プレイレポート
本日発売のNintendo Switch「ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX」プレイレポート。1000人斬りが当たり前の爽快アクションは,Joy-Conでの2人プレイも楽しい
シンプルな操作で一騎当千。アクションゲームとしての手ざわりは良好
本作はタイトル名からも想像できるとおり,無双シリーズのシステムをベースにしたタクティカルアクションになっている。襲いかかる無数の敵をぶっ飛ばす爽快感と,刻々と変化する状況に対応するためにマップを駆け巡る緊迫感が魅力だ。
任天堂を代表するタイトルの1つである「ゼルダの伝説」シリーズのキャラクターが,作品の枠を越えて一堂に集結。リンクやゼルダ姫はもちろんのこと,「時のオカリナ」のシークやルト,「風のタクト」のリンク(トゥーンリンク),「トワイライトプリンセス」のミドナやアゲハ,「スカイウォードソード」のファイなど,総勢29人を操作できる。
キャラクターたちはいずれも強者揃い。極端な話,弱攻撃のボタンを連打しているだけでカッコ良いコンビネーションを繰り出し,敵をどんどんやっつけてくれる。本作では敵の出現数も多いうえ,キャラクターの攻撃範囲も広めなので,100人斬りどころか,1000人斬り,2000人斬りも簡単に達成できる。一騎当千の爽快感を存分に味わってほしい。
連打だけでも楽しいが,弱攻撃と強攻撃(ほかの無双シリーズで言うところのチャージ攻撃)を組み合わせれば,攻撃のバリエーションが増え,よりテクニカルに戦える。
敵の耐久力が高い場合は,弱→強で打ち上げて空中コンボを狙い,周囲に雑魚が群がっているなら,弱→弱→弱→強で周囲を一掃する……といった無双シリーズのセオリーは,本作でも有効。状況に合わせてコンビネーションを使い分ければ,まるで達人になったかのような気分で,自分に酔えてしまう。
これに加えて「必殺技」や「魔力解放」を使いこなせば,爽快感はさらにアップ。必殺技はゲージを溜めて使う大技で,敵のただ中に突っ込んで発動させれば窮地からの形勢逆転も可能だ。
魔力解放を使うと,攻撃力アップ+スピードアップ+アーマー効果(攻撃を受けてものけぞりにくくなる)が一定時間得られる。要するに,サクサク敵を倒せるバトルがさらにサクサクになるというわけだ。
さらに,発動中に倒した敵が一定数を超えるごとに,得られるルピー(お金)や経験値が増えたり,素材や武器の出現率がアップしたりといった効果もある。
敵が少ないところで魔力解放しても効果は薄いし,魔力解放に必要となる「魔法のツボ」も頻繁に出現するわけではないので,使いどころの見極めが重要だ。
このように,アクションゲームとしての操作感やレスポンスは良好で,「さすがTeam NINJA」と言いたくなる出来。連打でも遊べる手軽さに加えて,奥深さもあるというわけで,アクションゲームの初心者からマニアまで幅広く楽しめるだろう。
刻々と変化する状況に合わせて戦場を駆ける面白さ
雑魚を蹴散らすのは爽快だが,何千匹倒したところで,戦いが終わるわけではない。敵の撃破や砦の制圧といった「勝利条件」と,味方の敗走や本拠地の陥落といった「敗北条件」があり,ステージクリアには,敗北条件を避けながら勝利条件を達成する必要がある。
例えプレイヤーが健在であっても,本拠地が陥落すればその時点でゲームオーバーだし,仲間はプレイヤーキャラに比べると非力なので,ピンチになったら助けにいかないと敗走してしまう。戦場全体に目を配る必要があるので,気が抜けない。
これに加えて,戦闘中は多種多様なイベントが起こる。発生のタイミングと場所が実に巧みで,一番まずい時に,来てほしくない場所へ敵が襲ってくるのだからたまらない。
敵陣へ攻め込んでいたら味方の砦を急襲され,救援に走ると別の場所にアイテムを持った部隊が出現し,どちらに行こうかと悩んでいたら巨大ボスが本拠地に向かって進撃を開始する……というように,あちこちと振り回されてしまう。
絶望しつつ何とか敵を退けても,また次の危機が襲ってくるといった感じで,ピンチの連続なのだが,それだけにうまく乗り切れたときの満足感は大きい。
敵と戦う戦士でありつつ,大局を見極める指揮官でなければならないところは,タクティカルアクションである本作の醍醐味と言えるだろう。
こういった臨機応変の対応で役に立つのが,ニンテンドー3DS版からの機能「プレイヤーチェンジ」と「命令」だ。プレイヤーチェンジは,複数のキャラクターを切り替えてプレイできるもので,命令は仲間へ任意の場所に進撃する指示を出すというもの。
