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彼らは誓う,プリズムの煌めきを世界中に贈りつづけることを――「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」ゲネプロ公演&囲み会見レポート
2020年2月20日,TOKYO DOME CITY HALLにて,舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」が開幕した。本作は,TVアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」のスピンオフ作品である「KING OF PRISM」シリーズの舞台版だ。2017年11月に上演された「KING OF PRISM -Over the Sunshine!-」に続く,2作目の作品となる。今回も1作目同様,アニメ劇場版などで大いに話題となった,客席から声援を送りながら鑑賞する“応援上演”も見どころだ。本稿では,初日公演に先駆けて行われた関係者向けゲネプロ公演と,メインキャストによる囲み会見の模様をお伝えする。
本題に入る前に,まずは「KING OF PRISM」シリーズについておさらいしておこう。最初に「キンプリ」の名が広く知れ渡ったきっかけは,2016年公開の劇場版アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(通称「キンプリ」)だろう。
翌年にはその続編「KING OF PRISM -PRIDE OF the HERO-」(通称「キンプラ」)が公開され,2019年にはTVアニメシリーズ「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」が放映された。このほかにライブやアプリなどの展開もあるが,大まかにはこれらが主なコンテンツの流れとなる。
なお,舞台1作目の前作は,「キンプリ」「キンプラ」のストーリーをベースに,オリジナルの要素を追加したものとなっている。前作について確認したい人は,下記の記事を参照してほしい。
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新たな「キンプリ」の幕開けに,ありがとう――世界が輝いて見える舞台「KING OF PRISM-Over the Sunshine!-」ゲネプロレポート
2017年11月8日,舞台「KING OF PRISM-Over the Sunshine!-」の東京公演が初日を迎えた。本作は,劇場版アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」を舞台化したものだ。本稿では,AiiA 2.5 Theater Tokyoにて行われたゲネプロ公演のレポートと,合同インタビューの模様をお届けする。
「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」では,アニメで描かれていないオリジナルストーリーとして,「キンプラ」からアニメシリーズの間に開催されたストリートデュオ大会「KIDUNA climax」および,アニメシリーズにて開催された大会「PRISM.1」の模様が描かれている。
それらの出来事をとおし,主人公の一条シンを中心としたエーデルローズの仲間たちや,彼らの憧れの先輩であるOver The Rainbow,そしてエーデルローズをライバル視するシュワルツローズの面々の物語が,笑いあり萌えあり感動ありで綴られていく。
みんな仲良し,和気あいあいとしたエーデルローズの日常 |
カリスマ的アイドルの“オバレ”ことOver The Rainbow。その存在感はまさに圧倒的 |
殺伐とした雰囲気のシュワルツローズ。だが,どこかコミカルで憎めない |
今回も話題になりそうなお風呂シーン。前作よりいろいろな意味でパワーアップしている……! |
プリズムショー協会の田中会長とエーデルローズ主宰・氷室 聖 |
かつてのストリート系カリスマ,黒川 冷 |
「キンプリ」といえば“プリズムショー”(歌に加え,フィギュアスケートやダンスの要素が融合したステージ)だが,本作ではデュオ大会での新曲7曲のほか,舞台キンプリには欠かせないお風呂曲や12曲の初披露楽曲など,全21曲が物語を彩る。また「KIDUNA climax」ではスクールの垣根を超えた2人組のプリズムショーが観られるのも,本作ならではの楽しみのひとつだろう。
筆者は,「キンプリ」は“笑いと萌えが紙一重”な作品だと感じている。人はあまりに非現実的な光景を見ると,笑ってしまうか,もしくは引いてしまって,このどちらかで萌えが生まれることはそうそうない。しかし「キンプリ」は,絶妙なバランスで笑いと萌えをかっさらってくる。
