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初めて明かされる「ロマサガ3」のエピソードも。舞台「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」主要スタッフインタビュー
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印刷2017/04/08 00:00

インタビュー

初めて明かされる「ロマサガ3」のエピソードも。舞台「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」主要スタッフインタビュー

画像集 No.023のサムネイル画像 / 初めて明かされる「ロマサガ3」のエピソードも。舞台「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」主要スタッフインタビュー
 1995年にスクウェア(現 スクウェア・エニックス)から発売された「ロマンシング サ・ガ3」を舞台化した「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」が,2017年4月15日より順次,東京/大阪/愛知/福岡にて上演される。
 演劇ユニット「30-DELUX」のこだわり抜かれたアクション,ゲームでは描かれなかった「ロマサガ3」の新エピソード,伊藤賢治氏による書き下ろし楽曲「宿命の子」など,シリーズファンには決して見逃せない舞台となっている。

30-DELUX SQUAREENIX Special Theater 
ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜

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出演:清水順二(ハリード)、緒月遠麻(カタリナ)、中村誠治郎(ミカエル)、馬場良馬(トーマス)、村瀬文宣(ユリアン)、長谷川かすみ(エレン)、山本ひかる(モニカ)、新垣里沙(サラ)、和合真一(ルートヴィッヒ)、田中精(詩人)、森大(マクシムス)、平山佳延(ブラック)、小笠原祐太(ロビン)、我善導(ロビン(太))、谷口敏也(ゆきだるま)、梅本静香(ミューズ)、香音有希(少年)、片山萌美(ビューネイ)、笠松はる(ファティーマ)、佐藤アツヒロ(シャール)ほか

世界観監修・脚本原案:河津秋敏
音楽監修:伊藤賢治
脚本:とちぼり木
演出:米山和仁
音楽:和田俊輔

<東京公演>4月15日(土)〜4月23日(日)サンシャイン劇場(0570-550-799)
<大阪公演>4月28日(金)〜4月30日(日)サンケイホールブリーゼ(0570-200-888)
<愛知公演>5月3日(水・祝)〜5月4日(木・祝)愛知県芸術劇場大ホール(052-972-7466)
<福岡公演>5月6日(土)〜5月7日(日)久留米シティプラザザ・グランドホール(050-3539-8330)

公式ホームページ:http://www.saga-stage.com

(C)SQUARE ENIX CO.,LTD.All Rights Reserved.Produced By”Romancing SaGa THE STAGE”Production Committee

 今回,4Gamerでは「ロマンシング サガ THE STAGE」の主要スタッフ4名に話を聞く機会を得た。約20年の時を経て「ロマサガ3」の舞台化が実現した経緯をはじめ,シナリオにおけるこだわり,舞台の見どころ,そして先日発表されたリマスター版「ロマサガ3」についても語ってもらった。
 
(左から)清水順二氏[30-DELUX主宰/ハリード役],市川雅統氏[「サガ」シリーズプロデューサー],河津秋敏氏[世界観監修・脚本原案],とちぼり木氏[脚本]
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「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」公式サイト

スクウェア・エニックス e-STORE
チケット一般販売受付ページ(4月8日23:59まで)

「ロマンシング サガ3」ティザーサイト


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 さっそくですが,なぜ「ロマサガ3」がこのタイミングで舞台化されたのか。その経緯を聞かせてください。

河津秋敏氏(以下,河津氏):
 実は,最初の「ロマサガ」を作り始めたときから,「舞台化したい」という構想はありました。とはいえ,その頃はゲームの開発で忙しかったので,断念せざるを得なかった。
 その後,2012年に「エンペラーズ サガ」のサービスを開始したのですが,そのタイミングで2人(市川氏,とちぼり氏)に「ロマサガの舞台をやりたい」と相談したんです。

4Gamer:
 4年以上も前の話ですか。

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河津氏:
 ただ,すぐに舞台化の話が動いたわけではありません。「エンペラーズ サガ」や「サガ スカーレット グレイス」の開発があり,シリーズ25周年には佐賀県とのコラボ(「ロマンシング佐賀」)もあり,その流れで「じゃあ,次は何をやろうか」「だったら,次は舞台でしょう」という話になったんです。

