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続・各篇のテーマを一言で教えて!「チェインクロニクル3」ストーリーインタビュー第2弾。“GUILTY GEAR”コラボの裏話もイタダキィ
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印刷2017/06/22 12:00

インタビュー

続・各篇のテーマを一言で教えて!「チェインクロニクル3」ストーリーインタビュー第2弾。“GUILTY GEAR”コラボの裏話もイタダキィ

 2017年4月,メインストーリーがとても面白いと評判である,スマホ向けRPG「チェインクロニクル3」iOS / Android。以下,チェンクロ3)の物語に焦点をあてたインタビューを実施した――まではよかったが,時間が足りなかったために5人の主人公の物語のうち,2つの話を取りこぼしてしまった。

「チェインクロニクル3」
ストーリーインタビュー第1弾


 それでいて「まあ,そのうちね」な気持ちでいた矢先のこと,4月の「進撃の巨人」とのコラボに続き,チェンクロ3が新たなコラボ先として,アークシステムワークスの対戦格闘ゲーム「GUILTY GEAR Xrd REV2(ギルティギア イグザード レヴツー)」PC / PS4 / PS3 / AC。以下,GGXrd R2)を指名したとの情報が入った。GGXrdシリーズは4Gamerでも推しているだけに,これは話を聞いておかねばなるまい(※GGXrd R2公式攻略サイトも運営中)

 というわけで今回はストーリーインタビュー第2弾と題して,前回触れられなかった「エシャル篇」「アマツ篇」の話題に加え,GGXrd R2とのコラボに関する裏話を聞いてきた。参加者は前回と同じく,チェンクロ3の総合ディレクター・松永 純氏,シナリオチームリーダー・西 次郎氏,開発プロデューサー・井上周祐氏の3名だ。

左から井上周祐氏,松永 純氏,西 次郎氏
画像集 No.005のサムネイル画像 / 続・各篇のテーマを一言で教えて!「チェインクロニクル3」ストーリーインタビュー第2弾。“GUILTY GEAR”コラボの裏話もイタダキィ

今回登場するコラボキャラクターたちの一部
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「チェインクロニクル3」公式サイト

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1000万DLに続いて,アルカナも1000種類を突破


4Gamer:
 セレステ篇から始まった第3部のストーリー第4章「大祭前夜」ですが,同篇は前回のインタビューで聞いたとおり,壮大な“SF”に突入していて興味津々です! ただそれは置いておきまして,今回は5つの物語のうち,前回触れられなかった「エシャル篇」と「アマツ篇」の第3章までについて,詳しく聞かせてもらおうと思います。

松永 純氏(以下,松永氏):
 はい,分かりました。よろしくお願いします!

4Gamer:
 と,まずは本題の前に,チェンクロ史上最大規模で行われた前回のコラボ,TVアニメ「進撃の巨人」Season 2との施策を終えてみて,手応えはいかがでしたか。

井上周祐氏(井上氏):
 もうとにかくっ! 多くのプレイヤーさんに遊んでいただけました。本当にありがたく思っています。それにプレイヤー数が大幅に増加しただけでなく,アニメ放送にあわせたSSRアルカナの獲得クエストや,こだわりのコラボCMなど,ゲーム内容と告知物に関しても多くの反響をいただきました!

4Gamer:
 今回はこれまでのコラボの中でも,とくに大きな反響があったのでしょうか?

松永氏:
 これまでのコラボでも,プレイヤーの皆さんからはさまざまな反応をいただいておりますが,前回の「進撃の巨人」に関しては,プレイヤーさんの増加数が本当にすごかったですね。

4Gamer:
 チェンクロでは今まで,さまざまな作品とのコラボ施策が展開されてきましたが,他作品とのコラボというのは,運営面において効果的な施策であると実感しているのでしょうか。

西 次郎氏(西氏):
 コラボシナリオも,進撃の巨人ファンやチェンクロファンの方々の両方に喜んでいただけたようで,なによりです!

井上氏:
 はい,運営面ではコラボの効果は2つあって,1つは今までチェンクロという作品を知らなかったコラボ先のファンの皆さんに,チェンクロを知っていただいて,触れてもらう機会を提供できることです。もう1つは“前はチェンクロをやっていた”という人に,コラボをきっかけに,また冒険をしに戻ってきてもらえることです。

4Gamer:
 先日の1000万DL突破だけでなく,まもなく迎えるサービス4周年(※2017年7月26日)も踏まえると,チェンクロのプレイヤー層は単純な数値では測れない,独特な厚みが生まれていそうですね。

井上氏:
 私はフレンドリストの一言コメントに,「〜〜コラボで戻ってきました」的なことを書いてくださっているのを見るたび,チェンクロをまた遊んでいただけて嬉しい! と実感しています。

4Gamer:
 確かに,チェンクロではそういうコメントをよく目にしますね。「復帰しました!」みたいな。

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松永氏:
 あと,チェンクロって1人用のゲームで,普段はほかのプレイヤーさんと競い合う機会も少ないので,コラボはゲーム面においても,いい緩急になっていると思います。

4Gamer:
 緩急ですか。

松永氏:
 ふつうのゲームで盛り上がりを作るとなると,シナリオの次は対戦イベント,その次は協力モードでと,大きく異なるゲーム要素を回して,飽きないサイクルを作っています。でも,チェンクロは1人用なので,ユーザーさんの体験をガラッと変える要素が少ない。だからチェンクロ世界へ“ゲスト(他作品のキャラクター)”に来てもらい,世界観をガラッと変えるアクセントをつけることで,飽きないストーリーRPGを実現しやすくしています。

4Gamer:
 現在のスマホゲームでは,コラボという施策もだいぶポピュラーなものになりましたので,その実をあらためて聞いてみたかった次第です。続いては印象的なアップデートというところで,ログインなどにかかるローディングが全般的に軽減されましたよね。

