ミュージック フロム ゲームワールド：Track 30

　少し前になりますが，「THE IDOLM@STER」等の楽曲を制作したことで知られるゲーム音楽作曲家・佐々木宏人氏のユニット，Malicetic Lolita（通称，マリロリ）のインストアライブをタワーレコード渋谷店で見てきました。
　ゴシック要素を取り入れた独特のサウンドと，有栖川姫子のささやくようなボーカルにやられてしまい，その場でアルバム「時計じかけのワンダーランド」を買ってしまったのですが，ゴシックとロリータを掛け合わせたファッションとサウンドで活動中のマリロリに要注目ですよ！
　それでは，今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」へ潜入！

男子も女子もメロメロにする忍びの音楽集第2弾！

「忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ― 音楽篇」

タイトル	忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ― 音楽篇	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年9月30日
価格	2160円（税込）
発売元	MUZZLE DUZZLE MUSIK ALLERLEI
コピーライト	（C）2015 IDEA FACTORY

　今週の1枚めに紹介する「忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ― 音楽篇」はその名のとおり，オトメイトから発売中のPS Vita用ソフト「忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ―」のサントラ。忍者を目指す16歳の女の子が忍者学校に入学し，メロメロの術で男の子を虜にしちゃうというストーリーです。

　サントラには，PS Vita版で追加された新作パート「雪月花恋絵巻」の楽曲のみを収録。作曲は「DIABOLIK LOVERS」シリーズや「I DOLL U」，そして過去に本連載でも取り上げた「百華夜光」等で知られる人気作曲家の杉浦勇紀氏が担当。新シナリオのために作られた多彩な楽曲，全10曲を収録しています。

　1曲めは，和楽器の演奏を取り入れてハードなインスト和ロックに仕上げた「雪月花恋絵巻のテーマ」。ここから順に展開される，美しい和風メロディを上品なアレンジで堪能できる「花天月地」や，ジャジーなリズムでリラックスしたスウィングが心地よい「あなたにメロメロ」，男らしさを感じさせるハードな「勇猛果敢」，心が安らぐピアノ演奏を聴かせてくれる「蜜月の刻」もステキです。

　ラストには，ボーナストラックとして前作のサントラ「忍び、恋うつつ 音楽篇」に収録されていた楽曲の「スペシャルメドレー」を10分の大ボリュームで収録。次から次へと，DJプレイのように楽曲をつないでいく展開が気持ち良いです。
　サントラで通して聴いたときとは違った印象で各楽曲が耳に入ってくるのが面白く，改めて前作のサントラを聴いてみたくなります。ゲームのファンはもちろん，杉浦勇紀氏の音楽のファンにも聴き逃せない1枚です！

「忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ―」公式サイト

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ゲームを楽しんだうえで聴くと，より臨場感が味わえる

「METAL GEAR SOLID V ORIGINAL SOUNDTRACK」

タイトル	METAL GEAR SOLID V ORIGINAL SOUNDTRACK	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年9月2日
価格	3100円（税抜）
発売元	KONAMI
コピーライト	（C）2015 Konami Digital Entertainment

　先週紹介した「METAL GEAR SOLID」シリーズのボーカルベストアルバム「METAL GEAR SOLID VOCAL TRACKS」に続き，今週の2枚めは最新作「METAL GEAR SOLID V」のサントラ「METAL GEAR SOLID V ORIGINAL SOUNDTRACK」を紹介します。
　前作から実に7年振りとなる新作の発売を，待ちわびていたファンも多かったことでしょう。サントラには2014年発売の「METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROS」と最新作「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」で使用された音源を合わせて収録しています。

　ゲーム内での映像とのリンクが素晴らしい「You Can Call Me Ishmael」や，焦燥感をあおる「Allegiance Defined」，何かが起こりそうな予感めいたものを暗示する「I am Skull Face」といった楽曲が，ゲームをプレイした人の記憶を呼び起こすのに一役買ってくれます。

　そして，合わせて収録されているアーティスト曲も秀逸な曲ばかり。サントラのオープニングを飾る，Midge Ureによるカバー曲「The Man Who Sold The World」は，1970年代にDavid Bowieが発表し，1990年代にはNirvanaがカバーしたことでも有名な曲。The Cureを思わせる陰鬱な曲調は，UKロック好きにはストライクです。
　映画「死刑台のメロディ」の主題歌としても使われたEnnio Morricone & Joan Baezの「Here's to You」は，アコースティックなサウンドとストレートな女性ボーカルが心地いい1曲。このサントラを通じて洋楽の名曲を知ることができるのも醍醐味です。

　さらに，ゲームのオリジナルボーカル曲にも注目。Donna Burkeの歌う「Sins of the Father」は，ピアノをバックに歌う前半パートから，厚いコーラスを交えた中盤にかけての壮大なアレンジが感情を揺さぶる1曲。Stefanie Joostenの「Quiet's Theme」と合わせて，先週紹介した「METAL GEAR SOLID VOCAL TRACKS」にも収録されています。シリーズのボーカル曲だけを堪能したい人はそちらもチェック！

　ゲームのシーンと緻密にリンクしたBGMの合間に挿入されるボーカル曲に，ふと安心感を感じる瞬間があるのもサントラならではの面白さ。ぜひ，ゲームを遊んだうえで楽しんでほしい1枚です。

コナミスタイル「METAL GEAR SOLID V ORIGINAL SOUNDTRACK」

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■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，モタビア星に単独移住して現在に至るゲーム＆ゲーム音楽好き。ほかの趣味は邦楽インディーロック追跡，突発自転車旅行，広島東洋カープの応援など。ゲーム音楽好きが高じて本連載のほかに「ゲームサイド」シリーズ誌でゲーム音楽コーナー「撃音！」「激音！」「劇音！」の連載，ニコニコ生放送公式CHのクラリスチャンネルでゲーム音楽番組「Fami on♪」のプロデュース＆パーソナリティを担当。さらにゲーム音楽レーベル・クラリスディスクではスーパーバイザーも担当。今年の目標はWii Uを購入すること（3年連続3回目）。