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[CEDEC 2015]アニメの世界をVRで再現するには。SCEJAとサテライトが提唱する新しいVRコンテンツの作り方
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印刷2015/09/08 19:23

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[CEDEC 2015]アニメの世界をVRで再現するには。SCEJAとサテライトが提唱する新しいVRコンテンツの作り方

 PlayStation 4(以下,PS4)用の仮想現実対応型ヘッドマウントディスプレイ(以下,VR HMD)「Project Morpheus」(以下,Morpheus)を開発するソニー・コンピュータエンタテインメント(以下,SCE)にとって,仮想現実(以下,VR)のメインコンテンツがVRゲームであることは,論を待たない。とはいえ,VRをコンピュータエンターテイメントの新しいメディアとして見れば,ゲームとは異なるコンテンツも当然あり得るだろう。
 そうしたゲーム以外のVRコンテンツとして,SCEは,アニメスタジオのサテライト(http://www.satelight.co.jp/)とのコラボレーションにより開発された「“AKB0048”דアクエリオン”多次元スペシャルライブ」(以下,スペシャルライブ)というVRコンテンツを,東京ゲームショウ 2014(以下,TGS 2014)で披露したことがある。

TGS 2014のSCEブースで公開されたスペシャルライブの映像より。体験者はMorpheusを装着して,目の前で繰り広げられる戦いを体験する
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秋山賢成氏(ソフトウェアビジネス部 次長,SCEJA)
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 このスペシャルライブ開発で得られた知見と,今後の展開について説明するセッション「Project Morpheusが具現する新しいアニメのカタチ ―アニメ業界とゲーム業界の融合とミライ―」が,CEDEC 2015で開催された。興味深い話の多いセッションの概要をレポートしよう。
 講演を担当したのは,SCEジャパンアジア(以下,SCEJA)の秋山賢成氏である。


全周映像のVRコンテンツには,テレビとは異なる視線誘導技術が必要


 秋山氏が最初に説明したのは,テレビの画面を前提としたコンテンツと,VR HMDのような全天視界の画面用コンテンツにおける作り方の違いだ。
 テレビ画面では,矩形の画面が表現領域のすべてであり,矩形領域に最適化された構図や演出で,映像を制作するのが基本的なルールであった。ゲームもそれは同じである。

ゲームもアニメも,テレビ前提の画面演出が行われてきた
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 一方,VRでは,360度全周の映像となるので,ユーザーが映像のどこを見ているかは,ユーザー次第になってしまう。しかし,物語を楽しむというゲーム/アニメのコンテンツの性質からすれば,ドラマが進行するのは,全周映像の特定方向や特定領域に限られる。つまり,必要に応じてユーザーに特定方向を見てもらわなければならないわけで,それを実現するには,VRコンテンツならではの演出や視線誘導のテクニックが欠かせない,と秋山氏は説明した。

VRでは狭い矩形画面とは違った,VRならではの空間演出法を検討する必要がある
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 そうはいっても,全周映像のVRコンテンツである以上,ユーザーが常に一方向だけを見続けさせるのはコンテンツとして面白みがない。だからといって,FPSのように自由に動き回らせるのも,3D酔いやVR酔いといった問題につながる。

VRコンテンツはどこでも見られる全周映像が特徴だ。しかし,仮想世界を自由に歩き回れるようにすると,酔いといった問題が出てくる
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 そこで秋山氏は,シナリオや演出に工夫することで,視線誘導や行動予測のヒント――ある方向を見たり,ある方向に移動したりしたくなる要素――を与えることで,あたかもユーザーの意志で特定方向に移動したり,特定方向を見ているかのように感じさせて,没入感を高めていくことが必要だと述べる。