具体的にいうと,歌のシーンでお尻からハチミツが出たり,無限ハグしたり,シックスパックで攻撃を受け止めたり――あまりの突き抜けっぷりに筆者は「いま自分はすごいものを観ている……」と,畏敬の念すら抱いてしまった。これは実際に観た人にしか伝わらないものだ。
ここからいくつかプリズムショーの写真を紹介するが,写真だけではあの魅力や破壊力,感動が伝え切れないのが非常にもどかしい(そもそも札束が舞ったり半裸のキャラがいるだけでも十分おかしいのだが……)。
伝統芸能とプリズムショーの融合。太刀花ユキノジョウ |
自分らしく,と歌う姿がまぶしい西園寺レオ |
掛け声で応援したくなる,香賀美タイガ |
カケルノミクスをとくと見よ。十王院カケル |
鷹梁ミナトのプリズムショー。繰り返すがこれはプリズムショーである |
ゼウス降臨!歌がとにかくかっこいい涼野ユウ |
圧倒的な歌唱力で観客を唸らせるアレクサンダー |
儚さと妖しさを纏うルヰ。今作では彼のさまざまな姿にも注目 |
彼のパフォーマンスは今作でも健在だジョイ! 高田馬場ジョージ |
待望の舞台初登場! 池袋エィス |
とはいえ実際の舞台で,アニメとまったく同じ表現のプリズムショーを行うことは難しい。だが舞台なら,生身の人間だけが生み出せるエネルギーを,直接観客たちに届けられる。舞台のプリズムショーはプロジェクションマッピングやセットだけでなく,キャストたちの動きや生の声によるパワーの比重もかなり大きい。
そして忘れてはいけない,本作は“応援上演”だ。ステージの上に存在する生身のスタァたちに,観客は直接声を届ける。そうして,舞台「キンプリ」は完成するのだ。
筆者がゲネプロを観劇している間に取っていたメモを見返してみたら,「何を見せられている?」「油断できない」「口角上がりっぱなし」「元気出た」「煌めいてる」などと走り書きされていた。正直に言って,舞台「キンプリ」は実にライター泣かせの作品だと感じる。なぜなら,今作は一見して普通の2.5次元舞台と見せかけておきながら, “鑑賞”というより“体験”というべきものだからだ。
スタァたちと同じ空間で声援を送り,同じ煌めきを共有することが,真の意味で本作の面白さを知れるのかもしれない。世界が輝かしいものになることを願うすべての人にぜひ,体験してほしいと思う。
囲み会見をレポート
ゲネプロ公演前には,エーデルローズの7人(セプテントリオン)と,如月ルヰを演じる横田龍儀さん,本作の脚本を担当した青葉 譲氏による囲み会見が行われた。
橋本祥平さん(一条シン役) |
横井翔二郎さん(太刀花ユキノジョウ役) |
長江崚行さん(香賀美タイガ役) |
村上喜紀さん(十王院カケル役) |
五十嵐 雅さん(鷹梁ミナト役) |
星元裕月さん(西園寺レオ役) |
廣野凌大さん(涼野ユウ役) |
横田龍儀さん(如月ルヰ役) |
青葉 譲氏(脚本) |
――2年ぶりとなる本作にて,演じて楽しかったことや難しかったこと,注目してほしいポイントなどを教えてください。
橋本祥平さん(以下,橋本さん):
キャストスタッフ一同,今日という日を待ちわびていました。この2年間でいろいろな作品と触れ合い,自分なりに成長したと思っているのですが,それがある意味で“フレッシュ感”を失うことになってしまったのではないかと,自分を見つめ直すいい機会になりました。今回は芝居パートはもちろん,ライブパートが盛りだくさんです! みなさんと一緒に精一杯楽しめたらなと思います。
横田龍儀さん:
アニメのルヰは声が高めなこともあり,地声が低い僕はイメージを合わせるのが難しいんじゃないかと不安もありました。ですが素敵なカンパニーの温かいメンバーが支えてくれて,今日を迎えられました。応援上演ははじめての経験ですが,芝居に集中しつつ,楽しみたいと思います。
横井翔二郎さん:
最初にビジュアル撮影をしたのですが,久しぶりでも(キャラや作品を)2年半愛してきただけあって,各々キャラクターを心から理解しているんだなというのが見えて嬉しかったです。変わらない絆に新しいキャストも加わり,心の飛躍をお客様と一緒に完成させられたらなと思います。
長江崚行さん:
この2年の間に,みんながいろいろな現場で学んで戻ってきたことで,前回とは違う余裕ができて成長を実感しました。作品の一端を担うキャストとして,精一杯みなさんにパワーを伝えられるよう頑張ります。
村上喜紀さん:
ライブやイベントで集まることはあっても,やっぱりお芝居を作っていく作業はとても楽しいです。先輩後輩という立場もありますが,それが関係なく仲間として向き合えるこの作品が本当に大好きです。お客様たちもこの2年間にたまったエネルギーを劇場に持ってきてくださると思うので,それを受け止めて,プリズムの煌めきを届けられたらと思います。頑張って跳びたいと思います!