西氏:
 はい,動作はだいぶ軽くなったと思います。機種によっては,かなり改善されたのではないかと。

4Gamer:
 年明けくらいから正直なところ「ロード時間がなげー」と思っていたので……今は見違えるほど遊びやすくなりました。

松永氏:
 ローディングの問題は改善までに時間がかかってしまいましたが,優先度を上げて対応していた課題でした。それこそ,ずっと“バグ”だというつもりで。だから,解決できて本当に良かったです。

4Gamer:
 快適すぎて,今ではキャッシュ削除の必要もありません。

松永氏:
 チェンクロがスマホRPGである以上,“軽さ”は魅力の1つとなります。開発チームが皆,プライドを持って対処してくれました。本当に軽くなりましたよね。

4Gamer:
 じゃあ,今後は新しいコンテンツを実装されても問題なさそうですか。

松永氏:
 はい! ……でも,もし何年かしてプレイが重くなってしまったら,また全力で頑張ります(笑)。

4Gamer:
 それとインタビューの準備中に小耳に挟んだのですが,アルカナの登場数が計997種類になったということで(※インタビュー実施日の2017年6月8日),このインタビューを掲載するころには,大台の1000種類を超えているかと思われます。この膨大な積み重ねについての率直な感想を聞かせてください。

井上氏:
 1000種類ですかあ。

西氏:
 1000種類ですねえ。

松永氏:
 ずいぶん遠いところまで来てしまったねえ。

4Gamer:
 1000万DLの時期に重ねてきた,ミラクル運営だと思います(笑)。これはおそらく,松永さんが最も感慨深いんじゃないんですか?

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松永氏:
 うーん,どれだけキャラが増えても薄れないようにしようと続けてきた結果,登場人物が増えつづけ,気付いたら1000種類になっていたという感じですね。だから,今言われてはじめて遠いところまできたなあと……薄れずに来れましたかね?

 もし薄れずに来れていたのだとしたら,それは作り手側の努力よりも,遊んでくださっているファンの皆さんの愛情の力が大きいと思っています。キャラクターそれぞれに反響をいただけたから,キャラクター性がそこから広がっていきました。それを想いつつ1000という数字を考えると,本当にすごいことだなって思います。

4Gamer:
 いつか言ってみたい言葉です。「気付いたら1000種類になってたんです」って。


エシャル篇のテーマは「浪漫(ロマン)」


4Gamer:
 それではここから本題に入りますが,まずは湖都の“エシャル篇”のテーマを西さん,ずばり一言でお願いします。

西氏:
 私は「浪漫(ロマン)」という単語が,エシャル篇にピッタリくると思っています。エシャル篇は5つの物語の中でも,特殊な要素を持っているのですが,そこに浪漫が絡んでいるんですよ。

4Gamer:
 特殊な要素といいますと。

西氏:
 エシャルはほかの主人公達とは違い,彼女自身が明確な夢を持っています。それは「役者として成長したい」というものです。エシャルは主人公の中で唯一,最初から「夢」を持ってスタートしているんです。

4Gamer:
 分かります。ほかの4人もさまざまな事情を抱えていますが,「世界のために」や「誰かのために」といった形で,個人的な夢のために動いているわけではありません。だからこそ,最初から夢を目指して動いていたエシャル篇は印象的でした。もちろん,さまざまな紆余曲折も予想しつつで。

西氏:
 この主人公が夢を持っているというのが,エシャル篇の浪漫要素の1つです。それともう1つ,「古の民」「古代遺跡」といった歴史の中に埋没している,人々に忘れ去られてしまったものを解き明かそうとする点も,これまた浪漫要素と言えるのではないかと。

松永氏:
 エシャル篇には浪漫をいっぱい詰め込んだよね。歌劇の華やかさや,劇団員が増えていくワクワク,キャラバンの旅を感じられる物語の歩み方と,そういう部分を意識しています。

4Gamer:
 あちこち外の世界を飛び回るのとは,また違う歩み方ですよね。世界観的にも,これまで見てきた“冒険の途上にある湖都”のイメージとは異なり,厳しい砂漠の世界に住む人々や,賑やかで逞しいオアシスなど,アラブ世界のような雰囲気をどことなく感じさせてくれます。

西氏:
 第3部では主人公ごとに,それぞれの担当地域に焦点をあてた物語を描いています。エシャル篇に独特の雰囲気を感じていただけているとしたら,それはライターの努力の結果だと思います。エシャル篇を担当しているライターはシナリオ制作に取り掛かる前に,参考文献として「千夜一夜物語」の全集を熟読していましたから。

4Gamer:
 千夜一夜物語というと,浅識ですが“枠物語”の構造で有名な説話集ですね。文学部で耳にしました。

松永氏:
 ゴツイ全集の本が,今でも担当ライターのデスクに置いてあります。

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西氏:
 千夜一夜物語は大きな物語の中で小さな物語を描く,いわゆる劇中劇の構造になっています。劇中劇が描かれています。プレイヤーの方々はご存知のとおり,エシャル篇は作中で劇中劇(演劇シーン)を多用しているんです。

 担当ライターがエシャル篇を書き始める上で,最初から意識していたのかは聞いてみないと分かりませんが,もしかしたらこのあたりにも千夜一夜物語の影響があったのかもしれません。

4Gamer:
 エシャル篇の劇中劇は,実在する演目をモチーフとしているのでしょうか。

西氏:
 基本は担当ライターのオリジナルです。執筆の際に,演劇の内容も含めて都度都度考えてもらっています。ただ,千夜一夜物語やアラブ方面の神話などからさまざまなインスピレーションやヒントはもらっているみたいです。

