プレイレポート
実は非対応タイトルも動く?「GeForce NOW Powered by SoftBank」のベータ版サービスを使ってみた
海外では先行してサービスが提供されていたが,日本でもついに(第1次募集の当選者1万人のみではあるが)利用可能になったというわけだ。
ということで,本稿ではベータ版サービスのレポートをお届けしよう。国内では初体験となる人が大多数のはずなので,登録や設定方法を含む詳細を紹介したい。
第1次募集に当選したもののまだ体験できてない人や,第2次募集(締め切りは2020年1月20日)に応募しようとしている人はもちろん,「とりあえずどんなサービスか知りたい」という人にも参考になれば幸いだ。
「GeForce NOW」のクローズドβサービスが本日開始。ゲームソフトプレゼント付の2次募集も受付中
ソフトバンクとNVIDIAの協業によるクラウドゲームサービス「GeForce NOW Powered by SoftBank」のクローズドβサービスが本日(2019年12月17日)スタートした。現在はβテスターの2次募集も行われているので,興味のある人は応募してみよう。
「GeForce NOW」のアカウント登録
まずはGeForce NOW Powered by SoftBankの登録方法をざっと紹介しよう。オンラインサービスのユーザー登録に慣れているなら難しいところはないと思うが,別途NVIDIAのアカウントが必要になるなど,多少迷いやすいところはある。
GeForce NOWのベータ版テスターに選ばれると,登録用のメールが届く。メールには“ユーザ登録はこちら”という文言の下に固有のIDが含まれたURLが記載されているので,まずはそこにアクセス。すると下の画像のような入力フォームが表示されるので,指定どおりにログイン用のIDやメールアドレス,連絡先といった項目を埋めていく。
登録が完了すると画面が切り替わり,実際のプレイに使用するGeForce NOWクライアントアプリへのリンクが表示されるので,そこからファイルをダウンロードし,インストールしよう。登録したアドレスに送られるメールにもこのリンクがあるので,この画面をうっかり閉じてしまっても問題ない。
PCへのインストールは画面の指示に従うだけなので,ここでは省略する。
GeForce NOWクライアントを起動すると,Windows版の場合は以下の画面が立ち上がるはずだ。これがGeForce NOWのインタフェースなのだが,まずはログインが必要。画面右上にある「ログイン」ボタンをクリックすると,新しいウィンドウが開く。
続いて「SoftBankでログイン」ボタンをクリックして,先ほど登録したGeForce NOW Powered by SoftBankのログインIDとパスワードを入力。すると2段階認証画面が表示されるので,登録メールアドレスに届く認証キーを入力し,先へ進む。
最後にNVIDIAアカウントの紐付けが必要になるので,取得していない場合は新規登録,すでにNVIDIAのビデオカードなどを所有していて,アカウントを持っているなら「ログイン」を選ぶ。プライバシーの項目を設定して,NVIDIAアカウントのメール認証が終われば,ログインは完了。GeForce NOWのクライアントアプリの右上に,取得したアカウントの名前が表示されているはずだ。
クライアントアプリ上でSteamが動く
GeForce NOWのクライアントの使い方は,検索窓にプレイしたいタイトル名を入れるだけとシンプルだ。
GeForce NOW側で対応しているタイトルが検索結果として表示されるので,それをライブラリにショートカットとして登録し,そこから起動という仕組みだ。
GeForce NOWで最初にゲームをプレイするときは,自動で「ネットワークテスト」が起動する。これは回線状態をチェックし,適切と思われるグラフィックス設定を自動で行うものだ。
当然だが速くて遅延が少ない回線ほど画質が良くなり,逆に回線状況が悪いと解像度などの設定が落とされる。たまたま回線状態が悪かったなどの理由で環境に見合わないものに調節されてしまったら,時間を置いて再度テストしたり,メニューの「設定」から手動で設定したりするといいだろう。
ちなみに筆者宅は1Gbpsの固定光回線を使っているのだが,最初のテストはタイミングが悪かったらしく,解像度がかなり低い1280×720ドットに設定されてしまった。実際には1920×1080ドットの60FPS設定で問題なく動作したので,何回かチェックしてみるのがよさそうだ。
