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[SPIEL’14]「ルールブックが要らないボードゲーム」を目指す,老舗メーカーの挑戦。「Orongo」「ABLUXXEN」で賑わうRavensburger AGブースレポート
そんな同社の今回の目玉は,その「Ra」のゲームデザイナーであり,ボードゲーム界にこの人ありと言われる名デザイナー,Reiner Knizia氏の新作「Orongo」だ。
イースター島を舞台とした同作は,島のリソースを奪い合いながらモアイ像を建てていく4人対戦ゲーム。モアイ像を建てるためには,盤上に示されたリソースをほかのプレイヤーに先んじてを集めなくてはならず,リソースを集めるためには,まずほかのプレイヤーとの“競り”に勝たなくてならない。上位入札者ほど多くのリソースを多く集められるが,実際にお金を支払うのは1位のプレイヤーのみ,というのが本作のミソだ。うまく2番手を狙って,お金を温存しながらモアイ像をどんどん建てていく……というわけである。
さて,そんな「Orogo」やドイツゲーム大賞受賞作である「ABLUXXEN」の試遊で賑わっていたRavensburger AGブースだが,同社のイチオシはこれだけではない。それがスマートフォンと連動したボードゲームシリーズ「smartPLAY」である。
スマートフォンがゲームマスターになってくれる「smartPLAY」
ではRavensburger AGがsmartPLAYで目指す方向性はなにかと問われれば,それは同社の担当者が語った「もう二度とルールを読む必要はない」という言葉にすべてが込められている。
具体的なプレイ風景を見ていこう。
smartPlay対応タイトルの一つである,これまたReiner Knizia氏の「King Arthur」は,騎士となったプレイヤー達が,マップに示された冒険の舞台をめぐりながら,王になるためのアイテムを集めていく対戦型のボードゲームだ。
机には,ボードのほかスマートフォンをセットするための専用の台座が用意されている。ここに専用アプリ(無料)がインストールされたスマートフォンをセットすると,スマートフォン内蔵のカメラがボードの状態を認識し,ゲームの進行に応じた進行を行ってくれる。
例えばボード上をプレイヤーのコマが移動したとする。すると移動した先でのイベントを,スマートフォンが雰囲気たっぷりのナレーション(魔法使い風)で語りだし,何をすべきかを指示してくれる。戦闘になってダイスを振れば,ダイス目を認識して,戦闘結果をBGMや効果音付きで知らせてくれる。つまり,スマートフォンがゲームマスターの役割を果たしてくれるというわけだ。
老舗Ravensburger AGの挑戦
このダウンタイムを解消するために,デザイナー達は知恵をひねり,メーカーは工夫を忘れない。ドイツゲーム大賞に,模範ルール部門である金の羽根賞が用意されているのはこのためだし,その今年の受賞作がRavensburger AGの「ABLUXXEN」だというのも,ある意味象徴的と言えるのではないだろうか。
さて,そんなsmartPLAY対応ゲームだが,先の「King Arthur」を含め,現在3タイトルが発売されているとのこと。同社ブースにて筆者も挑戦してみようと思ったのだが……今のところ対応言語はドイツ語のみとのことで,断念せざるを得なかった。
ちなみに専用の台座が付属すると言うことで価格について聞いてみたところ,台座付のセットが50ユーロで,ゲームのみの場合は40ユーロとのことだった。その差10ユーロ(約1400円)であるなら,まあ納得のいく範囲といえるかもしれない。
ローカライズが大変そうなので日本での発売は難しいとは思うが,ぜひ成功してほしい試みといえるのではないだろうか。
Ravensburger公式サイト
- 関連タイトル:
Orongo
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