松永氏:
 エシャル篇では「竜の民」「黄金の民」など,砂漠の世界に伝わる歴史も重要な要素となります。劇中劇の中には実のところ,そういったチェンクロ世界の歴史に関わる,ストーリーのヒントになるような演目もあるので,雰囲気とともに楽しんでもらえればと。

4Gamer:
 エシャル篇でもユグドの核心に触れていくわけですか。再三になりますが,セレステ篇の第4章が“もうセレステがユグドの全部なんじゃないかな”くらい前のめりに攻めていたので,それは朗報です。

西氏:
 程度の差こそあれ,それらの要素は,それぞれの主人公のもとで明らかになっていく予定です。

4Gamer:
 ちなみに,松永さんがエシャル篇で一番ロマンを感じているのはなんでしょう。

松永氏:
 そうですね,私は「砂の薔薇」の団員達が入れ替わりつつも,絆を結んでいくところでしょうか。

4Gamer:
 来るもの拒まず,去る者追わず,ってあれですか。

松永氏:
 出入り自由の劇団というと,義勇軍に似ています。でも増えるのは戦士ではなく,役者なんです。第3章でラールとニールの問題が解決した後,2人がエシャル達と同じ目標で舞台に立ったとき,舞台上で「ああ,家族になったな」って感じられたのがすごく好きです。

 仲間の過去を知り,絆を深めていく流れは王道ですが,エシャル篇ではその絆が“舞台”という場で発揮されるのが,とても浪漫だなって。

4Gamer:
 ドゥルダナ率いる旅芸人の一座「砂の薔薇」には,シャディアしかり,ムハバードもまたしかりと,個性的な面子が揃っています。

松永氏:
 抱えている過去も含めて,脇を固めるメンバーが一番濃いんですよね,エシャル篇は。その上で一番自然に人が増えやすい。だからいろいろなドラマが起きる。それが砂の薔薇の,エシャル篇の大きな魅力です。

4Gamer:
 第3章ではラールとニールに大きな見せ場がありました。彼女らは第2章までだと,どの方向に振れていくキャラなのかが判別しきれなかったので,まさか感動させられるとは思ってもなく。

西氏:
 本当に良い形で2人を一座に迎えることができて,良かったです。第2章までの展開だと,どう転ぶのか分からなかったですからね。

4Gamer:
 私は2人がコミカルな小悪党みたいになるのかな,って思ってました。

松永氏:
 エシャル篇は冒頭から数多くの登場人物が出てくるので,ストーリーを進めながら,キャラクターの魅力を順番に見せていこうと話していました。ドゥルダナやシャディアの過去も少しずつ見せていますが,今回のラールとニールに関してはガッツリやれたので満足です!

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4Gamer:
 ドゥルダナも重そうな過去を背負っているようですが,最近は弄られ役に抜擢されてしまい,ダンディさに陰りが見えてきた気もします。

西氏:
 そのあたりはご安心ください。ダンディなドゥルダナも,カッコいいドゥルダナも,これからたくさん描かれていきますよ!

松永氏:
 個人的には好きだけどね,弄られるドゥルダナ(笑)。

西氏:
 大丈夫です,弄られるドゥルダナもきっとたくさん描かれますから!

4Gamer:
 個人的にはムハバードが一番興味深いかもしれません。言動もそうですが,まだ謎ばかりなので。

西氏:
 現時点では,とても謎が多い人物ですよね。彼の過去が明かされたとき,彼がなぜああなったのか,それが分かると思います。

4Gamer:
 ということは,過去のことが今のキャラクター性につながっているんですか。

西氏:
 もちろん,過去があって,今の彼がいるので。

4Gamer:
 また,エシャル篇では「真砂の虎」や「二つ星」といった,二つ名をよく目にします。そして二つ名がいい感じのギミックになっているのも,ほかの篇より際立っているようですが。

松永氏:
 二つ名は知っているけれど,本名は知らないといったギミックは,担当ライターの工夫によるところですね。さっきの劇中劇の話を含め,いろいろと伏線が仕込まれているので,楽しんでほしいです。

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4Gamer:
 ここであらためて,エシャルというキャラクターの設定にも振り返っていきたいのですが,彼女は第1章が始まる時点だと,記憶喪失で何も覚えてない状態でしたよね。

松永氏:
 はい,エシャルはフィーナと同じシチュエーションから物語が始まるんですよね。

4Gamer:
 そういえば,そうですね。言われて気付きました。

西氏:
 「海から流れつく」「記憶喪失で何も覚えていない」「1人きりでいたところを,とある人々に助けられる」など,2人はスタート時点の境遇がそっくりなんです。

松永氏:
 エシャルはフィーナと同じく物語のヒロインで,同じスタートを切ります。そのうえで,プレイヤーさんには2人の対比を楽しんでほしいと考えていました。なので,境遇が似ている2人ですが,物語の流れはまったく違うものになっています。

4Gamer:
 実際,2人から受ける印象はまったく違ったものです。

松永氏:
 フィーナがヒロインであった第1部と第2部では,彼女の過去を大きな軸として物語を動かしていました。でも,エシャルの過去はぶっちゃけ,フィーナほど物語の本筋に関係してないんですよね。

4Gamer:
 えっ,関係ないんですか。

松永氏:
 もちろん,第3章までに見せたエシャルの過去の一端をはじめ,これからも過去にまつわるエピソードは出てきます。でも,エシャル篇のメインテーマはそっちじゃないんです。エシャル本人もそこまで気にしてないですし。

4Gamer:
 つまり?

