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[TGS 2017]暗闇の中,声を使って周囲を探る「Stifled」。ホラーが苦手なのにホラーゲームを作ったスタッフにインタビュー
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印刷2017/09/25 20:57

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[TGS 2017]暗闇の中,声を使って周囲を探る「Stifled」。ホラーが苦手なのにホラーゲームを作ったスタッフにインタビュー

 恐ろしい暗闇の中,声をソナーのように使って探索するPS4用ホラーゲーム「Stifled」。直接的なゴア描写はないが,闇に対する根源的な恐怖を呼び起こす作品だ。開発元であるGattai Gamesのスタッフが東京ゲームショウ2017の会場に来ていたので,気になるところを聞いてみた。

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 「Stifled」は声をテーマとしたホラーゲームだ。周囲がまったく見えない闇の中に放り出されてしまった主人公は,声を使って周囲を探索していく。ゲーム画面は真っ暗で何も見えない状態。しかし,プレイヤーが実際に声を出すとマイクがこれを感知し,周囲にあるものの輪郭が一時的に浮かび上がる。

 声を出し続けていれば安心なのだが,これを聞きつけてクリーチャーが襲ってくるリスクもあり,ジレンマとなる。PlayStation VRにも対応しており,ヘッドマウントディスプレイでプレイした時の没入感は凄い。直接的なゴア描写はないのだが,恐ろしい体験ができるのだ。詳しくはインディーズゲームイベント「A 5th of BitSummit」の記事も参照してほしい。

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 すでにCASUAL CONNECT ASIA2017の「MOST INNOVATIVE GAME」「BEST GAME DESIGN」部門といったさまざまな賞を受けるなど,注目を集めているStifled。シンガポールのインディーズデベロッパであるGattai Gamesでマネージングディレクターを務めるジャスティン・ウン氏と,デザイナーのアンドレ・ポン氏に話を聞いた。

写真左から,Gattai Gamesのデザイナー,アンドレ・ポン氏と,でマネージングディレクターを務めるジャスティン・ウン氏
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人間が頼る視覚を制限し,恐怖を生み出す独特のシステム


4Gamer:
 よろしくお願いします。まずはStifledの開発経緯について教えてください。

ジャスティン・ウン氏(以下,ウン氏):
 私達がディジペン工科大学のシンガポール校(DIGIPEN INSTITUTE OF TECHNOLOGY SINGAPORE)に在学している時,卒業制作として「Lurking」いうゲームを作ったことがきっかけです。このゲームはStifledと同じシステムを持っており,IGFチャイナ2014の「Best Student Game」「Excellence in Technology」部門や,SXSW Gaming Awards 2015の「Gamer’s Voice Nominee」部門を受賞するなど大きな反響を呼びました。

アンドレ・ポン氏(以下,ポン氏):
 そこで「もっと進化したゲームを作ろう」ということになり,今はインディーズデベロッパとしてStifledを開発してるんです。


学生時代の卒業制作が「Lurking」で,「Stifled」の原型となった
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4Gamer:
 暗闇の中,声で周囲を探知するというゲームシステムがとても印象的ですが,どこから着想を得たのでしょう。

ウン氏:
 台湾で放映されていたアニメ作品からです。視覚障害のある少女が主人公で,彼女が暗闇の中で周囲を確かめつつ進むというシーンがあり,これをゲームに活かそうと思いました。

4Gamer:
 東京ゲームショウ2017に出展された訳ですが,プレイされた人はどんな反応を示しましたか。

ウン氏:
 いろいろな国でStifledを出展しましたが,プレイヤーの反応が一番いいのは日本です。怖がっているのと同時に嬉しそうなんです。また,怖くて叫びつつもプレイを止めない方もいるなど,とてもいい反応を頂きました。

4Gamer:
 プレイヤーは周囲の様子が良く分からない状態で探索するわけですが,マップ作りにおいて工夫した点などはありますか。

ポン氏:
 マップに携帯電話など音を出す品物を設置し,そこでは声を出さなくてもある程度周囲が見えるようにしてます。つまり,音がする=周囲が見える方向へとプレイヤーを誘導しているんです。
 また,「プレイヤーが立てる音の大きさによって見える範囲が異なる」という工夫を施してます。小さな声なら狭い範囲しか見えませんが,大きな声を上げれば周囲がすべて見えます。

