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印刷2016/08/22 16:26

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[gamescom]人間とは何なのかを考えさせられそうなADV「State of Mind」の最新デモをチェック

「State of Mind」の脚本を担当するMartin Gantefohr氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / [gamescom]人間とは何なのかを考えさせられそうなADV「State of Mind」の最新デモをチェック
 ドイツのケルンで開催されていたgamescom 2016にて,低ポリゴンなアートワークで未来のディストピアを描き上げるアドベンチャーゲーム「State of Mind」PC / PS4 / Xbox One / Mac)の最新デモが公開された。

 「数年前,Googleのチーフエンジニアであり人口知能の世界的権威とされるRay Kurzweil氏が,2040年代までに人間の脳をデジタル化できると予想を立てました」と切り出したのは,本作の脚本を担当するドイツで著名なSF作家のMartin Gantefohr氏だ。現在,彼が手掛ける「State of Mind」は,そんな未来にインスパイアされ,そこで起きうる問題や人間としての葛藤をあぶり出すというシリアスなテーマを扱っている。

 「State of Mind」は,人口爆発や気象変化によって食糧資源の枯渇が現実となり,徐々に人類の繁栄にも限界が見え始めた2048年のメトロポリス,ベルリンを舞台にしている。
 政府公認のバーチャルリアリティプログラム「City 5」の中に,人間の意識そのものを移植して仮想現実の中で生活することが奨励されている中,主人公であるジャーナリストのリチャード・ノーランは,妻子がCity 5への移住を決意して行方不明になったことから,このプログラムの背後にある陰謀を探る,というストーリーが展開する。

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 今回紹介されたのはゲームの開始時点で,気絶していたリチャードが路上で目を覚ますというシーン。周囲のビルは大破しており,残骸が燃えているが,それが事故なのかテロなのかは,この時点でまったく分からない。消防専門と思われるアンドロイドが鎮火に乗り出す中,リチャードは頭を抱えながら自宅のマンションに戻り,そこで妻子の失踪を知るという流れになる。
 冒頭シーン以外は,E3 2016の取材時点のデモから大きく進化している様子はなかったものの,「クラウドコール」と呼ばれるホログラフで相手を呼び出す未来の電話を使って,妻の父親と会話するといった,未来的な表現が新たに見られた。

 ここからGantefohr氏の哲学的な話の応酬で,筆者はてんてこ舞いだったが,どうやらストーリーの大きな要素となるのは,実はリチャード自身もCity 5への“マインド・アップロード”の実験体になっていた,という事実にあるらしい。リチャードは,冒頭の爆破と関わりがあると思われる何らかのイベントで記憶を半分だけ失っており,それによって計画が狂い始めている様子だ。
 そして,リチャードのもう半分の記憶(を持つ意識)は,“アダム”というリチャードのアバターとなり,バーチャルリアリティ(City 5)の世界で生活しているという。このリチャードとアダムが,クラウドコールによってつながり,プレイヤーは,2人のキャラクターを操作しながらゲームを進めていくとGantefohr氏は話していた。

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 そもそも何故,自分のアバターなのに異なるアイデンティティを持っているのか。リチャードの妻子を含むCity 5の住人は,“前世”とは別のアイデンティティを持っているのか。そしてCity 5に完全に移植された人の肉体はどうなっているのか。さまざまな質問を投げかけてみたが,Gantefohr氏は,こうした“トランス・ヒューマニズム”についての疑問を,氏なりの解釈で解き明かしているのが「State of Mind」の中核部分であるという。
 なお,「このゲームは小説と同じ。一度プレイしたらそれで終わりです」と彼は語るように,1回のプレイですべてが理解できるような,クラシカルなアドベンチャーゲームになるとのことだ。

 「State of Mind」は,2017年第1四半期に各プラットフォームに向けて発売予定となっている。これまで,ドイツ語圏のみをターゲットにした古風なスタイルの2Dアドベンチャーを多く手掛けてきたDaedalic Entertainmentだけに,現時点で日本語化されるといった予定はなさそうだ。
 ただ,いろいろと考えさせられそうなテーマは,テクノロジーに興味のあるゲーマーを刺激するだろう。できれば,日本語環境でプレイしてみたいという人は少なくないはずだ。

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