インタビュー
企業がeスポーツに協賛する理由。「PUBG」の大会“PUBG SCRIM JAPAN ALLTIER CHAMPIONSHIP”に協賛する4社にインタビュー
その大会には,ゲームのパブリッシャが主催するファーストパーティ大会,パブリッシャから許諾を受けた企業が主催するサードパーティ大会,そしてゲームプレイヤーの有志が主催するコミュニティ大会など,さまざまな種類がある。こういった大会で,運営資金や賞金などを調達するために必要とされるのが「協賛」だ。
大会(イベントと読み替えてもいい)の開催は,お金がそれなりにかかる。会場費用,機材費用,人件費,etc……ゲームタイトルの販促も目的に含まれるファーストパーティ大会はともかく,サードパーティの大会では,ある程度の利益(=メリット)がなければ,開催することも難しい。
PUBG SCRIM JAPANは,もともとはコミュニティに向け,プレイヤーの有志によって行われていた練習試合(スクリム)だが,企業で運営されることになり,大会ではありながらも,普段の練習試合の延長線上にある「PUBG SCRIM JAPAN ALLTIER CHAMPIONSHIP」(以下,PAC)が開催されている。
今回はそんなPACに協賛する,大会を運営するバーチャルエンターテイメントのNicky氏を交えて,G.triGer,トレンドマイクロ,明治,そしてPredator(Acer)の4社に,インタビューを実施した。大会に協賛したきっかけ,なぜeスポーツに協賛するのか,そしてPUBGの競技シーンの魅力を,各社それぞれに聞いたので,ぜひ一読してほしい。
eスポーツに協賛する理由〜G.triGerの場合〜
4Gamer:
よろしくお願いします。
まずは自己紹介をお願いできますか。
渡作株式会社 G.triGerで,主に企画,デザインを担当している犬竹です。
4Gamer:
G.triGerさんは最近,大会のスポンサーとして目にする機会も多いのですが,何をしている会社なのでしょうか。
犬竹氏:
G.triGerはeスポーツをテーマにしたブランドなんですが,その元となる事業は,渡作という会社でスポーツアパレル製品の製造です。バスケットボールやハンドボール,野球,スノーウェアなど,スポーツ全般の製品を作っています。自社工場がありまして,企画デザインから製品の作成,発送まで行っています。
4Gamer:
もともとスポーツ分野で事業を行っていたんですね。eスポーツに進出した理由はなんでしょうか。
犬竹氏:
コロナ禍でリアルのスポーツを楽しむことがなかなかできない状況になったんですけど,そうした中でもプロのサッカー選手がサッカーゲームをプレイしたり,eスポーツを楽しんでいたりすることを知りまして。「時代に合わせてそういう新しいスポーツというのが出てきたんだなぁ」と。それがスポーツであるのなら「従来のスポーツアパレルにとらわれず,時代に合わせて新しいものに挑戦していきたい」という思いで,新しくeスポーツをテーマにしたG.triGerというブランドを立ち上げたんです。
4Gamer:
ブランドが立ち上がったのはいつ頃なんでしょうか。
犬竹氏:
立ち上げて約1年ほどですね。最初に協賛をさせていただいたのが,AcerさんがやっているPredator Leagueで,その時は本当にブランドを立ち上げて間もない時期だったんです。
4Gamer:
ブランドが立ち上がってすぐなんですね。そのタイミングでeスポーツに協賛したきっかけはなんだったのでしょうか。
犬竹氏:
凸版印刷さんが主催している「eSPORTS TRINITY」っていうセミナーに参加したときに,グループ別にディスカッションをする機会があって,そこでたまたまAcerのドレッド隊長の部屋に入れていただいて,話をしたのがきっかけですね。
4Gamer:
そこで知り合って,Predator Leagueに協賛をすることになったと。PUBGのほかに協賛をしているタイトルはあるんでしょうか。
犬竹氏:
タイトルで言えば「Apex Legends」や「リーグ・オブ・レジェンド」の社会人大会とか,凸版印刷さんのAfter 6 Leagueに協賛をしています。
4Gamer:
PUBGの大会には長く協賛していますよね。それはなぜなんでしょうか。
PUBGに関してもドレッド隊長つながりでお声がけいただいたんです。それで配信の現場にお邪魔する機会があったんですけど,そこで主催もスポンサーも「みんなでいいものを作ろう」という熱意を感じたんですよね。選手やファンの意見を取り入れて,「みんなですごい大会を作っていこう」という雰囲気がすごく感じられて。ファンの皆さんの熱量も高いんです。そういうところに魅力を感じたからですね。
4Gamer:
ファンの熱量の高さというと,具体的には?
