「ミュージカル『刀剣乱舞』〜真剣乱舞祭2018〜」レポート。紅白出場メンバーがほぼ全員そろった会見の模様と幕張メッセ昼公演の模様をお届け

　2018年11月から始まった「ミュージカル『刀剣乱舞』〜真剣乱舞祭2018〜」は，「刀剣乱舞-ONLINE-」（BROWSER / iOS / Android）を原案としたミュージカル「刀ミュ」の刀剣男士たちが一堂に会する大型ライブであり，ファンにとってはまさに“祭り”といえるイベントです。そのラストを飾る2018年12月16日の最終公演の直前に刀剣男士たちによる会見が行われました。

　ファンならばご存じかも知れませんが，最終公演を迎える前に，「第69回NHK紅白歌合戦」の出演キャストと歌唱曲が発表されています。出場する刀剣男士は全19振り。「真剣乱舞祭2018」に出演している三日月宗近，小狐丸，石切丸，岩融，今剣，大和守安定，和泉守兼定，堀川国広，蜂須賀虎徹，長曽祢虎徹，にっかり青江，千子村正，蜻蛉切，物吉貞宗，髭切，膝丸，陸奥守吉行，巴形薙刀，そこに加州清光が加わります。

　この会見では，刀剣男士たちが「真剣乱舞祭2018」の最終公演を間近に控えた緊張感を携えつつも，くだけた様子も見せてくれました。

紅白出場キャストのうち，加州清光以外の18振りが揃いました！

　総合演出を務める茅野イサム氏は「第69回NHK紅白歌合戦」について，「これから作り上げていきますけれど，19振りが集まるのは初めてのことなので，豪華になると思います。僕らのことをまだご存じではない全国の方に知ってもらえるチャンスなのと，紅白で初めて2.5次元に触れる方も多いと思うので，その責任は重いと感じています。1人でも多くの方に興味を持ってもらえるよう，頑張ります」と，緊張した面持ちで語りました。

　続いて三日月宗近が「三日月宗近だ。19振りでの出陣は初めてになるな。紅白歌合戦というこの時代の合戦に皆で出演できることを，嬉しく思う。主たちも楽しみに待っていてくれ」と述べると，堀川国広も「全国の主のみなさんに喜んでもらえるように，がんばります！」と三日月宗近の隣でにっこり。


　和泉守兼定が「ここで一句。紅白で，狙うは最高視聴率」と割り込むと，堀川国広が「視聴率ってなぁに？」と，可愛らしく小首を傾げました。ほかの刀剣男士らも「視聴率ってなんだ？」とざわめきますが，肝心の和泉守兼定も「俺もわからん！」と首を捻り，そこに今剣が「つまり，誉ぽんっ！ ……ってことですよね？」とちょっとした掛け合いが発生し，まるでミュージカルのワンシーンさながらの会見となりました。

それぞれの刀剣男士が，名乗りをあげてくれました

三日月宗近役 黒羽麻璃央さん，小狐丸役 北園 涼さん，石切丸役 崎山つばささん，岩融役 佐伯大地さん，今剣役 大平峻也さん，大和守安定役 鳥越裕貴さん，和泉守兼定役 有澤樟太郎さん，堀川国広役 阪本奨悟さん，蜂須賀虎徹役 高橋健介さん，長曽祢虎徹役 伊万里 有さん，にっかり青江役 荒木宏文さん，千子村正役 太田基裕さん，蜻蛉切役 spiさん，物吉貞宗役 横田龍儀さん，髭切役 三浦宏規さん，膝丸役 高野 洸さん，陸奥守吉行役 田村 心さん，巴形薙刀役 丘山晴己さん

最終公演直前の12月16日昼公演の模様をお届け！

　この会見のあとに千秋楽のひとつ前となる12月16日の昼公演を観覧できたので，その模様もレポートします。実は筆者は舞台「刀剣乱舞」は観ているものの「刀ミュ」の公演は初めてでした。しかも幕張メッセの9〜11ホールというとてつもなく広い会場で行われる2.5次元ものは，まったくの初体験です。

　東西のお祭り対決をテーマにした本公演では，それぞれの所縁にちなんで東軍に大和守安定，和泉守兼定，堀川国広，長曽祢虎徹，蜻蛉切，千子村正，物吉貞宗，髭切，膝丸。西軍に三日月宗近，小狐丸，石切丸，岩融，今剣，蜂須賀虎徹，にっかり青江，陸奥守吉行と分かれて，それぞれの地方が誇るお祭りを披露することになりました。特定の土地や人に縁のない刀剣男士である巴形薙刀は，三日月宗近に行司役を頼まれます。