松永氏:
 エシャル篇で描きたいのは,何も持たずに目覚めた少女が,そこで生まれた自身の願いを叶えていく,そういう物語なんです。過去を取り戻す話ではなく,まっさらな心が何を得るのか。この部分を“エシャル篇の一番面白いところ”にしていきたんです。

4Gamer:
 それはとてもいいですね。いや,とってもいいです。非常に楽しみになります。

松永氏:
 エシャルは良い意味で楽観的な女の子なので,大きな過去を抱えつつも,望みのままに夢へと向かっていきます。そういう明るさや元気さを,プレイヤーさんに届けられればと思っています。

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4Gamer:
 その明るさや元気さといったものは,悪役の設定にも通じているんでしょうか。エシャル篇ってこう,敵役が憎めない系ですよね。「ヒシャム」や「謎の仮面の男」などは,一言でいうとバイキンマン的な存在に見えます。

松永氏:
 物語の軸が“エシャルの役者としての歩み”になるので,世界を滅ぼす強大な敵とかが出てこないんですよね。それに,ただ単に戦うべき強大な敵という存在ではなく,むしろ一緒に舞台に上がったほうが盛り上がるのがエシャル篇なので。だからこういうキャラ造形になっています。

 ただし,今後の展開によっては,ヒシャムや仮面の男とは異なるタイプの敵役が出てくる可能性も十分にありますが。

4Gamer:
 第3部の女性主人公のエシャル,アリーチェ,セレステは,皆一様に“自分のことを知らない”ところから物語が始まっていますが,これも何か意図するところなのでしょうか。

松永氏:
 そうですね,あるかないかで言えば,意図はあります。次に配信する第4章のストーリーは「アリーチェ篇」(※本日2017年6月22日に配信予定)となりますが,第4章ではエシャルとアリーチェの運命の交差が発生します。

4Gamer:
 となると,アリーチェが湖都に向かうのですか。

松永氏:
 そうです。そして彼女達のバックボーンの共通点は,彼女達が絆を深めるきっかけにもなっています。そこから始まる2人の物語に注目してください。

4Gamer:
 エシャル篇は第3章を終えて,エシャルにシャディア,ラールにニール,ラヴィーシュにジブリールと,気付いたらアリーチェ篇に負けず劣らずな綺麗所が集まっていました。これで両者が出会うとなると,当分は画面内が美少女だらけになりそうですね。

松永氏:
 エシャル篇はなんか,気付いたら男女比がグルっと逆転してたよね。

西氏:
 最初は男性比率のほうが高かったのに。

松永氏:
 あいつら(ハーフィズとケマイエス)が早々に抜けちゃったから(笑)。でも,次の交差はそこも魅力なんです。単純に「アリーチェ篇でクラスメイトが増える」とか,「エシャル篇で女優が増える」のとは違い,華やかさがすごいんですよ! 女子高生×女優のコラボです(笑)。

西氏:
 湖都の女性陣はシースルーの衣装だったり,健康的に日焼けした肌だったりと,魔法学園の生徒達とはまた違った魅力をたくさん持っていますので,女性比率が高まっている今だからこその出会いを楽しんでいただければ!

4Gamer:
 美少女の話でつなげると,第3章ではメインキャラクターにさまざまな差分画像が用意されるようになりましたが,中でもエシャルの髪形の「ストレート」と「ポニーテール」の変化はとくに印象的です。これは誰の要望で導入されたんですか。

松永氏:
 それはもう,担当ライターの趣味です(笑)。

西氏:
 髪を下したエシャルがカワイイからですよ。

松永氏:
 まあ,もちろんそれだけではなく,舞台上とバックステージとで役者としてのオン/オフを切り替える,物語の演出的な意味もあります。シャディアの表情にしても“キリッとした顔”と“ふにゃっとした顔”とでギャップを強めにしているのは,そういう意図があるからです。

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4Gamer:
 これは物語の核心だと思いますが,エシャルの“掌の光”はなんなのでしょう。ほかの主人公達が持っている力と比べても,エシャルの力はより超常現象的というか,斬って撃ってバーンといったものとは一線を画している気がします。

松永氏:
 そこについてはまだ言えることはありません。ただ,第3部の物語は“新しい世代が未来を描いていく”ことが根本となるので,彼女らが何を望み,どこへ向かっていくかということと一緒に,見守ってもらえればと思います。

4Gamer:
 それではエシャル篇における最後の質問です。第4章のサブタイトルは「大祭前夜」となりますが,お祭りというとイメージ的にも「竜湖祭」が想起されます。つまるところ,第4章はエシャル篇が核になっていると考えていいのでしょうか?

西氏:
 はい,「大祭前夜」はまさに竜湖祭をイメージしてつけたサブタイトルです。エシャルもこれから大きな活躍を見せるはずです。しかし,彼女だけではありませんよ。大祭前夜には“5つの物語でこれから大きなことが起こるよ”という意味も込めてますから。

松永氏:
 第4章ではエシャルとアリーチェ,さらにもう1人の主人公が湖都に集います。5人中の3人が揃うわけです。そして何より,前夜ですからね。この次の第5章でもっとすごいことになると思っていてください。


アマツ篇のテーマは「戦い」


4Gamer:
 最後は九領の“アマツ篇”です。こちらも今までどおり,物語のテーマを一言で教えてください。

西氏:
 アマツ篇といえば,やはり「戦い」です。アマツは第3章に至るまで,さまざまな敵と戦いを繰り広げてきました。しかし,アマツ自身は今のところ“戦う理由”を明確には持っていないんですよね。彼が戦ってきたのは,鬼としての闘争本能であったり,彼自身の怒りであったり,周囲の人達の事情であったりなので。

4Gamer:
 しかし,アマツのパーソナリティも徐々に変化を見せてきました。

西氏:
 はい,アマツはこれまでヒトリやベニガサと出会い,外の世界ではエシャルやヘリオス,アリーチェ達と出会いました。その結果,彼にはとても窮屈だった世界が,段々と広がってきたんです。こうした経験,そしてこれから得ていく経験の先で,彼は自分が何のために戦うのかを見つけていくことになります。

