連載
そうだ アニメ,見よう:第119回は小高和剛氏&小松崎 類氏原案の「アクダマドライブ」。7人の“アクダマ”達が繰り広げるピカレスクロマン
戦争によって分裂し,カントウの属国となったカンサイを舞台に,犯罪者“アクダマ”達が暴れまわるオリジナルTVアニメ「アクダマドライブ」。10月にスタートした本作は,「ダンガンロンパ」シリーズを手掛けたTooKyoGamesの小高和剛氏がストーリー原案,小松崎 類氏がキャラクター原案で参加している話題作だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第119回のタイトルは,クライムアクションストーリー「アクダマドライブ」。制作はstudioぴえろ,監督は「PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight's Dream」や「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」の田口智久氏が務めている。
「アクダマドライブ」
ごく普通の社会人生活を送っていた“一般人”(CV:黒沢ともよ)は,ある日,不幸な誤解から警察に逮捕されてしまう。
そんな中,アクダマの“運び屋”(CV:梅原裕一郎),“喧嘩屋”(CV:武内駿輔),“ハッカー”(CV:堀江 瞬),“医者”(CV:緒方恵美)の元へ,莫大な報酬を約束する謎の依頼が舞い込んでくる。依頼の内容は,カンサイ警察署に囚われた“殺人鬼”(CV:櫻井孝宏)を救出すること。それぞれの理由で依頼を請け負ったアクダマ達は,警察署を襲撃。その混乱に巻き込まれた一般人,偶然居合わせた“チンピラ”(CV:木村 昴),解放された殺人鬼を含めた7人は,依頼者の“黒猫”(CV:内田真礼)から,真の目的である“シンカンセン”襲撃を依頼されるのだった。
“ピカレスクロマン”という言葉がある。古くは16世紀ごろのヨーロッパを中心に広まったジャンルで,悪漢もの,悪役ものと呼ばれる創作物のことを指している。本作「アクダマドライブ」もそうしたピカレスクものに分類される作品で,映画「パルプ・フィクション」や「レザボア・ドッグス」といった,90年代のクライム映画のようなアニメを作りたいという,ストーリー原案の小高氏の想いが,この作品の原点となっているのだとか。
登場する犯罪者達は,推定懲役が最大967年という,凶悪な“アクダマ”ばかり。日本では考えられない懲役年数だが,海外でよくみられる100年越えの年数は,「併科主義」という刑罰を合算し執行するシステムを採用しているためなのだ。
ともあれ,そんな極悪人達のミッションに,なぜか巻き込まれてしまった一般人の視点で物語は進行する。彼女は自身を“詐欺師”だと偽ることで命の危険を回避するが,挑戦するのはカントウとカンサイを行き来する,不可侵の“シンカンセン”への侵入だ。
さらに,一般人達の前に立ちふさがるのは,どんな犯罪者も恐れる警察の“処刑課”で,アクダマ達と異次元のバトルを繰り広げる。果たして,一般人は生き残れるのか。このあたりが,ジェットコースターのように目まぐるしく展開される,本作の見どころとなりそうだ。
ストーリー展開もさることながら,息をもつかせぬアクションも見逃せない |
7人のアクダマ達の魅力とは
7人の侍ならぬ“7人のアクダマ”の面々はかなり個性的。天才的なドライビングテクニックを持つ運び屋,常軌を逸した身体能力の喧嘩屋,卓越したハッキング能力を有するハッカー,どんな怪我でも瞬時に治療できる医者,凄まじいナイフ捌きの殺人鬼の5人に,何の取り柄もない一般人とチンピラが加わっているわけだが,みな自分の能力に強い自負を持ち,協調性は皆無だ。
そんなアクダマ達には,自由に生きるのが難しい今の時代,奔放に生きる彼らが魅力的に見えてほしいという願いが込められているのだとか。常識やルール,人の目なんて気にしない“アクダマ”達の生き様に憧れる人も多そうだ。
運び屋(CV:梅原裕一郎) |
喧嘩屋(CV:武内駿輔) |
ハッカー(CV:堀江 瞬) |
医者(CV:緒方恵美) |
チンピラ(CV:木村 昴) |
殺人鬼(CV:櫻井孝宏) |
レトロサイバーパンクな世界観
本作の舞台となるのは,昭和のレトロとサイバーパンクが融合した特殊な世界。例えば貨幣は,ほとんどが電子マネーとなり,使うには“ハンコ”が必要になるといった具合だ。本作の制作にあたって,“レトロサイバーパンク”というキーワードがまず設定され,海外展開を考えたときに,よりジャパニーズ感の強い関西が舞台に選ばれたという。
ネオンや漢字の看板があふれるドウトンボリなど,独特のカンサイの世界観はこうして生み出されたわけだ。
社会にとっての“悪”であるアクダマ達を描きながらも,不思議と彼らの活躍から目が離せなくなる本作。古来よりピカレスクロマンは,小悪党達が巨大な権力に立ち向かう図式が大衆の心をつかんで発達したのだが,本作でもその構図が踏襲されており,今後の展開が気になって仕方ない。
いよいよクライマックスが近づいてきているが,処刑課に命を狙われるアクダマ達どうなるのか,最後まで目が離せない作品となりそうだ。
なお,アクダマドライブの第1〜9話は,動画視聴サービス「FOD」で配信され,第1話は常時無料となっている。本作が気になるという人は「こちら」をチェックしよう。
TVアニメ「アクダマドライブ」公式サイト
TVアニメ「アクダマドライブ」公式Twitter
放映データ |
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2020年10月〜 |
キャスト | |
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一般人:黒沢ともよ | |
運び屋:梅原裕一郎 | |
喧嘩屋:武内駿輔 | |
ハッカー:堀江 瞬 | |
医者:緒方恵美 | |
チンピラ:木村 昴 | |
殺人鬼:櫻井孝宏 | |
処刑課師匠:大塚明夫 | |
処刑課弟子:花守ゆみり | |
処刑課後輩:上遠野太洸 | |
ボス:榊原良子 | |
兄/黒猫:内田真礼 | |
妹:市ノ瀬加那 | |
ウサギ:間宮くるみ | |
サメ:チョー |
スタッフ |
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原作:ぴえろ・TooKyoGames |
ストーリー原案:小高和剛 |
キャラクター原案:小松崎 類 |
監督:田口智久 |
シリーズ構成:海法紀光、 田口智久 |
キャラクターデザイン:Cindy H. Yamauchi |
副監督:笹原嘉文 |
メカニックデザイン:山本翔、 宮川治雄、 常木志伸 |
美術監督:谷岡善王 |
美術設定:青木薫 |
色彩設計:合田沙織 |
編集:三嶋章紀 |
撮影監督:山田和弘 |
CG監督:藤谷秀法 |
音響監督:長崎行男 |
音響制作:デルファイサウンド |
音楽:會田茂一、井内舞子 |
オープニングテーマ:SPARK!!SOUND!!SHOW!!「STEAL!!」 |
エンディングテーマ:浦島坂田船「Ready」 |
アニメーション制作:studioぴえろ |
■Blu-ray&DVD情報
TVアニメ『アクダマドライブ』Blu-ray&DVD第1巻
アニメ『アクダマドライブ』Blu-ray&DVD第1巻
2020年12月25日発売
Blu-ray[初回限定版]価格:¥7,800+税
DVD[初回限定版]価格:¥6,800+税
詳細はコチラ:https://akudama-drive.com/bddvd/01.html
(C)ぴえろ・TooKyoGames/アクダマドライブ製作委員会
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