
広告企画
[GDC 2025]Amazon Web Servicesのクラウドサービスはゲーム開発と運営をどう変えるのか――キーマンに聞く最新の展望【PR】
![]() |
Amazon Web Services(AWS)が2025年3月7日に発表した「Amazon GameLift Streams」は,ゲーム開発者が高品質で低遅延なゲーム体験をクラウド経由でプレイヤーに届けるための,新たな選択肢として登場したサービスだ。ゲームコードの改変を必要とせず,既存のインフラにスムーズに組み込める柔軟性と即時性を特徴としている。
![]() |
あらゆるデバイスのブラウザでゲームをプレイ可能に。AWSの新たな開発者向けサービス「Amazon GameLift Streams」発表

Amazon.comの関連会社であるAmazon Web Services(AWS)は本日(2025年3月7日),開発者向けサービス「Amazon GameLift Streams」を発表した。AAA級タイトルからインディーゲームまで,さまざまなゲームを簡単に,ブラウザ上でプレイ可能にできるサービスだ。
その発表直後に開催されたGDC 2025(Game Developers Conference 2025)では,AWSによるセッションや,EXPO会場のひときわ目立つ大きなブースでその概要が紹介されていた(関連記事)。
GDCを現地で取材していた4Gamerは,そんなAWSに「Amazon GameLift Streams」とゲーム技術の未来像について詳しく話を聞く機会を得た。AWSゲーム事業開発リーダーのShayan Sanyal氏と,日本のゲーム業界のお客様支援を統括するAJこと今井篤人氏にサービスの狙いや導入のメリット,そしてクラウドゲーミングがもたらす新しい可能性についての考えなどを聞いてきたので,その内容をお届けしよう。
![]() |
「Amazon GameLift Streams」情報ページ
「Amazon Web Services」公式サイト
[GDC 2025]AWSによるゲーム開発とサービスを変える最新ソリューションを体験――目玉はクラウドゲームサービスAmazon GameLift Streams【PR】
![[GDC 2025]AWSによるゲーム開発とサービスを変える最新ソリューションを体験――目玉はクラウドゲームサービスAmazon GameLift Streams【PR】](/games/251/G025174/20250320006/TN/030.jpg)
GDC 2025のAmazon Web Services(AWS)ブースでは,ゲーム開発から配信,収益化までを支える最新ソリューションが紹介されていた。本稿ではブースやセッションの取材を通して,注目のクラウドゲームサービス「Amazon GameLift Streams」を中心としたAWSの最新技術を紹介しよう。
AWSはどのような形でゲーム業界を支えているのか
まずはAWSのゲーム開発/運用向けサービスのベースとなる「Amazon GameLift Servers」(旧Amazon GameLift)について,あらためて軽くおさらいしておこう。
AWSというと,どうしても“インフラ”や“サーバー基盤”といったサーバービジネス事業者としての側面が強く想起されがちだ。しかし実際のところ「Amazon GameLift Servers」は,オンラインゲームの運用と開発を包括的に支援するサービスとしても高く評価されている。
たとえば,「Amazon GameLift Servers」が提供するSDKは,Unreal EngineやUnityといった主要ゲームエンジンに対応しており,プレイヤー管理やマッチメイキング,オンラインコミュニティ機能の実装など,ゲームに密接に関わるオンライン要素の開発をスムーズに行える設計になっている。
![]() |
「Amazon GameLift Servers」は,オンラインゲームサービスを提供するための基盤ネットワークサービスであり,2016年から提供されている。主に想定されている活用シーンは,一般的なマルチプレイヤー型のオンライン対戦・協力ゲームや,大規模な同時接続が求められるMMO型のオンラインゲームなどだ。
ゲームサービス提供者にとって,「Amazon GameLift Servers」を利用する利点は多い。代表的なものとしては,サーバー管理の自動化,強力なセキュリティ対策,サーバーの動的な増減(ダイナミックスケーリング),そして柔軟かつインテリジェントなマッチメイキング機能などが挙げられる。
