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3DS「デビルサバイバー2 ブレイクレコード」をレビュー。新旧の女神転生シリーズファンに“刺さる”要素を高い完成度でまとめ上げたシミュレーションRPGだ
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印刷2015/02/28 00:00

レビュー

3DS「デビルサバイバー2 ブレイクレコード」をレビュー。新旧の女神転生シリーズファンに“刺さる”要素を高い完成度でまとめ上げたシミュレーションRPGだ

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 アトラスのニンテンドー3DS用ソフト「デビルサバイバー2 ブレイクレコード」(以下,DS2BR)が,2015年1月29日に発売された。2011年にニンテンドーDS用ソフトとして発売された「デビルサバイバー2」(以下,DS2)をフルボイス化するなどして完全収録し,DS2のその後描く新規シナリオを付け加えた“パーフェクト版”ともいえる内容だ。

 発売から少々時間が経ってしまったが,本稿ではあくまで筆者の主観を多めに,“過去に「女神転生」シリーズをプレイしたことはあるが,最近はちょっと離れていたアラフォープレイヤー”が,本作をどう楽しんだのか,少し昔の話なども交えてのレビューをお届けしたい。筆者と同世代で,「最近の女神転生シリーズは昔と雰囲気が違うように感じられて,ちょっと近寄りづらい」などと思っているような人はもちろん,「ペルソナとかデビルサバイバーはプレイしたことはあるけど,昔のシリーズ作品は知らない」という若い世代の人にも興味を持って一読いただければ幸いだ。

オープニングには,ボーカル入り新規ムービーが追加されている
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RPG要素が強めのシミュレーションRPGで,ゲームに入りやすい


 さて,女神転生シリーズは1987年(アトラスブランドとしては1992年)からという長い歴史を持っており,「真・女神転生」や「デビルサマナー」「ペルソナ」など,多くの派生シリーズがあるのだが,DS2BRが属するデビルサバイバーは,2009年に発売された「女神異聞録デビルサバイバー」が第1作で,比較的新しいシリーズに当たる。

 今回紹介するDS2BRは,第1作とのつながりがなく,DS2の内容もまるごと収録しているので,シリーズの知識が無くても問題なくプレイできる作品となっている。ほぼ完全に継承されているシステム部分の詳細については,過去に掲載されたDS2のレビューも参考にしてほしい。

 本作に収録されているシナリオは,突然の大災害に見舞われて崩壊した日本を舞台に,ごく普通の高校生(主人公)をはじめとする13人の「悪魔使い」達が,人類を襲撃する「セプテントリオン」なる謎の存在や,それとともに現れた「悪魔」と戦う7日間を描く「セプテントリオン編」,そしてセプテントリオン編で終結したはずの戦いが,新たな侵略者「トリアングルム」の襲来により再び幕を開ける「トリアングルム編」の2つだ。

 どちらも購入時からすぐにプレイできる仕様ではあるが,トリアングルム編はセプテントリオン編のネタバレ(あるいは,プレイしていないと理解しにくいネタ)が多数あるため,DS2を未プレイならセプテントリオン編から始めてほしい。

NEW GAMEを選ぶと,セプテントリオン編とトリアングルム編のどちらかを任意に選んで進められる。複数あるセーブファイルを使えば,両エピソードを同時に進めることも可能だ
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 さて,女神転生というと,3Dダンジョンを舞台にしたRPGというイメージが強いが,本作を含むデビルサバイバーシリーズのジャンルはシミュレーションRPGとなっている。
 実を言うと筆者は普段シミュレーションRPGをあまりプレイしない(愛着のあるユニットが死んだりするとやり直さずにいられないため)のだが,本作のプレイを始めてみると,RPGテイストが強めで,すんなりゲームに入り込めた。

 主人公を含む悪魔使い達は,「デビルオークション」で落札した悪魔と契約して仲魔(仲間)にし,複数のチームを編成する。クォータービューのマップ上で敵の悪魔達と戦うバトルパートでは,このチームをユニットとして動かしていくという仕様だ。
 もちろん敵も同様にチームを組んでいるので,戦闘は必然的にRPGのパーティバトルに近いものとなる。さらに戦闘中は攻守どちらの場合でもメンバー全員にコマンドによる指示ができるので,状況に応じてフレキシブルな対応が可能だ。このあたりはキャラクター個々をマップ上で動かす一般的なシミュレーションRPGとはかなり違う部分だと言えるだろう。

