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[SPIEL’16]新作「チョコボのクリスタルハント」を引っさげ,スクエニがSPIEL参戦。ホビージャパンと共同開発の,シンプルかつ攻撃的なカードゲーム
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印刷2016/10/18 00:00

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[SPIEL’16]新作「チョコボのクリスタルハント」を引っさげ,スクエニがSPIEL参戦。ホビージャパンと共同開発の,シンプルかつ攻撃的なカードゲーム

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 「SPIELに日本の作品が増えている」と言ったとき,それは必ずしも個人デザイナーの作品だけを指しているわけではない。「遊戯王OCG」の関係でKONAMIは毎年のように出展しており,「ポケモンカード」の公式マッチも開催されている。
 そんななか,意外な大手パブリッシャがSPIEL’16の会場に登場した。読者にはおなじみのスクウェア・エニックスである。それも「現地の会社がプロモーション展示でもしているのかな?」と思いきや,日本で制作されたカードゲームの先行販売というのだから驚きである。
 というわけで,「ファイナルファンタジー」の世界をモチーフとしたカードゲーム「チョコボのクリスタルハント」(以下,CCH)を紹介しよう。

コンポーネントは「日本のカードゲーム箱サイズ」に収まっている
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シンプルだが攻撃的なスタンドアロンのカードゲーム


 CCHは短時間で決着する簡単なルール(ルールはペラ1枚の表面に収まり切る)ではあるが,「短時間で終わる簡単ゲーム」という言葉から受ける印象とは大きく異なり,かなり攻撃的なカードゲームでもある。

 プレイヤーの目標は,チョコボを使ってクリスタルカードを集めること。4色すべてをコンプリートするか,何色でもいいから6枚のクリスタルカードを最初に集めたプレイヤーが勝利となる。勝負は誰かが2勝するまで続く。

 CCHのカードは,大きく分けて3種類ある。チョコボカード,クリスタルカード,モンスターカードだ。手番が来たプレイヤーはチョコボカードを使って,ほかのプレイヤーの手札にあるクリスタルカードを奪い取る。だが,もしそこでモンスターカードを引いてしまうと大変だ。これがゲーム進行の骨子となる。
 
上段がクリスタルカード。下段左がチョコボカード。下段右がデブチョコボカード
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モンスターカードは2種類
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 もう少し詳しくルールを見ていこう。
 プレイヤーは最初にデブチョコボカードを1枚,山札からカードを2枚受け取る。これが最初の手札だ。
 手番のプレイヤーはほかのプレイヤーを指名し,チョコボカードを使う。指名したプレイヤーの手札から,ランダムで1枚カードを引いて公開するのだが,このとき公開されたカードがクリスタルカードなら,それはチョコボを差し向けたプレイヤーのものになる。

チョコボを差し向けて,ほかのプレイヤーの手札を奪う
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 本作が面白いのは,通常のチョコボカードであれば,1ターンに何回でも使えるという点だ。手番のプレイヤーには「行動回数」的なものが設定されておらず,しかも1枚のチョコボカードは「探索」(=ほかのプレイヤーの手札を取りにいくこと)が成功し続ける限り,何回でも繰り返せる。
 つまり,狙われたプレイヤーの手札がクリスタルカードばかりならば,その手札のほとんどを奪い取ることも可能というわけだ。

 だが,もちろん話はそう簡単ではない。
 もし公開された手札がチョコボだった場合,探索はそこで終了となる。また,モンスターだった場合には,自分の手札を1枚失ったり,狙ったプレイヤーに自分の手札をすべて見せなくてはいけなかったりする。
 加えて,このように探索が失敗に終わった場合,使ったチョコボカードは捨て札となる(モンスターだった場合はそれも捨て札となり,持っていたプレイヤーは山札から1枚ドローする)。
 そして何より,勝ち切れなかったプレイヤーの手札はクリスタルカードで膨れ上がっている。これは,ほかのプレイヤーにとって「おいしい獲物」だ。

「おいしい獲物」となってしまった手札。あと1枚クリスタルカードを奪えれば勝ち切れたのに!
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 なお,最初に必ず手元に配られるデブチョコボカードは,普通のチョコボのように連続して探索を行うことはできないが,探索に失敗しても捨て札とはならない。必ず手札に戻ってくる特殊なカードである(したがってプレイヤーの手札がクリスタルカードだけで染まることはない)。

 手番が終わった(もう探索をしない。または探索できない)プレイヤーは,ターンの最後に山札からカードを1枚ドローして手札に加える。これを繰り返して,誰かが勝利条件を満たすまでプレイするというわけだ。

6枚のクリスタルカードが揃ったプレイヤーの勝利(この場合は同時に4種類コンプも達成)。クリスタルカードは色ごとにデザインも異なり,色覚異常対策になっている
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スクウェア・エニックスとホビージャパンの共同開発,共同展開


 CCHはシンプルでスピーディな展開のゲームでありつつ,1ターンでの大逆転があり得る。極論を言えば,チョコボでの探索が6回連続して成功すれば,たとえそのターンが始まったときに,クリスタルカードが手札にまったくなかったとしても,勝利を手にすることができる。
 1ターンごとに手札の総枚数は1枚ずつ増えていくのだから,こうした大逆転劇が起こる可能性は徐々に増していくとも言える。なかなか巧妙なエスカレーションルールである。
 また,大量に手札が行き来しがちなので感覚が麻痺するのだろうか。「取った」「取られた」をあまり好まない人でも,気楽にプレイできるようだ。

大胆にリフルシャッフルしているが,カードはかなり頑丈なので,「リフルできるようになるくらいに柔らかくなるまでは大変でした」とのこと
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 2マッチ先取で勝敗が決まるというのも,大変に攻撃的なルールだ。
 CCHをプレイすれば,ゲーム勘のある人ならば最序盤から,そうでなくても2〜3ターン後には,「手札が最も多い人にチョコボを差し向けるのが最適戦術」であることに気づくだろう。
 その「気づき」を得たプレイヤーならば,「2試合以降は,すでに1勝している人から優先して攻撃するべき」ということにもスムーズに気づく。

「手札が多い人から狙う」という常套戦術。一方,モンスターカードによって手札の内容を確認済みの場合,「勝つための1枚」を求めて手札が少ないプレイヤーにアタックすることも
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ホビージャパン ゲーム開発課主任 影山太郎氏
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 なお,CCHの発売元はスクウェア・エニックスだが,開発はホビージャパンが担当している。SPIELでは先行販売が行われていたが,国内発売は11月4日に予定されている(スクウェア・エニックス e-STOREの商品ページ)。
 また,スクウェア・エニックスとホビージャパンは,今後も共同でアナログゲームを開発,展開していく予定で,ボードを使った本格的な作品の制作も検討したいという。もちろん,CCHの拡張セットも視野に入っているとのことのだ。
 ゲームのエキスパートである両社が手を組んで進める展開には,今後とも要チェックと言えるだろう。

日本では2011年にリリースされた「ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム」のドイツ語版も出展
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