プレイレポート
日本語版「パスファインダー:キングメーカー」プレイインプレッション。TRPG“らしさ”のあるゲームシステムと物語が魅力のシングルプレイPRG
本作は,テーブルトークRPG「パスファインダーRPG」を原作とした骨太のファンタジー作品だ。ロシアのデベロッパであるOwlcat Gamesが開発し,Deep SilverよりSteam版および海外コンシューマ版が2018年にリリース。発売以降コアなファンの間で楽しまれており,Steamのレビューなどでも高い評価を得ている。そんな本作の日本語版(DMM GAME PLAYER版)を発売前にプレイできたので,インプレッションをお届けしよう。
「Pathfinder: Kingmaker」公式サイト
圧倒的なテキスト量で描かれるストールンランドでの物語
パスファインダーRPGは,ファンタジーTRPGの古典「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)から派生した“重量級”の作品だ。舞台は,エルフやドワーフ,ゴブリン,ドラゴンといった,ファンタジー作品ではおなじみの種族やモンスターたちが暮らす世界「ゴラリオン」。プレイヤーは冒険者として,ステータスがびっしり書き込まれたキャラクターシートとサイコロを手に,スクエアマップ上で一進一退の攻防を繰り広げる。
ルールを簡略化した上で必要な道具をボードゲーム風にキット化にした「ビギナーボックス」も発売されているので,「パスファインダーRPGの世界観に興味はあるけど,TRPGは難しそうで遊んだことがない」という人はこちらで始めてみるといいだろう。
「パスファインダーRPG」紹介ページ(Role&Roll Official Web Site内)
この,TRPG版をベースにした本作の冒険の舞台となるのが「ストールンランド」だ。周辺国の緩衝地帯として長らく統一されることのなかった地域で,現在は盗賊の長「牡鹿の王」が支配している。新米冒険者の一人としてこの地にやってきたプレイヤーは,新たな国を立ち上げるべく,牡鹿の王の勢力を討ち果たすため冒険を始めるのだ。
メインシナリオが始まると,まずメッセージボックスのテキスト量に圧倒されるだろう。地名や職業といった用語にカーソルを当てると,即座に説明がポップアップしてくれるのが嬉しい。セリフ以外のいわゆる地の文も,DM(ダンジョンマスター)が語りかけるような風情があり,雰囲気作りに貢献している。
TRPGの息づく,自由度の高いキャラメイク
探索やバトルをどう楽しむかもプレイヤー次第
キャラクターメイクの自由度は原作と同様,非常に高い。クラスごとにできることが全く違ううえ,ボーナスの異なる種族,振り分け式の能力値など,文句なしのD&D系キャラクターメイクである。綿密な成長計画を立てるとなると,丸一日は楽しく頭を悩ますことができそうだ。
こういったキャラメイクに不慣れな人や1周目はストーリーをメインで楽しみたいという人は,プリセットのキャラクターや成長計画を利用するといい。実際に遊んでみて自分自身の分身となるキャラクター像が出来上がったら,しっかり作り込んで2周目に挑もう。
ダンジョン探索は,クォータービューのシンプルなマップ探索となる。視界の中でアイテムや手がかりを探しつつ,敵との戦いに備えるという形だ。もちろん,ダンジョンにはさまざまな罠や鍵つきの宝箱があり,器用なキャラクターの見せ場もしっかり用意されている。それらの成功判定を表示する右下のメッセージボックスが,TRPG(のサイコロ)での判定を思わせるものとなっており,原作ファンとしても好印象だ。
罠探知はパッシブとなっており,一定の距離まで近づくとパーティが自動で罠の探知に挑戦してくれる。見つけられないとそのまま突入することになるので,けっこうハラハラする場面でもある |
アクション可能なオブジェクトは,PC版の場合[Tab]キーですべてハイライトできる。罠探知の自動化と合わせて,探索のテンポを良くしている要素だ |
隠密状態でこっそり敵に近づくオプションも用意されている。うまく距離を詰めて,有利に戦えるような状況を作ろう |
イベント中,挿絵入りの本のような「イラストブックエピソード」でシナリオが進行することもある。描写に用いられるテキストがぐっと増えることで,決断にまつわる情景がリッチに思い浮かぶ |
探索マップからシームレスに始まる戦闘は,リアルタイム制とターン制をいつでも切り替え可能だ。リアルタイム制では半自動的に戦闘が進行し,格下相手に優勢に戦っているパーティを眺めているだけでもかなりの爽快感が得られる。
一方ターン制は,行動順ごとに細かくアクションを指定でき,より原作に近いプレイ感で楽しめる。気軽に本作を遊びたいときや,自身より弱い敵を相手にするときはリアルタイム制でこなし,強敵に挑む際はターン制に切り替えるといった使い分けをすれば,ストレスなくゲームを進められるだろう。逆に,常に緊張感のある探索とバトルを楽しみたいという人には,ゲームの難度を高難度にしてターン制に設定することをお勧めしたい。
TRPG原作ということで設定する項目や覚えることが多く,一見難しそうに映るかもしれないが,プリセットや用語解説などが充実しているので,“硬派”なファンタジー作品が好きなゲームファンであれば間違いなくオススメできる。ひとつひとつの決断の積み重ねの結果によって展開する,圧倒的なテキスト量の物語やゲーム性は,原作ファンでなくとも満足のゆくものとなるだろう。
原作ファンには,“シングルプレイのコンピュータRPGとして,どこまでTRPG的なものが表現されているか”をぜひ確かめてほしい。ご時勢的にTRPGを遊ぶ機会が減ってしまった人や,オンラインセッションの演出方法を模索中というTRPGのプレイヤーたちにとっても,得られるものがあるはずだ。
「Pathfinder: Kingmaker」公式サイト
- 関連タイトル:
Pathfinder: Kingmaker
- 関連タイトル:
パスファインダー:キングメーカー
- 関連タイトル:
Pathfinder: Kingmaker - Definitive Edition
- この記事のURL:
キーワード
(C)2020 My.com B.V., Owlcat Games. Published by EXNOA LLC . Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria. Pathfinder & Kingmaker are trademarks owned exclusively by Paizo Inc. and used under license.
(C)2020 My.com B.V., Owlcat Games. Published by EXNOA LLC . Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria. Pathfinder & Kingmaker are trademarks owned exclusively by Paizo Inc. and used under license.
(C)2020 My.com B.V., Owlcat Games. Published by EXNOA LLC . Deep Silver is a division of Koch Media GmbH, Austria. Pathfinder & Kingmaker are trademarks owned exclusively by Paizo Inc. and used under license.