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GW明けに最新作「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」が発売されることだし,今のうちに「アンチャーテッド」シリーズを振り返る
というわけで,いまやPlayStationプラットフォームにおける立派なキラーブランド(IP)にまで成長したこのシリーズ。PlayStation 4用アンチャーテッドの新作としては初登場となるだけに,期待が大きい。もしかすると,このタイミングで「アンチャーテッド」デビューしちゃおう……なんて考えている人も多いのではないだろうか。
ただ,「やろうと思ってたけどやってないわぁ」「もう,4なのかぁ」「4からプレイするのもなぁ」という人もいることだろう。あるいは「1はやったけどそれ以降やってない」とか「3は当時,学業や仕事が忙しくてやる機会を逸したんだよね」なんて人もいるんじゃないだろうか。
「これまでのアンチャーテッドをきっちり知らなくても4って楽しめるのかしらん」……そんな不安を抱いている人のために,今回,アンチャーテッドシリーズのストーリーや魅力を振り返る特別企画をお届けすることにした。
プレイしたことのある人は,過去のアルバムを懐かしむような感覚で,「途中が抜けている人」は予備知識的に参考にしてもらえれば幸いだ。
「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」公式サイト
「アンチャーテッド」ってどういう意味?
まず,タイトルにもなっている「アンチャーテッド」という聞き慣れない単語から整理したい。英記すると「Uncharted」となるわけだが,これは「海図(Chart)」に「載っていない(Un)」というような意味の単語で「未知の領域」という訳語が当てられる。
では,なぜゲームタイトルが「未知の領域」(Uncharted)なのかというと,第3作以降はほぼその存在が忘れ去れられてしまっている感も強いが,アンチャーテッドというのは,このゲーム世界で放映されているTV番組のタイトルで,そこからの引用なのである。日本でも「ちょっとまゆつば物」の歴史ミステリーを題材にしたドキュメント番組が放映されたりするが,アンチャーテッドもそんな感じで,「真実かどうかよく分からない神話伝承と考古学をごちゃ混ぜにしたような歴史ミステリー」を取り扱った番組という設定だ。
この番組のMC兼レポーターを務めるのが,本作シリーズを通してのヒロインであるエレナ・フィッシャー嬢。日本人受けも良さそうな金髪ブロンド美人だが,性格は完全に男勝りな「視聴率命」のTVウーマン。劇中で明確な表現こそされていないが,どうやら番組はマンネリ気味なようで,アンチャーテッド第1作あたりで,本格的な番組のテコ入れを開始した様子である。そうでなければ,出自不明の詐欺師のような冒険家,我らが主人公,ネイサン・ドレイクに番組で取り扱うネタのガイドを頼んだりはしないはず。
通称ネイトことネイサン・ドレイクはアンチャーテッドシリーズ通しての主人公で,本シリーズは彼視点の冒険活劇であると同時に成長物語でもある。
彼は自分のことを,16世紀・大航海時代の貿易商人にして海賊,冒険家でもあった実在の歴史上の人物,フランシス・ドレイク卿の子孫と信じて止まない男。ことの真偽は第3作でおよそ明らかになるのでここでは触れないが,彼はこうした冒険活劇の主人公としては珍しい「ヘタレ」野郎なのが特徴。
彼のヘタレが最も目立つのがシリーズ第一作。劇中,とにかく「こんなところに来たくなかった」と弱音を漏らしまくる。しかも彼自身は危険から逃れようと努力しているにも関わらず,危険のほうが彼を追い回してくるという,超弩級の「ネタ体質」なのだ。そんなヘタレな彼も,エレナや仲間達との冒険を重ねるにつれて成長し,男らしさを少しずつ身に付けていく。「頼れない男が時々見せるかっこよさ」……このギャップこそがネイトの魅力になっているのである。
ちなみに,超余談だが,映画マニアの筆者は,ネイトはハリウッド俳優,アレック・ボールドウィン(現在58歳)の30代(1990年代前半)にかなり似ていると思っているのだが,どうだろうか。興味がある人は洋画「ゲッタウェイ」「レッドオクトーバーを追え!」「ヘブンズ・プリズナー」あたりをチェックして判定していただきたい(笑)。
さて,シリーズを通してのマスコットキャラのサリーを紹介しないわけにはいかない。サリーという名前から,「〜だワン!」(ベタ!)「〜ぞなもし」(古!)みたいなへんてこな特徴的な語尾を付けてしゃべる小動物とか,ドジっ子美少女キャラを連想してしまうかもしれないが,アンチャーテッドシリーズのマスコットキャラのサリーは,女好きのスケベじいさんである。しかも職業は詐欺師。正式名はビクター・サリバン。
サリーは,ネイトの師匠にして父親変わりの爺さんだが,生粋のトラブルメーカーでもある。シリーズを通して起きる予想外の出来事は,大抵この爺さんの蒔いた種が変な実を付けた結果だったりする。しかし,その自欲のための「ちゃっかり行動」が,大波乱の冒険の結末に「プラマイゼロ,いやちょっとプラス?」くらいの大団円をもたらしてくれたりもするので,シリーズになくてはならない人物である。
そもそも「アンチャーテッド」ってどんなゲーム?