本拠地を守るキャラクターと進撃するキャラクターを切り替えたり,イベントが起こっている場所に仲間を送ったりできるので,うまく使いこなせば,自分があちらこちらへと動かずとも,事態を切り抜けることができるだろう。
随所に仕込まれた「ゼルダ」へのオマージュ
本作には,当然ながら「ゼルダの伝説」シリーズに由来する演出やシステムが仕込まれており,ファンをニヤリとさせてくれる。
まずはボスや巨大魔獣とのバトルだ。敵が特定の動作をしている時に,弱点となるアイテムを当てると「ウィークポイントゲージ」が出現。そこから敵が立ち直る前に攻撃してゲージをゼロにすれば,大ダメージを与える「ウィークポイントスマッシュ」が発動し,戦いを有利に運べる。
例えば「時のオカリナ」に登場したキングドドンゴの場合,息を大きく吸い込んでいる時に,口へ爆弾を放り込めば,ダウンしてウィークポイントゲージが出現する。また,「ふしぎの木の実」などに登場するテスチタートは,花の部分にブーメランを当てればいい。
言うまでもなく,これらの倒し方はオリジナル作品に則ったものだ。ボスの攻撃を凌ぎつつ,アイテムを使うチャンスを狙うあたりは,実にゼルダっぽい緊張感だ。
キャラクターの武器や動きにも「ゼルダの伝説」シリーズの要素がうまく取り入れられている。例えばリンクはお馴染みの「マスターソード」に加え,愛馬「エポナ」や「大妖精」を武器として戦える。マスターソードはハートが満タンの時にビームを発射でき,エポナは「時のオカリナ」と同様にニンジン型ゲージを消費してダッシュし,大妖精はリンクを可愛がる……といった細かいところの再現が嬉しい。
キャラクターの中には,「ムジュラの仮面」のスタルキッド,「トワイライトプリンセス」のミドナ,「風のタクト」のハイラル王といった名脇役もいて,ファンなら彼らを操作して戦えるのがたまらないはず。中でも,風船おじさんのチンクルがカッコ良く(?)戦う様はぜひ自分の目で確認してほしい。
オリジナル作品の再現という点では「アドベンチャーモード」も印象的だ。これは歴代作品をモチーフとした16×8マスのマップを冒険するというもので,それぞれのマスでバトルが発生する。
例えば「ムジュラの仮面」の「タルミナマップ」では原作どおりに時間制限が存在し,残り時間がゼロになると月が落ちてきてフィールドが元に戻るなど,見た目だけでなくシステム面でもオリジナル作品が再現されている。ファンなら歴代作の要素がどのように活かされているのか,見ていくのも楽しいだろう。
いつでもどこでも手軽に楽しめるようになった2人プレイ
Nintendo Switchに合わせて変更が加えられた要素として「マイフェアリー」と2人プレイがある。
マイフェアリーは冒険のパートナー的存在。「フェアリーフード」をあげたり,「フェアリーウェア」を着替えさせたりして成長させると,バトル中にさまざまな「フェアリースキル」や「フェアリーマジック」が使えるようになる。
ニンテンドー3DS版だと,フェアリーの姿は2Dイラストで表現されていたが,本作では3Dグラフィックスになった。いろいろな方向から眺めたり,集めたウェアを組み合わせてお気に入りのコーデを探すのも楽しいだろう。
Wii U版の2人プレイはテレビとWii U GamePadの2画面を使用していたが,今回は1画面を上下に分割してのプレイになった。ソフトとNintendo Switch本体を友人の家に持っていくだけで,接続作業も必要なく,Joy-Conを1つずつ使ってプレイできるという手軽さがポイントだ。
前述したように,本作ではマップのあちこちでイベントが発生するため,「こっちはゼルダ姫を助けに行く!」「じゃあこっちは本拠地を守る!」というように,互いに声をかけ合って役割を分担するプレイはなかなかに熱い。
アクションアドベンチャーであるゼルダの伝説シリーズが,一騎当千アクションの無双シリーズとコラボしたということで,プレイ感は変わっているものの,オマージュあふれる作りによって,ゼルダファンも違和感なく楽しめる。もちろん,緊張感あふれるバトルや,Joy-Conでの2人プレイはシリーズの知識に関係ない面白さなので,ここから「ゼルダの伝説」に入るのもありだろう。
「ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX」公式サイト
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ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX
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