　導入部分のやりとりまでは普通の2.5次元の舞台という印象を受けました。ですが，筆者が度肝を抜かれたのは，ここからでした。華やかなレーザー光線によるライティングやプロジェクションマッピング，広いホールを貫くような花道の先端にはリフトアップステージがあり，たくさんの刀剣男士が一か所に集まろうとも，全員の姿とダンスがとてもよく見えます。「これだけの広さで行うパフォーマンスとは……？」と，ずっと疑問だったのですが，そんな杞憂は一瞬で吹き飛びました。


　お祭りモードの衣裳に変わった刀剣男士らの姿が見えると，ファンは一斉に椅子から立ち上がり，オールスタンディング状態に。東西交互に祇園祭，ねぶた祭や阿波踊りと，次々に激しいダンスと歌を披露してはぶつかりあいます。そこに挟まれた“雪祭り”は，本来なら歌い踊るようなお祭りではありませんが，「刀剣乱舞」のエッセンスを加えるとこのようになるのか，という驚きがありました。また“雪祭り”はしっとりとした曲とダンスで，熱く盛り上がった会場をクールダウンさせる意味合いも持っているように感じました。とてもいい塩梅のお祭りです。

　そこからのよさこい祭りとYOSAKOIソーラン祭りで，再び会場のボルテージを盛り上げていくセットリストの組み方は，感嘆の一言です。YOSAKOIソーラン祭りは手に鳴子や扇子を持って，曲に「ソーラン節」のフレーズを入れるというルール以外，曲も踊りも自由なお祭りですが，このお祭りの自由感は今回の「真剣乱舞祭2018」のコンセプトに非常に合っていました。

　ファンたちも刀剣男士らと共に歌い，踊り，コールを返し，そして広い会場を埋め尽くすペンライトの光が，より一層ステージを華やかなものにし，その圧倒的なまでの熱量は，2.5次元という域を遥か超えているように思えました。


　そして熱いお祭りパートが終わったあとは，畳みかけるようにライブパートへ。これまでの公演でも歌われてきたお馴染みの曲から，本公演のみの新曲も交えた，刀剣男士らの全力の歌とダンスが披露されます。ときにはコール＆レスポンスや客席に降りてのファンサービスもあったり，このお祭りならではのお茶目な姿を見せてくれる刀剣男士らも。休憩なしの約2時間半近くもの間，会場に集まったファンを夢の世界へと連れていってくれました。

とにかく一度体験してみてほしいエンターテイメント

　前述の通り，初めて「刀ミュ」の世界に触れた筆者ですが，その感想を一言で述べるならば「これはあまりに壮大なエンターテイメントである」に尽きます。「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭2018〜」という名はついているものの，これは最早“ショー”です。人気ロックミュージシャンやアイドルのコンサートに匹敵するスケールにはただ圧倒されるばかりで，刀剣男士らの熱気とそれに応えるファンが巻き起こすグルーヴ感に，完全に飲まれてしまいました。


　もちろんライブの空気感だけでなく，刀剣男士らが醸し出す魅力も素晴らしいです。可愛さ全開の堀川国広や大和守安定，今剣，物吉貞宗や，男らしさに見とれてしまう蜻蛉切や陸奥守吉行，岩融，長曽祢虎徹たち。中世的な美しさの三日月宗近や蜂須賀虎徹，巴形薙刀，にっかり青江，石切丸，小狐丸，膝丸に髭切，膝丸……そして千子村正の色気たるや，女子も顔負けです。いきいきとステージを駆け回る彼らの姿に興奮しつつ，最高の癒しをもらったファンも多いのではないでしょうか。


　これまでの「刀ミュ」シリーズに出演した刀剣男士らが一堂に会したライブということもあって，まさにいいとこどりな“お祭り”なイベントでしたが，「次も『刀ミュ』の公演に行ってみたい」と思わせてくれる，素晴らしいお祭りだと感じました。今回初めて「刀ミュ」に触れたファンも，昔からのファンも，どちらも楽しめる内容だったと思います。


　これまで「刀ミュ」はもちろんのこと，「刀剣乱舞-ONLINE-」自体に触れたことがなかった人も「第69回NHK紅白歌合戦」でぜひその片鱗に触れてみてほしいです。

ミュージカル『刀剣乱舞』公式サイト

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