回線チェックが終わったら早速ゲームをプレイ……といきたいところだが,初回の起動ではもう一つやることが残っている。それはSteamをはじめとするプラットフォームアカウントの設定だ。
GeForce NOWは既存のクラウドゲームサービスと違い,「自分の所有するゲームをクラウド化してプレイできる」という大きな特徴がある。簡単に言えば,PC版のGeForce NOW自体にはゲームソフトを提供する機能はなく,利用するユーザーが持っているライブラリを活用する形となる。
例えば,「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」(以下,SEKIRO)はGeForce NOWの正式対応タイトルだが,これをプレイするには,自分のSteamアカウントにSEKIROが登録(購入)されている必要があるのだ。言い方を変えれば,クラウドゲーム用に新たなソフトを用意(購入)しなくていいということでもある。
Steamのゲームを起動しようとすると,GeForce NOWのクライアントで自分のPCと同じようにSteamのアプリが立ち上がるので,SteamのIDとパスワードを入力しよう。ログインが完了すれば,自分の所有するライブラリが表示される。
GeForce NOWを介さない場合と同様に,IDとパスワードを記憶させることも可能なので,全自動でログインすることもできる。
ここまで説明したように,GeForce NOWではSteamなどのゲームプラットフォームがそのまま動く形になっている。ゲームの初回起動時には,インストール作業(おそらくクラウドサーバーへのインストールだと思われる)も発生するのだ。
そして,実は正式に対応が謳われてないタイトルでも,ライブラリに登録されていればプレイできる可能性がある。特定の限られたゲームしか用意されないほかのクラウドゲームと比較すると,ここはGeForce NOWの明確なアドバンテージになるだろう。
GeForce NOWのプレイフィールを3タイプのタイトルで確認
それでは本題ともいえる“ゲームのプレイフィール”に移ろう。
今回はこちらの「国内版対応タイトル」,こちらの「海外版対応タイトル」,そして「対応の記載がないタイトル」からピックアップし,実際のプレイ感覚を確認してみた。
●国内版対応タイトル
国内版の対応タイトルは,前述のSEKIROを使用した。“死にゲー”として名高いフロム・ソフトウェア開発の高難度アクションゲームで,今年のThe Game Awards 2019で「Game of the Year」に選ばれ,再び注目を集めている作品だ。
最低動作環境を見ると,GPUは「GeForce GTX 760」となっている。現在のゲームとしては要求スペックが極端に高いわけではないが,それなりに“重い”作品であることは間違いない。
結論から書くと,正式対応を謳うだけあって,GeForce NOW版のSEKIROは通常のプレイとの違いをほとんど感じなかった。回線の関係で画質が一定時間低下したり場面もあったが,映像自体が停止することはほぼなく,遅延を体感することもほとんどなかった。
ガードからの弾き,あるいは忍殺もまったく問題なく,敵との戦闘に集中するとクラウド環境でプレイしていることすら忘れてしまうほど。Steamの設定さえ終われば,ゲームの起動自体もGeForce NOWから直接おこなえるため,PCで動かすのと大差ない。SEKIROなら,GeForce NOWのポテンシャルを十分に体験することができそうだ。
●海外版対応タイトル
海外版のみ対応のタイトルしては,基本プレイ無料の“狩りゲー”である「Dauntless」を選んだ。マルチプレイを前提としたMOタイプのオンラインゲームで,SteamではなくEpic Games Launcherから起動する作品となる。
プレイフィールに関してはこちらも良好で,ローカル環境との違いを感じることはほとんどなかった。オンラインゲームなのでマッチングや同期などへの影響を心配していたのだが,拍子抜けするほど問題なく動いたという印象だ。ゲーム中のグラフィックス設定はEpic(最高)にできたし,操作に影響するような遅延もなかった。海外版とはいえ対応タイトルだけのことはある,といったところだ。
ただ,やはりノイズが発生したり,散発的に解像度が落ちたりする場面はあった。筆者宅の回線の影響もあると思うのだが,これはクラウドゲームの仕組み上,現時点で完全に避けるのは難しいのかもしれない。
●非対応タイトル
