プレイレポート
「大航海時代V」のプレイレポートを掲載。本作はシリーズの魅力がしっかり詰め込まれた,まぎれもないナンバリング最新作だ
※3月19日時点でサービスの一時中止を決定。3月20日〜25日にオープンβテストを実施。3月26日に正式サービスとして再会予定だ(関連記事)
「大航海時代V」公式サイト
1990年に登場したシリーズ第1作から数えて5番めのナンバリングになる本作だが,前作(IVのPC版リリースが1999年2月26日)から実に15年ぶりのナンバリング作品になる。ひょっとすると,この大航海時代シリーズを知ったキッカケが海洋冒険MMORPG「大航海時代 Online」だという読者も少なくないかもしれない。ともあれ,本作が発表されてから,どんな作品になるのか気になっていたファンが多いだろう。
これまでのナンバリング作品は,PCやコンシューマゲーム機でシングルプレイ向け作品としてリリースされてきたが,今作はブラウザゲームとしてサービスがスタートすることになる。この発表から,当初はマルチプレイをベースとしたオンラインゲームになるのではという憶測も飛び交っていた。しかし,リリース発表後に行った「こちら」のインタビューでは,シングルプレイを重視とした作品であることが明らかになっている。興味ある人は記事を参照してほしい。
さて,本作のプレイヤーが最初に降り立つのは,大航海時代と言えばやはりここ,ポルトガルはリスボンだ。
主人公(プレイヤー)の父親で海図職人の「ラモン」は,主人公がまだ幼いころに航海で消息を絶ってしまう。彼の残した宝石「ラピスラズリ」を糧に生活していた主人公は,幼なじみで親友の航海士「ジュピトル・フェルナンデス」からの誘いで,船団をまとめる提督として「賢者の石」を探す航海に出る。すべて集めると「すごいことが起こる」というその石を集めたとき,主人公は父親との再会も果たすことができるのだろうか……といったところが本作のプロローグだ。
ゲームをスタートするとプレイヤーは,ジュピトルやニーナ,その祖父ロッコからアドバイスを受けながら,チュートリアル的なストーリーを進めることになる。ちなみにニーナの祖父ロッコは,シリーズファンにお馴染みの「ロッコ・アレムケル」その人だ。ラモンという名前もシリーズファン(とくに大航海時代III)であれば気になりそうだが……本人なのか,それとも?
疑問は尽きないが話を戻そう。ゲームを開始当初は,このチュートリアルに沿って進めていけば,操作方法や大まかな遊び方は迷うことなく理解できるはず。ただ,最初こそ詰まる場所はないのだがストーリーが展開していくと,目的から目的をつなぐ過程の部分で,プレイヤーが取れる選択肢が一気に広がっていくのだ。このため,とくにプレイヤーに求められる金貨,つまりお金を稼ぐ手段で少し迷ってしまうかもしれない。
そんなわけで,少し前置きが長くなってしまったが,本稿では大航海時代Vのお金稼ぎの手段や注意点を考えながら,本作の要素を紹介していこう。
さあ船出だ! の前に大切な「船」と「航海士」を確認
軽くおさらいしておくと,「大航海時代」シリーズの特徴は「探検」「交易」「海戦」という三つの要素を基本にゲームを進めていくということ。そして,そのどれかだけでも生計を立てる手段になりうる自由度の高さがあることだ。それらは,本作でもしっかりと継承されている。
この三つの要素を,それぞれ簡単に説明すると,海を冒険して,新しい街や上陸地点,遺跡を発見する「探検」。街から街へ交易品を運びお金を稼ぎ,投資を行って街を大きくする「交易」。敵国の船団や海賊船を相手に戦う「海戦」と覚えておいて間違いないだろう。
そして,それらの要素を楽しむために重要な存在が「船」と「航海士」だ。史実の大航海時代をモチーフにするだけあって「船」がないと始まらないのは当然として,「航海士」はどのような役割を担っているのだろうか。
本作では,一つの船に対して3人の航海士を配置し,その3人に「探検」「交易」「海戦」のいずれかを担当させることができる。航海士は,船の担当場所と同名の三つの能力値が設定されており,配置した場所の能力値がプレイヤーの船団の力に加算される。なので,基本的には航海士の一番高い数値を参考にして,担当の配置を決めればいいだろう。また,「おまかせ編成」で自動設定することも可能だ。
航海士はストーリーを進めることでも手に入ることがあるのだが,基本的には「スカウト」での入手が主になるだろう。
スカウトは文字どおり,自分の船団に航海士をスカウトする機能で,NP(航海ポイント)を消費するポイントスカウト,優秀な航海士が手に入るかもしれないスカウトチケット,そしてジュエル(有料ポイント)を消費してレア以上確定の優秀な航海士が手に入るプレミアムスカウトが用意されている。
ポイントスカウトは1日1回無料で利用できるうえ,NP自体がゲーム中のいろいろな場面で手に入るので,ポイントが足りなくて苦労するといったことはほとんどなさそうだ。手に入れたものの出番がないという航海士も,育成(いわゆる合成だ)に利用できるので,どんどんスカウトしていけばいいだろう。
特殊なスキルを所持している航海士も存在する。スキルを持っていない航海士も覚醒(最大レベルの航海士と同じ航海士を使った転生のようなもの)させることで取得できるようだ |
この航海士は「列伝クエスト」を持っているようだ。列伝クエストはその航海士にちなんだ内容になっており,クエストの難度は高い。見事にクリアできれば,航海士(同名のすべて)にスキルが追加されるうえ,豪華な報酬が得られる |
なお,1日1回(0時に回収される),ほかのプレイヤーから船を借りることができる。借りた船に乗っている航海士の能力は,そのまま船団の力に加算されるので,能力の高い航海士を連れたプレイヤーとフレンドになっておくと,有利にゲームを進めていけるだろう。
このように,基本的には毎日2隻での冒険が保証されているのだが,さらなる戦力増強を考えて船を増やしたいところ。船が増えれば,その船に乗せる航海士の分だけ単純に船団の力が増すのでかなり重要だ。
とは言っても,ただ造船所に行って船を注文すればすぐに船団を大きくできるといった甘い話はない。まずは,プレイヤーレベルを上げて多くの船を持てるようにしなくてはならないのだ。具体的には,レベル10きざみで所有できる船の枠が一つずつ増え,レベル60で最大の7隻まで所有(船団に組み込めるのは最大4隻)できるようになる。ちなみに,プレイヤーレベルを上げるには,航海や交易などの行動をしたり,クエストをクリアしたりすることで得られる「名声」を溜めればいい。
というわけで,航海士も船も用意できたところで,三つの要素について細かく話していこう。
世界を「探検」して行動範囲を広げよう
大航海時代と言えば,世界がどのような形をしているのかまだ曖昧な時代。未知の街,遺跡を探して,プレイヤーは世界を「探検」する。
探検の基本は当然「航海」だ。プレイヤーの手元には,海岸線だけが分かる海図があり,航路を海図上で実際に指定して海を移動することになる。指定した地点には最短移動航路が設定されるので,基本的には目的地を直接選択すれば問題ない。
なお,通過した海岸線付近に何か――例えば街があれば「発見」できる。そのまま入港してもいいが,無視して航海を続けてもかまわないので,そのときの状況に応じて選択しよう。そんなこともあり,なんとなく海岸線沿いを通って目的地に向かいたくなるのだが,移動距離に応じて「必要行動力」が増えていくので注意してほしい。
行動力はプレイヤーが何かを行うために必要なポイントで,さまざまな場面で消費される。3分に1ポイント回復するほか,有料アイテムを使って回復可能だ。このあたりは,ブラウザゲームやスマートフォン向け作品でも多いシステムなので,ご存じのプレイヤーも多いだろう。そして,プレイヤーレベルがアップすれば回復するのも同様なのだが,まだ行動力が少ない序盤にあまり無駄に航路を設定すると,レベルが上がる前に行動力が尽きる可能性が高いのでオススメできない。
ストーリーが進むと新たな海図が入手でき,新しい海域を探検できるようになる。その海域にどんな街や遺跡があるのか楽しみだが,何やら現実の海岸線と異なる海図も手に入る。しかも,なぜかゲーム世界の海岸線まで,おかしな海図と同じように変化してしまうのだ。
これはシリーズ初のシステム「マルチポルトラーノ」によるもの。ゲーム中,実際の海岸線が描かれた海図のほかに,明らかに異なる海岸線が描かれたものが手に入るのだが,こうした同じ海域の海図を2枚以上手に入れると,プレイ中に入手できる宝石「ラピスラズリ」を一つ消費して,ゲーム中の世界の海岸線を本当に入れ替えることができる。
例えば,イベリア半島のバレンシアからビルバオまで移動するには,本来は一度西進してジブラルタル海峡を抜け,大西洋側を北上。海岸線に沿ってさらに東進……と結構な距離を移動することになる。しかし,海岸線が変化すると,たとえばスペイン側の半島とフランス側の大陸に海峡ができ,ほぼ直線で移動できるなんてことになってしまうわけだ。なかには大陸深くまで続く巨大な水道が出現し,船で行き交うことができないはずの内陸の街まで航海できるようになってしまう海図もある。
こうした地図を描いたのは,どうやら主人公の父親であるラモンらしいのだが……この謎を追うことも本作の主題の一つになっている。
ともあれ,海図はラピスラズリがあれば,(プレイヤーのいる海域以外)任意で切り替えられる。移動に有利な海図はどれか,交易に有利な海図はどれか……と,プレイヤー自身の手で選択できるのは面白い。もしかすると,当時存在しないスエズ運河が,そもそも海峡だった……なんて地図もあるかもと,いろいろ想像してしまう。
探検の舞台は海だけではない。航海中に発見できる「拠点」には,遺跡や発見物が眠っている可能性があるのだ。拠点に上陸すると,その拠点から「調査」が行え,そこに遺跡があれば「発見」できる。さらに「調査」を進めると遺跡を「発掘」できるようになり,ミニゲームをとおしてアイテムや発見物を見つけられる。なお,発掘は発掘pt(ポイント)を消費して行う。回復方法は,航海をすることなので,発掘ptが尽きたら別の冒険に赴けばいいだろう。どんなものが世界には隠されているのか,各地を冒険して見つけ出そう。
街から街へ「交易品」を運んで地道に金策
大航海時代におけるお金稼ぎの基本と言えば,やはり「交易」が中心になるだろう。街から街へ移動するときに,とりあえず交易品を船に積み込んでおき,次の街でそれを売り払う。そしてその街で交易品を積み込み……と,世界を旅しながら取引していくのだ。
基本的には,手に入れた交易品が売られていない街に行けば,購入価格よりも高く売れるはずなので,少なくとも序盤は相場を気にする必要はほとんどない。注意しなければいけないのは,船団の交易担当の能力値だ。というのも交易品には購入に必要な最低限の交易能力値が設定されているからだ。積み荷が入手できないのでは,交易どころの話ではない。
なお,船ごとに購入限界数が設定されており,当然だがその数を超えて交易品を積むことはできない。また,船がダメージを受けるなどして状態が低下すると,それに合わせて限界数も減少してしまうので注意が必要だ。
また,街に対して投資を行うことで,その街の交易所に新しい特産品が追加されたり,より価値の高いものに入れ替わったりすることがある。それぞれの街には,都市レベルが設定されており,投資によってそのレベルが上がっていくという仕組みで,その効果が交易品にも反映されるわけだ。プレイヤーが街を育てると考えればいいだろう。
もっとも,お金をそれほど持っていない序盤は,大量に資金を投資するのはちょっともったいないし,投資1回で行動力を5も消費してしまう。「もっと余裕ができたら始めよう……」くらいの認識でよさそうだ。
ともあれ,本作の投資は特徴あるものになっているので,紹介はしておこう。というのも,本作における投資は簡単なミニゲームになっていて,そのミニゲームで良い成績を収めると,投資の効果が上昇するという仕組みだ。
行動力を5消費して投資を行うと,まず一定の金貨(都市レベルによってを枚数が異なる)を消費するのだが,このとき3枚のカード(0〜8――ここでは9のカードが出ないようだ)が配られる。そこからカードを1枚選び「確定」すると,そのカードの数値×5%が投資効果として反映される。つまり大きな数字を選べば投資効果が高くなるわけだ。