4Gamer:
 5つの第1章の配信時点では,ほかの主人公達と比べ,アマツ篇が最もキャッチ―に感じました。ほかが次章に期待をつなげていくところ,アマツ篇は第1章だけで起承転結を見せ,スピーディかつエンターテイメントに物語を展開しています。当時のコミュニティでも「アマツ篇が好き」という感想を一番多く見た気がします。

西氏:
 アマツ篇はストレートに熱いんですよね。少年漫画的な熱さと,時代劇のような1話完結構造とで,エンターテイメント性がとくに押し出せていると感じています。

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4Gamer:
 アマツは企画当初から,ああいった擦れた青年風の人物像を想定していたんでしょうか。

松永氏:
 “アウトローなヒーローにしよう”というのが最初からのコンセプトです。嫌なことがあったらぶん殴る,みたいな。すかさず「ぶん殴る」という選択肢を取れる人物だからこそ,爽快感のある物語にできると考えたんです。

4Gamer:
 思慮するところはあれど,基本は“考えるよりもまず殴ってみよう”なタイプですよね。

松永氏:
 ええ。それでも基本的に良性というか,根がイイやつです。第3章までで十分すぎるほどイイやつになっていることは,プレイされている皆さんならご存知でしょう(笑)。

4Gamer:
 まあ,なんといおうと,イイやつですよね(笑)。人情派の江戸っ子みたいな青年って感じで。

松永氏:
 正直なところ,予想していたよりも早く,イイやつになってしまいました(笑)。それも含めて気持ちの良いスピード感を作れているとは思いますが。

4Gamer:
 先日1000万DL記念で配布された「選べるキャンペーンチケット」で,持っていないアマツを入手するか,セレステを限界突破するかで悩みましたが,この場で取りあげるということでアマツにしました。運命の物語も初っ端から面白かったので満足です。

松永氏:
 うちのスタッフも皆,アマツが大好きですよ。

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4Gamer:
 ほかの主人公は憧れから始まったり,0の状態から始まったりしましたが,アマツだけは人間性がマイナスな状態からスタートしている印象です。ここも主人公としては大きく異なるポイントですよね。

西氏:
 こういう雰囲気からのスタートはチェンクロではあまり描いてこなかったので,どのような経験を経てプラスに転じていくのか,私も1人のプレイヤーとして楽しみにしています。

松永氏:
 でも,もう十分プラスになったよね?

西氏:
 いやいや,これからですよ! 彼はまだまだ根暗ですからね! ここからが本番です!

4Gamer:
 今は“不良だけどゴミを拾う”の段階だけど,今後は“不良だけど捨て猫を拾う”くらいの行動を見せつけてくれるんでしょうか。期待しちゃいますね。ただやっぱり,アマツの話をするのなら「ヒトリ」「ベニガサ」という連れの存在が欠かせません。

西氏:
 そのとおりですね。

4Gamer:
 この3人の繰り広げる珍道中こそが,アマツ篇の醍醐味ですよね。こういった3人組で旅をさせることは当初からの構想でしたか。

西氏:
 3人組というのは最初から決めていましたよね。

松永氏:
 まさに珍道中的なテイストが欲しかったんです。今までのチェンクロでは見られなかった組み合わせであり,さらにより面白い組み合わせはどのようなものだろうと考え,ヒトリとベニガサが生まれました。

4Gamer:
 私は3人の掛け合いもそうですが,彼らの地に足をついている感じが好ましいです。ベニガサに関してはまだ素性が明かされたとは言えない状態ですが,言動を見る限りでは「稀代の剣豪」や「隠遁の名君」といった,世界観の上層に位置する実力者なイメージにはつながらないので,3人とも地べたで暴れまわっている感じが出ていて好きです。

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松永氏:
 ベニガサは当初,ミステリアスな謎の女剣士という方向性でしたが,制作が進むにつれて,徐々に今のようなキャラクターに仕上がってきましたね。姉御肌と,鬼としての荒々しさが加わったことで,奥行きと存在感のある人物になりました。

4Gamer:
 また,ヒトリやミユキがいなかったら,アマツはガス抜きされないまま,第1章の序盤のような陰鬱な空気の主人公だった気がします。第3部は全体的にコミカル勢が映えてますよね。

松永氏:
 アマツ篇はアウトローな部分と,単純に笑える部分とのバランス調整に時間をかけています。メインの3人以外では,ミユキはいい仕事をしてくれてます。

4Gamer:
 コミカルでいうと,やはりヒトリをはじめ“火鬼”の存在が大きいです。第3章ではトヨチ,タルキ,コロミといった新たな火鬼も登場しましたし。この火鬼についてはいろいろと気になるところですが,何よりもその言動について聞きたいです。一体,どのような文法センスの持ち主が“あのようなセリフ”を考えているのか。セガの社内にヒトリのような喋り方の人でもいるんでしょうか。

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西氏:
 あれですか。あれは九領の担当ライターが最初に,ヒトリの台詞をポンッと見せてきたのが始まりです。

松永氏:
 あれは度肝を抜かれたね。

西氏:
 そのとき見せてもらった台詞案が,満場一致で即OKでした。

4Gamer:
 最初から“ああいう言語”としての完成度が高かったんですね。

西氏:
 はい。でも,そのときは想像もしていなかった問題が,制作を進めていくなかで徐々に浮き彫りになってきました。「ひらがなばかりでよみづらい」とか,「ほかのライターが再現できない」とか,それらを当初はまったく想定していなくて。

松永氏:
 アマツ篇を書くのは担当ライターの仕事ですが,チェンクロにはイベントシナリオやコラボシナリオもあるので,ほかのライターが担当違いのキャラクターの言動を書くこともあります。結局のところ「ライター全員が火鬼の台詞を書けなきゃダメだ」という話になったんです。

4Gamer:
 しかし,火鬼の言動は現に楽しませてもらっているわけですが?