明確に見せたいドラマやストーリー進行があるVRコンテンツでは,行動の自由を制限させること必要だ
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 なお,スペシャルライブの制作には,Epic Gamesのゲームエンジンである「Unreal Engine 4」(UE4)が採用された。UE4を採用したのは,PS4とMorpheusにUE4自体が対応していることに加えて,映像業界のクリエイターにも使いやすいように工夫されたカットシーンエディタ「Matinee」が標準搭載されていること,そしてさまざまな映像コンテンツを変換して流用できるファイルフォーマット「Autodesk FBX」が利用できるといった理由があったという。こうした要素は,CG映像を使ったゲーム以外のコンテンツで,UE4が採用されるときの大きな理由となっている。

日本でも,ゲーム外での採用事例が増えているUE4を,スペシャルライブ制作でも使用した。ほかでもVRコンテンツ制作での採用事例は増えている
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スペシャルライブに採用されたテクニック

慎重な検討のうえでセオリーから外れた演出も導入


 ここからセッションは,サテライトとスペシャルライブを共同制作していくなかで,アニメ的コンテンツをVRコンテンツとして実現する際の知見を,細かく説明していく実践的な話題に進んでいく。スペシャルライブの映像を矩形画面用に切り出したものが上映されたので,まずはこれを見てほしい。


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 最初に説明されたのは,360度の全周映像において「ユーザーにどこを見てもらうか」という視線誘導のテクニックだ。
 スペシャルライブでは,敵アクエリオン(以下,敵ロボ)が空から舞い降りてくるシーンがある。制作側は,ユーザーに敵ロボの登場シーンを見てもらいたい。そこで,敵ロボが降下してくる前に,空から地上に向かって光が差し込む演出を,時間的にやや余裕を持った状態で挿入したそうだ。さらに,「何か上から来ます!」という台詞も入れて,声でも視線誘導を行っている。

ユーザーが上を向くように,ややわざとらしいくらいの視線誘導演出が必要だった
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 もし,視線誘導の演出にユーザーが注目していなかったとしても,ユーザーをコンテンツからおいてけぼりにするわけにはいかない。とくにスペシャルライブでは,夜の都市上空を舞台として,美少女キャラクター達が立体的な軌道で周りを飛び回るため,キャラクター達を見失うと,どこを見るのが正解だか分からなくなりかねないと懸念された。
 そこでスペシャルライブでは,少女達が乗るホバーボードのような乗り物が飛ぶと,飛行機雲のように航跡が光点として残るようにしたことで,ユーザーがどこを向いていても,少女達の行く先が分かるという工夫を盛り込んだという。

ユーザーがキャラクター達を見失っても,どこに飛んだかが分かるように航跡を表示することで,ドラマが進行している方向に視線を早く向けられる工夫を盛り込んだ
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 登場する敵ロボは巨大なので,ユーザーの視界では敵ロボットの足しか見えないという状況もありえる。それはそれで,巨大な敵のスケール感を演出できるのだが,そのあとの戦闘ドラマが敵ロボの胸から上の空間で繰り広げられるので,ユーザーが目線を上に持っていくように誘導しなくてはならない。
 しかし,急に上を見上げるような動作は,VR HMDを被った状態ではやりにくい動きであるし,「ここで上を見る」という演出意図を感じ取ってくれないユーザーもいるかもしれない。そこで,そうしたシーンでは,敵ロボが空から降りてくるときに,自動的に視線を上向きに動かす視線操作を加えたそうだ。
 ユーザーが意図しない視線操作は,VR酔いの原因にもなりやすいのだが,この上向き視線操作は,上を見ようとするユーザーの意図から外れたものではないので,酔いの問題は生じなかったとしている。

急激に上を向く場面では,強制的な上向きの視線移動を行うことで,ユーザーが首を上に向けやすくしている
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 アニメ業界で「画ブレ」(がぶれ)と呼ばれる,映像全体を振動させる表現を採用するに当たっても,試行錯誤があったと秋山氏は振り返る。
 重量物が着地したときの衝撃や,攻撃を受けたときのノックバックを表現する唐突な画ブレは,VRコンテンツ制作の定石としては「使うべきではない表現」に当たるのだが,これを入れないと,肝心の戦闘シーンに迫力が出ない。そこで,画ブレのタイミングや速さ,長さなどを吟味して,「ここまでであれば大丈夫だろう」という落としどころを見つけたうえで,最終的に採用したということだった。

