レビュー
オープンワールドによる地中海の街並みをドライブ
Forza Horizon 2
本稿では,従来のシリーズ作とはひと味もふた味も違う「Forza Horizon 2」の魅力をお伝えするべくレビューをお届けしたい。なお,Xbox One版の開発は前作と同じくPlayground Gamesが担当し,一方のXbox 360版はSumo Digitalが開発を手がけている。プラットフォームが異なることもあり,マシンの挙動や一部のコンテンツに違いがあるが,今回はXbox One版をプレイしている。
「Forza Horizon 2」公式サイト
圧巻のグラフィックスで再現された地中海の風景
「Forza Horizon 2」の舞台は,フランスやイタリアといった,ヨーロッパでも地中海寄りの地域がモチーフとなっている。フランスはシストロン(SISTERON),ニース・マセナ(NICE MESSENA),サン・マルタン(SAINT-MARTIN),そしてイタリアはカステレット(CASTTELLETTO),モンテリーノ(MONTELLINO),サン・ジョヴァンニ(SAN GIOVANNI)という6つの街でドライブやレースが楽しめるのだ。
それぞれの街は「Horizon フェスティバル」というイベントの中継地で,その位置関係は実際のものとは異なるが,1つのオープンワールドとなっている。大都市特有の高層ビルや高速道路の複雑なジャンクションなどは見られず,プレイヤーの目の前に広がっているのは,のどかな田園地帯や山肌にびっしりと立ち並ぶオレンジ屋根に白壁の可愛らしい建物など。移り変わる風景のすべてがほのぼのとしていて,テレビや雑誌などで見られる地中海のイメージがそのまま再現されている。
さらに時間や天候の変化によってもその表情をころころと変えるので,リアルな地中海ドライブを満喫できるというわけだ。
また,前作「Forza Horizon」は道路以外の走行可能範囲がかなり制限されており,マップ内を自由に走り回れるとは言えなかった。そのため「オープンロードタイプ」と称されることもあったが,「Forza Horizon 2」では道路を外れても自由に走れるようになり,本格的なオープンワールドタイプのゲームになっている。とくにXbox One版はグラフィックス面が大幅に向上し,実写映像と見間違うほどのクオリティで風景や車が描かれている。
順位は関係ない移動区間でさえも熱い走りを楽しめる
「Forza Horizon 2」のシングルプレイは,前作と同じくHorizon フェスティバルを軸にしたストーリーが展開していく。プレイヤーは,広大なマップの各地で開催されるレースに参加し,ストリートレーサーの頂点を目指すのだ。ただ,その道中で野良レースに参戦したり,ドライブを楽しんだりと,ストーリーはそっちのけで寄り道ばかりしても一向に構わない。
まずは,最初のチャンピオンシップ開催地であるカステレットに移動することになるが,別の街への走行区間は「ロードトリップ」と呼ばれ,制限時間内に目的地に到達すればいい。ライバル達も一緒に移動しているのだが,レースではないので先着順を競う必要はまったくない……はずなのにレースゲーム好きの血が騒ぐのか,全力で目的地まで爆走してしまう。信号無視をしようがクラッシュしようがライバルカーにぶつけようが,一切おとがめはなく,修理代も発生しないので,気兼ねなく目的地までブッ飛ばせるのが楽しくて仕方ない。
ちなみに,目的地に移動するときには「デジタルアシスタント ANNA」がナビゲートをしてくれる。そのセリフがカーナビ特有の機械的なものではなく,「次を左に曲がって」「目的地に到着したわ」といった女性っぽい言い回しで気に入っている。まるで助手席に座っている彼女に言われているようで,個人的にグッと来ちゃったのはここだけの話にしてほしい。
それぞれの街には,10種類のチャンピオンシップグループが用意されている。このグループとはスーパーカーレース,オフロードレース,ラリー,アメリカンマッスルレース,クラシックカーレースなどで,参戦可能な車種やクラスを分類するカテゴリと考えていい。各グループには複数のレースイベントで構成されるチャンピオンシップが設定されており,1つの街で計28のチャンピオンシップが開催されることになる。当然ながら,そのすべてを制覇するには相当な時間が必要だろう。
そして1つのチャンピオンシップをクリアすると,次の開催地となる街までロードトリップ,そこで新たなチャンピオンシップを戦うという流れになっている。ちなみに,少々ネタばらしになるが,車だけでなく飛行機や汽車とのレースも開催されるので,そのバリエーションの豊富さはなかなかのものだ。