市川雅統氏(以下,市川氏):
 河津さんが言ったとおり,舞台化の話自体は以前からありました。ただ,ゲームの開発は忙しかったですし,演じてくれる劇団がなかなか見つからないということもあり,ずっと話が止まっていました。

とちぼり木氏(以下,とちぼり氏):
 皆,忙しくて,舞台化に着手するタイミングがなかったんですよ。ただ,その間,何もしていなかったわけではなく,いろんな舞台を観ました。
 原作モノの舞台をやっている劇団はもちろん,「2.5次元」と呼ばれている作品にも足を運びましたよ。そんな中,30-DELUXと出会い,そこからの展開はわりと速かったですね。

市川氏:
 我々も「エンペラーズ サガ」や佐賀県とのコラボを通じて,“コラボレーション”というものを理解できるようになっていたんです。どういうコラボをすればお客さんが喜んでくれるのか。それが分かってきたので,非常にタイミングが良かったと思います。

河津氏:
 さまざまなコラボを展開してきたことで,ゲーム以外の活動に精神的な障壁がなくなったということもあります。佐賀県とのコラボでは,「『サガ』を通じて,皆さんに新しい体験をしてもらいたい」と強く感じました。視野が一気に広がったというか,ゲームメーカーがゲーム以外のことをやってもいいんだと。
 でも,考えてみれば,大皿を作ったり,ラッピング列車を走らせたりよりは,演劇のほうがクリエイティブですよね(笑)。


30-DELUXなら「ロマサガ3」を任せられる


4Gamer:
 今回の舞台は30-DELUXとのコラボレーションが大きなポイントですね。

とちぼり氏:
 そうです。稽古を見ているとつくづく感じますが,今回の舞台化は「30-DELUXでなければ無理だっただろう」と。

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市川氏:
 とちぼりとは「『サガ』を舞台でやることの意味」を散々話し合いました。佐賀県とのコラボを見てもらえれば分かると思いますが,「サガ」の名前を出す以上,ほかのゲームでは絶対にやらないようなコラボにしなくてはいけない。
 今回の舞台についても,「従来の延長線上にある舞台とは違うものにする」という意識が強くありました。その意味でもパートナー探しに時間がかかりましたし,「この劇団なら『ロマサガ3』を任せられる」という確信なしには話を動かせなかったんです。

4Gamer:
 なるほど。
 それでは,オファーを受け取った清水さんにお聞きします。最初に舞台化の話を聞いたときの心境はいかがでしたか。

清水順二氏(以下,清水氏):
 「信じられない」というのが正直な気持ちですね(笑)。ゲームの舞台化は決して珍しくありませんが,RPGの本格的な舞台作品って意外に少ないんですよ。2年半前に知り合いを介して,とちぼりさんと出会いました。食事の席で舞台化の構想を聞いたんですけど,とにかくビックリですよ。これは壮大な話だと。
 ただ,「サガ」シリーズは大好きだったので,舞台化にはすごく興味を持ちました。それをウチ(30-DELUX)でやるとは,想像できませんでしたけど(笑)。

4Gamer:
 とちぼりさんは「30-DELUXでなければ無理だっただろう」と話されていました。

清水氏:
 それは,ウチが特殊な劇団だからだと思います。

4Gamer:
 「特殊」と言いますと?