犬竹氏:
ファンがTwitterで大会や選手のことをツイートしたりして,盛り上がってるところが目に見えるんですよね。
あと,私自身は選手のことをあまり知らなかったんですけど,ドン勝した後のインタビューや,前回のPJC Finalのかっこいいオープニング映像で知ることができました。そういったところで選手も大会に協力的で,一緒に作ってると感じました。
4Gamer:
G.triGerさんは,その日に活躍した選手に贈るMVPユニフォームを作ってましたよね。
犬竹氏:
そうなんです。MVPをとった日付を入れた,世界に1枚だけのユニフォームを作らせていただいたんですけど,獲得した選手がTwitterに載せてくれて,「すごい着心地がいい」とか「かっこいい」っていうコメントをもらえて。選手から直接そういう言葉を聞くことができてすごく嬉しかったですね。一緒にやってるというのが感じられました。
MVPユニフォームはG.triGerさんならではの企画で,運営側としてもできてよかったなと思います。選手に「ツイートしてください」みたいなことはお願いしていなくて,ユニフォームがもらえたことを喜んでくれて,自発的にツイートしてくれているんです。
4Gamer:
PACはコミュニティ向けの大会ですが,そこに協賛したのも公式大会で手ごたえがあったから,ということでしょうか。
犬竹氏:
そうですね。G.triGerは立ち上がって間もないブランドだったんですが,PUBGで初めてeスポーツに関わらせていただいて,そこから1年間,PUBGの大会と一緒に少しずつ成長できたと感じてます。公式大会でなくとも,ひとつの区切りとなる大会なので,今まで見てきた選手たちを応援したい気持ちと,海外の選手とも戦える場というのに魅力を感じています。
4Gamer:
PUBGの大会への協賛を始めて,何か変化はありましたか。
犬竹氏:
たくさんの人に認知していただきました! Twitterのフォロワーベースなんですが,最初は数百人だったんですけど,今は1万2000人くらいになってます。
4Gamer:
それはすごいですね。
では,G.triGerにとって,eスポーツとはなんでしょうか。
犬竹氏:
スポーツとは違った楽しさがあるもの,ですかね。eスポーツが日本で認知されてきたのはここ数年だと思うんですけど,どこにいても,年齢とか性別とか関係なく誰でも楽しめて,いろんな可能性を秘めてると思っています。
シニアチームができたり,eスポーツ専用の施設が作られたり,具体的に言うのは難しいんですけど,いろんな課題を解決できるんじゃないかって思ってます。
4Gamer:
スポーツアパレル製品を作っている会社ということで,スポーツ分野で事業をしているわけですが,スポーツとeスポーツの違いはあるんでしょうか。
犬竹氏:
私たちが作っているユニフォームから見た観点になるんですけど。フィジカルスポーツだと,ユニフォームに細かい規定があって,その規定に沿ったユニフォームを着なければいけないって決まっていたりするんです。
eスポーツだとそういうのがなくて,私服でもいいんですよね。私たちとしてはユニフォームで得られる一体感だとか,試合をするときに意識を切り替える“戦闘服”みたいな感じで,ユニフォームを着る文化を作っていけたらなと思っています。
Nicky氏:
プロチームにはユニフォームは当然のようにあったりするのですが,それ以外の,例えばスクリムに出てるようなアマチュアのチームにはユニフォームがないんですよね。そういうチームも気軽にユニフォームが作れるようになればいいなと思います。
4Gamer:
大会側で用意された服装でプレイしないといけない,みたいなことは稀にありますが,それ以外だと大会側での規定は決まってないですね。とは言え,一般的なユニフォームのカタチというのはできつつありますが。
犬竹氏:
そうですね。よく見るタイプのユニフォームでもデザイン込みで相談していただくことも可能です。自社工場で製作しているので最小1枚から作ることもできますし,マウスパッドも作っているので,グッズを出したいとかの要望があれば,相談してもらえると嬉しいです。
4Gamer:
それでは,PUBGの競技シーンを見ている人にメッセージをお願いします。
犬竹氏:
私たち,G.triGerは“ユニフォーム”というモノづくりの面から大会を一緒に盛り上げていけるように頑張りたいと思います。これからもよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
eスポーツに協賛する理由〜トレンドマイクロの場合〜
4Gamer:
よろしくお願いします。トレンドマイクロさんはご存じの方も多いと思うのですが,まずはどういった会社なのかを教えてください。