 秋山氏によれば,「揺れが大きいと酔いやすいが,一定以上大きな揺れにしてしまうと,揺れと感じられない場合もある」そうだが,そこまで大きく揺らしてしまうと,映像がなんだか分からなくなってしまう。シーンの流れに依存する要素も多分にあるため,最適な画ブレ量は,シーンごとにケースバイケースで慎重に考えていく必要があると述べていた。

テレビアニメでは定番の演出である画ブレだが,VRでこれを採用するかは十分に検討を重ねる必要がある
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最終的にはいくつかのシーンで画ブレを採用した
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 画ブレの程度を検証するサンプル映像が公開されたので,下に動画を掲載しておこう。これを見ると,適度な画ブレを加えた最終版がしっくりとくることが分かる。


 画ブレ同様に,慎重に検討したうえで採用された要素に,ロール・ピッチ方向の視点操作がある。知っている人も多いだろうが一応説明しておくと,ロールとは,前を向いた状態で首を左右に傾けるように,前後方向の軸に対して回転する動きのことで,同様にピッチは,首を上下に傾けるような,視点の上下回転のことだ。
 こうした視点操作は,ユーザーが見ている視界全体を動かすことになるため,現実世界で静止した状態と仮想世界での動きにギャップが生じるので,酔いやすいカメラ演出として避けられる傾向にある。

地平線を斜めに構えるような視線演出や,ロール・ピッチ方向の視点移動は,VR酔い防止の観点からは避けるべきというのがセオリーだ
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 しかしスペシャルライブでは,「無限パンチ」というムチ状のパンチ攻撃がユーザー視界を大きく巻き込むように飛んでいく表現に迫力を与えるため,短時間ではあるが,あえてロール・ピッチ方向の視点操作を導入したそうだ。
 制作側は問題ない程度と判断したそうだが,常に使える演出方法ではないという自覚もあるそうで,画ブレと同様に,導入は慎重に判断すべきである,と秋山氏は注意していた。

スペシャルライブでは,迫力を優先して短時間だけ導入に踏み切った。しかし,画ブレと同様に慎重に検討すべきと秋山氏
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スペシャルライブ制作で得られた反省点


 こうして制作されたスペシャルライブは,TGS 2014で公開されたわけだが,その制作時間はわずか1か月半だったそうで,「時間がまったく足りなかった」と秋山氏は振り返る。そのため,盛り込みたいすべてのVR演出を実装することはできず,秋山氏は「今だからいえる」といういくつかの積み残した要素や反省点を挙げた。

 1つめは,「仮想空間に登場するオブシェクトのスケール感が,現実とややかけ離れていた」というもの。本来であれば,現実世界でのスケール感に合わせて,オブジェクトの大きさを調整したかったそうだ。
 本作では,人間キャラクターに対して建物がやや小さく作られているため,こうした建物がユーザーの近くを通りすぎると,3D立体視ではスケール感の嘘くささがばれてしまうのだという。「テレビ画面では気付かれにくいが,VRでは気を付けるべきポイント」の1つといったところだろう。

 2つめは,さまざまな音響効果や効果音が,単純にステレオミックスされてしまっているという点だ。
 本来であれば,3Dポジショナルサウンド技術を利用して,ユーザーの向きや位置関係に応じた音量や定位の制御を行わなければならないのだが,本作ではそれを省略してしまったのだという。UE4自体は,3Dポジショナルサウンドに対応したVRコンテンツを制作可能なので,純粋に制作時間が足りなかったそうだ。

