を落ち着けて,ホープカウンティを暴れ回ろう
今作はプレイモードがソロと,フレンドなどとプレイするCo-opのみとなっており,前作で「ファークライ アーケード」という名称で存在したマルチプレイ対戦はなくなった。
また前述のようにクラフトや資源回収を軸とした成長要素が強めで,「ストーリーミッションは物語を進めるもの」「サイドミッションは材料入手や探索,あるいは戦闘を楽しむもの」という形で,しっかりと特徴が分かれている。
先に進めたいならストーリーミッションを優先的にこなすべきだが,進行度が高くなるとそれだけ強い敵も頻繁に出てくるので,どこかの段階でサイドミッションもこなしていかないと厳しい。拠点開放や探索を優先的に進めれば,じっくりと主人公や仲間を鍛えられるので,そちらを優先的に進めるのもありだ。この辺りは,プレイヤーの好みで自由に進めるといいだろう。
武器のカスタマイズはバッサリ省略されており,前述のようにランクの高さが強さと比例している。敵の強さも同様でランクが高いほどタフで強力になり,近接武器と盾を装備するブロウラーや遠距離射撃を得意とするスナイパーなど種類も多い。明確な「経験値」こそないものの,全体的にはかなりRPG寄りのゲームデザインになっており,弱いキャラのままクリアするのはかなり厳しそうだ。その反面,じっくりとキャラや装備を強化すれば,筆者のような射撃下手のプレイヤーでもあまり苦労せず進めることができる。
本作はストーリーはもちろん,前作であるファークライ5のシステムやマップを下敷きにした明確な続編だが,クラフトをベースにした成長要素を主軸に据えたことで,全体的なプレイフィールは異なっている。敵を攻撃したときに,(デフォルト設定なら)数字が飛び出してダメージが表示される辺りにも,RPG的な要素が見て取れる。
グラフィックスは前作譲りで美しく,また探索や基地攻撃,あるいは狩猟などはほぼすべてプレイヤーや拠点の強化につながるので,「寄り道しただけ見返りがある」のが嬉しいところ。広いフィールドには至る所に探索ポイントがあるうえ,補給物資の投下や,多くのアイテムを持つスカベンジャーが登場するなど,ランダムイベントも頻繁に起こるので,目的なくウロウロしているだけでも結構楽しめてしまう。また主な敵が“ヒャッハー”なハイウェイマンばかりなのも,終末感をより高めてくれる感じだ。
冒頭で書いたとおりに賛否両論あったファークライ5のラストだが,こういう形で“回収”されると予想していた人は,少なかったのではないかと思う。そういった意味で筆者は「その後」のホープカウンティを想像以上に楽しめて,見知った場所や人に遭遇するたびに「おお,ずいぶん変わったな!」とちょっとテンションが上がってしまった。
筆者と同じような前作のプレイヤーは,そういった終末観光を楽しめるだろうし,純粋に「あの後どうなったのか」を知ることができる。また逆に前作をプレイしてない人は,先にこちらから初めて,後から在りし日のホープカウンティを訪ねる(ファークライ5をプレイする)のも楽しいと思う。相変わらずマップを含めボリュームは大きく,またクラフトや成長が重要な要素となっているので,ぜひじっくりと腰を落ち着けて楽しんでもらいたい一作だ。
「ファークライ ニュードーン」公式サイト
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(C)2019 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek’s original Far Cry directed by Cevat Yerli. Powered by Crytek’s technology “CryEngine.”
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