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清水氏:
 普通の劇団では「ストレートプレイ」と呼ばれる台詞劇が多く,30-DELUXのようにアクション専門の劇団は少ないんです。僕は以前,日光江戸村で忍者役をやっていたんですが,そこでアクションに興味を持つようになりました。30-DELUXは殺陣やアクションができないと,劇団員になれないシステムです。
 「ロマサガ3」はバトルシーンが印象的ですが,それを「いかにして構築するか」というところを考えると,確かに30-DELUXなら実現できます。ウチは24時間,常にバトルのことを考えている人間ばかり。夢にも「戦っている画」が出てきますから(笑)。

市川氏:
 30-DELUXの作品は衣装をはじめとするアートワークにも,「サガ」に近いものが感じられます。もちろん,芝居から伝わる「熱さ」も「サガ」に通じる部分がある。
 「新版 義経千本桜」の舞台や「新版 国性爺合戦」の稽古を見せてもらいましたが,舞台版「サガ」のイメージがすぐに湧いてきました。

清水氏:
 「新版 義経千本桜」では新垣里沙さんに出演してもらいましたが,男性ファンの方にも「部活みたいで熱いですね!」と感想をいただきました。「サガ」が持っている,いい意味での泥臭さは僕らの方向性と合っていると思います。男性が観ても共感してもらえる舞台になりますよ。

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ハリード/清水順二(30-DELUX)
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カタリナ・ラウラン/緒月遠麻
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ミカエル・アウスバッハ・フォン・ロアーヌ/中村誠治郎
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トーマス・ベント/馬場良馬


ゲームでは描かれなかったハリードやルートヴィッヒ,マクシムスの物語とは


4Gamer:
 今回の舞台では「ゲームでは描かれなかった隠された物語」にも注目が集まっています。

とちぼり氏:
 今回,メインキャラクターとしてハリードを据えました。お芝居を観に来られる方は女性が多く,サガファンならばそれなりに大人ですから,大人の恋や男性同士の絆を描こうと。だったら,メインキャラクターはハリードしかいません。
 河津さんは「ロマサガ3」の開発時にキャラクターのハリードの背景設定をしっかり作り込んでいましたが,ゲームには反映されていないものもありました。なかでもハリードの設定がドラマチックだったんですよ。ハリード,ルートヴィッヒ,マクシムスが絡んでいて,「これはスゴイ」と。今回の舞台で,それを描かない理由はないと感じたんです。

河津氏:
 「ハリードはこういう男で,ファティーマとはこういう関係で」という設定が僕の中にはあったんです。でも,設定だけでは話にならないから,当時はプロデューサーに仕様書を渡す段階で「彼らにはこんなやり取りがあったんじゃないか」「こういう少年期だったから今の性格になったんじゃないか」と説明したこともありましたね。

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とちぼり氏:
 ルートヴィッヒは原作でもほとんどしゃべりませんが,当時の設定資料にはびっしりと人間としての部分が描かれていました。ハリードとの関係もありましたから,そのドラマだけで3時間分の脚本が書けそうですよ。本当にビックリしました。

河津氏:
 ルートヴィッヒは小林智美さん(キャラクターデザイン担当)にわざわざキャラクターを描き起こしてもらいましたし,もっと活躍させても良かったと思いますね。ただ,ストーリーが複雑になりすぎたり,説明が回りくどくなったりするので省いたんです。これが小説であれば「一方,その頃」で書けますが,ゲームではそういうわけにはいかない。
 ですので,ハリードとルートヴィッヒの関係はいまだに語り尽くせていません。そういう意味でも,今回の舞台はハリードとルートヴィッヒのファンの方は必見だと思います。

とちぼり氏:
 河津さんが描くキャラクターは舞台寄りというか,舞台に合ってる気がします。人間臭くて,綺麗事だけで作られたキャラクターではない感じですね。「スカーレット グレイス」でもそうですが,等身大の魅力的なキャラクターばかりです。
 変な話かもしれませんが,今回の舞台でも誰にメインを任せても良かったと思います。ただ,ハリードを中心に据えると「ロマサガ3」のすべてを描ける。それが,ハリードをメインキャラクターに選んだ理由です。

4Gamer:
 舞台演劇の場合,上演時間は2〜3時間が一般的だと思いますが,「ロマンシング サガ THE STAGE」では8人の主人公が全員登場します。それでも,個々のキャラクターにスポットを当てて描くことが可能なんでしょうか。