 3つめはインタラクティブ要素が盛り込めなかったこと。
 スペシャルライブは,ユーザーが何かを操作することのできるVRコンテンツではなかったが,ユーザーの位置や頭の向きはシステムが把握している。つまり,技術的にはキャラクター達がユーザーに目線を送ることもできたのだが,これも制作時間に余裕がなくて盛り込めなかったという。
 TGS 2014公開版では,キャラクターの目線は固定されていたそうだが,ユーザーが基準位置からずれていなければ,自然と目線が合うように調整はされていたとのこと。

スペシャルライブで盛り込めなかった要素
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 また秋山氏は,アニメ業界とゲーム業界との間で,CGコンテンツを制作していく過程やシステム面の相違から,苦労してしまったという要素も説明した。今後増えていくかもしれない,ゲームエンジンを使ってインタラクティブなVRアニメ的コンテンツを制作するプロジェクトに関わる人には,「現場からの声」として有益なものとなりそうだ。

 まず1つは,アニメーションのデータ構造にまつわる問題だ。
 筆者の別記事でも触れているのだが,アニメ業界がオフラインレンダリング(プリレンダー)のCGアニメを制作するときは,自然で複雑な動きを表現するためリグ(ボーン)構造を複雑に作り込む傾向があるという。しかし,リアルタイム前提のUE4とは,リグ構造に関する細かな仕様上の違いがあり,「Maya」をはじめとした3D CG制作ツールで作り込んだデータ構造が,そのままUE4で使えないこともある。
 秋山氏によると,本作の制作過程でも「UE4にコンバートできたと思って安心していたら,想定どおりの動きになっていない部分があった」とのこと。3Dモデルやリグ構造を本格的に作り込む前に,初期段階から実機(ここではPS4とMorpheus)で動作確認をしたほうがいい,と警告していた。

変換できたからといって,動く保証はない。実機での早期確認が必要だと秋山氏は強調していた
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 2つめは,想定した質感や見た目が再現されているかを早期にチェックする必要性だ。これもオフラインCG中心のアニメ業界と,リアルタイムCG中心のゲーム業界との,いわば文化的な違いから生ずる問題点である。
 マテリアル(シェーダー)表現やポストエフェクトといった各プロセスは,オフラインCGとリアルタイムCGでは,制作アプローチが微妙に違うという。そのため,オフラインCG文化で制作したコンテンツが,なるべくそれに近い形でリアルタイムに描画できる基本パイプラインの構築を,初期段階から設計しておく必要があると,秋山氏は強調する。

描画パイプラインはもちろん,材質表現やポストエフェクトに至るまで,オフラインCGとリアルタイムCGとでは手法が微妙に異なる。このギャップを吸収する技術やパイプラインの形成を,しっかり行っておくことが大事。なお,本来は入れる予定だった輪郭線(線描)表現は,処理負荷が原因で盛り込めなかったとのこと
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 3つめはシンプルで,性能面での最適化が必要なことだ。
 オフラインCGの世界では,基本的にリアルタイム描画など考えていないため,データセット(アセット)を持ってきてそのまま実機で動かそうとすると,動くには動くがフレームレートが不足したり不安定になったりと,処理負荷が問題になることがある。しかし,一通りコンテンツができあがってから性能面の最適化を行うのは,時間を浪費するうえに作業の難易度も高くなる。そのため秋山氏は,事前に処理負荷の予測を行って,初期段階から性能面を意識した制作を行うべきであると主張していた。

 スペシャルライブで例に挙げられたのは,ムチ状にパンチが伸びる「無限パンチ」という必殺技のシーンだ。これは,ゲームでいうところの「多関節表現」になるので,部品パーツを数珠つなぎにしたオブジェクトを制作して,鎖状の動きを表現するのが一般的なやり方だ。しかし,本作では当初,多関節オブジェクトを構成する基本パーツ1つが3万ポリゴン程度もあったそうで,リアルタイム描画に支障をきたしたそうだ。ゲームの世界では,遠近表現をともなって大量のオブジェクトが同時出現する場合,低ポリゴンモデルを組み合わせたLevel of Detailシステムを導入するのが定石であるが,当初はやっていなかったという。
 結局,公開版では,300ポリゴンの低ポリゴンモデルを組み合わせることで,処理負荷の改善を達成したそうだ。後知恵ではあるが,最初からそうすべきだったということなのだろう。