4Gamer:
 ワイヤーフレーム的な表現はLurkingと同様ですが,Stifledを作るにあたり,よりリアルな方向へグラフィックスを強化することは考えましたか。

ウン氏:
 そうした選択肢はなかったです。音のゲームであることを強調するため,ビジュアルはシンプルにしてます。人間は聴覚よりも視覚に頼っています。だから視覚を制限して恐怖を演出しているわけです。

4Gamer:
 ゴアやグロテスクな描写はありますか。

ポン氏:
 「地面に血の跡がある」とか,間接的な描写がメインです。クリーチャーに直接攻撃することはできず,音を出して気を逸らすといったことで対抗していきます。

4Gamer:
 視覚が制限されているうえに,ゴアやグロテスクな描写もないということですが,恐怖を演出するためにどんな工夫をしましたか。

ポン氏:
 周囲を暗くしており,次に何が起こるか分からないということ自体が工夫です。また,高画質なグラフィックスではなく,あえてシンプルなワイヤーフレーム的な表現をしているのもポイントです。シンプルであるがゆえに,近づかないと詳細が分からないことも恐怖を生み出すんですね。

4Gamer:
 A 5th of BitSummitでデモ版をプレイしました。ゲーム開始直後は辺りの風景も普通に見えているんですが,途中から闇に包まれてしまい,音を出すことでしか周囲を認識できなくなります。これはどういった理由によるものなんでしょうか。

ゲームの中では周囲が普通に見える場合もある。主人公にはどんな変化が起こったのか?
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ポン氏:
 とてもいい質問です。その理由もゲーム内でちゃんと明かされますので,お楽しみに。


ホラーが苦手なのにホラーゲームを作り,学生からインディーズデベロッパへ


4Gamer:
 Stifledを開発するにあたり,影響を受けたゲームはありますか。

ウン氏:
 Stifledのシステムは基本的には研究や分析から生まれたものです。「サイレントヒル」や,今は配信停止された「P.T.」から影響を受けたほか,いろいろな映画を見てホラーゲーム作りを勉強しました。私自身はホラー映画を見すぎて全然怖くなくなってしまいましたが。

ポン氏:
 僕はホラー映画が全然ダメなんです(笑)。

4Gamer:
 ホラーが苦手なのに,ホラーゲームを作っているというのも面白いですね。

ポン氏:
 自分でも矛盾してると思います。最初に「ホラーゲームを作ろう」と持ちかけられたとき,勉強に支障が出るんじゃないかと心配したくらいで。僕だけでなく,チームの誰もがホラーゲームに興味がなかったし,あまり遊んだこともなかったんです。ただ,ホラーゲームを作り始めてからは,人が何を怖がるかを意識するようになりました。

4Gamer:
 学生からインディーズデベロッパになったわけですが,現在は別の仕事と兼業されているんでしょうか。

ウン氏:
 兼業ではなく,ゲーム開発に集中しています。ただ,ゲームがまだ世に出ていないので収入は得ていないですね。

4Gamer:
 シンガポールにはGattai Gamesのようなインディーズデベロッパは多いですか。

ウン氏:
 スタジオの数は多いです。ただ,ゲーム業界自体が発展途上の段階なので,国際的に進出するのはこれからですね。

4Gamer:
 現在シンガポールではどんなゲームが流行しているんでしょう。

ウン氏:
 好みが多様なので,1つのゲームが市場を席巻するような状態ではないです。日本と西洋,どちらのゲームも遊ばれていますし,開発者たちはどちらの影響も受けています。

4Gamer:
 では,それぞれお好きなゲームを教えてください。

ウン氏:
 私は「コール オブ デューティ」シリーズですね。

ポン氏:
 僕は「ワンダと巨像」です。

4Gamer:
 ちょっと気が早いですが,Stifledの次はどんなゲームを作りたいですか。

ポン氏:
 いろいろなゲームを試作してますが,おそらくホラーではないと思います。もっとハッピーで明るいゲームを作りたいですね。ホラーはちょっとお休みしたい(笑)。ただ,新鮮味のないものは作りたくないので,新しいものに挑戦します。

4Gamer:
 では,読者にメッセージをお願いします。

ウン氏:
 Lurkingを初めて発表したのは東京ゲームショウ2014なので,そうした意味でも思い出深いですね。Stifledを皆さんにプレイしてもらい,どんな反応を示してくれるのが楽しみです。

「Stifled」公式サイト


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