プレイレポート
「バットマン:アーカム・ナイト」のプレイレポートを掲載。自分が思い描くバットマンになり切ろう
本作は,コミックや映画でおなじみの「バットマン」を題材としたオープンワールドタイプのアクションゲームで,「バットマン アーカム・アサイラム」「バットマン アーカム・シティ」に続く“アーカムシリーズ”3部作の最終章となるタイトルだ。
アーカムシリーズは,自由度の高いゲーム性と,バットマンの世界観を高いクオリティで再現したストーリー,美しいビジュアルなどにより,世界中で高い評価を受けている。その最新作は果たしてどのように仕上がったのか。そのプレイレポートをお届けしよう。
コミックや映画を原作としない完全オリジナルのストーリーが展開される本作。前作「アーカム・シティ」は,バットマンの宿敵,ジョーカーが死ぬという衝撃の展開で終わったが,その後もゴッサム・シティにはスケアクロウやリドラー,トゥーフェイスなど,まだ多くのヴィラン(悪役)がうごめいており,新たなる敵アーカム・ナイトまでがバットマンの前に立ちはだかる。
3部作の完結編なので,前2作をプレイしていたほうがストーリーやキャラの関係性は理解しやすいが,予習しておかないと話についていけなくなるような内容ではない。
オープンワールドのゴッサム・シティを舞台に,犯罪組織の活動を阻止していくという基本の流れは「アーカム・シティ」から変わっていない。ストーリーを進めるメインミッションに加えて,さまざまなサブミッションが用意されているが,どのように進めるかはプレイヤー次第だ。
ミッション内容は「敵を倒して進め」のようなシンプルものから,「爆弾をゆっくり運べ」「敵に気付かれず倒せ」「暗号を解読しろ」「証拠を見つけろ」などさまざま。特殊な操作を求められたり,パズルゲーム的にうまく順番を考えて行動しなければならないものなどもあって,飽きが来ない。
ミッションが“ブツ切り感”や“お使い感”を感じさせない作りになっているのも好印象だった。最初に指示された通りに動いて,完了したら次のミッションへ,というのではなく,例えば目的地への移動中に予期せぬ敵の攻撃を受けて,戦闘が始まるといった構成になっている。言ってみれば,さまざまな内容の小さなミッションが自然な形でつながって1つのミッションを構成しているといった感じで,その滑らかな進行からは映画的な雰囲気すら感じられた。
バットマンのアクションは,大きく分けて「移動」「運転」「攻撃」「捜査」の4種類だ。以下でその詳細を説明しよう。
■移動
バットマンの特徴的な移動方法は「グラップリング」(ワイヤーアクション)と「グライド」(空中滑空)だ。グラップリングで高所に登ってからグライドで滑空するのが基本だが,ワイヤーをうまく使って滑空距離を伸ばしたり,急降下して窓を突き破ったり,敵の真上から音もなく飛び降りて背後から攻撃したりといった応用テクニックも用意されており,“バットマンらしさ”は十分だ。たた単純に移動してるだけでも,空中散歩をしているようで楽しい。
■運転
バットマンで運転とくれば,もちろんバットモービルだ。本作のバットモービルはまるで装甲車のようなデザインで,開発陣によるとスーパーヘビースポーツカーをイメージしたという。かなりのスピードで走行でき,ドリフトのように車体後部をスライドさせてコーナーをクリアしたときはなかなか気持ちいい。ミッションには「時間内に特定のコースを走破しろ」といったレースゲームのようなものもあるので,操作に慣れておくといいだろう。
また,本作のバットモービルはいつでも「バトルモード」に変形できる。バルカン砲と60mmキャノンによる攻撃のほか,ウィンチを使って障害物を引っ張ったり,スキャナーでターゲットのタイヤ痕を追ったりといったことも可能という,戦車のようなモードだ。その分移動力は落ちるが,通常モードのバットモービルだと高速すぎて通りにくい場所を,バトルモードでゆっくり移動するといった使い方もできる。
■攻撃
本作の戦闘システムには,前作から引き続いて「フリーフローコンバット」が採用されている。ボタンを連打するだけで自動的にコンボがつながるため,アクションが苦手なプレイヤーでも華麗に敵を撃破できるのが特徴だ。ただし,カウンターなどの一部攻撃は連打しすぎると発動しない場合があるので,ゲームに慣れはじめたら,うまくタイミングを図って戦ってみよう。
ロビンやキャットウーマンなど,バットマン以外のヒーローは,前作でも「Challengeモード」で操作できたが,本作ではストーリーモードの特定ミッションでもバットマンと一緒に戦えるようになった。この「デュアルプレイ」では,戦闘中に操作キャラクターを切り替えられ,操作していないキャラクターは自動で戦ってくれる。デュアルプレイでもフリーフローコンバットは有効で,ボタン連打でコンボがつながるだけでなく,コンビ技まで自動的に発動してくれてありがたい。ただし,バットマンの特殊能力(後述の捜査モードやバットモービルの呼び出し)は,当然ながらほかのキャラクターの操作中は使えないので,その点は注意が必要だ。
■捜査
プレイ中に方向キーの上を押すと「捜査モード」となり,ゲームの映像がスキャナーを通したものに切り替わる。重要なオブジェクト(隠し通路や物影に隠れている物体,敵など)を透視できる。ミッションがうまく進められない場合に周囲をくまなく確認したり,攻撃する前に敵の配置や向きを予め把握したりといった感じで使うといいだろう。
壊せる壁や隠し通路を見つけないと進めない場面もあるので,捜査モードにはお世話になるはず。オレンジ色に光っているのが敵や重要オブジェクトだ |
壁や屋根の外側から透視して,建物の内部にいる敵の位置や向き,窓や通気口などの出入口を確認できる。敵の背後からスニーキングアクションで倒し,無駄な戦闘を省こう |
こういったアクションにはレベルやスキルツリーといった要素があり,レベルアップで獲得したポイントを消費して,バットマンやバットモービルの攻撃力や耐久力を増強したり,新たなスキルを獲得したりといったことが可能だ。
操作は慣れが必要な部分もあるが,アクションゲームとしては比較的簡単な部類に入るだろう。特定のアクションを使わないとクリアが難しくなるミッションもあるが,ゴリ押しで何とかなる場面も多く,そのあたりの難度設定は絶妙なバランスだ。
特に序盤はろくに操作方法を覚えていない状態でもサクサク進めるため,「よく操作方法を分かっていないけど,このまま進めて大丈夫かな?」と思ってしまうほどだが,心配は無用だ。必要な操作はその都度画面に表示されるほか,新しい装備を入手した場合など,慣れが必要だと思われる操作に対してはチュートリアルが用意されている。
ここまでさまざまな要素を紹介してきたが,本作の魅力や面白さは“バットマンになり切れる”ゲーム性にあると思う。空を自由に舞う,ひたすら強い,肉体だけでなくハイテクも駆使する……等々,人によってバットマンの印象は異なるだろうが,プレイヤーそれぞれのバットマンを可能な限り実現し,できるだけ簡単に操作できるようにしたいという意思を,本作からは強く感じられる。
戦いで勝つために必要なのは,アクションのうまさよりも,場面に合わせた適切なガジェット選択やフィールドにあるギミックの把握,倒すべき敵の確認といったものだ。要は戦いに入る前に落ち着いて少し考えれば,ボタン連打だけでも華麗にバットマンとして活躍できるというわけである。
PS4世代に特化して作られただけあり,グラフィックスの美しさも申し分なく,ゴッサム・シティを見て回るだけでも楽しめるはず。スケールの大きなアクションゲームを遊びたいと思っている人は,この夏,バットマンとしてヴィラン達を叩きのめしてほしい。
「バットマン:アーカム・ナイト」公式サイト
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BATMAN:ARKHAM KNIGHT software (c) 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. Developed by Rocksteady Studios. BATMAN and all characters, their distinctive likenesses, and related elements are trademarks of DC Comics. (c) 2014. All Rights Reserved.
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