ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアから,2016年5月19日にダウンロード専用タイトルとして発売予定のPlayStation 4用アクションゲーム「
Shadow of the Beast」。本作は,1989年に海外で発売された同名タイトルを大幅にリメイクしたものだ。日本国内でもPCエンジンやメガドライブに
「シャドー・オブ・ザ・ビースト 魔性の掟」として移植されているので,そちらをプレイしたことならあるという人もいるのではないだろうか。
PS4版の開発を手掛けたHeavy Spectrum Entertainment Labsは,オリジナル版の開発元であるReflectionsの旧メンバーを中心に構成されたスタジオだ。一見しただけですぐに分かるとおり,グラフィックスは当時の雰囲気を踏襲しつつもUnreal Engineによって美麗に描き直され,アクション面においてはさまざまな新要素を取り入れることで,まったく別のゲームと言っていいほどに大きく生まれ変わっている。
今回はそんな本作のプレイレポートをお届けしようと思うが,その前に1つ注意点がある。なんと本作では,敵の血を吸収することでさらに残虐な技をアンロックするというゲームシステムを採用。このため,
CEROレーティング「Z」(18歳以上のみ)となっているのだ。
筆者は最初,そのことを知らずにプレイを開始し,主人公・
アーブロンのバイオレンスな戦いっぷりを見てびっくり仰天した。どおりで盛大に血しぶきが飛び散るわけだ……。
掲載しているスクリーンショットの中には,やや過激なものも含まれているので,残虐描写が苦手な人は十分注意してほしい。
大きく進化した残虐アクションで敵を蹴散らせ!
本作のストーリーは,宇宙の支配を目論む魔術師・
マレトスの忌まわしき実験によって獣(ビースト)の姿にされ,奴隷戦士として戦わされていたアーブロンが,自らをビーストに変えた張本人に復讐するために孤独な戦いを繰り広げるというもの。アーブロンは赤ん坊の頃に誘拐され,ビーストとなった際に人間だったときの記憶を失っていたが,ある戦いをきっかけに自分が人間だったことを思い出し,諸悪の根源であるマレトスに反旗を翻したのだ。
元は人間だったアーブロンは,復讐のためにたった一人で血みどろの戦いを繰り広げる。慈悲はない
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基本的なゲームシステムはオリジナル版と同様の横スクロールアクションだが,その中身はゲーム全体が1つの大きなマップとなっていたオリジナル版から,ステージクリア型のものへと再構成されている。ステージには,単に敵を倒して先に進むだけでなく,仕掛けを動かして進路を切り拓いたり,どこかに隠されたアイテムを探したりといった探索要素もあり,最後に登場するボスを倒すとクリアとなる(ボスがいないステージもある)。
グラフィックスは3Dで描かれているので,イベントシーンなどの要所ではカメラアングルが大胆に動き,演出面でもなかなかの見ごたえ
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ステージをクリアすると,そのステージにまつわるストーリーをアンロックできる。特定の条件を満たさないとアンロックできないものもあるので,繰り返しプレイしてすべてのストーリーを開放しよう
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また,アクション面も大きく進化している。オリジナル版と同様のジャンプとヘビーアタック(=通常攻撃)はもちろん,スタン攻撃や掴み攻撃,カウンターやブロック,ローリングによる回避やパリイ,さらには倒した敵の血を吸収することで蓄積されるブラッドゲージを消費して繰り出すコンバットムーブ(=特殊攻撃)など,非常に多彩なアクションを行える。
敵に飛びついて生命力を吸収するコンバットムーブ。成功するとアーブロンのHPが回復するので,プレイ中はかなりお世話になるはず。それにしても,すごい量の血しぶきだ
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こちらは敵を串刺しにし,その心臓を切り裂くコンバットムーブ。成功すると大きなスコアボーナスを獲得できる。もちろん,もれなく大量の血しぶきが飛び散るおまけつき
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プラズマガンを使った特殊攻撃もある。敵を持ち上げ,爆発性のビームを体内に直接叩き込むという荒技だ。こちらは発動時にHPを2消費する代わりに,成功するとブラッドゲージが1つ回復する
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そして,アーブロンのアクションの中でも最大の見せ場と言えるのが,ブラッドゲージを最大値の3つ蓄積すると発動可能な
「レイジチェイン」だ。レイジチェインの発動中はカメラアングルが切り替わり,左スティックを左右に倒してタイミングよく□ボタンを押すと,反撃を受けることなく連続して敵を仕留められる。敵を1体倒すごとに次の入力のタイミングが早くなり,成功させるのが徐々に難しくなっていくが,うまくレイジチェインを決めたときの爽快感は格別だ。
レイジチェインを連続で決めたときの爽快感は抜群。あたり一面,血の海になるのは言うまでもない
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充実のやり込み要素にも要注目!