とまぁ,アンチャーテッドシリーズのストーリーは,そんなデコボコ3人組のキャラクターが中心となって展開するのだが,では,そもそもどんなゲームなのか。
現在は,そう分析する人も少なくなってしまったが,アンチャーテッドシリーズは「トゥームレイダー」がジャンルを切り拓いたといわれる「考古学アクションアドベンチャー」に分類される。「考古学アクションアドベンチャーの元祖は『ピットフォール』だ!」というマニアックな指摘は置いておくとして,このトゥームレイダーがあまりにも有名で人気がありすぎて,ほかの同ジャンルゲームが脚光を浴びる機会がほとんど無かったのだが,そのジンクスを打ち破ったのが,アンチャーテッドの第1作だった。
ゲームシステム的には左スティックで移動,右スティックで視点操作という,オーソドックスな三人称視点のTPS(Third Person Shooter)スタイルの操作系を採用しており,ジャンプアクションで崖を飛び越えたり,岩壁をよじ登ったりするのはトゥームレイダーとよく似ている。
第1作では,TPS(≒ガンシューティング)要素を色濃く演出したゲーム性だったが,第2作からはメタルギア的なステルスアクション(隠密行動)要素も強く盛り込まれることとなった。格闘ボタンは敵と相対しているときは殴る蹴るを行うだけだが,背後から忍び寄って格闘を発動すると敵を音も立てずに絞め殺したりできる。このステルスアクション要素はゲーム性に幅広さを持たせると同時に,ゲーム展開に「静」と「動」の演出コントラストを与えることにもつながり,ゲームとしての深みが増した。
アンチャーテッドでは第2作以降,ゲームフィールドで敵味方双方を巻き込んでのダイナミックな破壊演出が強化され,これもこのシリーズの特徴として語りぐさになることが多い。このあたりの詳細は後述することにするが,いまや,アンチャーテッドシリーズが構築した「考古学アドベンチャー」×「ステルスTPSアクション」×「ド派手にゲーム世界が破壊していく演出」という三段ゲームメカニクスを,「アンチャーテッド系」と称することも多くなってきており,「最近のトゥームレイダーってアンチャーテッドぽいよね」みたいに,立場逆転的な評価をされたりすることもしばしばなのである。
アンチャーテッドシリーズの過去三作+外伝を振り返る
アンチャーテッドシリーズは「考古学」アクションアドベンチャーである……と上で述べたが,シリーズ人気の秘密は,前述したようなゲームメカニクスの面白さだけではなく,その「考古学」部分も大きい。というのも,アンチャーテッドシリーズでは,取り扱っている考古学ネタの「元ネタ」が,現実世界の歴史ミステリーに根ざしているのだ。
我々が住む現実世界にはさまざまな史実があるが,論理的に説明がうまくできない「歴史ミステリー」も存在する。それを本作では,大胆にSF的な解釈を適用し,物語で描かれる紛争や事件の「火種」としているのだ。このあたりの着想は,人気有名考古学アドベンチャー映画の「インディー・ジョーンズ」とよく似ているとされる。
それでは,過去三作+外伝一作で,どんな歴史ミステリーが取り扱われていたのかを,ネタバレしない程度に紹介しておこう。実際にプレイしたことがある人は「ああっあれか!」と思い出す参考にしていただきたい。
●「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」(2007年発売)
ドレイク卿は,実際,当時のイギリスの国家予算を超えるほどの金銀財宝をエリザベス女王に献上したことを賞賛されて「サー」(卿)の称号を得ているのだが,どうしてそんな大量の財宝を得ることが出来たのか……。そこは実際問題として歴史ミステリーになっているのだ。ここに本作では,突拍子もないSF的解釈を持ち込んで独自のストーリーが展開する。
この「突拍子もないSF的解釈」がなされる局面まで,第1作は宝物を争奪するための紛争劇の様相が強いのだが,「その局面」以降は,ネイトが常に叫ぶ「やばい,やばい」のセリフにプレイヤーも同調し,かなりのスリルを味わうことになるだろう。