しかし,どうせならもっと高い効果を狙いたくなるもの。そこで出てくるのが追加投資だ。カードを選んで初期投資の1/10を追加で「投資」すると,もう1枚カードが配られてくる。このとき選んだカードとの合計がちょうど「9」だと投資効果が2倍になるのだが……9を超えてしまうとBurst(バースト)し,投資効果が50%になるというデメリットもある。9未満の場合はさらに投資できるが,確定させればその合計×5%が投資効果として反映される。要は,ブラックジャックのルールと同じだと考えればいい。
敵船を沈めて一攫千金。序盤の金策としてかなり優秀な「海戦」要素
中世の航海と言えば,海賊が付きものだ。ストーリーはもちろん,プレイヤーがいる海域の海図上には,さまざまな国の船団や海賊が登場する。そして,プレイヤーがその気なら,いつでもこうした敵船に対して,海戦が挑めるようになっている。
海戦が始まると,まずは両陣営の全艦一斉射撃による「砲撃合戦」が行われる。ここで決着が付かなければ,ターン制による「各個撃破」に移る。
各個撃破では,プレイヤーと敵NPCがそれぞれ攻撃手段を選択する。選べるのは,「近距離攻撃」「遠距離攻撃」「中距離攻撃」の三種類で,それぞれの攻撃は三すくみの関係になっている。具体的には,近距離は遠距離に強く,遠距離は中距離に強い。そして中距離は近距離に強いといった感じだ。うまく敵の選択に対して強い攻撃方法を選べば海戦が有利に進み,逆なら損害が大きくなってしまう。
船によって得意な攻撃方法があり,得意な距離で攻撃したほうが敵へのダメージは大きくなる。ぜひ狙いたくなるが,敵はその隙を狙ってくるかも? |
近距離攻撃が得意な敵に対して,中距離攻撃が得意な船が攻撃。ここは中距離攻撃を選択して大ダメージ! と思いきや,そんなに甘くはなかった…… |
ちなみに,海戦系のクエストで手に入るお金は,序盤としては結構な額で,ストーリー上で要求される金額を集めるのにオススメの手段だ。しかも,敵船を倒すとお金や船の造船などで今後必要になるであろう「資材」や「船装備」,さらに「NP」まで入手できたりと,かなりメリットが多い。もちろん,強い敵に挑んでしまうと危険だが……。
船がボロボロ……とまではいかなくても,積み荷の量に影響が出るようなら,造船所で修正しておこう。通常の修理だと,最大で80%まで回復できるが,修理材(有料アイテム)を使った完全修理で100%まで回復させられる。うっかり修理を忘れて,敵船に突っ込まないように,船の状態には気を配っておこう。
「大航海時代」シリーズらしい自由度を持つ,まぎれもないナンバリング最新作だ
というわけで,序盤を一通り遊んでみたが,プレイフィールはかなり快適だった。海域の移動も航海中に起こるイベント以外は過程がカットされ,実質20〜30秒ほどで移動が完了する。どの行動でも,基本的にすぐ結果が出るので,インタビューで聞いていたとおり,シングルプレイの作品と同様の感覚で遊べるという印象だ。
その一方,プレイが快適なのであちこちへ移動したり,発掘や交易,投資,海戦など,いろいろ挑戦したくなるのだが,あまり寄り道をしてしまうと,プレイヤーレベルが上がる前に行動力が尽きてしまう。というか,気がついたら尽きていた(発掘や投資をついつい繰り返してしまう……)。
プレイヤーレベルのアップに時間がかかるようになったころ,行動力の総量と消費のバランスがどのようになっているのかも気になるところだ。
ともあれ本作は,ゲームとしての派手さこそ控えめな作品だが,プレイヤー自身の遊び方で進められる自由さなど,「大航海時代」シリーズの魅力がしっかりと詰め込まれた作品になっていると感じられた。とくに,チマチマと蓄積を重ねていくゲーム性が好きな人(シリーズファンに多いのではないだろうか)に,オススメできそうな作品だ。
ちなみに,今回の数日間のプレイ程度では,地中海周辺をうろうろしていただけで序盤も序盤といったところ。国同士の親密度を気にしたり,ほかの国に移籍したり,そして遠くの国へ旅立ったりと,これからできることはまだまだ数多くある。アップデートで海図の種類も増えていくだろうし,ボリュームの心配は当面必要なさそうだ。
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大航海時代V Around the World
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