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AMD,エントリークラスの新型GPU「Radeon RX 5500 XT」を発表。RX 5500シリーズがようやく店頭に並ぶことに
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そもそもRadeon RX 5500シリーズは,2019年10月7日に一度,デスクトップPC向けの「Radeon RX 5500」が,ノートPC向けの「Radeon RX 5500M」と同時にアナウンス済みである。今回発表となったRadeon RX 5500 XTは,デスクトップPC向けRadeon RX 5500に,具体的な製品名が付いたといったところだ。
Radeon RX 5500シリーズのおさらいと,新しい発表内容の概要を簡単にまとめてみよう。
スペックはRadeon RX 5500と同じ
AAAタイトルをフルHDで快適に動かせる
まずは,軽くRadeon RX 5500シリーズのおさらいをしておこう。
Navi 14ことRadeon RX 5500シリーズは,Radeon RX 5700シリーズと同じRadeon DNA(以下,RDNA)アーキテクチャを採用するGPUだ。総トランジスタ数は約64億個で,ダイサイズは約158mm2であることが明らかになっている。
開発コードネーム「Navi 10」と呼ばれるRadeon RX 5700シリーズの下位モデルに相当するGPUだが,PCI Express Gen.4に対応する点は,Radeon RX 5700シリーズと共通するところだ。
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グラフィックスコアに採用されたRDNAは,一言で言うならば,GCNアーキテクチャをGPGPU用途よりもグラフィックスレンダリングに特化した方向性で改良したアーキテクチャとなっている。RDNAの詳細について説明するのが本稿の主旨ではないので,知りたい人は,Radeon RX 5700シリーズの解説記事を参照してほしい。
さて,今回発表となったRadeon RX 5500 XTのスペックを見てみると,Compute Unit(CU)数は22基で,総シェーダプロセッサ(SP)数は1408基,レンダーバックエンド(ROP)は32基となっている。この仕様は10月発表時点のものとまったく同じだ。
ちなみに,上位GPUであるRadeon RX 5700は,CU数が36基でSP数は2304基,ROP数は64基,Radeon RX 5700 XTはCU数が40基,SP数は2560基,ROP数は64基だったので,演算ユニットの規模を大幅に縮小しているのが分かるだろう。しかしAMDは,Radeon RX 5500 XTには「プレミアムなフルHD(1080p)ゲーム体験を提供できる十分な性能がある」と主張している。
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ゲーマーからすれば,「なぜAMDは,10月にRadeon RX 5500シリーズを発表しておきながら,そのときにRadeon RX 5500 XTを発表しなかったのか」という当然の疑問が頭に浮かぶだろう。実際,Radeon RX 5500 XTに関する事前ブリーフィングでも,報道陣からこの質問は投げかけられた。これに対してAMDは,「10月の発表は,Radeon RX 5500シリーズをPCメーカーへOEM提供していくというアナウンスであった」と回答し,「今回発表したRadeon RX 5500 XTは,グラフィックスカードメーカーから実際にカード製品として登場するときの名称である」と説明していた。
ゆえに,基本的なスペックは,Radeon RX 5500 XTもOEM向けのRadeon RX 5500も同じだというのだ。
補足すると,Radeon RX 5500 XTにはリファレンスデザインはなく,グラフィックスカードメーカーが,それぞれ独自のデザインで製品化するとのことである。公称スペックは前掲のスライドにあるとおりだが,カードメーカーによっては,動作クロックやグラフィックスメモリのクロックが異なる可能性があるようだ。
8GBメモリがGTX 1650 SUPERに対する優位点
前述したとおり,Radeon RX 5500 XTが性能面でのターゲットとするのは「フルHDゲーミング」で,AMDは同クラスの競合製品として,NVIDIAの「GeForce GTX 1650 SUPER」(以下,GTX 1650 SUPER)を挙げている。
AMD側の主張としては,グラフィックスメモリ容量を同じ4GBに揃えて性能比較を行っても,Radeon RX 5500 XTはGTX 1650 SUPERに対して,ほぼ同等〜+30%程度の性能があるとアピールしていた。
なお,Radeon RX 5500 XTとGTX 1650 SUPERは,どちらもグラフィックスメモリにGDDR6を採用しているが,メモリクロックは異なる。GTX 1650 SUPERのメモリクロックは12GHz相当であるのに対して,Radeon RX 5500 XTは14GHz相当となっているのだ。メモリクロックとメモリ帯域幅差が,Radeon RX 5500 XTの性能を押し上げる一因にはなっていそうである。
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そのほかにAMDは,比較的グラフィックスの描画負荷が低い代わりに高いフレームレートでの表示が求められるeスポーツタイトルにおいて,Radeon RX 5500 XTは,フルHD解像度で90fps以上の描画が可能であるとアピールしていた。
加えて,(Navi世代GPUだけの機能ではないが)入力遅延を低減する「Radeon Anti-Lag」や,可変解像度レンダリング機構「Radeon Boost」などを組み合わせると,さらなるフレームレート向上が見込めるそうだ。
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グラフィックスメモリに関するもう1つの特徴としてAMDがアピールしていたのは,エントリー市場向けのGPUでありながら,Radeon RX 5500 XTでは容量8GBのグラフィックスメモリをサポートすることである。
製品価格を左右するので,8GBのグラフィックスメモリを採用するRadeon RX 5500 XT搭載カードに,どの程度のニーズがあるのかは分からない。ただ。グラフィックスメモリ容量が4GBどまりであるGTX 1650 SUPER搭載カードに対する優位性のアピールにはなるだろう。
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Radeon RX 5500 XT搭載カードは,12月18日より発売の予定である。製品ボックスには,Radeon向けの最適化が施されているというPC版「モンスターハンターワールド:アイスボーン」の無料ダウンロードクーポンと,Xbox Game Pass3か月無料券が付属するそうだ。
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気になる想定売価だが,「各メーカー,製品,地域によって異なる」という一言で片付けられてしまった。とはいえ,仮想敵として,実勢価格が2万円台前半のGTX 1650 SUPERを掲げている以上,2万円台前半から2万円後半といったあたりになると思われる。
AMDのRadeonグラフィックスカード情報ページ
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