ちなみに,この第1作で「歴史ミステリーにトンデモ解釈を与える」というフォーマットが確立され,以降は,同シリーズの醍醐味となった。
それと,本作はいわゆる「洋ゲー」に分類されるが,日本語吹き替えのデキが秀逸だと評されることが多い。良い意味で「連続アメリカンTVドラマ感満点の吹き替え」が主役3人衆の演技に見事ハマり,以降の作品でも多くのプレイヤーが日本語吹き替え版を好んでいるようだ。
「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」公式サイト
●「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」(2009年発売)
この第2作「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」では,女性冒険家クロエ・フレイザーを「裏」ヒロインに迎え,ネイト&エレナ&クロエの三角関係を演出した。第1作で「どうせネイトはエレナとくっつくんでしょ。このリア充め!」と思わせておいて,この演出である。不幸体質のネイトには女難の相もあることをうかがわせた。さらに腹黒いライバル冒険家ハリー・フリンを登場させ,ドラマ部分に気を抜けない人間関係を確立させているのも本作の魅力である。
個人的には,サリーにもう少し活躍してほしかった……と思っていたら,その期待は第3作でちゃんと叶えられるのであった。
「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」公式サイト
●「アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス」(2011年発売)
トーマス・E・ロレンスは英国人でありながら,当時のオスマン帝国に対して決起したアラブ人を様々なゲリラ戦術で支援した人物として知られ,その希有な生涯は映画「アラビアのロレンス」にもなったほど。彼がなぜアラブ人を支援したのかは,いまだ解明されぬ深い歴史ミステリーとなっている。
今作もネイサンと今カノ・エレン,元カノ・クロエの3人は持ち越されたが,色恋要素は薄味。そのかわりに,前作で目立たなかったサリーの生涯がクローズアップされ,少年時代のネイトとの出会いまでが描かれて,ドラマ要素は前作以上の「特盛り」状態。
チーム・ネイトに,新メンバーとして頼れるスキンヘッドマッチョ英国人のチャーリー・カッターが加わったこともトピックである。
本作には,ゲームファンの間で語り継がれている有名なアクションシーンとして,「沈没しつつある豪華客船からの脱出劇」「飛行中の輸送機上の激闘」があり,この2シーンは「映画を超えた」と評されたほど。
「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」公式サイト
●「アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-」(2011年発売)
本作で取り上げられた歴史ミステリーは,黄金都市「シボラ」にまつわる伝承。大航海時代,アメリカ新大陸に上陸したスペイン軍は,領土拡大のための侵略行為の過程で耳にした黄金伝説に取り憑かれることとなる。当時,この黄金伝説を巡ってネイティブアメリカンと最も激しい戦闘が行われたとされる中央アメリカ地域に,その伝承のカギがあると睨んだ駆け出し冒険家のネイトは,年上の信用ならない同業者,ジェイソン・ダンテと組んで調査に乗り出す。
しかし,その地域は政情が不安定で,自称革命軍の武装組織が支配しているという状況。トラブルを呼び寄せる才覚だけは,この頃から覚醒していたネイトは,この軍勢からさっそく目を付けられることになる。
エレナと出会う前なのでヒロインはいないのかと思いきや,マリサ・チェイスという謎の国際機関の美少女エージェントがサポートを務めてくれる。ちなみに,本作でもサリーはあまり活躍せず。
「アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-」公式サイト
お待ちかねの「4」はどんな作品か?
