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ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載
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印刷2022/07/04 13:00

インタビュー

ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載

 ランボルギーニはPC向けレースゲーム「Assetto Corsa Competizione」による公式のeスポーツ大会「The Real Race」を現在開催中だ。

画像集#001のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載

 第3回となる今回の「The Real Race」はウラカン スーパートロフェオ EVO2によるワンメイクレースのeスポーツ大会で,これまでのフォーマットを一部変更しつつ,ヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA),北米・中南米(NALA),そしてアジア太平洋(APAC)の3つの地域に分かれて実施されている。

画像集#002のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載

 大会は,2022年5月に行われた予選を皮切りに,グループステージ,ラストチャンス,そして10月の決勝戦という4つのステージで構成され,優勝者には4月に発表されたばかりのランボルギーニ公式eスポーツチームに参加するチャンスが与えられる(関連記事)。

 4Gamerでは今回,同チームの代表兼コーチを務めるダン・ウェルズ(Dan Wells)氏,2021年度のEMEA地域優勝者でチーム所属のシムドライバーであるジョーダン・シェラット(Jordan Sherratt)選手,そしてマーケティングディレクターのクリスチャン・マストロ(Christian Mastro)氏にメールインタビューを行ったので,その模様をお届けしよう。


「Assetto Corsa Competizione」公式サイト

「The Real Race」公式サイト




eスポーツチーム代表兼コーチ

ダン・ウェルズ(Dan Wells)氏


――ランボルギーニのeスポーツチームは,4月に発表されたばかりの若いチームですが,第3回「The Real Race」に向けて,どのような準備を進めてきたのでしょうか。

ダン・ウェルズ氏
画像集#014のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載
ダン・ウェルズ氏:
 私達は新しいチームですが,ランボルギーニが現実世界のレースや自動車活動の成功で得たものを,eスポーツチームに応用しようと試みています。ランボルギーニがバーチャルな世界で真の力を発揮できるように,未来への土台を築いているのです。「The Real Race」を通じて,現在チームに参加しているジョーダン・シェラットのように,今後数年間を共に過ごすことになるかもしれない若い才能を目の当たりにできることは,素晴らしいことだと思います。

――チームの代表やコーチとしての,具体的な仕事内容を教えてください。

ダン・ウェルズ氏:
 チーム代表兼コーチとしての私の責任は多面的です。まず第一に,チームの全体像を把握し,誰がいて何を必要としているか,トップレベルで戦えるようにするためにどんなステップが必要かを考えることでしょう。ランボルギーニとしては,一部のメーカーのようにチーム運営をアウトソースするのではなく,スクアドラ・コルセ(※1)のスタッフと共に勝利できるようにしたいのです。

 コーチとしての私の主な仕事は,各ドライバーをありのままに受け止め,ドライビングのメンタルを支え,私の経験を生かしたセットアップの提案などを行うことです。ドライバーは皆,トップレベルで卓越したドライビングを習得していますが,私はイベント前のテストやレース中のピットストップ,レース全体の戦略など,ドライバーがドライビングに専念し,結果を出せるようにすることに貢献しています。

※1 Squadra Corse,ランボルギーニのモータースポーツ特化部門。ワンメイクレースであるLamborghini Super Trofeoの主催も担う

――eスポーツチームの3人の選手について,コーチから見た性格や特徴などを紹介してください。

ダン・ウェルズ氏:
 まず,ジョーダン・シェラット。彼は超優秀で超高速のeスポーツドライバーで,現実世界のレース経験もあります。彼のドライビングはまるで時計のように正確で,セットアップ変更の良し悪しが,1〜2周走るだけで分かってしまうほどです。彼は自分の役割に真剣に取り組み,並外れた競争心を持っているので,チーム全体を前進させてくれます。私の価値観と完全に一致するため,一緒に仕事をするのが本当に楽しいんです。

 ジャンフランコ・ジリオーリはイタリアの若手ドライバーで,速さがあるだけでなく,マシンのセットアップや路面コンディションに敏感なタイプです。そのため,イベント前のテストでマシンの弱点を把握することができ,長丁場のレースで有利になるのです。彼はバサーストでのレースで4時間にわたってトップを走り続け,素晴らしい仕事をしてくれました。

 最後に,eスポーツコミュニティで有名なジョルジオ・シモニーニです。ジョルジオは最初のイベントでポールポジションから3スティント(※2)にわたってリードし,私に感銘を与えました。彼は何事にも動じず,問題なく順調に差を広げていきました。

 さまざまなドライバーや彼らの個性と共に仕事をするのは,本当に楽しいことです。今年の始めに,ランボルギーニ・スーパートロフェオ・ヨーロッパの第1ラウンドのゲストとして全員をイモラに招待できたのは素晴らしいことでした。