清水氏:
 普通に考えたら,ほぼ不可能ですね(笑)。最初に河津さんから届いたプロットは,ハリードと親友シャールの物語を中心に描いているものでした。その時点でキャスティングはまったく決まっていなかったんですが,ウチの劇団は“男の友情”を描くストーリーが多いので,「これなら劇団の方向性に近いし,2時間で描ける」と思いました。
 ただ,ほかの主人公があまり描かれていなかったんですね。少なくとも主人公の8人が登場しないと,原作ファンはがっかりされるでしょうし。

4Gamer:
 確かにゲームでは8人全員が主人公です。

清水氏:
 「ほかのキャラクターも見たいです」と相談したところ,とちぼりさん曰く「少なくとも10時間はかかる」と。すぐに劇場と交渉しましたよ(笑)。

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市川氏:
 早い段階でハリード役の清水さん,シャール役の佐藤アツヒロさんは決まっていたんですが,その後,1人決まり,2人決まりというなかで,ほかの舞台で主役を張っているようなキャスティングになっていることに気づいたんです。「これは,8人全員を描かないとマズイぞ」と(笑)。
 でも,それこそ宿命ですよ。「舞台で演じてくれる皆さんのためにも,見せ場を作らないわけにはいかない」と思いました。原作では「点」として描かれていたドラマが「線」になった感じでしょうか。

とちぼり氏:
 「ロマサガ3」は主人公が8人いるので,プレイヤーがどの主人公で遊んだのかは分かりません。だから誰一人として,おざなりにはできないんです。
 舞台では原作における台詞の意味をしっかりと捉えたうえで,話を組み立てているのですが,河津さんが開発当時に作った設定が十分に生かされています。例えば,ユリアンが死食で妹を亡くした過去を知っていると,「このときのユリアンの台詞は,こういう思いが込められていたのか」といったように考えられるので嬉しいですね。

4Gamer:
 ちなみに,開発当時の設定資料は保管されているのでしょうか。

河津氏:
 はい,ほとんど持っています。さすがに当時のことは忘れているところもあるので,資料を見ないと思い出せないですね。久しぶりに見返してみると,「俺,こんなこと書いてたのか」と思うこともあります。「意外と働いているじゃん」って(笑)。

とちぼり氏:
 河津さんは今もムチャクチャ働いています(笑)。「緋の天啓」(サガ スカーレット グレイス 公式設定資料+攻略ガイド)を読んでビックリしたんですから。一冊の読み物になっていますよ。


稽古場に響く「ソーンバインド!」


4Gamer:
 ゲームの要素がどこまで舞台に落とし込まれているのか。これもファンとしては大いに気になるポイントです。

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とちぼり氏:
 「ロマサガ」のシステムのなかで,舞台に落とし込みにくかったのは「フリーシナリオ」です。ただ,フリーシナリオがないと「ロマサガ3」じゃない。これは試行錯誤の連続でした。
 今回の舞台では,主人公が3チームに分かれることになりますが,場面をバンバン変えるという演出を用いています。ゲームではプレイヤーが自由にいろいろな場所に行き,どんどん違うイベントが並行して進んでいきますが,舞台では場面を切り替えることでその部分を表現しています。

4Gamer:
 なるほど。

とちぼり氏:
 「技」と「術」と「ひらめき」は舞台に入れやすいですね。今回の舞台で,「役者は決め台詞を言いたがる」ということが分かりました。稽古場に「ソーンバインド!」「乱れ雪月花!」と響いていたんですよ。

一同:
 (笑)
 
とちぼり氏:
 でも,「今回の武器では『乱れ雪月花』は出ませんよ」と言いました(笑)。

関連記事:舞台「ロマンシング サガ THE STAGE 〜ロアーヌが燃える日〜」の稽古場に潜入。河津秋敏氏らが見守るなか,熱の入ったアクションが展開
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4Gamer:
 人外キャラクターの登場も見逃せないポイントですね。

とちぼり氏:
 河津や市川とは「人外キャラクターを出したいけど,ボストンはさすがに作れないね」とか「ゾウがリアルになると,ちょっと怖いね」とか相談しました。その結果,「やっぱり,ゆきだるまだろう」と。かわいいし,ハートフルなコメディもできるし,キックするときに足も出るし(笑)。