レースに入賞するとクレジットが手に入るだけでなく,その内容やスキルに応じて経験値を獲得し,プレイヤーレベルが上がっていく。多彩なドライビングテクニックを駆使しつつ,クリーンなレース運びで優勝を飾りたいところだ。
また,レースごとに5段階の難度(Easy,Medium,Hard,Pro,Crazy)やアシスト機能を設定でき,それに応じて獲得できるクレジットや経験値が変動する仕組みになっている。
最初に訪れるカステレットでは,「JDM Icons」というチャンピオンシップが自動的に選択される。これはスタートからゴールまで決められたルートで競う「スプリントレース」,未舗装路や畑の中なども走行する「クロスカントリー」,周回ルートで順位を競う「サーキット」という3つのレースで構成されている。
なかでもクロスカントリーは,本作から新登場となるレースイベントだ。道路以外の場所にチェックポイントが設定されているため,必然的に道無き道を進むことになるのだが,これが非常に難しい。畑の中ではリアが流れて走りにくいうえ,草木がジャマでタイムロスにつながってしまう。さらにコースのアップダウンが激しく,車体が上下に跳ねまくるため,理想のラインを走るのは至難の業。視界が悪い場所では,急に目の前に現れた障害物に激突するなど,何度挑戦しても苦杯をなめることになった。はっきり言って,筆者は猛烈に苦手だ。
ただ,ニュニュッと時間を巻き戻して自分のミスを無かったことにできる「リワインド」システムが健在で,とくにクロスカントリーでは数え切れないほど助けてもらった。
プレイヤーの分身がレースに乱入する「Drivatar」
レースに登場するライバルカーの走りは,Xbox One版だけの新要素「Drivatar」によって生み出されている。これはプレイヤーのドライビング特性を学習したAIがサーバーを通じて,それぞれのプレイヤーのレースに登場するもので,簡単に言えばプレイヤーの分身ということになる。それゆえに遠慮なくインに突っ込んできたり,派手にドリフトしながら走ったりと,実に人間くさい走りを見せてくれる。ゲーム難度のDrivatarレベルを高く設定すると,後ろに張り付いて左右に揺さぶってくるなど,人間くさい動作が顕著に現れる印象なので,腕に自信が付いてきたらぜひ試してみてほしい。
さらに面白いことに,自分のDrivatarもどこかの誰かのレースに参加して,そこでクレジットを獲得してくる仕組みになっている。自分がプレイしていない間にも,Drivatarはせっせとレースに参戦しているというわけだ。
日頃,シングルプレイではライバルカーに車体をぶつけながら荒っぽく走っているせいか,筆者のDrivatarが誰かのレースを荒らしてないだろうかと心配になってきた。いやー,ホントに不安だ。
ちなみにシングルプレイのフリー走行やロードトリップ中も,一般車だけでなくネームタグ付きのライバルカーが走っている。猛スピードで飛ばしたり,2台でつるんで走行したりしているので,当初はオンライン上のプレイヤーだと思っていて,後を追ったり体当たりをしたりと必死にコミュニケーションを取ろうと試みた。しかし,まったく反応はなく,それもそのはずで今思えばあれはDrivatarだったのだ。
なお,「Forza Motorsport 5」をプレイしているフレンドがいれば,「Forza Horizon 2」は未プレイでもDrivatarとして出現するようだ。Drivatarは背後をピタリと追走すると,1対1のインスタントレースを挑めるので,勝てそうな相手を見つけたら挑戦状を叩きつけてみよう。
バリエーション豊富なオンラインプレイ
本作のオンラインプレイはシングルプレイとは別の扱いになっており,それぞれの街にある「カーセッション」に入場する,またはポーズメニューから選択すればオンラインに切り替えられる。
オンラインプレイのゲームモードは,「オンラインフリー走行」「オンラインロードトリップ」,そして設定されたルートでレースを楽しめる「ショーダウンレース」が用意されている。いずれのモードもオンライン上のプレイヤーから参加者を募り,2名以上の参加があればセッションが開始となる。ただし,マッチングされたプレイヤーの中から参加者を募る形式なので,場合によってはセッションを立ち上げても誰も参加してもらえないこともあった。
オンラインフリー走行とオンラインロードトリップは,シングルプレイにおけるDrivatarがプレイヤーになったようなものだが,ショーダウンレースはオンラインならではの内容になっている。それぞれのプレイヤーが自分の車でレースに参加するため,当然のようにクラスはバラバラ。遅い車もあればアップグレードによって怪物と化した車もあるのだが,高クラスの車になればなるほどスタートが遅れる仕組みになっている。どんな顔触れでも接戦になるようなギャップのバランス調整が絶妙で,遅い車でも十分に勝てる可能性あるのだ。