画像集#007のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載

※2 モータースポーツではレースの各起点からピットインまでの間隔を指す。3スティントは2回目のピットアウト〜3回目のピットインまで

――選手は,今後も「The Real Race」の勝者から選出されるのでしょうか? 選手として求める資質についても教えてください。

ダン・ウェルズ氏:
 それは絶対です。今年,「The Real Race」で優勝したドライバーには,来年チームに参加するチャンスがあります。もちろん,最速のドライバーを求めるのは当然ですが,プロフェッショナルで成熟した,高い競争力を持ち,メーカーチームの中で働き,学ぶことができるドライバーであることも必要なのです。

――スクアドラ・コルセのスタッフは,eスポーツチームにどのような形で協力しているのでしょうか。

ダン・ウェルズ氏:
 私達はスクアドラ・コルセの全面的なサポートを受けることができ,とても幸運でした。レースと戦略に関するエンジニア,車両ダイナミクスのスペシャリスト,そしてもちろんランボルギーニのメディアチャンネルを活用し,コミュニティとより多くの人々に,私達のeスポーツチームを伝えることができました。

――コーチとしての目標は何ですか。

ダン・ウェルズ氏:
 コーチとしての私の目標は,今あるものを最大限に活用し,各ドライバーの持てる力を残らず引き出すことです。若手からジェントルマンまで,多くのドライバーを指導してきた私にとって,これはとても楽しいことです。1年の終わりに,ドライバー達が学び,成長し,最大限のポテンシャルを発揮できるように手助けできたと感じられたら,私は自分の仕事をしたと言えるでしょう。

――最後に2022年のチームの目標と,それをどのように達成しようとしているのか教えてください。

ダン・ウェルズ氏:
 チームとしての目標はランボルギーニが勝つことです。SRO IGTCEの開幕戦であるバサースト12時間レースではポールポジションを獲得し,優勝することができました。しかし,この結果に満足することなく,年間を通じてパフォーマンスを発揮し,将来的にはより多くのパートナーやサポートを得て,より多くのチャンピオンシップに参戦できるようなチームを作り上げるために,これからも強く後押ししていきます。

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昨年度優勝者・シムドライバー

ジョーダン・シェラット(Jordan Sherratt)選手


――プロのシミュレーションドライバーになろうと思ったきっかけを教えてください。

ジョーダン・シェラット選手
画像集#004のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載
ジョーダン・シェラット選手:
 これまで幸運なことに,現実の世界での最高レベルのドライビングを長期間続けることができましたが,残念ながら経済的な理由で継続が困難になり,このときレースシミュレーションに転向しました。メーカーに所属することが目標だったので,予算の制約がないレースシミュレーションでは,その目標達成のために奮闘しました。

――昨年の「The Real Race」で欧州・中東・アフリカ地域のチャンピオンとなり,ランボルギーニ初の公式シミュレーションドライバーに選ばれましたが,2021年はどんな年でしたか?

ジョーダン・シェラット選手:
 自分にとって素晴らしい1年でした。2020年にレースシミュレーションを始めたばかりの頃から,成功を収めることが私の目標でした。そのために懸命にセットアップを理解し,何時間も練習したことが,2021年に大きな一歩を踏み出し,素晴らしい1年を過ごすことにつながりました。

――プロになったことで変わったことはありますか? 日常生活で気を付けていることがあれば教えてください。

ジョーダン・シェラット選手:
 プロフェッショナルであること,メーカーを代表することは責任を伴います。また,ほかの人達の模範となり,目標となるような存在であることは,大きなプレッシャーとなります。ですから,常にトップでいることが重要で,一貫した練習を行い,若い世代を助けるために地域社会に参加することも大事にしています。

――普段はどのようなトレーニングをしていますか?

ジョーダン・シェラット選手:
 私のトレーニングは通常,毎日2時間で,ゲームのトップを維持し,キーとなるセットアップを向上させるために行っています。スクアドラ・コルセのエンジニアがセットアップや耐久レースでの戦略サポートをしてくれるのは,本当にありがたいことです。

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――これからプロを目指す人へのアドバイスをお願いします。

ジョーダン・シェラット選手:
 私からのアドバイスは,「不可能はない」ということです。努力と献身があれば,何でも可能です。私が今の地位を築けたのは,多くの練習と周囲の手助けのおかげです。最初から正しいドライビングテクニックを身につけることが重要なのです。

――第3回「The Real Race」の予選が始まりましたが,これまでの状況はいかがでしょうか。

ジョーダン・シェラット選手:
 調子は上々です。今年のマシンはウラカン スーパートロフェオ EVO2で,新しいチャレンジがあります。だから,ドライバー達がコース上でこのマシンと格闘するのを見るのは素晴らしいことです。誰が次のランボルギーニ公式シミュレーションドライバーに選ばれるのか,楽しみです。

――ドライバーとして大切にしていることは何ですか? ファンへのメッセージをお願いします。

ジョーダン・シェラット選手:
 アグレッシブでありながら計算された運転をすることが,ベストな方法だと思います。ミスを恐れず,前に進むことが,より良いドライバーになるための鍵なのです。自分を疑わず,プッシュし続ければ,どんなことでも成し遂げられるはずです。

