THQ Nordic，「Kingdom Come: Deliverance」を開発したチェコのWarhorse Studiosを買収

　オーストリアのTHQ Nordicは現地時間の2019年2月13日，チェコのWarhorse Studiosを買収したと発表した。子会社であるKoch Mediaを通じて行った今回の買収は，発行されているWarhorse Studiosの全株式を取得する形で進められ，買収総額は4280万ユーロ（約53.6億円）。Warhorse Studiosは，借入金などを差し引いた3320万ユーロ（約41.6億円）を得たという。

THQ Nordic公式サイト

　「Kingdom Come: Deliverance」で知られるWarhorse Studiosは，2K Czech（当時）のリードデザイナーとして「Mafia」と「Mafia II」の開発に携わったダニエル・ヴァブラ（Daniel Vavra）氏と，Altar Interactiveの設立者で「UFO: Aftermath」などのプロデューサーを務めたマーティン・クリマ（Martin Klima）氏が，チェコ出身の開発者を各国から呼び戻すような形で設立したメーカーだ。
　2014年にKickstarterで始まった「Kingdom Come: Deliverance」のクラウドファンディングでは，4万人近いバッカーから2億円近い開発資金の調達に成功したものの，最終的には35億円ほどに膨らんだ開発費の捻出に苦しみ，2016年にはKoch Mediaのゲーム販売部門であるDeep Silverとのパブリッシング契約を結んだ。


　開発は予定より遅れ，「Kingdom Come: Deliverance」が欧米でリリースされたのは，今からちょうど1年前の2018年2月13日だった。発売当初はバグが多かったが，「ドラゴンも魔法もない中世ヨーロッパの再現」にこだわった同作はコアゲーマーから高く評価され，現在までに200万本のセールスを記録したという。
　また，Valveが2018年末に発表した「最もプレイされたゲーム」では，13位から24位に相当するゴールドを獲得している。

「Kingdom Come: Deliverance」の販売開始から1周年を記念して，Warhorse Studiosが公開したインフォグラフ。200万本という数字は必ずしも大きくはないものの，コアなファンに愛されたゲームだ

　日本では広く認知されているとは言いづらいTHQ Nordicだが，その快進撃については，2018年2月19日に掲載した連載記事で紹介したとおりだ。2018年11月には「Goat Simulator」のCoffee Stain Studiosや，「Wreckfest」のBugbear Entertainmentを買収するなど，積極的な拡大策をとっている（関連記事）。
　買収後もWarhorse Studiosの経営体制には変化がない見込みで，DLC第3弾となる「Band of Bastards」をリリースしたばかりの同社にとって，次回作の企画や開発に弾みがつきそうだ。