チームは,リーダーである悪魔使いに,仲魔を加えた最大3キャラクターで構成する。互いの強さや使えるスキルなどをよく考えてメンバーを選ぼう
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マップはクォータービューで,チームが移動できる場所はマス目で区切られている。バトルパート開始時はチームごとに出撃場所を選べる
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バトルパート中の行動順が,下画面左上に表示される。1ターン1行動ではなく,「待機」を選んで行動を終了するまで,移動・攻撃・スキル使用などの行動を一通り行える仕組みだ
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敵への攻撃コマンドを選択すると,まず戦闘時の先攻後攻が決定し,チーム全員の行動を選んだら戦闘開始だ。リーダーを先に倒せばチームは消滅する
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戦闘は全員が行動すると終了するが,弱点を突いたときや特定のスキルが発動したときなどに,追加行動ができる「エクストラターン」が与えられることもある
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敵が持っているスキルの一部を指定してから倒すことでそのスキルを身につけられる「スキルクラック」という要素もある。指定したキャラクター以外の味方が対象の敵を倒してしまう失敗となるので注意

 バトルは,易しめの難度「福音」でもそこそこの歯ごたえがあり,油断すると思わぬところで足元をすくわれ,負けてしまうこともある。また,後述のアドベンチャーパートでも,選択肢の選び方次第で物語が大きく動くので,まめなセーブは必須だろう。ソフトに用意された5つのセーブファイルをどう使い回すかにも悩まされるのではないだろうか。

難度はバトルパート中でも変更が可能になった。「福音」がイージーで,「黙示録」がノーマルもしくはハードという位置づけだ
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仲魔と悪魔使いをどう組み合わせるかが醍醐味


 女神転生シリーズの魅力として,悪魔達の存在を挙げないわけにはいかないだろう。ストーリー上で主人公達が最初に倒す悪魔はそのまま仲魔となるが,それ以外は前述のとおりデビルオークション(デビオク)で競り落とした悪魔と契約することで,仲魔に加えられるようになっている。
 シリーズ伝統の会話による交渉ではなく,オークションで競り落とすというスタイルに最初は少々驚かされたが,これは前作のデビルサバイバーから確立されているものであり,マッカ(ゲーム内通貨)節約のため,落札できそうなギリギリの額を狙うのもよし,即決額を入れて確実に入手するのもよしと,なかなか面白いシステムである。

 仲魔にした悪魔は,バトルパートでは悪魔使いが「召喚」することでチーム内のメンバーと交替させたり,敵に倒されてしまった枠に投入したりできるので,有能な仲魔はマッカが許すなら,控えとして余分に契約しておくのがいいだろう。ゲームが進んで力不足になったとしても,「悪魔合体」をさせて強い悪魔に生まれ変わらせることも可能だ。

デビオクやセーブなどはアドベンチャーパートの合間に行える(バトル中でも中断セーブが可能)。メニューは主人公の携帯電話の画面を模したもの
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デビオクは,5秒以内にボタンを押して入札額を決定し,ライバルより高額ならばその額を払って悪魔と交渉する。落札額とは別にマッカを要求されたりすることも
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 その合体だが,本作ではゲームをある程度進めることで入手できる「邪教の館.exe」なるアプリを使い,メニュー画面から行うようになっている。単純に落札した悪魔をそのまま合体させてもいいが,戦いを経て成長し,新たなスキル(本作における,魔法や特殊能力の要素)を覚えた悪魔を合体させれば,より強い悪魔を生み出せる。

左右にいる悪魔が素材となるもので,中央にいるのが合体後の仲間だ。オークションには現れず,合体でしか生み出せない悪魔もいる
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 悪魔を成長させようと一緒に戦っているうち,愛着が沸いてきて合体をためらうようなこともあるかもしれないが,悪魔の図鑑のようなアプリ「悪魔全書」を入手すれば,成長させた状態の悪魔をこれに登録し,マッカを払って呼び出すこともできるので,そこは割り切ってしまおう。
 なお,ほとんどの悪魔は,レベルの上昇と共により強いスキルを身につけていくので,合体させずに使い続けるというのも一つの手ではある。

合体で生まれる悪魔の確認画面。まだ見たことが無い悪魔はシルエットで表示される
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 こうして強くした仲魔は,適当にチームに投入してもちゃんと働いてくれるが,リーダーとなる悪魔使いのパラメータやスキルなどをよく考えて組み込めば,さらに大きな力を発揮できるようになる。
 本作には物語の進行に影響を与えることなく経験値やマッカを稼げるバトルパート「フリーバトル」も用意されているので,そこでチームやスキルの組み合わせなどを吟味するのがいいだろう。フリーバトルはいつでも撤退ができ,それによるデメリットもない。

いつでも撤退できるのがフリーバトルのいいところ。またフリーバトルに出ると,デビオクで落札された悪魔が補充されるというメリットもある
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 なお,本作に登場する悪魔のデザインはもちろん「悪魔絵師」こと金子一馬氏が手がけている。邪教の館の画面で,合体によって初めて見る悪魔が表示されたときのワクワク感は,シリーズに共通するお楽しみの一つ。もし余裕があるならば,悪魔全書のコンプリートに挑戦してみるのもいいかもしれない。

悪魔全書では,その悪魔にまつわるエピソードも閲覧できる
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荒廃した日本を舞台とした2つのシナリオ


 本作のストーリーは,過去のシリーズでも展開されているような,荒廃した日本を舞台にしたものとなっている。登場する街は基本的に実在するもので,ランドマークなどもそれに似せた雰囲気で作られている。渋谷,浅草,霞ヶ関などをはじめとする東京の街はもちろん,大阪,名古屋などの日本各地に主人公達が赴くシーンもある。

アドベンチャーパートでは,見慣れた日本の風景が登場する。印象的なシーンでは,2画面を効果的に使って見せる演出も
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 セプテントリオン編で主人公達は,人が死ぬときの様子が前もって映し出されるという都市伝説的な携帯サイト「ニカイア(Nicaea)」に登録したことから事件へと巻き込まれ,その後もこのニカイアに大きく運命を左右されることとなる。

 ゲーム中にニカイアから送られてくる「死に顔動画」には,以降に展開する物語のヒントが隠されていて,アドベンチャーパートでの行動の選択によって,物語が分岐していく。誰かが死ぬ様子が動画に映し出されたのなら,それを助けに行くのは必然的な選択だが,本作ではあえてそれを無視することも可能だ。

 仲間になるはずの人物が死んでしまうなど,ゲームとしても厳しい道を選ぶ結果となるわけだが,その選択でしか見られない物語もあるので,周回プレイをするときなどは,あえて1回目のプレイとは違う選択肢を選ぶのもアリだろう。

アドベンチャーパートの移動シーンでは,時計アイコンのある行き先を選ぶことで30分が経過する。そしてこの選択が,その後の物語に大きく影響することもある
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主人公と悪魔使い達との関係には,「縁(えにし)」と呼ばれる親密度を表すパラメータが設定されている。主人公の行動によって縁が結ばれると,そのキャラクターに特定の耐性がついたり,新たな悪魔の合体が解禁されたりといったメリットがある
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セプテントリオンは無機質で不気味な姿をしていて,ときに特殊な攻撃をくり出してくる
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 本作で追加されたトリアングルム編では,セプテントリオン編の結末で平和が戻ってきたはずの世界に,新たな脅威が現れるという物語が展開する。悪魔使い達は,セプテントリオン編には登場しなかった「人類の盾」となる施設「スカイタワー」を拠点に,1日1体ずつ襲撃してくる正体不明の侵略者トリアングルムと戦うのだ。

 セプテントリオン編の延長線上にある展開であり,個人的にはもう少し変化があってもいいのではないかとも思ったが,DS2の続編ではなく,追加シナリオとしてであれば十分に納得できる内容ではあると感じた。
 なお,こちらはセプテントリオン編を終えている前提のため,悪魔使い達や登場する悪魔がレベル20前後の状態から始められるようになっている。

トリアングルム編では,いきなり強敵と対峙して驚くが,主人公達もそれなりの強さになっており,対等に戦える
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細かいところで古さを感じる部分もあるが,完成度の高さが魅力


 物語の舞台設定がDS2が発売された2011年当時に合わせたものとなっているため,今回のプレイでは,登場人物全員がスマートフォンではなくフィーチャーフォンを使っているのが妙に印象に残った。アプリやメールなどもそれに則った操作や演出となっていて,2015年の今プレイしてみると,そのあたりでどうしても古さを感じてしまった。
 また,そんなストーリーが,主に下画面で展開されて,3DSの立体視機能がそれほど活用されていないように見受けられたのは少々残念だった。
 このあたりは,基となったDS2の開発当時にスマートフォンの流行や3DSという新しいハードウェアの出現を予測できないことから考えれば,やむを得ないところかもしれないが……。

 ただ,そういった,“現代を舞台にする物語”に付いて回る足枷がありながらも,本作の完成度は非常に高い。とくにシステム面では,悪魔を仲魔にし,合体させて強くしていくというシリーズの基本路線は崩さずに,シミュレーションRPGの戦略性をうまく融合させたDS2をさらに洗練させた感がある。
 一度選択したらやり直せない時間制限付きの分岐など,緊張感の高い仕掛けがある一方で,チーム戦やフリーバトルなどの存在により,シミュレーションRPGが苦手な人でもプレイしやすい点も好印象だ。食わず嫌いのロートルである筆者がすんなりとゲームに入り込めたのだから,ここは自信を持ってオススメできる。ボリュームも携帯ゲーム機向けタイトルとしては十分すぎるほどなので,ぜひ一度プレイしてみてほしい。

「デビルサバイバー2 ブレイクレコード」公式サイト

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    デビルサバイバー2 ブレイクレコード

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