画像集#009のサムネイル/ランボルギーニ主催のeスポーツ大会,第3回「The Real Race」が開催中。同社公式eスポーツチームへのメールインタビューを掲載


マーケティングディレクター

クリスチャン・マストロ(Christian Mastro)氏


――まず,昨年開催された第2回「The Real Race」の総括をお願いします。

クリスチャン・マストロ氏:
 「The Real Race」の第2シーズンは,大成功を収めました。これはウラカン GT3 EVOを使用した特別なイベントであり,750人以上のユニークなプレイヤーが「Assetto Corsa Competizione」で直接レースに参加しました。視聴の観点からは,数時間のライブストリーミングを行い,我々のソーシャルメディア・チャンネルのみで1500万以上のインプレッションを獲得しました。

クリスチャン・マストロ氏
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――第3回でトーナメント方式を変更した理由を教えてください。

クリスチャン・マストロ氏:
 今回のトーナメント方式は,昨年までのものを進化させたものです。もちろん,私達は統一された国際的な構造と,3つの地域でのランキングを維持する方針を捨てたわけではありません。主な変更点は,レーシングシミュレーション・コミュニティの声に耳を傾けた結果,なされたものです。昨年の10レースチャンピオンシップからレース数は減少しましたが,よりハイレベルな新フォーマットに移行しました。

 新しいフォーマットでは,チャンピオンシップに参加するために4回のオンライン予選を行います。そして新チャンピオンシップでは,2日間の競技と地域ごとのグランドファイナルがあります。すべてのレースは,当社のソーシャルメディア・チャンネルでストリーミング配信される予定です。

 もう1つの新機軸は,ウラカン スーパートロフェオ EVO2の採用です。これは,私達のワンメイク・シリーズである「Super Trofeo」により近い形で,実際のeスポーツレースが行われるようになったということです。私達が年々,よりプロフェッショナルでオーガナイズされた存在になろうとしていることは明らかです。

――2022年1月,ランボルギーニは同社初のNFTプロジェクトとして,宇宙をテーマにしたアート作品「スペースキー」を発表し,4月にはアヴェンタドール LP780-4 ウルティマエ クーペの最後の1台とNFTアート作品を組み合わせた特別オークションを発表しました。これらのオークションの反響はどうだったのでしょうか。また,ランボルギーニのNFTやメタバースに対する取り組みやその意義について,どのようにお考えですか。

クリスチャン・マストロ氏:
 NFTの世界でも大きな盛り上がりを経験しました。「スペースキー」と,最後のアヴェンタドール LP780-4とNFTの組み合わせは,どちらもランボルギーニ・ブランドに大きな話題を提供しただけでなく,本物のランボルギーニの傑作で若い観客に価値を創造するというブランドを確立させたのです。

 この2つのプロジェクトは,ランボルギーニの型破りで独特なデザインという強みを生かすことを,常に念頭に置いて進められました。お客様からの反応は非常にポジティブなもので,だからこそ,私達はこれらのみで創造性を止めることはないでしょう。近いうちに,私達の新しいプロジェクトが始動するのをご覧いただけると思います。

 私達はまた,これからの数年で展開されるメタバース戦略の開発に取り組んでいます。現時点で私が言えることは,この業界には無限の可能性があるということです。しかし,ブロックチェーン,暗号化技術,Web 3.0など,それを取り巻く環境は非常に複雑で,しかも急速に進化しています。ランボルギーニとしては,この新しい冒険に乗り出す前に,中長期的に顧客やファンのためにどのような価値を創造できるかを,まず理解したいと考えています。

 しかし,1つだけ確かなことは,私達はこれからも予想外のことのリーダーになりたいと考えており,メタバースはそのミッションを達成するための重要な柱となるものだということです。

ランボルギーニ「スペースキー」
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ランボルギーニ「スペースキー」特設サイト


――ゲームに目を向けると,今年はすでに「ロケットリーグ」にカウンタック LPI 800-4が,「Assetto Corsa Competizione」にウラカン スーパートロフェオ EVO2が登場しています。レースゲームファン,ランボルギーニファンとして,今後に期待していいですか?

クリスチャン・マストロ氏:
 「ロケットリーグ」と「Assetto Corsa Competizione」で私達の車を公開した際は,非常にたくさんのプレイヤーに楽しんでいただくことができました。さらに7月末の数日間には,より多くを発見する機会をご提供できるでしょう。

――最後に,ランボルギーニのブランディング/マーケティングについて,今後の課題と展望をお聞かせください。

クリスチャン・マストロ氏:
 前述したように,私達の前にはたくさんのチャンスとチャレンジがあります。大切なのは,お客様の声に耳を傾け,新しいトレンドに敏感であること。そうすれば,私達の素晴らしいアイデアを,素晴らしい作品へと昇華させることができるはずです。

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