市川氏:
 ゆきだるまのバトルは想像しにくいと思いますが,稽古を見たら結構動いていたんですよ。「逆一本! 逆一本!」の声が響いていて,「こうやって戦うのか」と感心しました(笑)。


30-DELUXのアクションへの尋常ではないこだわり


4Gamer:
 稽古をご覧になっていると思いますが,感想を聞かせてください。 

とちぼり氏:
 僕はほぼ毎日,稽古場に足を運んでいますが,「アクションプレイ」という演技手法は,やっぱり独特だと思いました。アクションをしながら台詞を言うことで,独特のドラマを作り上げていく。「サガっぽい」と思いましたし,バトルをする理由がしっかり描かれているのもいいですね。

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市川氏:
 今回,自分は初めて舞台の制作に関わることになったんですけれど,知らなかったことばかりで衝撃を受けっ放しです。30-DELUXの芝居では,一つ一つの動きに対して「そこで,そういう風に呼び止めるのはおかしくないか」「後ろから襲いかかるのに,声を上げていいのか」と,理詰めで作り上げているところに感心しました。

清水氏:
 もちろん,本当に剣で斬ることはありませんが,剣を振ったときに身体と刃が離れていると,見ている側はシラケてしまいます。ですから,「いかにして本当に斬っているように見せるか」「リアルに斬られたときのリアクションはどうしたらいいのか」といったところは,一つ一つにこだわっています。その作業だけでも,2〜3か月はみっちりとやります。

4Gamer:
 アクションに対する尋常ではないこだわりを感じます。

とちぼり氏:
 役者の皆さんの熱意もスゴイですよ。それぞれが演じるキャラクターについて考えていて,稽古中に台詞の意味を尋ねられることもあります。皆さんが「『ロマサガ3』のドラマをしっかり作っていこう」と,真剣に役と向き合っていることが伝わってきます。

河津氏:
 舞台は人間が演じる作品なので,やはりゲームとは全然違いますね。プレイヤーがキャラクターの視点に立つのがゲームだとするならば,舞台はまた視点になりますから違う体験が得られると思います。

とちぼり氏:
 舞台には原作の台詞も結構入っています。ただ,役者の台詞のニュアンスによって,原作との違いが生じてしまう可能性があります。そのあたりは注意しなくてはいけないのですが,むしろ役者の皆さんのほうが気にされていますね。

清水氏:
 原作のスタッフが毎日のように稽古場に来られる作品なんて,そうそうありませんよ。でも,とちぼりさんはウチの劇団員になったかのように,頻繁にチェックしてくれます。
 例えば,殺陣を一手変更するだけでも,全部変えなきゃいけないことがあります。固まってから変更するのは一苦労ですが,作っているときに指摘してもらえるとすごく助かりますね。
 その場で「じゃあ,こういうのはどうですか?」と相談もできるので,ムダがありません。スクウェア・エニックス側がガッツリ関わってくれることで,ただの原作ものではない,新しい形の舞台になると確信しています。

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ユリアン・ノール/村瀬文宣(30-DELUX)
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エレン・カーソン/長谷川かすみ
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モニカ・アウスバッハ/山本ひかる
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サラ・カーソン/新垣里沙


伊藤賢治氏の楽曲「宿命の子」が持つ意味


4Gamer:
 サガと言えば音楽も欠かせません。今回の舞台では,伊藤賢治さんが音楽監修をされていますね。

市川氏:
 はい。イトケンさんには,劇中歌「宿命の子」の作曲も担当していただきました。30-DELUXの和田俊輔さんと共に舞台を盛り上げてもらいます。
 舞台ならではの楽曲,従来の「サガ」シリーズの楽曲,舞台用のアレンジ,イトケンさんの新曲と,非常にバリエーション豊かだと思います。

とちぼり氏:
 今回,「宿命の子」というテーマに焦点を当てています。サラ(新垣里沙さん)と少年(香音有希さん)が夢を通じてリンクするのですが,そこでイトケンさんの「宿命の子」がすごく大きな意味を持っています。
 作詞は河津さんにお願いしました。サラと少年,2人の宿命の子が持つ心情を詞にできるのは,河津さん以外にありえないと思ったので。