サービス内容は多岐にわたるが,開発者から高く評価されているもののひとつを挙げるとすると,それは「GameLift Local」と呼ばれるテスト環境だ。
これは,自社のローカルサーバー上で,「Amazon GameLift Servers」によるサーバー環境をシミュレートしながら動作テストを行えるというもの。AWS上で本格的なネットワークプレイのテストを実施するには,それなりのコストが発生するが,「GameLift Local」を活用すれば,ローカル環境上で動作する疑似AWS環境にて問題点の洗い出しや修正が行えるため,開発とテストの反復作業を高効率で回すことが可能となる。
![]() |
ただの“プラットフォーム”ではない,AWSによる新しいクラウドサービスの考え方
ということで,インタビューではまず,AWSによるゲーム業界向けのクラウドサービス群である「AWS for Games」のサービス理念や,現在のゲーム業界での採用状況についてうかがってみた。
Shayan Sanyal氏(以下,Sanyal氏):
「AWS for Games」は,開発者がゲームをBuild,Run,Grow(構築,実行,成長)させるために必要なすべてを提供することを目指しています。ゲーム開発者が生み出した革新的なゲーム体験をさらに成長させることが私たちのモチベーションの源です。
世界最大級のゲーム事業者と協力しながら,すでに16年間にわたって運用を続けてきました。現在では,Roblox,「Fortnite」のEpic Games,「League of Legends」や「Valorant」のRiot Gamesといった著名な企業が私たちの顧客であり,各社のゲームサービスにその技術が活用されています。私たちはそれぞれの技術を融合させながら,より豊かなゲーム体験の提供に努めています。
今井篤人氏(以下,AJ氏):
AWS for Gamesでは,ビルドパイプラインの統括,高性能GPUを搭載した仮想ワークステーション,多様なアセット制作環境,そしてゲームバックエンドを構築するためのインフラストラクチャなど,オンラインゲーム開発に必要なあらゆる支援サービスを提供しています。つまり,開発者が使いやすいツール群と,チームで円滑に作業できる環境を整備しているのです。
また,近年では新規プレイヤーの獲得 / 維持や収益化に関する支援にも注力しています。ゲーム事業者ごとに異なるビジネスニーズやアーキテクチャの変革に対応し,その顧客であるプレイヤーの体験をパーソナライズしながら収益化を促進できるよう支援しています。
![]() |
さらに2人には,AWSが展開する生成AI技術についての最新動向や,ゲーム開発への応用可能性についても語ってもらった。
Sanyal氏:
AWSでは近年,「Amazon Nova」や「Amazon Q」といった生成AI技術を取り入れたサービスを展開しています。「Amazon Bedrock」※をベースに構築されたもので,Build,Run,GrowではGrowにあたります。
※Amazonおよび主要なAI企業が提供する高性能な基盤モデル (FM) を選択できるジェネレーティブAIアプリケーションを構築するための完全マネージド型サービス
「Amazon Nova」は,200種以上の多様な言語に対応したAIアシスタントのフレームワークです。特定テーマのデータを学習させれば,特殊なAIサービス運用にも応用できるものですね。
たとえばゲームに応用するとすれば,ゲーム世界に設定された世界観伝承や,あるいはゲームシステムについて学習させることで,プレイヤーを支援するAIアバター的な存在を作り出すことも可能です。
AJ氏:
「Amazon Q」に含まれるサービスのうち,「Amazon Q Developer」はプログラミングコード生成に特化したAIです。デバッグやトラブルシューティングにも活用できるので,ゲーム開発効率の向上にも利用できると思います。
クラウドベースの機械学習(ML)プラットフォームとして「Amazon SageMaker Studio」も提供中です。これはブラウザ上で生成AIの開発が行える統合型AI開発環境で,最近ではAmazon QがAmazon SageMakerに統合されました。
ゲーム開発は,最新AI技術と連携していくことでより進化が加速すると考えています。
![]() |
GDC 2025で注目を集めた「Amazon GameLift Streams」はゲーム体験をどう変える技術なのか
