企画記事
「How to Survive:ゾンビアイランド2」リプレイ。ゾンビ世界で生きる“とある男”が綴った「マイホーム建築記」
配信開始から1か月が経ち,多くの人がゾンビのはびこる世界で生活を送っているだろう。筆者は,新要素であるキャンプの設営機能を家作りに見立てて,ゾンビ世界でのマイホーム建築を楽しんでいる。それを“ゲームの世界で生きる,ある1人の男”の視点でお届けしたいと思う。
なお,スクリーンショットには過激な表現が含まれているので,ゴア表現が苦手な人は注意してほしい。
「How to Survive:ゾンビアイランド2」公式サイト
ゾンビ達がはびこる「How to Survive:ゾンビアイランド2」の世界に,とある1人の男がいた――
自分の名前は“ジョン・スミス”とでもしておこう。「愚鈍な奴,使えぬ奴」と罵られて会社を馘(かく)首されてから数か月。ほとんどマンションの自室から出ることもなく,一日中天井を見つめて暮らしたり,積みゲーを消化したりの日々を暮らしている(……という,筆者の脳内設定にお付き合いください)。
そんなある日,外が騒がしいなと思って玄関の扉を開けると,近所に大勢のゾンビがたむろしていた。
1体のゾンビがこちらに気付き,「ウー,ヴァウッ」とうめきながら襲い掛かってきたので,慌てて扉を閉めて難を逃れたが,どうやらこの世界には,パンデミックによってゾンビがあふれかえっているらしい。長らくニュースをちゃんと見ていなかったのだが,いやはや大変な世界になったものである。
“ものである”なんてのんきなことを言っている場合ではない。これっていろいろやばいだろう,どうしたものか。などと考えてると,たまたまつけていたテレビに“希望のメッセージ放送”という謎の放送が流れていた。
これによると,ゾンビ研究家のコバックという人物が,共にゾンビ世界を生き抜くための新しい街を作る仲間を集めているらしい。
コバックのところに行って街作りを手伝ったら,その街に自分の家が持てるのでは? 仕事を失った自分が,さらに世界がこんなゾンビだらけの状況でこんな話はなんだが,マイホームを持つのは昔からの夢だったのだ。
ということで,さっそくコバックのもとに向かうことにした。
部屋にあったバットを武器に,襲い掛かってくるゾンビを交わしながら放送で指定された場所にたどり着き,“希望の街づくり”コミュニティに参加するための「選抜試験」をパスすると,コバックのシェルターに案内された。
妙なマスクを被って,サバイバーのことを“サルヴァイバァ”という変わったイントネーションで話すコバックは,なんとも怪しい。しかしゾンビ研究家としてはかなり凄い人のようで,過去にゾンビ感染が広がったとある島で,生存者達にサバイバル術のレクチャーもしていたという。その知識や技術は信じても良さそうだ。
コバックに「新生活にはまずは収納が必要だ」と言われ,丸太,ロープ,布きれを集めてくるように指示された。
肩に背負ったリュックサックは,食料,マイホーム建築用に役立ちそうな資材,退治したゾンビの“遺品”であるブレスレットやコインといった,何の役に立つか分からないものなどがぎゅんぎゅんに詰まっており,ちょっとした段差を乗り越えるのも難儀していた。たしかに収納スペースは急ぎで必要なものだ。
重たいリュックサックを背負いながら沼地へ赴き,襲い掛かってくるゾンビを退けながら指定された資材を集めて帰ってくると,コバックはご機嫌な口調でチェストの作り方を教えてくれた。
「チェストは新たな生活の基盤となるものなので,置き場はよく考えろ」とコバックに言われ,自分の拠点にふさわしい場所を探しながら森を歩いていると,一軒の大きな家が見えてきた。
ぼろぼろで見た目は悪いが,このゾンビ時代においては新築も中古も関係ない。すぐ近くに線路が敷かれており,ふつうの世界なら騒音が気になるところだが,残念ながら鉄道が動くことはなさそうなので,これも問題なし。それよりも,周りに転がっている頑丈そうな貨物車両が壁に使えそうだし,その中には家作りに必要になるであろう釘などが落ちているのが高ポイントだ。