4Gamer:
 清水さんにお聞きしたいのですが,ゲームの楽曲を舞台で使う際に,何か気をつけることはあるのでしょうか。

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清水氏:
 ゲームの楽曲をそのまま使ったほうがいい場合と,アレンジしたほうがいい場合がありますね。今回の舞台はスクウェア・エニックスと30-DELUXのコラボなので,同時に和田俊輔さんとイトケンさんのコラボでもあります。
 河津さんやとちぼりさんには,そのあたりも柔軟に対応していただきました。イトケンさんにもご理解いただき,すごく充実した選曲になっています。

とちぼり氏:
 ゲームだと「バトルの定番曲」があって汎用的に使えますが,舞台ではバトルのたびに同じ曲を流すわけにいきません。イトケンさんの楽曲は,要所となるシーン部分で「ガツン!」と使っていますよ。


「ロマンシング サガ 3」リマスター化が始動


4Gamer:
 今回の舞台化に伴い,当然のように「『ロマサガ3』を遊びたい!」という機運が高まっていたところに,リマスター化が発表されました。待望の発表だったと思います。

関連記事:「ロマンシング サ・ガ 3」が,PlayStation Vitaとスマートフォンでリマスター化決定。グラフィックス周りが一新される
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市川氏:
 昨年,「ロマンシング佐賀3」を開催させてもらい,今年は舞台化。当然,「どうして『ロマサガ3』を作らないの?」いう声が挙がることは予想していました。
 ただ,正直に言いますと,制作発表を行うにはまだ早い段階だと思っているんですよ。現在,河津さんと過去のソースを探しまくったり,当時のプログラマーに話を聞いたりしながら,一つ一つ作っているところです。DATから作り直しているので,まだ時間はかかると思います。

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河津氏:
 「ロマサガ2」にはフィーチャーフォン版がありましたが,「3」はイチからの作業になるのでだいぶ時間がかかっています。

市川氏:
 「ロマサガ3」を完全に再現することはもちろんですが,何らかの新要素も追加したいと考えています。というのも,河津さんの口から「ロマサガ3」を語ってもらうと,新しい設定やエピソードでどんどん出てくるので,全体像がまるで違った形に見えるんですよ。
 「このキャラクターはこんな悲劇的な宿命を負っていて,それでも世界を救うために戦ってたのか」ということを知ると,なんとしてもその部分をファンに伝えたいと思うんです。

4Gamer:
 リリースを楽しみにしています。
 それでは,4Gamer読者にメッセージをお願いします。

とちぼり氏:
 今回の舞台では,ゲームとは違う形の熱いものを,劇場でファンの皆さんと共有したいと思っています。新しい「サガ」を一緒に体験しましょう!

市川氏:
 自分が30-DELUXの稽古を見て感じたのは,「これは確実に“リアルなサガ”を体験できる」ということです。これまでもこれからも,なかなかない機会だと思うので,ぜひ劇場に足を運んでほしいですね。
 
河津氏:
 ふだんから劇場で舞台を観ていない人もおられると思いますが,「サガ」をきっかけにして,舞台のすばらしさを感じてもらえると嬉しいです。映画館で映画を見るときと同じように,ぜひ気軽に劇場まで来てください。よろしくお願いします。

清水氏:
 今回の舞台は,観るたびに新しい発見がある内容に仕上がっています。原作ファンはもちろん,そうでない人でも楽しめるようになっています。
 また,カーテンコールのおまけイベントも予定してます。出演者が日替わりになっていて,キャストが裏話を披露したり,スクウェア・エニックスの皆さんにキャラクター秘話を明かしてもらったり,最終日(5月6日/福岡公演)ではイトケンさんに生演奏をしていただきます。
 公演を重ねるたびに成長していく舞台にしたいと思っていますので,ぜひ期待してください。

4Gamer:
 どうもありがとうござました。

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