処理負荷を意識した制作にも気を付ける必要がある,と秋山氏。性能面の最適化を後回しにするのは得策ではない
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アクエリオンをテーマにしたMorpheus向け新VRコンテンツを制作中


 セッションの後半では,スペシャルライブの実質的な制作を担当したサテライトのプロデューサーである畑 秀明氏と,ディレクターの畑山勇太氏が登壇し,現在制作中という新作のVRコンテンツデモをステージ上で披露した。現在,制作の山場というこの新作も,サテライトが手がけてきたアクエリオンシリーズをテーマにしたものだ。

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畑 秀明氏(デジタル部制作課 CGプロデューサー,サテライト)
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畑山勇太氏(デジタル部制作課 CGディレクター,サテライト)

 新作の制作にあたっては,スペシャルライブで実装しきれなかったインタラクティブ性と3Dポジショナルサウンド(※秋山氏は「オブジェクティブサウンド」と呼んでいた)を実装するのに加えて,UE4が持つグラフィックス表現をフルに生かした内容となるように,制作初期段階からリアルタイムVRを意識して制作を行っているという。
 ちなみに,新作コンテンツの制作には,UE4を使ったコンテンツ制作のプロ集団として名高いヒストリア(関連リンク)も,サポートの形で参加しているそうだ。

SCEJA×サテライト×ヒストリアの3社共同による新作VRプロジェクトが制作中
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ステージで披露された開発中の新作コンテンツによるデモ。上の映像は体験者が見ているもので,右下に写っているのが体験者。両手にPlayStation Moveを持っているのが分かるだろうか
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 前作に当たるスペシャルライブは,視点操作だけの受動的なVR体験だったが,新作のアクエリオンVRデモでは,2本のPlayStation Moveをそれぞれ左右の手に持って,巨大ロボットの手足を操縦する体験ができるようになっている。

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 また,見どころの1つとして挙げられていたのは,カットインで表示されるサポート役の女性キャラクター達だ。これらは3D CGではなく,アニメスタジオであるサテライトが作画した2Dアニメーションであるそうだ。VR体験に2Dアニメーションを融合させる表現に挑戦してみたかった,というのが導入動機とのことだが,アニメの世界に没入するという本作のコンセプトに,見事ハマっていると思える。


 この新作アクエリオンVRデモは近日公開予定とのこと。あくまで予想だが,東京ゲームショウ2015あたりで公開されるのではないだろうか。

スペシャルライブと新作コンテンツの制作を通じて,サテライト側が得た知見
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 サテライトでは,一連のVRアニメコンテンツ制作プロジェクトを通じて,VRというものに大きな可能性を感じたそうだ。完成したゲームではなくても,十分楽しめるVRコンテンツが作れそうだという手応えが最大の収穫だったようで,これからもこうしたコンテンツ制作に挑戦していきたいという意欲を,畑氏らは示していた。
 とくに,長年のアニメ制作で積み重ねた演出やストーリーテリングの手法は,VRコンテンツでも効果的に活かせる局面が,前作の制作でも数多くあったとのこと。そうした確信や自信が,サテライトにさらなる挑戦への意欲を与えたのだろう。いずれにせよ,SCEJAとサテライトが手がけた一連のVRコンテンツには,アニメスタジオだからこそできた,ゲームとは違うVRコンテンツの可能性が見えていたように感じられる。
 こうした「ゲーム以外のVRコンテンツ」を作ろうという動きが,ほかのアニメスタジオにも広がっていき,1ジャンルとして成り立つほどになれば,VRのユーザー層拡大にもつながるのではないだろうか。

セッションのまとめ。ゲーム業界とアニメ業界のコラボプロジェクトは,他業種によるVRコンテンツ制作の参入事例として大いに参考となるだろう
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CEDEC 2015 公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    PlayStation VR本体

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