なかなかいい条件じゃないだろうか。さっそく不法占拠しているゾンビ達を駆逐して,家のすぐ脇にチェストを設置。ここを自分の新たな生活の拠点とし,この家を中心にマイホームを建てることにした。
「“家を中心に家を建てる”って,何言ってんだこいつ」って声がどこからか聞こえてきた気がするけれど,いや,分かってくれよ。あの,あの,この周りに壁を建ててさあ,いろいろ……アレするんだよ。
そうだ,増築。増築だよ。“呪いの家”なんて呼ばれている,40年近くものあいだぶっ通しで休むことなく増築工事していたっていう家の話,あるでしょ。あんな感じでどんどん家を拡張して……ええい,俺の気持ちなんか分かってたまるかっ! って,自分はいったい誰に向かって話しているのだろう。
チェストを設置してからは,家にゾンビが寄りつかなくなった。どうやらゾンビは,人間が生活しているところには出てこなくなるらしい。などと思っていたら,たまにちょっと離れたところからやってきて,チェストをバンバン叩いて壊そうとするし,なんだかよくわからない連中だ。
その後もコバックに言われるまま,街や沼,農場などをあちこち回りながら,行く先々でマイホーム建設に使えそうな資材を集めていたのだが,ここで食の問題が浮上してきた。
腹が減っては丸太は拾えぬ。引きこもっていたここ数か月,ちゃんと食事を取っていなかったため,胃袋は小さくなっているみたいだが,あちこち出張ってはゾンビを倒し,丸太を担いでなんてことをやっていると,空腹と喉の渇きはすぐに襲ってくる。
拾った缶詰や炭酸飲料だけでいつまでも生活するのはキツい。最近は弓矢の扱いがうまくなってきたので,その腕を生かして狩りを始め,シカやウサギの肉が手に入るようになったのだが,自分はゾンビではないので生肉を食すわけにもいかない。これを調理して食べられるようにするため,キッチン製作は急務だ。
コバックの依頼であちこち回るうち,ほかの生存者とも知り合いになったので,彼らにも相談することにした。
その生存者というのは,大人げない理由で喧嘩しているクリフトンとロスコーの老兄弟,いつも手に持っているスコップに亡妻の魂が宿っているとうそぶくレイモンドなど,平時ならお近づきになりたくないようなタイプの連中ばかりだ。
彼らの依頼をこなすとキッチン製作に役立つものが手に入るのだが,100体のゾンビを相手にする,凶悪なゾンビブタを農場にある納屋に集めるなど,危険なものばかり。
しかしこんな時代だ。人とのつながりは大事にしなければならないし,貴重な資材をくれるというならなおさらだ。
そんな危ない依頼をこなしながら,ついに念願のキッチンが完成。もともと自炊はあまりしてこなかったし,ここにくる前の数か月は宅配ピザやチャイニーズテイクアウェイ頼りで,デリバリーに電話をかけてもつながらなくなってからコバックのもとへ行くまでの数日間(今となっては,それがゾンビが蔓延した影響であったことが分かったが)は冷凍食品ばかり。自分の料理の腕は怪しいものだが,しかし火を通すくらいならどうにかなるだろう。
水を飲み干した空き瓶にブラックベリーを絞って作ったベリージュースも常備し,これで食の問題はひとまず解決ということで,どうにか生活は安定してきた。
住と食の問題がクリアとなり,最後に残った“衣”にあたる,自分の身を守る防具やゾンビと戦うための武器を工房で製作することにした。
工房はキッチンを製作する前から建てていたのだが,まずは食の問題解決が優先であると考え,ここでの作業は後回しにしていた。しかし最近はゾンビも強くなってきたので,さすがにTシャツ1枚では心許なくなったのだ。
もともと手先は器用なほうだったが,我ながらなかなかセンスのある武器や防具が完成。
アルミ製の松葉杖を軸に使用して作成したレバーアクションライフル「ジャッジ」や,動物の皮を縫い合わせたものにタイヤの切れ端やアルミ板をあてがった「メカニカルハート胸当て」あたりがいい出来だなと思うが,なかでも,自動車のエンジンパーツケースをバラして作ったハンマーが会心の仕上がりだ。
