プレイレポート
「竜星のヴァルニール」インプレッション。「浮遊バトル」がもたらす戦略性と,魔女をめぐる壮絶な運命を描いたストーリーが魅力
主人公「ゼフィ」のデザインを新進気鋭のイラストレーター・迷宮りるる氏が担当しており,ヒロイン達のデザインには,まなみつ氏,ナナメダケイ氏,平野克幸氏,つなこ氏という,コンパイルハートの人気イラストレーターが集結。
また,巨大竜のデザインには多数のアニメやゲームでクリーチャーデザインを手がけてきたタカヤマトシアキ氏を起用,メインテーマや戦闘曲は「スターオーシャン」や「ヴァルキリープロファイル」シリーズの桜庭 統氏が作曲するなど,実力派のクリエイターが多数参加していることでも話題となった。本稿では,そんな本作のインプレッションをお届けしよう。
「竜星のヴァルニール」公式サイト
“魔女”になってしまった主人公・ゼフィの数奇な運命
まずはストーリーの概要を紹介しよう。本作の舞台であるヴァーネリアでは,「魔女」は「竜」を生み出す呪われた存在として迫害の対象となっていた。そんな中,魔女狩りの任を受けた「鎮魂騎士団」の騎士・ゼフィは森の中で竜に襲われ,瀕死の重傷を負ってしまう。
そんな彼に竜の血を飲ませて救ったのは,魔女の「ミネッサ」と「カリカロ」。しかし,そのことによってゼフィは魔力に目覚め,自身も“魔女”になってしまう。そして,その忌むべき存在となったゼフィは,ミネッサやカリカロ達,魔女と共に過酷な運命へと導かれていく。
開幕早々,主人公が絶体絶命のピンチになり,敵対していたはずの魔女に助けられて復活するという,なんとも壮絶な展開。忌み嫌っていた魔女と同じ存在になってしまったことで徐々に変化するゼフィの心境や,仲間であった鎮魂騎士団との対立など,序盤から目が離せないストーリーが繰り広げられる。
3つの階層を意識した浮遊バトルが面白い
本作の戦闘は「浮遊バトル」と命名されており,敵味方ともに空中に浮遊して戦うのが大きな特徴。バトルフィールドは「上層」「中層」「下層」に分かれており,戦闘中はフィールドを自由に行き来しながら戦うのだ。別の階層の敵を狙った場合は,自動で階層移動してくれる。
攻撃方法は大きく分けて,「物理スキル」「魔法スキル」「捕食スキル」の3つがある。物理スキルは同じ階層の敵しか攻撃できないものの,クリティカルが発生すると敵を気絶させ,行動順をつぶせるというメリットがある。魔法スキルは違う階層にいる敵も攻撃できるため,敵から狙われにくいのが利点だ。
そして捕食スキルは,その名のとおり“敵を喰らう”というもの。捕食は必ずしも成功するわけではないが,成功すればスキルの習得に必要な「因子核」を入手できるほか,HPとMPが少しだけ回復するというメリットもある。なお,捕食は敵のHPが少ないほど成功しやすく,かつ捕食に成功すれば一撃で倒せる。
また戦闘中は,ダメージを与えることで敵に蓄積されていく「恐怖度」も重要となる。恐怖度が上がると敵を捕食しやすくなるほか,マックスになると「弱点ラッシュ」という仲間全員で行う連続攻撃が発動。ラッシュの最後に捕食スキルを繰り出し,その途中で敵のHPがゼロになると,必ず捕食が成功する。
ちなみに,主にボスキャラクターとのバトルになる「巨大竜戦」では,一匹の竜に対して上層,中層,下層が設定されており,本体のほかに「部位」が存在する。部位を破壊すると,その部位から繰り出される技を封じ,戦力を低下させることができる。本体だけを狙っても竜を倒せるが,HPが高いため簡単にはいかない。やっかいな技を封じたければ,先に部位を破壊するといいだろう。
戦闘中にキャラクターの「竜臨ゲージ」が最大まで溜まると「竜臨覚醒」となり,竜の力を鎧としてまとった状態へと変化。HPが全回復するほか,物理・魔法攻撃力がアップ。さらに,覚醒状態専用の強力な捕食スキル「竜臨スキル」を使えるようになる。