また,フレンドのみでフリー走行やロードトリップを楽しめる「プライベートオンラインセッション」のほか,クラブを立ち上げたり,世界中のクラブに参加したりして最大1000人のプレイヤーとランキングを争うこともできる。オンラインプレイもバリエーションに富んでいるのが嬉しいところだ。
ゲームパッドでも車をコントロールする
楽しさを存分に味わえる
本作には,街でよく見られるような一般車から,筆者が一生働いても買えそうにないスーパーカーまで200台以上の車種が登場する。その中でも注目はパッケージに描かれているランボルギーニ ウラカンをはじめ,フェラーリの最新モデルであるラ・フェラーリやマクラーレンP1といった高級スーパーカーだろう。もちろん多数の日本車も収録されており,いずれの車種も外観だけでなく内装の細かい部分まで再現されている。さらに,現在配信中の「モービル 1 カーパック」を含むダウンロードコンテンツとして,今後も車種が追加される予定で,今から楽しみでならない。
Xbox One版のグラフィックスとシミュレーションエンジンは「Forza Motorsport 5」がベースになっているが,マシンの挙動特性は遊びやすさを追究したアーケード系に近い印象だ。ただ,荷重変動による挙動の変化やアップグレード,チューニングなどはリアルに反映されており,シミュレーション系のレースゲームが好きなプレイヤーでも楽しめると思う。
今回はXbox Oneの純正ゲームパッドでプレイしたのだが,「Forza Motorsport 5」では扱いづらかった車でさえ,比較的コントロールできるようになっている。アナログスティックでのステアリング操作は挙動を乱すと取り返しが付かないことが多いが,本作ではこのあたりがうまく調整され,ゲームパッドでも気持ち良くドライブできる。また,アクセルとブレーキは振動子を埋め込んだ「リアルトリガー」が気分を盛り上げてくれるので,レースゲーム初心者から熟練者まで幅広い層が楽しめるのではないだろうか。
また,庶民的な車でもパーツのアップグレードによって,スーパーカークラスにまで性能を引き上げられるのが面白いところだ。アップグレードできるパーツは車体やエンジン,駆動系,タイヤ,ホイール,エアロ,外装などで,とくに駆動系を換装すると,4WD(四輪駆動)をRWD(後輪駆動)に変更することも可能だ。まるで挙動特性が変わってしまうわけだが,こういった突拍子もないことができるレースゲームはちょっと記憶に無いので驚かされた。
やりこみ要素にも触れておくと,道路上にあるスピードトラップ(30か所)やスピードゾーン(15か所),マップ内に設置された看板のファストトラベルボード(150か所)やXPボード(100か所)を破壊するといったものが用意されている。また,規定の車を使って「スピードトラップで目標のスピードを達成する」「制限時間内に20回のニアミススキルを披露する」といった課題に挑戦するバケットリスト(30種類)がある。
そのほか,ラジオの情報を元に指定のエリアから往年の名車が入った車庫を探したり,フォトモードを使って登場するゲームに登場する全車種の写真を撮影したりする要素があり,いくら時間があっても足りないほどのボリュームだ。もちろん,この手のやりこみ要素はゲームの進行には影響がないものの,さまざまな報酬が手に入るのでぜひ挑戦してほしいところだ。
前作と比べると,やはり道路以外も自由に走り回れることがゲーム性に大きな影響を与えている。コースを大きく外れて大胆なショートカットが可能になったり,道無き道をひたすら爆走したりと,さらに自由度の高いドライブが楽しめるのだ。また,オープンワールドであることを存分に活かしたクロスカントリーの登場によって,レースイベントの幅も広がっている。地中海の雰囲気が漂う箱庭でお気に入りのスーパーカーを走らせたり,世界中の車好きと一緒にレースをしたりと,自分なりにドライブの魅力を追求できる一本と言えるだろう。
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(c) 2014 Microsoft Corporation. All rights reserved.Microsoft, the Microsoft Studios logo, Turn 10, Forza Horizon, Xbox,Xbox One, and the Xbox logos are trademarks of the Microsoft group of companies. Playground Games logo trademark of Playground Games.
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