松永氏:
 そこからライター全員が苦しみながら“火鬼語”をマスターする羽目になりました。

4Gamer:
 却下ではなく,順応しろと(笑)。

井上氏:
 僕もそれ学びたいです(笑)。

4Gamer:
 あの素晴らしいアホっぽさを表現する文法は,日本の教育現場では絶対に教われないですものね。

西氏:
 ですね……ある意味,貴重な体験ができていると思います(笑)

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4Gamer:
 では次に,運命の交差についての質問です。私が今のところ一番好きなのは“ヘリオスとアマツの出会い”でした。

西氏:
 ありがとうございます。

4Gamer:
 ただ,運命の交差が発生したときって,各主人公のストーリーで“同じ場面が重複して流される”じゃないですか。あれって,個別に書き換えるのは難しいんでしょうか。

松永氏:
 その点については第4章のエシャルとアリーチェの運命の交差を見ていただければと思っています。我々もまったく同じだとつまらないと考えていた部分なので。

4Gamer:
 なんらかの解決が図られたんですか。

松永氏:
 第4章では,エシャルとアリーチェは長い時間を一緒に過ごします。そのため,今回は各所で“どちらの視点も見たくなるような工夫”が凝らされています。ぜひ,楽しんでもらえたら嬉しいです!

4Gamer:
 ここで最初の質問まで戻りますが,アマツ篇では第3章までに,ベニガサの目的と,ヒトリの使命が明かされました。これから先は戦う理由を持たないアマツが,この2人とどのように付き合っていくのかが見どころになると予想しておりますが,いかがでしょう。

西氏:
 はい,そういった要素は間違いなく,今後の展開の軸の1つになってきます。

4Gamer:
 主戦場となるであろう四領もずいぶんとキナ臭くなってきましたし……そういえば,四領の情報って,第1部と第2部でも大きく触れられてませんでしたよね。細部については失念しちゃってますが。

松永氏:
 四領についてはこれまで一切触れてきませんでした。第3部のために温存していたので。アマツたちが再び戻る四領でも,まだまだ魅力的なドラマが飛び出しますので,ご期待ください!

4Gamer:
 ライバル的な存在のオウシンや,白い龍ことシロガネ,さらに火鬼の隠れ住処に魑魅魍魎の類。加えて,アマツが思いふけていた“あいつ”なる人物の存在も示唆されていたりと,これから先の展開が待ち遠しいです。


「GUILTY GEAR」で社内もLet’s Rock


4Gamer:
 今回も長らくお待たせしましたが,ここからは井上さんに「GGXrd R2」コラボの話をうかがいたいと思います。

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井上氏:
 えっ,いいんですか? メインストーリーの今後がめっちゃ楽しみになるお話が展開されてたので,もう僕は話さなくていいんじゃないかなーって……(松永さんと西さんと筆者をチラチラ見ながら)。

4Gamer:
 いえいえなんということを(笑)。たくさん聞ききたいことがあるので,ぜひともよろしくお願いします。

井上氏:
 じゃあ,よろしくお願いします!

4Gamer:
 それではお決まりなところで,GGXrd R2とのコラボに至った経緯を教えてください。

井上氏:
 まず,うちの開発チームには格ゲー好きがめっちゃ多いんですよ。弊社では昼休みに皆でゲームを遊ぶ習慣があるんですが,GUILTY GEARはチームでもの凄いやり込んでいます。それこそ皆,マイアケコンを持ち込むほど遊んでいます。

 そんな風に元々ファンが多く,「いつかコラボが出来たら!」と願っていたのと,チェンクロチームのデザインリーダーが,GUILTY GEARシリーズといえばの石渡さん(アークシステムワークス ゼネラルディレクター・石渡太輔氏)と同じ学校の出身ということもあり,縁あってコラボの話につながったんです。

4Gamer:
 アークとセガは会社同士の関係性もあってか,現場でも連携しやすいんでしょうか。

井上氏:
 アークシステムワークスさんとのコラボコンテンツの制作中に最も印象的だったのは,「ゲーム作るなら,こうしたら面白いはず!」みたいな,ゲームに対する考え方や熱量が,同じゲーム会社としてアークさんととても近く,すごく共感できたことでした。監修などを通して,大いに勉強させていただきました。

 また,GGXrd R2の発売でお忙しい時期にも関わらず,「全キャラのイラストを新規制作しましょう!」ですとか,「探索なら,このボイス使ったほうがいいです!」ですとか,「家庭用に連動させてチェンクロアバターを出しましょう!」ですとか,1つ1つのモノに対して“とにかく面白いコンテンツ作る!”という珠玉のアイデアをいただき,ゲーム開発会社同士ならではの全力コラボとなりました。

 例えばこの「エルフェルト=ヴァレンタイン」のイラスト(下図)にしても,アークさんの側から「エルフェルトはこの構図が一番素敵です!」ときたら,セガ側も「確かに! あとウサ耳とスカート丈はもうちょっと長いほうが“っぽい”です! 薔薇のエフェクトも足しましょう!」と返すなど,同じ価値観で,同じ言語を用いて制作が進められたような気がします。

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4Gamer:
 どちらか一方の提案ではなく,同じ熱量で作業ができたわけですか。

井上氏:
 そのため制作はすごくやりやすかったです。シナリオチームも同じように感じていると思います。

西氏:
 そうですね,アークさんとは非常に密度の濃いやり取りをさせていただけたので,向こうの情熱に負けないようにと,こちらも全力でぶつからせていただきました。GUILTY GEARシリーズのファンの方々にも,きっと満足していただけるシナリオになっていると思います。