五十嵐 雅さん:
久しぶりでしたが,仲間とはすぐに昔に戻れました。本作の見どころは半端ないですよ! 今回の舞台も盛りだくさんです。細かいことは言えません,言えませんがリアルにプリズムショーを体験できること,つながる感覚,舞台ならではのライブ感は舞台キンプリならではです。ぜひ体感していただけたら。
星元裕月さん:
稽古場でも「全員で作ってる」という感覚がありました。舞台はどの作品でも座組一丸となって作るものですが,本作は一体感が強いです。キャストたちの作品や仲間への愛,それとスタッフさんの力がすごく偉大だなと思いました。当たり前のようで当たり前ではなくて,そのことに感謝しています。尊敬できるみなさんばかりなので,こうやってレオを演じられることが幸せです。
廣野凌大さん:
こうした舞台は,まず作品を好きになってキャラクターを好きになって演じていくんですが,「キンプリ」は好きを通り越して愛に変わってます! 2年前も愛していましたが,成長して,すごく素敵な方に向かっていると思います。新しいエンタメの形としてお客様に伝えられるのがすごく楽しみです。愛が溢れすぎて伝えきれないんですが,全力でハグしに来てください!
脚本/青葉 譲氏:
2年前の前作が終わったあとに打ち上げがあったのですが,みんな僕のことをすごくちやほやしてくれたんですよ(笑)。ああ,この人達のためにもう一度書かなきゃ! と思っていてようやく実現しました。
今回かなり自由度の高い脚本を書きました。デュオ大会は完全にオリジナルですし,自由度が高いということはある意味,僕とキャストさんたちとの戦いでもあるので,どんな戦いを見せてくれるかなと思ったんですが……通し稽古を見た感じだと,完全に僕が負けるくらい素晴らしくて面白くて。物語は僕の手元からみんなに移っているので,あとはこれから舞台で存分に戦ってもらいたいなと思います。見どころは全部です!
――舞台キンプリの見どころ,お風呂シーンについて教えてください。
橋本さん:
初演のとき,橋本祥平の役者魂を見せてほぼ真っ裸になったのですが,その姿を見てみんなの火がついてしまって(笑)。正直,稽古場ではハプニングだらけでした。でもそこから調整して,みなさんに観ていただける状態まで持ってきてますので。逆にみんな脱ぎたがりでしたね!
五十嵐さん:
リハの段階からすごかったもんね,仕込みとか!
青葉氏:
シナリオを発注されるとき,最初に「お風呂シーンは入れてください」って言われました(笑)。
――青葉さんはTVアニメも手掛けられていましたが,本作シナリオはTVアニメのほうが出来上がったあとに書かれたのでしょうか。
青葉氏:
デュオ大会については「KING OF PRISM プリズムラッシュ!LIVE」(iOS / Android)と連動していて監修もしていたのですが,それがちょうどアニメのシナリオを作っている時期とかぶっていました。原案はそこで思い描いていて,テレビが終わったあとに本作のシナリオを書いたという感じです。
そのとき,囲み取材現場になぜか巨大なくす玉が登場。キャスト陣がカウントダウンし,橋本さんと青葉氏が紐を引っ張ると,中からはセプテントリオンが歌う「ナナイロノチカイ」にちなんだ誓いのメッセージが。全員でそこに書かれた「僕たちは誓う! 観に来てくれた人を絶対笑顔にすることを!!」を読み上げると,会見場は拍手に包まれた。
――最後に,青葉さんからキャストと観客に向けて,橋本さんからは観客に向けてメッセージをお願いします。
青葉氏:
(キャスト陣に)怪我をしないように身体に気をつけて,最終日まで走っていきましょう! 少しでも多くの煌めきを届けられるように,よろしくお願いいたします。
(観客に)本作は,お客様が来て声を出してくれることで完成します。ぜひ大きな声でキャストを応援していただけたらと思います!
橋本さん:
僕らが昨日までに作ってきたものは70%,残りの30%はお客様が劇場に入って初めて100%になる作品です。今回は特にお客様の声が重要なところもあり,僕らの助けにもなりますので,僕たちとみなさんとで一緒にステージを作っていけたらなと思います。一緒に最後まで面白い作品を作ってくださると幸いです!!
舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」公式サイト
(C)T−ARTS / syn Sophia / エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ /「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」製作委員会2020