「スレッジハンマー」と名付けたこのハンマーは,一度バラしたエンジンの部品を再構築して溶接し,それを木の棒にはめ込んで作ったものだ。そのゴチャゴチャした見ためが“鉄のゲージツ”って感じで,我が作品ながらめっちゃ渋い。
ただ,重量を考えず作っていたので,自分のような非力な人間だと振り上げるだけでも大変な重さになってしまった。結果,振り下ろすより,柄のほうでゾンビの頭を“トンッ”と小突いたほうが効率がいいという,ちょっと間抜けなことにもなっている。
モノづくりをしていたところ,日曜大工感覚,DIY感覚でなんだか楽しくなってきちゃったので,新たに鋳造場を建設。ゾンビが落としたブレスレットやコイン,ジュースを飲み干したアルミ缶などを溶かして,鉛やアルミの延べ棒作りを始めた。
さらに化学実験所を建築し,拾ってきた薬草や怪しげなものを調合して火薬や薬品を作るなどいろいろ手を伸ばしてみた。自画自賛じゃないがどれもなかなかの出来だ。
家と生活が充実してくると,それに比例するかのようにゾンビ達が我が家にやってくる回数が増えてきた。これは家が賑やかになってきて,自分の楽しんでいる感じが溢れているからだろうか。とは言っても,招き入れて一緒に趣味を楽しむってわけにはいかないのだが。
増えてきている“厄介なお客さん達”が家に入れないよう,連中が乗り越えられないくらいの高さがある壁を建設。資材節約のため貨物列車や林の木々を間に挟みながら家を囲み,さらに北東,南,西にベランダを配置した。
ベランダは景色を見て楽しむだけではなく,近くにいるゾンビを把握し,近寄ってきたら矢で射かけるといった,監視塔としての役割ももたせているのだ。我ながらなかなか賢い。
さらに家の南にある貨物列車まで壁を延ばし,そこを玄関にした。頑丈でゾンビには壊されないし,扉には鍵もかかるのでセキュリティはバッチリだ。
カレンダーも無意味な世界なので,そんなことを気にしてもしょうがないことなのだが,いったいどれほどの月日が経ったのだろう。苦労の末ついにマイホームが完成した。
夢を叶えたという喜びはもちろんだが,その夢を叶えるためにあくせく働いたことで,引きこもり生活で忘れていた働くことの大切さ,そして達成感というものを取り戻すことができた喜びが大きい。
「コバックさん,大事なことを思い出すチャンスを与えてくれてありがとう。こんな世界になってしまったけど,だからこそ自分は人間らしい生活を送りたいと思います」
そんな誓いを立てながら,最後に完成させたパイロンを起動した。これは“希望のメッセージ”の発信を手助けする電波塔で,自分とコバックとの絆を示す意味も込めて建築したものだ。
すると突然外が騒がしくなった。いったい何事だと南のベランダに登ってみると,パイロンから発信される放送を聴いて凶暴化したのか,大勢のゾンビが我が家を襲撃してきたである。
「あ,映画やドラマで観たことがある風景だ」なんて悠長にはしていられない。大慌てでベランダからライフルでゾンビ達を撃ちまくり,壁を壊して家に侵入してきた連中を自慢のスレッジハンマーで退治。スタミナ不足でヘロヘロになりながらも一晩中ゾンビと戦い,夜が明けたころには襲ってきた連中をどうにか一掃できた。
ゾンビ達が狙っていたパイロンはどうにか守り抜いたが,ベランダや壁は破壊されてしまった。その有り様を見てしばし呆然としていたが,生きる希望を取り戻した自分はもう落ち込まない。壊されたなら,また作ればいいのだ!
廃材をかき集めながら今回のゾンビ襲撃を振り返ったとき,ふと,“現実の友人にも声を掛けて,4人ローカルプレイでこの「コバックチャレンジ」に挑戦したら楽しいだろうな”と思った。
……ん? 現実の友人? ローカルプレイ? 自分はこのゾンビで溢れる“現実”を生きているはずなのに,なぜ急にゲームの感想めいた考えが頭に浮かんできたのだろう。
まあいい。ともかく,今後もやってくるであろうゾンビの襲撃に耐えられるよう,マイホームをさらに堅固なものにしなければ。新たな目標のため,今日も資材集めの探索に出発しよう。
「How to Survive:ゾンビアイランド2」公式サイト
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