しかし,HPが低い状態で竜臨覚醒を発動すると,「暴走竜臨」状態になってしまう可能性があるので要注意。これは,攻撃力や回避率が大幅に上昇する代わりに,命中率と防御力が大幅に減少してしまうリスクをはらんでいる。獲得経験値が1.5倍になるというメリットもあるが,竜臨覚醒するときは残りHPに気をつけたい。
因子解放による自由度の高い成長システム
上述のように,本作では戦闘中に敵を捕食すると因子核が手に入る。この因子核はそれぞれが個別のスキルツリーを持っており,戦闘で得た「因子ポイント」を使って「因子解放」を行うことで,新たなスキルを習得したり,ステータスを上げたりできる。
スキルは「物理」「魔法」「捕食」「パッシブ」の4種類あり,一度習得したものは自由に付け替えが可能だ。ただし,スキルには「装着コスト」が設定されているので,コスト上限を超えて装備することはできない。敵の特徴を見極め,有効なスキルを取捨選択することが攻略のカギになりそうだ。
また本作では,ゼフィ達の精神状態を表した「狂気度」が設定されており,「パーティの全滅」「暴走竜臨の発動」「イベント時の選択」といった要素で溜まっていく。狂気度が一定値を超えると章の合間に特殊なイベントが発生し,物語の最終的な結末にも影響を与えるようになる。
「魔女のネグラ」で魔女達と交流
最後に,ゼフィ達の拠点となる「魔女のネグラ」についても紹介しておこう。ここでは各種施設を利用したり,プレゼントをあげて魔女達と交流したりといったことができる。
施設の1つである「探求堂」には,カラスの仮面をつけた魔女「ズバァハ」が住んでおり,クエストの受注と報告が行える。もちろん,クエストをクリアすれば報酬がもらえるので,ストーリーの合間に挑戦してみるのもアリだ。ところで,ズバァハの素顔が気になって仕方ないのは筆者だけだろうか……。
ほかにも,魔女達の部屋を訪問して,プレゼントをあげることができる。好みのものをプレゼントすると好感度が上昇し,ゼフィに対する対応も変わってくる。いろいろと試して,彼女達の反応を楽しむのもいいだろう。個人的に,ミネッサやカリカロと部屋の中で二人っきりというシチュエーションが,ちょっとドキドキして最高でした。
本作をプレイして感じたのは,バトルが想像以上に戦略的であるということだ。階層を意識した戦いは戦略性が高く,何も考えずに敵にぶつかって,あっさりとゲームオーバーになってしまったこともある。
きちんとレベルを上げて装備を整えるといった基本的なことはもちろん,敵の弱点を意識したスキルやフォーメーション,竜臨覚醒のタイミングなど,バトルではあらゆる要素が密接に絡み合う。とくにボス戦は一筋縄ではいかないことが多く,何度か全滅も味わった。しかし,そのたびに戦略を立て直し,やっと倒せたときの喜びは格別なものがある。
また,重厚なストーリーも大きな魅力だ。可愛らしいキャラクターデザインからは想像もできないようなヘビーな展開もあり,ビックリしたことも一度や二度ではない。魔女を忌み嫌っていたゼフィがミネッサ達と触れ合うことで起こる感情の変化や,仲間だと思っていた鎮魂騎士団の裏の顔など,複雑に絡み合った人間関係が実に興味深い。
そして何より,女性キャラクターが本当に可愛い。筆者の押しは,ゼフィ達と対立する竜狩り集団「エビルレイヴン」のリーダーである「ルビーアイ」。妖艶さがたまりません……! まあ,筆者の好みは置いておくとして,どのキャラクターも非常に魅力的なのは間違いない。本作をプレイすれば,必ず一人はお気に入りが見つかるはずだ。
ダークな世界観と戦略性の高いバトル,そして魅力的なキャラクターの3拍子が揃った「竜星のヴァルニール」。興味を持った人は,ぜひ手に取ってみてほしい。
「竜星のヴァルニール」公式サイト
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