角川ゲームスから2017年8月24日に発売される“神話構想RPG”
「The Lost Child」(
PS4 /
PS Vita)。本作は,
「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」(
PS3/
Xbox 360。以下,エルシャダイ)のディレクター兼キャラクターデザイナーを務めた
竹安佐和記氏が描く,
「神話構想」の世界観をベースにした3DダンジョンRPGだ。
ファンならばご存じのとおり,エルシャダイは天動説を司る惑星セタと,地動説を司る惑星リュタ(我々の住む地球)で広がる「神話構想」のうち,全9章で構成されるセタの物語の第4章部分をメインとしたもの。神が地上界を一掃するために計画した大洪水と,それに異を唱え,調停役として地上に降り立ったイーノックの戦いが描かれている。
その結末について,ここでは深く触れないが,本作はその
“エルシャダイの系譜”を継ぐ,惑星リュタでの新たな作品ということで,気になっている人も少なくないはず。
とまあ,そういうわけで,今回はそんな本作のプレイレポートをお届けしよう。おっと,驚かせてしまったようだな。筆者にとってはつい昨日の出来事だが,君達にとってはたぶん再来週の発売だ。これもまた,時のいたずらというやつか……(指パッチン)。
魔銃ガンゴールでアストラルを捕縛し,使役せよ!
さて,新たな「神話構想」の舞台となるのは,現代の日本。オカルト雑誌「LOST」のライターである
伊吹隼人は,とある取材中に見知らぬ女性から魔銃
「ガンゴール」が入ったトランクを託される。さらにそこへ,彼のことを神に選ばれた“選民”と呼ぶ天使,
ルアが現われたことで,天使と悪魔,そして堕天使による三つ巴の抗争に巻き込まれていく。
魔女っ子のような服装だが,自らを天使と名乗るルア。しかし,いきなりこんなことを言われて素直に信じるのも無理がある話で,隼人の上司である猿谷編集長からは,電波ちゃんだと思われている
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拠点となる新宿の街。LOST編集部を始め,各種スポットが揃っているので,まずは準備を整えよう
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LOST編集部では,荷物の整理やセーブが行える。クエストは机に貼られた取材メモの形で受注する
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一時的に,さまざまな効果が得られるお風呂に入れる魔訶温泉。店主のががちちゃんが可愛いのじゃ
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パンデモカメラでは,レイヤー内で見つけたアーティファクト(=装備品)の鑑定や強化が可能
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書店「魔女の家」。書店と言いつつ,冒険に役立つさまざまなアイテムを売ってくれる
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新宿にある施設の中で最も特殊なのが,この澄伝寺。ここでは,レベルが最大に達したアストラルをSIN化(=進化)させたり,アストラルが持つスキルを別のアストラルに移譲したりできる
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この世界では,天使や悪魔,堕天使のことをアストラルと呼び,隼人が手にしたガンゴールはこれを捕縛し,使役する能力を持っている。アストラル達は各地に存在する
「レイヤー」と呼ばれる結界内に潜んでおり,隼人はガンゴールの力を借りて,ルアと共にレイヤーを探索していくのだ。
レイヤーは日本各地に存在し,ここ秋葉原にもその内の一つがある
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レイヤー内は3Dダンジョンとなっており,落とし穴や一方通行のドア,特定のスイッチを操作しないと通り抜けられない通路といった仕掛けが満載だが,オートマッピングはもちろん自動移動機能もあるので,プレイは快適そのもの。また,敵との戦闘はランダムエンカウントで発生し,おなじみのターン制バトルで進行する。バトルでは,敵として登場したアストラルをガンゴールで捕縛できるというのが最大の注目ポイントだ。
レイヤー内は3Dダンジョン。オートマッピングや自動移動機能を駆使して攻略していこう
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戦闘でアストラルを捕縛するには,
「アストラルバースト」を使って相手にとどめを刺す必要がある。アストラルバーストは,そのときパーティに参加しているアストラルを弾丸のようにガンゴールに装填し,撃ち出すというもので,アストラルの属性や
「エーテルゲージ」の量によって威力が変化する仕組みだ。
エーテルゲージは戦闘中に敵を攻撃したり,ダメージを受けたりすることで増加していき,ゲージが伸びるほどアストラルバーストの威力が高まるが,溜めすぎるとオーバーヒートして,次のターンはアストラルバーストを使えなくなるので注意しよう。
画面上部にあるのがエーテルゲージ。このゲージが長いほどアストラルバーストの威力が高まるが,溜めすぎによるオーバーヒートには要注意。使いどころの見極めが肝心だ
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アストラルバーストでとどめを刺すことで,アストラルを捕縛できる
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捕縛したアストラルはルアの持つタブレットに登録されるが,最初は
「穢れ化」状態のため,そのままでは使役できない。そこでまずは,
「カルマ」を捧げて浄化する必要がある。カルマはバトルで勝利することや,ADVパートでの選択肢によって入手でき,アストラルを強化(=レベルアップ)する際にも必要となる。
アストラルは,ただバトルするだけではレベルアップしない。カルマを使って強化しよう
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ADVパートの選択肢はどれを選んでも間違いではないが,やはりここは一番上を選びたい……かも