対応タイトルにはないが,GeForce NOWで“動くかもしれない”作品群として,筆者のライブラリの中から3つほど選んだ。少し前の超大作,新しいインディーズ作品,そして日本発の作品というラインナップの結果を見ていこう。
まず「少し前の超大作」としては,ゲーマーにはおなじみの「グランド・セフト・オート V」(以下,GTAV)を選んだ。今さら説明するまでもないが,Rockstar Gamesの看板作品であり,オープンワールドのクライムアクションとして不動の地位を築いてる。
だが残念なことに,GeForce NOWでGTAVはプレイできなかった。Steamのライブラリから選択はできるのだが,サポートされていない旨のメッセージが表示されて,インストールの手前で止まってしまい,時間を置くなどして何度か試したが結果は変わらなかった。プレイできないタイトルもあることは頭に入れておいてほしい。
お次は「新しいインディーズ作品」として,GameTomoの「ロスト・エンバー」をチョイス。大自然をオオカミとなって駆け回るアクション・アドベンチャーだ。戦闘要素はないが,美しい自然風景や朽ちた太古の遺跡のグラフィックスが印象的である。
こちらも起動時にメッセージが表示されたものの,特に問題なくインストールが進み,そのままプレイできた。元々シビアなアクション操作を求められることがないゲームということもあり,遅延に関しても問題はなかった。
前出のDauntlessと同じく,ノイズが出ることはあっても,プレイに大きな影響が出るほどではない。GeForce NOW側で正式に対応しない作品は,若干のデメリットとして「セッションが切れると,Steamのインストール状態がクリアされる」という現象が発生するのだが,一度プレイが始まってしまえば,それ以外に問題はない感じだ。
最後は「国産タイトル」として,今までとジャンルがまったく違う「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」を試してみた。横スクロールシューティングの名作,ダライアスシリーズの最新作だ。
全体の挙動としては前出のロスト・エンバーと同じで,正式には対応していない旨のメッセージが表示されるものの,インストールとプレイは問題なく可能だった。遅延も特に感じず,ローカル感覚でプレイできたという印象だ。ちなみに超ワイドモードとなる「アーケードモード」も動作した(テストしたのはシングルディスプレイ環境のみ)。
真の魅力は“非対応タイトル”にあり? 気になる人は第2次募集に応募しよう
以上,ベータテストが始まったばかりのGeForce NOWで何種類かのテストをおこなってみたが,全体としては“想像以上に使える”という印象だ。
対応タイトルが問題なく動くのはもちろんなのだが,今回試した範囲では,非対応タイトルでも起動さえすれば対応タイトルと大きく変わらないプレイフィールが得られた。
グラフィックス面では起動するタイトルやプレイの時間帯による回線状況の影響で安定しないタイミングもあったのだが,当初心配していた遅延に関しては予想外に小さく,違和感はなかった。少なくとも「映像と操作タイミングが目に見えてずれて,まともにプレイできない」といったような状況は,今回のプレイでは発生していない。
個人的に興味深かったのは,やはり「対応が明言されていないタイトルでも,実際に試すとあっさり動く」というケースが多かったことだ。GeForce NOWはクラウドゲームサービスなので,PCはもちろん,ビジネスノートやタブレット,スマートフォンでもプレイできるわけだが,「自分のゲームライブラリがどこにでも持ち出せて,かつハードウェアを選ばず,いつでも続きをプレイできる」というのは,画期的ではないかと思う。
もちろんあらゆるゲームが動くわけではないが,既存の多くのクラウドゲームはプラットフォームと対応ソフトが一体化しており,プレイヤーのゲームライブラリが分断されてしまう懸念がある。その心配がいらないのは嬉しい。
本稿の冒頭でも触れたが,「GeForce NOW Powered by SoftBank」ではベータ版テスターの第2次募集を1月20日まで行っている。募集枠も第1次募集の1万人から3万人に増えているので,今までクラウドゲームを利用する機会がなかった人はもちろん,ほかのクラウドゲームサービスとの違いを実際に体験してみたい人も,興味があるなら応募してみよう。
「GeForce NOW Powered by SoftBank」
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