4Gamer:
 今回のGGXrd R2コラボですが,チェンクロ3で提供されるコンテンツについて教えてください。

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井上氏:
 今回のイチオシはなんといっても,全コラボキャラクターにアークさんの制作陣が手掛けた新規イラストを使用していることです。これはGGXrd R2の本編にも出ていない,完全オリジナルのものです。

 また,同作の主人公「ソル=バッドガイ」には,石渡さんの描き下ろしイラスト(右図)を使っています。

 さらに,コラボ期間中は事前登録キャンペーンのプレゼントとして,SSR「カイ=キスク」が誰でも1枚入手できるようになっています。クエストや探索を行うと最大5枚を獲得できるので,このコラボを機会にチェンクロを始めるという人でも,ステータスMAXの状態を目指せるようになっているんです。

 しかも今回は,クエストに新たな試みを導入しています。なんとクエスト中に「乱入」されるんです。

4Gamer:
 「HERE COMES DAREDEVIL」と?(※GGXrd R2のプレイ中,対戦相手が乱入したときに表示される文言)

井上氏:
 そうです,HERE COMES DAREDEVILです! 対戦格闘ゲームならではのギミックを取り入れてみました。そして今回のコラボキャラは全員“必殺技と超必殺技”を備えているので,1キャラで2度美味しい演出を楽しめるんです。

4Gamer:
 コラボキャラというと,この「ソル」「カイ」「ディズィー」「シン」「梅喧」「紗夢」「エルフェルト」「ジャック・オー」の計8名ですか。これらのコラボキャラの選定は両社で協議されたんですか。

井上氏:
 はい,両社で相談したものです。アークさんから現在人気の高いキャラクターを教えていただき,チェンクロチームからは「このキャラの必殺技はチェンクロで映えるのでは?」と意見を出して,それらを突き合わせて決めました。

4Gamer:
 私はこの場で誰がコラボキャラになるのかを知りましたが,ようやくプレイアブルに返り咲いてくれた持ちキャラの梅喧がいたことに,感謝すら感じます。今日は“爵走”しながら帰りたい気分です。それにしても,ディズィーやジャック・オーはどの武器タイプになるのかちょっと想像しづらいのですが,シンも……槍ですか?

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井上氏:
 ディズィーは魔法使いで拳,ジャック・オーは戦士で拳,シンは戦士で突となり,原作の武器である旗を使います。

4Gamer:
 言われてみるとシックリきます。ほかのキャラは元々の武器と武器タイプが一致するので違和感もなさそうですし。ですが,それらを踏まえてもこの場でコラボキャラを目にしたとき,一番意外に感じたのってディズィーなんですよね。

井上氏:
 へー,ディズィーなんですか。なぜでしょう。

4Gamer:
 前に石渡さんにお話をうかがったとき,「ディズィーの制作には,3キャラ分の労力がいるんです(※背中のネクロ&ウンディーネの存在により)」と聞いたことがあったので,イラスト以外のSDモデルなどを作らなきゃいけないコラボ先では,結構避けられやすいキャラなのではと考えていました。

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井上氏:
 そこは全力で対応してるので大丈夫です! モデル班とモーション・エフェクト班が協力し,ディズィーの必殺技の使用時に,ネクロとウンディーネが背中からヒュッと現れる,特別な仕様を追加しています。必見です! ぜひスマホで確認してみてください。あとジャック・オーに関しても,サーヴァントを召喚して戦う彼女の特徴を活かして,SR戦士ではめずらしい,攻撃するオプションを召喚する必殺技に仕上げました。

 ビジュアル面については,コラボの際はデザインチーム一同,毎回コラボ先のファンの期待を裏切りたくないと,これまでも「全員をSSR級の作りに!」という意気込みで制作しています!

4Gamer:
 バトル面におけるコンセプトはいかがでしょう。

井上氏:
 コラボではとにかく,原作の特徴を活かすことを大切にしています。原作で各キャラの戦い方を研究し,チェンクロに落とし込むならどうすればよいのかを,バトル班で練り込んでいきました。

 例えば紗夢であれば,原作のようにガンガン前に出て攻めるキャラ性を表現するべく,必殺技使用時に敵前までサッと移動して攻撃したり,動き回るほど攻撃力がアップするなど,ポジティブに攻められる特徴を再現し,ファンの期待に応えられるような動きにしています。

 また,ソルの場合も敵を攻撃するたびに攻撃力がアップし,超必殺技の「ドラゴンインストール」で変身すれば自身を超強化できるなど,超攻撃的な立ち回りを体現できるような設定にしています。

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4Gamer:
 今回のGGXrd R2コラボでは,専用の敵キャラなどは実装されますか。

井上氏:
 今回は格ゲーらしさを生かすために,上記のコラボキャラ達と戦う,専用コラボクエストを配信します。

4Gamer:
 なるほど,確かにそのほうが格ゲーらしいですね。

井上氏:
 さらに今回のコラボシナリオ「婚活超特急」では,“突然結婚を迫ってきて,乙女の宣戦布告(戦闘)を仕掛けてくる,謎の女性が九領に現れた”というものになります。

4Gamer:
 ああ,把握しました(GGXrdシリーズを遊んでいるゆえに)。

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井上氏:
 つまり,コラボキャラの1人「エルフェルト」が,九領“でも”婚活をしまくるお話なんです。そこにエルフェルトを追ってきたソルやシンが加わります。

 九領は知ってのとおり,鬼達が住まう修羅の国なので,アマツらを交えて至るところでバトルをおっぱじめます。このシナリオに関しては,アークさんのお墨付きもいただけました。