本作では,ステージをクリアした際のスコアが
「マナ」と呼ばれるポイントに変換され,これを使ってアーブロンの能力を強化したり,多彩なアートワークをアンロックしたりといったやり込み要素が用意されている。
これらの要素は,ショップ機能である
「ウィズダム・オブ・シャドー」を通じてアンロックできるが,ちょっと変わっているのはその中の
「禁書」項目にある,各種族の言語を翻訳する機能だ。
ウィズダム・オブ・シャドーでは,ゲーム内で集めたマナを使って,アーブロンの能力を強化したり,さまざまなコンテンツをアンロックしたりできる
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ゲーム内に登場する種族は,それぞれ独自の言語を話し,その際に表示される字幕も種族ごとに固有の文字が使われている。最初のプレイでは何を言っているのかさっぱり分からず想像するしかないが,翻訳機能をアンロックして字幕が読める状態でもう一度ゲームをプレイしてみると,また違った印象を受けるだろう。
翻訳機能をアンロックする前は,他種族の言語はこんな風に表示される。うん,さっぱり分からん
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そしてもう1つ特筆しておきたいのが,ウィズダム・オブ・シャドーにある
「ヒストリー」項目で,本作のオリジナルである
Amiga版「Shadow of the Beast」のエミュレーションバージョンをアンロックできる点だ。オリジナル版のプレイヤーには涙がちょちょ切れるほどの嬉しいおまけだが,遊んだことがなかったという人にとっても価値あるコンテンツと言える。また,オリジナル版はかなりの高難度で知られているが,これをなんと無限ライフでプレイできるようになるチート設定も別途アンロックできる。
昔懐かしい,Amiga版「Shadow of the Beast」も収録。新旧2作を遊び比べてみよう
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しかし,それでも自分でプレイするのは面倒くさいという人には,オリジナル版のクリア動画まで用意されている。これさえ見れば(もちろん,その前にアンロックする必要はあるが),オリジナル版がどんなゲームだったかをばっちり理解でき,PS4版との違いや共通点をより深く把握してゲームを楽しめること間違いなしだ。
このほかにも,本作をより純粋にアクションゲームとして極めたいという人のためにスコアランキングが用意されており,世界中のプレイヤーと簡単にスコアを競い合えるようになっている。
今回は開発版でのプレイだったのでオンラインのスコアランキングが表示されていないが,製品版の発売後には世界中の猛者達のスコアがずらりと並ぶはず
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本作は全7ステージ構成で,アクションゲームがそれほど得意でなくても3〜4時間で1周クリアできるくらいのボリュームだが,こうした豊富なやり込み要素のおかげで遊び応えは十分すぎるほど。ステージを途中でリタイアしても,それまでに稼いだスコアがきちんとマナに変換される親切設計になっており,テンポよく新要素をアンロックしていけるので,自然とモチベーションも上がってくる。
すべてのコンテンツをアンロックするために,ゲームを遊び込んでどんどんマナを溜めよう
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グラフィックスとゲームシステムのどちらを見ても,オリジナル版とはまったく別物と呼べるゲームに仕上がっているPS4版「Shadow of the Beast」。ダウンロード専用タイトルということで価格は2160円(税込)と低く抑えられており,たっぷり用意されたやり込み要素のおかげで価格以上に遊べるゲームとなっているので,アクションゲームが好きな人はぜひどうぞ。