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パーティは,固定メンバーの隼人とルアに,最大3体のアストラルを加えた5人編成。さらに,最大6体のアストラルをサブとして設定しておき,戦闘中は一度に何体でも,ターン経過なしに入れ替えられるのが面白いところだ。敵との相性を見ながらアストラルを総入れ替えしたり,ピンチのときに1ターンだけ,回復スキルが得意なアストラルを投入したりと,臨機応変にメンバーを交代させながら戦うのが本作のバトルの特徴となる。
一度に呼び出せるアストラルは最大3体。これに加え,最大6体をサブとして登録しておける
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随所に“らしさ”を感じさせる,じっくり遊べるダンジョンRPG
本作は,エルシャダイの系譜を継いだ作品ではあるものの,エルシャダイをプレイしていないと楽しめないのかと言うと,まったくそんなことはない。ゲームの冒頭に登場するルシフェルの語りに“らしさ”を感じることはできるが,ストーリーは完全に独立しており,エルシャダイを知らなくても問題なく楽しめる。むしろ,新たに多数登場する“竹安流”の天使や悪魔,堕天使のデザインが本作の大きな見どころと言えるだろう。
エルシャダイにも登場したルシフェル。携帯電話の話し相手は,やはり神なのだろうか
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個人的に,とくにワクワクしたのは,クトゥルーを頂点とする「クトゥルー神話」の邪神や悪魔の存在だ。ハスターやクトゥグァといった,誰もが知る(?)大物から,ショゴスやナイトゴーント,ディープワンズといった眷属まで登場し,敵として戦うだけでなく,捕縛してパーティに加えられるのだから,たまらない。ビヤーキーが転移アイテムとして登場するところも,なかなかシャレがきいていて,思わずニヤリとしてしまった。
クトゥルー神話の邪神達が,ボスとして隼人達の前に次々と立ちはだかる
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もちろん,このほかにも世界各地の神話や伝承を基にしたアストラルが数多く登場し,それぞれ竹安氏ならではの独創的なデザインで描かれている。中には,これまでのイメージを覆すような,「どうしてこうなった……」と言いたくなる姿で描かれたアストラルもおり,それらを眺めるのも楽しみの一つだ。アストラルは3段階に進化させることができ,そのたびに見た目が変化していくので,育成にも熱が入る。
炎の精霊のイメージが強いイフリートも,竹安氏の手にかかればこのとおり。右は竹安氏によるデザイン原案。どうしてこうなった……
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![画像集 No.040のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/040.jpg) |
天使や悪魔を従えるという設定や,3Dダンジョンを探索するというゲームシステムから,どうしても「女神転生」シリーズを連想してしまう本作だが,実際にプレイしてみるとダンジョンRPGとして非常に手堅い作りで,本作ならではの要素も多い。ゲーム全体に漂う雰囲気は「これぞ竹安ワールド!」と呼びたくなる独特のもので,なるほどこれはエルシャダイにつながる「神話構想」の世界であると納得させられてしまう。
武器や防具は,すべて宝箱から入手する。装備品にはランダムで付加効果が付くことも
![画像集 No.036のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/036.jpg) |
本作のミカエルは白鳥ではなく,白いスーツ姿で登場。彼の言う“計画”とは果たして?
![画像集 No.023のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/023.jpg) |
ストーリーの序盤は,天界から与えられた使命である悪魔の捕縛を行いつつ,地上界で行方不明になったルアの姉,バルシアの捜索を行うという,ある意味,王道の展開で進んでいく。しかし,そこに天使や悪魔とは異なる思惑を持った堕天使が絡み,各勢力の真の目的がはっきりしてくるにつれて,徐々に目が離せなくなってくる。筆者は今回のプレイレポートのために30時間ほどプレイしたが,まだクリアには至っておらず,ゲームボリュームも十分。この先どうなるのか,気になるところだ。
地上界では,堕天使達も独自に動き始めている。彼らには彼らの目的があるようだが……
![画像集 No.033のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/033.jpg) |
そして,さらなるやり込み要素として,全99層におよぶ
「ルルイエロード」というダンジョンも用意されている。これは,
クリアまでに400時間以上かかるという,とんでもないボリュームの高難度ダンジョンで,ルシフェルが「早ければ7時間ほどでクリアできるんじゃないかな」と語っていたエルシャダイとは,まさに天と地ほどの差。ルルイエロードはゲームの比較的早い段階で入れるので,試しに筆者も挑戦してみたが,ぶっちゃけまるで歯が立たなかった。
また,ルルイエロードでは自分が育てたアストラルを登録し,ほかのプレイヤーがそれに挑戦する(誰かが育てたアストラルに挑戦することも可)という機能もあり,ゲームの発売後はこちらも楽しみな要素だ。
ルルイエロードに出現する強敵,ニャルラトテップ。どうせ這い寄られるなら美少女が良かった
![画像集 No.028のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/028.jpg) |
幻影の樹にアストラルを登録しておくと,通信機能でほかのプレイヤーと対戦できる
![画像集 No.027のサムネイル画像 / 現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載](/games/381/G038147/20170807078/TN/027.jpg) |
エルシャダイほどの突き抜けっぷりはないが,それでも随所に“らしさ”を感じさせる「The Lost Child」。ゲーム難度は,
EASY,NORMAL,HARDの3段階あり,ゲーム中にいつでも切り替えが可能で,
PS4版とPS Vita版のクロスセーブにも対応している。竹安氏が描く「神話構想」の世界のファンはもちろん,じっくり遊べるダンジョンRPGを探している人は,ぜひどうぞ。