4Gamer:
 コラボシナリオは西さんが手掛けたものですか。

西氏:
 いえ,舞台が九領なので,アマツ篇の担当ライターに執筆してもらいました。

4Gamer:
 そうか,今になって気付きましたが,第3部のイベントやコラボって,5人の主人公のうちの誰かをフィーチャーする形式になっていましたね。

西氏:
 そうですね。「進撃の巨人」ではヘリオス,「ツインエンジェル BREAK」ではエシャルでした。

井上氏:
 コラボシナリオを考える際は「この作品なら,この主人公がいい」というのを開発チーム内ですり合わせて決めています。今回はガチガチのバトルものなので,九領しかないだろうと。

西氏:
 GUILTY GEARシリーズのキャラクターに押し負けない奴らといったら,やはりチェンクロでは九領の鬼たちしかいませんから。ドタバタあり,熱血ありのシナリオになっていますよ。

井上氏:
 コラボシナリオの題材を模索していたとき,アークの山中さん(アークシステムワークス プロデューサー・山中丈嗣氏)に,「この婚活超特急なら,GGXrdシリーズのファンにも楽しんでもらえると思います。せひこれでいきましょう」と言っていただけました。シナリオは当然,石渡さんを含むアーク制作陣に監修してもらっているので,チェンクロのプレイヤーさんのみならず,GGXrdシリーズのファンもぜひ遊んでみてください。

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4Gamer:
 私個人のイメージなんですが,セガの開発陣ってなんかこう,「ラストブロンクス」とか「バーチャファイター」が大好きだから入社したみたいな人や,それこそGGシリーズなら「アクセントコアが一番好き!」みたいな,とにかく格ゲー好きが多そうな印象なんですが。

井上氏:
 渋いところ挙げましたね。

西氏:
 それは偏見ですよ(笑)。

4Gamer:
 あくまでも私のイメージなので(笑)。

松永氏:
 でも実際,(格ゲーの)手練れは多いよね。

井上氏:
 そうですね。アークさんがGGXrd R2 発売日前夜祭として5月に実施したニコ生「第41回あーくなま」では,GGXrd R2のトーナメント大会があるとお聞きして,ぜひ出たいと(笑)。この出演者を決めるため,チェンクロチームでは1週間かけて,GGXrd R2を用いて代表者を決めるトーナメントを行いました。実際に番組に出演したのは,このトーナメントの優勝者です。

4Gamer:
 (ほら,やっぱり……)

井上氏:
 しかも,社内ではいまだに昼休みに大会が続けられているっていう。

西氏:
 とっくに番組は終わってるのに(笑)。

4Gamer:
 こういった格ゲーを題材にしたときは,普段の開発体制とは違う,“格ゲーが強い人の発言権がちょっと増す”みたいな現象は起きるんでしょうか? もちろん,組織としての一線を守ったうえでのことですが。

西氏:
 ああ,ありますね。それ。

松永氏:
 うちはそもそも“ゲームがうまい人の発言権が強い”ですから。

西氏:
 やり込んでいるということは,そこに対して愛があるということですからね。そういった人からの発言は尊重する価値があると思います。

井上氏:
 チェンクロ3の「超必殺」というシステム自体,対戦格闘ゲームから着想を得たものですしね。

4Gamer:
 チェンクロチームに関しては,イメージとあまり相違ないことが分かってよかったです(笑)。それでは時間も差し迫ってきたので,締めの前に個人的な質問をさせてください……“リリテレ”はいつくるんですか?(※「救世の聖女リリス」と「殺戮の剣聖テレサ」のアンバランスさゆえの人気コンビ)

松永氏:
 ……こうご期待ということで。

4Gamer:
 ……80連分の石を抱えてお待ちしています。それではストーリーやコラボ,さらにはサービス4周年,最近リニューアルした公式Webラジオ「ちぇんらじ」,アニメのBlu-rayの宣伝なんかも含めて,あらためて今後の意気込みをお聞かせください。

松永氏:
 気付けば早4年。ですが,まだまだチェンクロの世界は広がっていきます! ラジオやアニメなどの周辺コンテンツも盛り上げていきますし,なによりチェンクロというゲームそのものも,さらに広く深く進化していきます。

 ここまで楽しんでくださっているファンの皆さんには,ゲームのさらなる面白さや,ストーリーの笑いや涙,胸を突く熱さ……いままで味わってもらえていた楽しさを,さらに一段上げてお届けするつもりなので,これからも一緒にチェンクロの絆の物語を感じてもらえればと思います!

西氏:
 間近に迫った4周年に向けて,チェンクロはこれまで以上に盛り上がっていきます。ストーリーもさまざまな謎が明かされていき,どんどんドラマチックに,熱く加速していきますので,まだストーリーの最新話までたどり着けていない人は,ぜひ今のうちに追いついていただければと! これから起こる最高潮の盛り上がりを,ほかのユーザーさんと一緒のタイミングで体験していただけたら嬉しいです。

井上氏:
 皆さまに大事に愛していただいたチェンクロの世界がさらに広がるよう,これからも企画して参ります。また,2017年6月23日に一挙発売する,TVアニメ版をいつでも楽しめるBlu-rayには「アラム&ケマミレ」の特典アルカナを封入しています。

 さらに毎週月曜更新の「ちぇんらじ」では,キャラ同士のかけあいが楽しめるラジオドラマ企画など,チェンクロの世界観をより楽しめる番組をお届けしています。そのほか,ゲーム内でも新コンテンツの追加やアップデートを仕込んでいますので,4周年に向かってどんどんと広がるチェンクロの世界にご期待ください!

4Gamer:
 本日はありがとうございました。5周年目のチェンクロも引き続き,楽しませていただきます。

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