それでは,5月10日に発売される「4」こと「海賊王と最後の秘宝」はどんな作品なのか。
これは,筆者も詳しくは知らない。というのも,SIEA(ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント・アメリカ)が,全体のストーリーについてはあまり情報開示をしていないためだ。
とはいえ,現時点で分かっていることもいくつかある。
まず,「4」の時代設定は「3」から少し時間が経った時間軸となっているということだ。また,ネイトは「3」の冒険のあとにエレナと「より」を戻し,その後はトレジャーハンターを引退して2人で平穏な夫婦生活を送っていたとされる。
しかし,死別したと聞かされていた兄「サム」との再会で状況が一変する。サムがネイトを「海賊王の秘宝」を巡る冒険に誘ってきたのだ。
「4」で取り扱われる歴史ミステリーは「海賊の黄金時代」にまつわるモノになる。
「海賊の黄金時代」とは,大航海時代の後期,17世紀中期から18世紀初頭まで続いたアフリカ近海からインド洋,中央アメリカのカリブ海などで海賊達が非常に強い勢力を誇っていた時代のこと。大航海時代全盛期に植民地拡大に明け暮れたイギリス,フランス,オランダ,スペイン,ポルトガルといった欧州列強達は,17世紀中期からは互いに冷戦に近い膠着状態となるのだが,事実上の無法地帯になっていた公海上では「敵国の船を襲ってもおとがめなし」という「私掠船」(事実上の海賊行為)を各国が認めていたのである。
この時代,最も活躍した海賊には「キャプテンキッド」の異名でも親しまれているウィリアム・キッドや,ヘンリー・エイヴリーなどがいるが,18世紀になると様相は一変。各国は私掠船の容認を廃止しだしたのだ。これに対抗すべく,強い勢力を持った海賊達は,自らの海賊国家「リバタリア」を建国しようと動き出す。
サムは,この「リバタリアの秘宝」を追い求めており,その過程でネイトとの再会を果たしたというわけである。
昨年公開されたプレイ映像には,勝手に冒険に出て行ってしまったネイトに対し,哀しげな顔で抗議するエレナの様子があったが,シリーズを通してのファンである筆者としては「海賊王の秘宝」よりも,ネイトとエレナの関係の方が気になってしまう。
また,ゲームプレイ的には乗り物を使って広いステージでさまざまなルートを進めるようになっているなど,遊び方の幅もだいぶ広がっているようだ(関連記事)。
いずれにせよ,PS4で初となるアンチャーテッド新作である「海賊王と最後の秘宝」は,期待通りの出来映えとなっているようである。昨年,公開された15分に及ぶプレイ映像は,前作で名シーンとされた「沈没しつつある豪華客船からの脱出劇」「飛行中の輸送機上の激闘」に優るとも劣らぬ,動的な破壊ネタ満載の大迫力・感動モノ! 見ていない人は,絶対見ておくべし!
「アンチャーテッド コレクション」で復習せよ!
この「アンチャーテッド コレクション」は,元々PlayStation 3専用で提供されていた第1作から第3作までのオリジナル作品群を1本のソフトにまとめつつ,PS4用にリマスター/リメイクした作品だ。「アンチャーテッド コレクション」では,動作機がPS3よりも大幅に高性能になったPS4になったということもあって,オリジナルのPS3版では性能不足で実現出来ていなかったフルHD(1920×1080ピクセル)解像度のフレームレート60fpsをラクラク実現しているのがポイント。シリーズに興味を持った未プレイファンは第1作から始めても良いし,途中の作品を飛ばしてしまった旧来ファンは好きな作品からプレイするのもいいだろう。
なお,外伝の「地図なき冒険の始まり」は「アンチャーテッド コレクション」には含まれていないので,こちらを楽しみたい人はPS Vitaでプレイする必要がある。
そうそう。もう一つ!
PS4をまだ持っていないという人は,5月10日に発売される「ネイトがプリントされた特別仕様のPS4」と「ゲームソフト」がセットになった「PlayStation 4 アンチャーテッド リミテッドエディション」を手に入れるのもいいかも?(関連記事)
筆者自身,PS4を持っていなかったら,これを買いたかったぞなもし!
「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」公式サイト
- 関連タイトル:
アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝
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