ここからは,GDC 2025出展のメインとも言えるブース展開で注目を集めていた「Amazon GameLift Streams」について聞いた内容をお届けしよう。
![]() |
これまで聞いた話をまとめると,「Amazon GameLift Streams」はつまりゲーム開発やサーバー運営に関わる中核サービスである「Amazon GameLift」(現Amazon GameLift Servers)に追加された新機能という位置付けになるということになるが,果たしてその認識で間違いはないだろうか。
Sanyal氏:
そのとおりです。「Amazon GameLift Streams」は「Amazon GameLift Servers」の新機能で,顧客であるゲーム事業者が開発したゲームを,フルHD(1920×1080),60fpsで即座にストリーミング提供できるクラウドゲーミングソリューションです。先ほどのBuild,Run,Grow(構築,実行,成長)では,Runに当たるサービスです。
利用方法はゲーム事業者によってさまざまでしょう。他社が行ってきたクラウドゲーミングサービスとは技術的に共通する点はあっても,ビジネスモデルは根本的に異なります。なぜなら,「Amazon GameLift Streams」は一般消費者向けではなく,ゲーム事業者向けのソリューションだからです。なお,一般向けのクラウドゲーミングサービスとしては,すでに「Amazon Luna」を展開しています※。
※筆者注:「Amazon Luna」は2020年から北米でスタートし,現在は欧州の一部地域にもサービスを拡大しているが,日本を含むアジア圏ではまだサービスは提供されていない
――2025年3月に「Amazon GameLift Streams」が発表された際には,「Amazonがクラウドゲームサービスを始める」といった主旨での報道が少なくなかった。実際,その報道自体に誤りはないのだが,「Amazonがクラウドゲーミングのゲームプラットフォームを開始する」というふうに捉えてしまった人が少なからずいたように思う。
しかし話を聞いてみると,「Amazon GameLift Servers」に「Amazon GameLift Streams」という名称のクラウドゲーミング機能が搭載された……と理解するのが正確なようだ。
Sanyal氏:
「Amazon Luna」と同じストリーミング基盤技術を活用していますが,ビジネスモデルが異なります。「Amazon Luna」はAmazon自身が運営するクラウドゲーミングサービスですが,「Amazon GameLift Streams」はゲーム事業者が自社主導でサービスを展開するための仕組みです。
![]() |
――つまり一般向けクラウドゲーミングプラットフォームである「Amazon Luna」とは異なり,「Amazon GameLift Streams」はゲーム事業者向けに提供されるもので,ゲームタイトルごとに独自の料金体系や利用条件を設定したクラウドゲーミングの提供が可能になるというわけだ。
たとえば,あるメーカーが有料制のオンラインRPGを展開していた場合,プレイヤーは自宅ではPCやコンシューマ機でゲームをプレイし,外出先では同じアカウントを使ってスマートフォンからクラウド経由でプレイを継続するといった使い方が想定される。
このとき,ユーザーはあらためて別のクラウドゲーミングサービス(「Amazon Luna」など)に加入する必要はなく,ゲーム自体の提供形態の一部としてクラウドプレイが実現されるという点がポイントだ。ゲームソフトを購入し,そのオンラインサービスに有料アカウントで参加していれば,追加費用なしにクラウド経由でもプレイできるといった形態も,ゲーム事業者側の判断で実現可能になるという。
この仕組みによって,クラウドゲーミングがより柔軟に,そしてサービスとして一体化されたかたちで導入されていく可能性があるわけだ。AJ氏はさらに続けて説明する。
![]() |
AJ氏:
クラウドゲーミングの最大の利点は,世界中の何十億台ものデバイスを“ゲームデバイス化”できることです。「Amazon GameLift Streams」を利用すれば,ゲーム事業者は自社のブランドやタイトル名を前面に押し出した独自のクラウドゲーミングサービスを展開できます。
とくにゲーミングPCや家庭用ゲーム機の普及が進んでいない地域にも高品質なゲーム体験を届ける手段として有効だと考えています。