トレンドマイクロはセキュリティソフトの会社です。皆さんに知っていただいている製品としては「ウイルスバスター」の会社ですね。いまはクラウドになっています。パソコンやスマートフォンなどのセキュリティ対策ソフトですね。
4Gamer:
スマートフォン向けのセキュリティ対策ソフトというのは,あまりイメージがわかないのですが。
小口氏:
セキュリティアプリという形でインストールしていただくと,Androidだと不正アプリをブロックしたり,不正サイトをブロックしたりします。iPhoneは仕組み的に不正アプリ自体があまり存在しないので,主に不正サイトをブロックするものになります。
Nicky氏:
あとパスワードマネージャーもありますよね。パスワードを一括管理してくれて,さらに漏洩していないかどうかなどを監視してくれるので,すごい便利なんですよ。
小口氏:
ありがとうございます(笑)。パスワードマネージャーは,パスワード管理のほかに,個人情報などが売買される,いわゆるダークウェブなどを監視して,もし漏洩していた場合,知らせてくれるという機能が付いています。
4Gamer:
アカウントハッキングなどの対策によさそうですね。
そういった製品を出しているトレンドマイクロさんですが,eスポーツ大会に協賛したきっかけはなんでしょうか。
小口氏:
最初にeスポーツ大会の協賛をしたのが2019年のPredator Leagueなんです。そこで協賛したきっかけは,私自身がもともとAcerで働いていて,ドレッド隊長と知り合いだったので,その縁もあってお声がけいただいたという形ですね。
そこから2020年のPUBG WINTER INVITATIONALの協賛,2021年の1年間はPUBG JAPAN CHALLENGEの協賛をさせていただき,そのつながりでPACの協賛もさせていただきました。
Nicky氏:
公式大会は長く協賛していただいて,その流れでPACにもと。ありがたい限りです。
小口氏:
公式大会だから協賛するとかそういうこだわりがあるわけじゃないので,PACの協賛のお声がけをいただいて,PUBGのコミュニティの仲間に入れていただいた感じがして,トレンドマイクロとしてはすごく嬉しかったです。
Nickyさんとお話しさせていただいて,すごい熱量をもっていろんな企画を考えたり,こうしたらいいんじゃないかって考えているのがわかって,良い大会になるんだろうなと思えましたので。
4Gamer:
トレンドマイクロとしては協賛する前からeスポーツに興味があったんでしょうか。
そうですね。eスポーツの市場の広がりと比例するように,オンラインゲームを狙った脅威も増えているという社内のレポートが上がっていましたから。トレンドマイクロとしてeスポーツ市場でのマーケティング活動ができないか,という話は以前からあったんですよ。でも,eスポーツ業界で誰も仕事をしたことがなかったので,「どういうことができるのか」が分からなくて。
4Gamer:
そのタイミングでPredator Leagueへの協賛の声がかかったと。
小口氏:
はい。そこでいろいろ教えてもらいました。
Nicky氏:
ウイルスバスターって当たり前のように誰でも知っていると思ってたんですけど,実はそうじゃなかった,という話も。
小口氏:
そうなんです。ウイルスバスター自体の知名度は昔は高かったんですけど,いまの20代とか30代前半の方たちは,ウイルスバスターに馴染みがない方も少なくないんです。
昔だったら親の使っていたPCにウイルスバスターが入ってて,それで知ったという人も多かったんですが,デバイスが多様化してきて,インターネットの入口がスマートフォンなどになっていて,若い人の認知度が低下していたんです。
それで若年層にどうアプローチすればいいのか,というもののひとつの手段としてeスポーツがいいんじゃないかなって考えてました。
Nicky氏:
セキュリティって難しいんですよね。ゲーマーってフレームレートを少しでも上げるためにセキュリティ対策を最低限にしている人も少なくない。一方で,アカウントハッキングなどの被害にあったりという声も多い。予防って見えづらいので,被害にあってからその大切さを知ることも多いですし。
小口氏:
なので,セキュリティを意識し始めて,セキュリティ対策ソフトを買うときに頭の片隅にでも「ウイルスバスター」の名前が残っていてくれたらいいなっていう思いで,協賛しています(笑)。
4Gamer:
では,トレンドマイクロさんにとって,協賛「し続ける」理由はなんでしょうか。
小口氏:
ファンの人たちの暖かさっていうんですかね。大会を見ているファンの人たちが,協賛している会社にすごく優しいんです。Twitterアカウントをフォローしてくれたり,応援コメントをくれたり,いいねしてくれたりとか。ファンの人たちにブランドを受け入れてもらえてる感じがして,そこが協賛を続ける大きな理由になっています。
4Gamer:
PUBGに協賛している企業さんからよく聞きますね。製品の写真とか上げてくれるって。
小口氏:
そうなんです。あと大会を作っている方たちが,すごい熱量を持って取り組んでいただいているっていうのをすごく感じてます。今日より明日,明日よりその先って感じで,どんどん大会を良くしていってくれるだろうと感じられるんです。それも協賛を続けている理由ですね。
Nicky氏:
ありがとうございます。これからもいい大会を開催できるように頑張ります。DMMさんが大会をやっていた時から,その姿勢を感じていて,僕らはそれを絶対に引き継がないといけないなって思ってたんです。
PACは公式大会じゃなくて,コミュニティ主導の大会なんですけど,そこにも協賛していただけるのはすごくありがたくて,頂いたもの以上にお返しできるように,精いっぱいやらせていただいてます。
小口氏:
大会を作る側の人たちの暖かさとかも感じて,それもすごくいいなって。
4Gamer:
それではPUBGの競技シーンを見ている人へのメッセージをお願いします。
小口氏:
いつもありがとうございます。トレンドマイクロのことを知ってくれて,応援してくれるだけですごく嬉しいです。もしなにかセキュリティ対策ソフトのことを考えることがあれば,ウイルスバスターなどのトレンドマイクロ製品を候補に入れてもらえると。これからもよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
eスポーツに協賛する理由〜明治の場合〜
4Gamer:
よろしくお願いします。
まずは,明治さんがどういう会社なのかを教えてください。と言ってもご存じの方も多いと思いますが。
2009年明治製菓と明治乳業が経営統合し,2011年事業再編により,食品事業会社として現在の株式会社明治が発足しました。
赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代のお客さまに向けて,菓子,牛乳,ヨーグルト,チーズ,粉ミルク,スポーツ栄養,流動食など幅広い商品を提供しています。
私が所属しているのは,菓子事業で,カカオ製品を担当しています。
4Gamer:
カカオを扱っているというと,eスポーツへの協賛はチョコレートを扱う部署がやっているということですか。
日吉氏:
そうなります。チョコレートでどうeスポーツに貢献できるか,を考えていますね(笑)。
4Gamer:
なるほど。チームへの協賛などeスポーツでの活動も活発に行っているイメージなのですが,協賛するきっかけはなんだったのでしょう。
日吉氏:
PUBGで最初に協賛をさせていただいたのが,「PJS Winter Invitational 2020」でした。
頑張っている選手,それを応援しているファン,一緒に盛り上げていこうという思いが強いスポンサーや大会を運営する人たち,その一体感に強く惹かれたからです。当時は前任者が担当でしたが,私も同じ気持ちで,協賛させてもらっています。
4Gamer:
企業として,ましてや明治さんのような大きな企業になると,なおさら「協賛する理由」が必要になると思うのですが,今も続けられているのは,納得できる理由があるからですよね。
日吉氏:
はい。先ほどのきっかけと同じですが,大会に関わる方全員に熱い思いがあるからです。
私たちも大会の企画打合せに参加させてもらう時があります。大会が盛り上がるための要望であれば,わがままともとれる内容も柔軟に取り入れていただけます。
それもやはり大会を盛り上げようという気持ちが一致しているからに他なりません。
今回より次回はもっと盛り上げようという気持ちも強く,楽しく続けさせていただいています。
また,そうした運営と協賛側の思いに,選手やファンの人たちも反応してくれて,それがまたやりがいになるというか。そこがPUBGの良いところだと思っています。
PACの決勝では1キルで1箱チョコレートを獲得できるっていう企画をしたんですが,あれは明治さんからご提案いただいた内容で,個人的にはとても面白い企画だと思ってます。
日吉氏:
このように,こちらからのアイデアも,喜んでくれそうだからやってみましょうかって言ってくださるんです。
Nicky氏:
こっちも面白いと思いますって,ノリノリになって。「計算してみたら1000箱くらい必要になるんですけど大丈夫ですか?」って聞いたら,「大丈夫です!」って言ってもらえて,それなら「ぜひ」という感じで実現した企画です。
4Gamer:
「一緒に作り上げる」がキーワードになってるんですね。
そうです。そのあたりは他のeスポーツや,媒体での協賛にはない魅力だと思います。
1回だけ,ドンと大きく協賛するよりも,ロイヤリティが高いというか。継続していくことで,我々のファンにもなってもらえている。そういうところがすごく魅力で,協賛を続けていく理由にもなっていると思っています。
4Gamer:
ファンが選手だけじゃなくてスポンサーも好きになってくれる,というイメージですか。
日吉氏:
そうですね。ファンや選手が応援してくれる仲間のような存在になりたいですし,結果,商品も好きになってもらって愛着がわいてくれればなお嬉しいです。
4Gamer:
ファンが積極的にスポンサーの商品を紹介しているっていうのは,PUBGの競技シーンでよく聞く話ですね。
最初に「チョコレートでeスポーツに貢献」と言ってましたが,具体的にはどのように考えているんでしょうか。
日吉氏:
eスポーツの観点で言えば,アーモンドチョコレートもおすすめの商品のひとつです。理由はいろいろとあるんですが,まず手を汚さずに食べやすいということ,そしてもうひとつが「低GI食品」であることです。
低GI食品って,聞きなれない言葉だと思うんですけど,簡単に言ってしまうと,食後の血糖値の上昇が緩やかな食品ということです。
eスポーツは長時間集中して,脳を酷使する競技なので,低GI食品は効率よく脳にエネルギーを送ることができ,eスポーツにピッタリなんです。そうした選手たちへの回復サポート面などでもeスポーツに貢献できるんじゃないかなと思っています。
4Gamer:
そういう視点でのアプローチの仕方なんですね。
日吉氏:
はい。単に商品を宣伝するのではなくて,なぜおすすめなのかという理由もセットでお伝えしていきたいです。扱う商品は多様ですから,その中で何がどうeスポーツに貢献できるのかを,今後も考えていければと。
Nicky氏:
ただ協賛するだけじゃなくて,選手のことも考えて,いろいろな提案をしていただいて,大会運営側としてもすごくありがたいです。
4Gamer:
明治はPUBG以外にも,DetonatioN Gamingというチームのスポンサーだったり,別タイトルだと「パズドラ」の協賛などもしていますよね。そこも含めて,明治にとってeスポーツとはなんなんでしょうか。
日吉氏:
最初にeスポーツと接点を持ったのがPUBGで,もちろんルールとか全然わからなかったんです。それでも純粋に楽しめたんですよね。そこから知れば知るほど,「競技」がすごく奥の深いものだと感じました。
奥深さの分だけ勝ったときの達成感や負けたときの悔しさがあることがわかり,関わる人たちみんながeスポーツを通して成長していく,そんな力を感じました。
最初は若い人だけのものかと思っていたんですが,シニアのチームが出てきたり,障がい者の方が参加していたりと,幅広い人が楽しめるという魅力がわかって。
我たちの商品は幅広い層にアプローチしています。ですので,eスポーツに携わることでそういう商品を知ってもらい,人生を豊かにしていくことがeスポーツを通してできたら。そんな風に思ってます。
4Gamer:
それでは,PUBGの競技シーンを見ている人にメッセージをお願いします。
日吉氏:
シンプルに,一緒に盛り上げていきましょう!(笑)と。
4Gamer:
ありがとうございました。
eスポーツで企業のコミュニティを作りたい〜Predatorの思い〜
4Gamer:
よろしくお願いいたします。
G.triGerさん,明治さん,トレンドマイクロさんはドレッド隊長が声をかけられたそうですね。
明治さんはPUBG JAPAN SERIESの頃に,会場に見学にいらしていて,eスポーツへの協賛の経験がなく,どうしたらいいか分からないということだったので,PUBGの競技シーンの良さを説明させてもらいました。
そのPJSが2021年にPUBG JAPAN CHALLENGEに移行したんですけど,その制作チームの1社としてPredatorも参画させていただくことになって。僕は大会の協賛を集める営業を担当することになって,PJSの時からシーンを支えてくれていた企業様に声掛けをさせていただいたんです。
なるべく変化がない方が,ファンの混乱も少ないだろうということで,スムーズに移行できるように頑張りました。
4Gamer:
G.triGerさんは凸版印刷さんのイベントがきっかけだったとか。
ドレッド隊長:
私たち(Predator)は凸版印刷さんがやっている企業向けのeスポーツリーグ「After 6 League」に協賛させていただいています。そのつながりで,同じく凸版印刷さんのイベント「eSPORTS TRINITY」という,eスポーツ座談会みたいなものがあって,そこに登壇してお話をしたんです。その後に設けられたZOOMでの懇親会に来てくれた1社がG.triGerさんでした。
参加していただいた各社さんに「ご質問があればお答えします」とお伝えしたのですが,G.triGerさんは「もっとお話を聞きたいです」と言ってくださいました。その流れでPredator League 2020 2021 Grand Finalのご案内をして,協賛していただいたんです。「1度協賛してくださればいろいろと分かると思うので協賛してみませんか」って。
今ではもうご自身でいろんな取り組みを行われて,チームの協賛もされているので,あの時,声をかけて良かったなと。
4Gamer:
Predatorは協賛する立場でありながら,大会の制作チームの一員でもありますよね。
ドレッド隊長:
僕は協賛していただく上で大切なのは「大会を理解してもらっているか」「その大会が目指すところを共有できているか」だと思うんです。協賛社もPUBG eスポーツを支えるチームの一員であり,一丸となってその道を切り拓く。そんな関係性が理想と思っていて,それができているのがPUBGのeスポーツのいいところだと思います。
協賛企業同士でやり取りをしていく中で,新たな取引が始まったりとかもして,協賛企業同士の絆が強くなる。そういう,eスポーツを中心にした企業でのコミュニティを作り上げていきたいんです。
Nicky氏:
その協賛各社の輪を,率先して作ってくださっているのがPredatorで,そういった思いがあるから,それがファンコミュニティを含めて「一緒に大会を作っていく」というのを実現できているんじゃないかなと。協賛社のコミュニティとでもいいますか,1つの応援する目標を持っていて,そこに対してみんなで協力していけるんです。それを作り上げてくれたのはドレッド隊長で,感謝の気持ちでいっぱいです。
ドレッド隊長:
eスポーツに協賛する企業は,リアルスポーツで言うとマイナースポーツに協賛している企業と立ち位置が似てるんですよね。広告そのものが目的で協賛するのではなくて,サポートがメインで,一緒に広告もしてもらおうというか。そのシーンを一緒に大きくしていく感覚なんですよ。そこを正しく理解してもらえないと,eスポーツから手を引いてしまうこともありますし,それは当然,eスポーツ業界としてマイナスなんです。
だからこそ,さっきお話したように「大会を理解してもらっているか,その大会が目指すところを共有できているか」が重要なんです。そして,協賛してもらって何か一つでも「やってよかった」と思ってもらえることが,大会の責任だと思います。
Nicky氏:
ビジョンを共有して製作に加わってもらうと,eスポーツの良さを分かってもらえるんですよね。ファンには製品だけじゃなく,企業も身近に感じてもらえますし。
広告じゃ売り込めない,自分たちの価値みたいなものをファンに届けて理解してもらえるチャンスがある,って言ったほうがいいかもしれないですね。
より多数の方に知っていただくことも重要なんですが,より深く理解してもらうことも重要だと思うんです。100万人に1回見てもらうのと,1万人に100回見てもらうのでは数字の上では一緒ですが,得られる効果は違いますよね。僕は後者のそれが「深さ」だと思っていて,eスポーツは,その深さに寄与してくれると思うんです。
4Gamer:
eスポーツはその深さを作りやすいと。イメージとしては1万人の大ファンを作るっていう感じですか。
ドレッド隊長:
そういうことです。その大ファンになった人たちが,PredatorのPCやゲーミングモニターを使ってみたいって思ってくれたらいいなあと,そのくらいの気持ちでやってます。一番の目的は大会が盛り上がることですから。
4Gamer:
それでは最後に,PUBGの競技シーンを見ている人へのメッセージをお願いします。
ドレッド隊長:
PACは公式戦と違うところがあると思ってます。それは何かというと,eスポーツの競技シーンにおいて,スクリムが主体にしっかりと開催されているということなんです。
大会がプロ野球の公式戦だとすれば,スクリムは練習試合みたいな。公式戦より身近にある,腕を試せる場所であり,気軽に見られる競技シーンなんですよ。
そういう,いつもの練習試合を,少しだけおめかししてやってみましたっていうところにバリューがあると思っています。
それを応援してくれる皆さんはもう一言で言うと「家族」みたいなものだと思っています。本当に見ていただき,ありがとうございます。
4Gamer:
ありがとうございました。
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