Sanyal氏:
もうひとつ強調したいのは,「Amazon GameLift Streams」ではゲームのコードベースの改造が一切不要なことです。これは多くの開発者が長年求めてきたことであり,我々もこの課題に真正面から取り組み,そして実現を叶えられました。
従来のクラウドゲーミングでは,ストリーミング対応のために大規模な再構築が必要になるケースもありましたが,「Amazon GameLift Streams」では数クリックで展開が可能です。開発者はゲームをビルドし,AWSにアップロードし,ストリーミング対象のリージョンと必要な容量を設定するだけで,テストをすぐに開始できます。
AJ氏:
「Amazon GameLift Streams」では,ゲームを配信前にテストし,適切なプレイヤー体験を提供できるようにするための解析ツールや支援ツールを多数提供しています。こうした試みまでを提供したクラウドゲーミングサービスはなかったと思います。
![]() |
――ある既存のクラウドゲーミングサービスを例に挙げると,Windows向けに開発されたPCゲームをクラウドで動かすためには,いったんLinux OSへの移植が必要となり,さらにはグラフィックスAPIの呼び出しもVulkanに書き換える必要があった。こうした対応は,開発者にとって大きな負担となるのではないかとして,当時業界内でも話題となった経緯がある。
「Amazon GameLift Streams」には,同様の“移植コスト”は本当に存在しないのだろうか。
Sanyal氏:
「Amazon GameLift Streams」では,Windowsベースのビルドをそのままクラウドゲーミングサービスに展開できます。
そのゲームをWindowsベースとするのか,Linuxベースとするのかはゲーム開発者が選択でき,我々はその両方をサポートしています。もちろん,運用コストを重視する場合には,Linuxベースを選択することも可能です。
――既存のクラウドゲーミングサービスには,使用できるCPUやGPUの仕様(性能)に上限が設けられていることもあった。これはゲーム開発元が考える最高のゲーム体験の提供に妥協を強いられる可能性にもつながるが,「Amazon GameLift Streams」の場合はどうなのだろうか。
![]() |
Sanyal氏:
「Amazon GameLift Streams」は,ゲーム開発者に幅広い選択肢を提供しています。
我々は実際にGPUの供給面でNVIDIAと提携し,異なる性能特性を持つGPUを用意しているため,開発者は自身のゲームに最適なハードウェア構成を選択できます。各系列には,Windows,High,Ultraという3つのバリエーションがあり,ゲームの要件に応じて柔軟に選択できます。もちろん,その運用コストは,さまざまな要因で上下しますが。
AJ氏:
具体的には,選択するStream Class(GPU,CPU,メモリ),サービス対象リージョン,使用するOS(WindowsかLinuxか)といった要因がコストに影響します。
それとコスト面では,選択いただいたコンピューティングリソースとストレージ容量に対する秒単位の従量課金制を採用しています。逆に,月間や年間の固定契約料金といったものはありません。
コスト管理の観点では,LinuxやProtonランタイムの利用も効果的です。また,マルチテナントのサポートという点も重要です。これは,1つのGPUを仮想化して複数のゲームを実行する形態です。GPU負荷の高くないカジュアルゲームの場合,1つのGPUで複数のゲームを動作させることで,コストを大幅に削減できます。
Sanyal氏:
データセンターのコストに関する相談は,我々が最も得意とするところです。ストレージ容量の計画,リージョンごとのデータセンター配置,サービスの有効化や起動方法のスケジュール立案などについて,我々がゲーム事業者に寄り添ってアドバイスを提供しています。
![]() |
AWSは世界でどのように展開し,そして日本のゲーム業界になにを提案するのか
最後に,AWSはどのような技術をもって世界にサービス展開しているのか。日本のゲーム業界に向けた現在の状況や今後の展望を聞いたものをお届けしよう。
クラウドサービスといえば,真っ先に気になってくるのが遅延問題。そしてそれは,多くのゲーム開発者,そしてプレイヤーたちが注視しているポイントだと思う。この低遅延を実現するための工夫や取り組みに,何か特別な要素はあるのかを聞いてみた。
Sanyal氏:
低遅延を実現するための“特別なレシピ”というものは存在しません。ただ,我々はAmazon Lunaのサービス提供を通じて,遅延を短縮するための多くの知見を得てきました。
具体的に説明すると,遅延の発生源は大きく分けて[ゲームコントローラ(クライアント端末)]←→[ネットワーク]←→[クラウド上のゲームサーバー]の間に存在します。
Amazon Lunaの開発と運用を通じて,私たちはこの各段階における遅延の最適化技術を獲得しました。たとえば現在では,使用するゲームコントローラやクライアント端末の種類によって,遅延に大きな差が出ることはほとんどありません。
AJ氏:
ネットワークもまた,遅延の大きな要因のひとつですが,これについても同様に最適化が進められています。
当社のグローバルネットワーク,すなわちAWSのネットワーク・インフラストラクチャ上で発生する遅延は,すべて高度に最適化された設計となっています。
クラウドゲーミングでは,ユーザーに地理的に近い場所からゲームをストリーミングすることで,ネットワーク遅延を最小限に抑えることが重要です。「Amazon GameLift Streams」は現在,主要な国や都市で利用可能となっています。たとえば日本のユーザー向けにゲームをストリーミングする場合は,東京リージョンのAWS拠点から配信されます。同様に,アメリカのユーザーには東海岸,西海岸,ヨーロッパのユーザーにはフランクフルトやダブリンなど,人口の多い主要都市に近いリージョンからコンテンツを配信します。
このように,AWSは継続的にグローバルインフラストラクチャを拡大しています。「Amazon GameLift Streams」が利用できる新しいAWSリージョン等が追加されるたびに,より多くのユーザーが低遅延のゲームストリーミングを楽しめるようになります。技術面では,「Amazon GameLift Streams」はWebRTCプロトコルを採用しています。この技術と,独自のストリーミング技術の最適化により,1080p解像度,60fpsのハイクオリティなゲーム体験を提供しつつ,遅延を最小限に抑える努力を続けています。
我々の目標は,プレイヤーがクラウドでゲームをプレイしていることを意識せずに楽しめるような,スムーズで応答性の高いゲーム体験を提供することです。そのために,継続的な技術革新と最適化に取り組んでいます。
これはAWSのネットワークが,提供する各サービスやワークロードごとに最適な形で構築・運用されているためです。言い換えれば,AWSインフラストラクチャを使うということは,事実上,低遅延なクラウド基盤を利用することと同義だと言えるでしょう。
![]() |
さて,日本は言わずと知れた一大ゲーム大国である。コンピュータゲームの黎明期からゲーム文化を支えてきた多くのゲーム事業者が日本にはある。
そうした日本のゲーム事業者には「Amazon GameLift Streams」をどのように受け止められているのか。そしてAWSはどのように日本へアピールしていきたいと考えているのか。
AJ氏:
日本のゲーム事業者からは,「Amazon GameLift Streams」のテスト環境を高く評価していただけています。
ゲームのビルドをそのまま「Amazon GameLift Streams」上でテストできて,「GameLift Local」を使ったローカル環境で動作させた疑似AWS上で,ネットワークを介したプレイのテストもすぐに行える。日本のゲーム事業者は,デバッグなどの品質管理(QA)プロセスに力を注ぐ傾向がありますから,この部分を効率よく実践できることは,魅力的な要素として捉えていただいているようです。
――現在の日本では,円安の進行に加え,物価の高騰が続いている。ゲーム機を例にとると,北米でそれぞれ約500ドル,約700ドルで販売されているPlayStation 5およびPlayStation 5 Proが,日本ではそれぞれ約8万円,約12万円という価格で販売されているのが現状だ。
一方で,インターネットの通信環境については,速度の水準は今も世界的に見て高く,かつ価格について大きな変化もない。通信インフラが安定しているという点において,日本は依然として強みを持っている。こうした現状は,「Amazon GameLift Streams」のようなクラウドゲーミングサービスが日本市場に展開されるうえで,ひとつの追い風となり得るのではないだろうか。
Sanyal氏:
円安とゲームデバイスのコストバランス。これは,先ほど私が述べた話とも近いと言えるでしょう。つまり,シンクライアント(Thin-Client)でゲームをプレイすることに,経済的な合理性が生まれてきたということです。
私自身,AAAクラスの超ハイエンドなグラフィックスのゲームを,別室に置いたゲーミングPCで動かし,それをSteam Deckにストリーミングして楽しむことが多いのですが,日本のようなネットワーク環境であれば,その体験に近いレベルのプレイが,「Amazon GameLift Streams」を通じて容易に実現できるでしょう。
![]() |
AJ氏:
現在,日本国内で「Amazon GameLift Streams」をご活用いただいている初期のお客様としてバンダイナムコエンターテインメント様がいらっしゃるほか,非常に多くのゲーム事業者様から高い関心を寄せていただいています。
ご利用方法はさまざまです。たとえば,開発中のゲームを世界中のテスターに即座に配信できるQAテストプラットフォーム,さらには数秒で起動するプレイアブル広告など,「Amazon GameLift Streams」の技術革新と共に,その応用範囲は急速に拡大しています。
――“数秒で起動するプレイアブル広告”については,GDC 2025のスポンサードセッション「Unleash Game Streaming with Amazon GameLift Streams」でLudeoの事例が紹介されており,インタビューでもあらためて聞くことができた。
Ludeoはゲームのハイライトシーンを即座にプレイ可能な形で共有できるインタラクティブなプラットフォームだ。ゲームファンはトレイラーを見る感覚でゲームを立ち上げ,インストールなしで1分程度のゲームの体験版がプレイできる。
デモの制作や公開はシンプルで,開発者はこれを使ってコミュニティとのつながりを強められる。こうした仕組みを支えているのがAWSで,ほかのメーカーでもこのようにゲームを気軽に体験できる場所を提供できるのがポイントだ。
![]() |
「Ludeo.com」ベータ版
最後にAJ氏から日本のゲーム業界へのメッセージを伝えたい。
AJ氏:
日本には,世界的に見ても非常に優れたゲームIPが数多く存在しています。私たちの夢のひとつに,そういった日本のゲームIPを世界中のプレイヤーに高品質に届けたいというのがあります。
開発費の高騰や,どのタイトルがヒットするのか予測が難しい状況,そしてユーザーの嗜好の多様化。ゲーム業界は今,さまざまな課題を抱えながらも,ある種の転換点に立たされていると感じています。その中で,私たちが提供する技術やサービスが,ゲーム業界に新しい成長をもたらす一助となることを信じています。
日本のゲーム事業者の皆様に,AWSのソリューションを活用し,これまでにない新しいゲーム体験を世界へ発信していただけるよう,今後も全力でサポートしていきます。
![]() |
今回のインタビューを通じて,AWSがゲーム開発や運営向けに行っているクラウドサービスは,単なるクラウドゲーミング技術ではなく,ゲーム開発者や事業者にとって,柔軟かつ実用的な選択肢を提示するソリューションであることがよく分かった。
とくに日本のような高速で安定したネットワーク環境を持つ市場では,その導入が新たな可能性を切り開くかもしれない。今後,どのようなタイトルや企業がこの仕組みを採用し,どのようなゲーム体験を届けてくれるのかにも注目だ。
![]() |
「Amazon Web Services」公式サイト
「Amazon GameLift Streams」情報ページ
[GDC 2025]AWSによるゲーム開発とサービスを変える最新ソリューションを体験――目玉はクラウドゲームサービスAmazon GameLift Streams【PR】
![[GDC 2025]AWSによるゲーム開発とサービスを変える最新ソリューションを体験――目玉はクラウドゲームサービスAmazon GameLift Streams【PR】](/games/251/G025174/20250320006/TN/030.jpg)
GDC 2025のAmazon Web Services(AWS)ブースでは,ゲーム開発から配信,収益化までを支える最新ソリューションが紹介されていた。本稿ではブースやセッションの取材を通して,注目のクラウドゲームサービス「Amazon GameLift Streams」を中心としたAWSの最新技術を紹介しよう。
- 関連タイトル:
Amazon Web Services
- この記事のURL: