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「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは
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印刷2022/05/24 15:00

インタビュー

「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

 Pearl Abyss JP(以下,パールアビスジャパン)の運営するPC向けMMORPG「黒い砂漠」が,2022年5月8日にサービス7周年を迎えた。4月29日にはYouTubeで7周年記念生放送が配信され,視聴した読者も多いのではないだろうか。


 実は,今年3月の公式放送からGMのほかに,日本運営チームのリーダーという和田氏が出演するようになった。どうやら,この和田氏が日本における運営プロデューサーなのだという。なぜ移管後から2年も経ってプロデューサーが表に出てくるようになったのか。和田氏を含む日本運営チームに,その理由と今後の運営方針にどのような影響をもたらすのかについてインタビューした。


総プレイ時間は5000時間以上。運営チームは想像以上のガチプレイヤー!?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。実は今回が日本運営チームとしては初めてのインタビューとなりますので,自己紹介からお願いします。

和田氏:
 黒い砂漠 日本運営チームリーダーの和田です。主にチームメンバーの業務管理や,冒険者さんからいただいたお問い合わせ内容,ご意見の確認,韓国本社との連携などを行っています。

日本運営チームリーダー和田氏
画像集#012のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

GMエントの精霊氏:
 GMエントの精霊です。運営業務的には,ゲーム内にGMキャラクターで登場してのイベント進行でしょうか。

GMエントの精霊氏
画像集#015のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

和田氏:
 そのほか,お知らせや案内の文面作成,プレイヤーへの告知,ほかにイベント報酬の設計もやってもらってます。

4Gamer:
 次はGMペンジーさんお願いします。

GMペンジー氏:
 エントさんと一緒で,GM業務を一緒にやっています。私はどちらかというと,SNS周りを担当していて,冒険者さんと一緒に遊べる企画だったり,SNSから何かを想起させるイベントだったりをメインで考えています。

GMペンジー氏
画像集#016のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

4Gamer:
 ちなみに皆さんの黒い砂漠プレイ歴はどれぐらいなんですか。

GMエントの精霊氏:
 2019年の8月から黒い砂漠の日本移管まで,コンシューマ版の黒い砂漠をガッツリ遊んでいました。移管のあたりからPC版の黒い砂漠をやっているので,PCだけなら2年ぐらいですね。

4Gamer:
 たしか,家庭用ゲーム機版からPC版へはキャラクターを移行できませんよね……?

GMエントの精霊氏:
 ええ,できません。ゲーム機でプレイ時間見ると,5000時間と表示されるんですが,それが水の泡になるのはもったいないよなぁと思いつつも,PCで新しく始めて,いろいろ買い直してます。PCもかなり高性能なのを買ってますから,1か月の電気代が1万円を超えるときもありますね。

4Gamer:
 それはまたすごくやり込んでますね……GMペンジーさんはどうですか?

GMペンジー氏:
 私は移管後からなので,だいたい1年半ぐらいですかね。

和田氏:
 私も1年半ぐらいでしょうか。ゲームオンさんでサービスされていたときに,半年くらいプレイしていましたが1回やめて。2021年の4月ごろにパールアビスジャパンに入社して,そこから再開したという感じです。

4Gamer:
 一度やめたとなると移管作業をしていなさそうですから,和田さんもまた最初からのプレイですか。

和田氏:
 そうですね。

4Gamer:
 では,皆さんから見た黒い砂漠の魅力はどこにあると思いますか。

GMエントの精霊氏:
 黒い砂漠は,その世界に住んでいるという感覚がめちゃくちゃ強いゲームなんです。朝から晩までインして,もう黒い砂漠の中でメシを食べてる感覚になるような没入感は,黒い砂漠だけの魅力かなと思います。

GMペンジー氏:
 グラフィックスやキャラメイクの楽しさはもちろんですが,いつ戻ってきてもプレイヤーがたくさんいる,暖かく迎えてくれる冒険者さんがたくさんいるところに魅力を感じています。

和田氏:
 最初に黒い砂漠で面白いと思ったのが,アクション性の高さです。PCのキーボードとマウスで遊ぶMMORPGなんですけど,いわゆるスキルがスキルボタンを押さなくても発動できるじゃないですか。

4Gamer:
 移動キーと左右のマウスクリックの組み合わせでいろいろなスキルを使えたりコンボを出せたりと,格闘ゲームみたいなところがありますね。

和田氏:
 私はアクションがヘタでコンボとかは使えないですけど,うまい人は格好良くアクションを決めているのがスゴイと思っています。いまはクラスも増えて,近距離系,遠距離系,魔法系とそろっていますが,初見でもガチャプレイでなんとかなるというのが個人的にありがたいと思ってます。

 その一方で,釣りや料理,錬金と生活コンテンツも豊富で,戦闘以外にもできることが多いんですよね。シルバー(ゲーム内マネー)を稼ぐにしても,狩り,貿易,そこらへんの葉っぱをむしるなど手段はさまざまで,その中から自分はこれで良い,こうやって生きていくという選択肢の多さが大きな魅力だと思います。


今はプロデューサーとしての「顔」を覚えてもらうフェーズ


4Gamer:
 サービス移管直後からしばらく,日本の運営スタッフは表に姿を出していませんでした。

和田氏:
 運営移管当時,黒い砂漠の運営方針の策定を韓国本社と進めていました。また,コンテンツのアップデートにとくに注力していたので,運営スタッフが顔を出すことよりも開発を優先させていたためですね。なので,インタビューなどの際には韓国のプロデューサーが答えていたと思います。

4Gamer:
 2020年8月に開発プロデューサーのチャン・ジェソク氏にメールインタビューをしたときですね。

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[2020/10/02 18:00]

和田氏:
 ですが,運営移管から2年近くが経過して状況も変わってきました。なので,日本の黒い砂漠はどういう組織形態で,どう動いているのか,冒険者さんに改めてお伝えしようということになったんです。

4Gamer:
 プロデューサーは顔出しが必須というわけでもないと思うのですが,プレイヤーから「誰が決めているのかを知りたい」という要望があったのでしょうか。

和田氏:
 直接そう求められたわけではありませんが,こちらの姿勢を見せるときに,文字だけではなく誰かが顔を出して「こいつが話してるんだ」「こいつが決めているんだ」というのが分かった方が,冒険者さんに声が伝わりやすいと考えました。
 実際に,ゲームオンさんが運営していたときは,運営プロデューサーが表に出ていらっしゃいました。そうして表に出て話すことで,冒険者さんも納得というか,そこで気持ちが落ち着くといったことがあったと思います。

4Gamer:
 ああ,確かにそういうところはありますね。ともあれ,まずは顔を出して,プレイヤーとの信頼を構築するところから始めよう,という感じでしょうか。

和田氏:
 そうですね。MMORPGの運営は,どこかでプレイヤーと会社との対話が避けられない場面が生じます。そこで責任者が顔を出していないと,プレイヤーは誰に何を言えばいいのか分からない。もちろん,公式サイトに問い合わせ窓口はありますが,そこから返ってくる答えは誰が作っているか分からないし,誰の考えかも分からない。それはこの先も黒い砂漠というサービスを続けていく上で良いことではないんです。

4Gamer:
 GMノートだけでは,全然足りないということですか。

和田氏:
 もちろん,GMノートで開発や運営スタッフの意図などをお伝えさせていただいているのですが,それらはどうしてもアップデートの話がメインになってしまっていると感じています。日々,運営は運営としてちゃんとメッセージを出してくべきだと考えていたところでして,今回のインタビューも良い機会だと思いました。

4Gamer:
 先ほどゲームオンさんの名前が上がりましたが,移管によって運営のノウハウが一度途切れる形になったと思います。その影響はありましたか。

和田氏:
 そんなに大きな問題はなかったと思います。移管した当時,私はいなかったので具体的なことは分かりませんが,運営移管したときに日本の冒険者さんからものすごい数のご要望が届いたと聞いています。それを見て,ゲームオンさんがこういう運営をされていて,こういうところはすごく喜んでもらえていた。一方で,こういうところがちょっと足りなかったと聞いて,そこはGMノートを通じて対応を伝えるなど,サービスとしての維持はできていました。


「分かりやすい情報の公開」と「自由で快適なプレイ」


4Gamer:
 では,今後の日本での運営について,どのような方針を考えられているのでしょうか。

和田氏:
 まず第一にアップデート内容やイベント情報を,より多くの冒険者さんにお知らせしてプレイしていただけるようにしたい。黒い砂漠は,毎週のように衣装を追加したり,イベントを開催したりと,開発側が頑張ってくれているので,その情報が冒険者さんに分かりやすく伝わるよう,気を配った告知に力を入れたいと思っています。

4Gamer:
 公式サイトのイベントページを開くと,開催中のイベントがズラッと表示され,ちょっと圧倒されます。分かりやすいとは言えないように思うのですが。

画像集#001のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

和田氏:
 そうですね。ただ,あれは日本だけじゃなくて,黒い砂漠っていうサービス全体のルールとして全世界で統一されているものです。多すぎて逆に分かりづらいのは僕らも理解しているので,別にまとめページを作っています。ですが,これだけでは不十分だと思いますので,もっと別の対応ができないか,検討しているところです。

4Gamer:
 まとめページというと,アップデートのページにリスト化されているものですか?

和田氏:
 そうです。今やっているイベントと,もうすぐ終わるイベントをまとめていますが,これは日本のスタッフが自主的に作成しているページになります。 情報量に圧倒されてしまったという冒険者さんは,こちらを見てもらえればと。これらのお知らせも,以前は韓国語ベースのものを翻訳してそのまま載せていたので,独特の表現のままだったこともありました。

画像集#002のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

4Gamer:
 直訳に近いものだったと。

和田氏:
 読んでみると「間違ってはいないけど,日本じゃそう言わないよな」という表現がどうしてもあるんですよ。そういうのはこちらで全部テキストを修正して,もっと伝わりやすくなるように心がけています。とはいえ,こちらも着手し始めたばかりなので,まだまだ改善の余地があると思っています。

 もうひとつの運営方針ですが,黒い砂漠には先ほどエントからもあったように,生活の一部になるぐらいたくさんのコンテンツがあり,自分が思い描く生活を送れます。そんな自由な生活を,より快適に過ごせるようにしたいというのが今の考えです。ただ,その自由は,みんなそれぞれ求めてるものが違うんです。

4Gamer:
 できることが多いゲームだけに多岐にわたりそうですね。

和田氏:
 ひたすら狩りをしたい人,生活コンテンツを満喫したい人,演奏をやりたい人,いろいろな人がいます。ですが,自分の自由だけを優先すると,別の人の自由とぶつかって不自由が生まれてしまう。それが運営に入ってからすごく感じていることなんです。

4Gamer:
 MMORPGですから,他者との関わりはどうしてもあります。

和田氏:
 そうです。例えば,狩り場でモンスターを狩っていれば,ほかのプレイヤーさんがやってくる。お互いが,そこで一緒にやりましょうとなればいいのですが……。

4Gamer:
 それでPKが発生することがあるのも,黒い砂漠ですね。

和田氏:
 はい。ある意味,そういう一面もあります。黒い砂漠にはフィールド上でのPvPの仕組みがあり,それによってPKも可能になっています。PKを行う側にもデメリットはあるのですが,PKされて悔しい思いをされる冒険者さんもいらっしゃいます。
 しかし,相手を追いかけ回して執拗にPKを繰り返すなどの過渡の妨害行為となると別で,現状のルールとしてこういうケースを運営がどう判断するか線引きが曖昧でした。ですから「PKはいいけれど過渡の妨害行為をしないようにしてください。やめないなら警告なり,制裁措置を行います」という形でルール的な線引きを策定中で,まとまり次第お伝えしようと思っています。

4Gamer:
 自由と言っても,そこはルールがあってこそですからね……。

和田氏:
 もうひとつ別の例だと,先日,JASRACの管理楽曲を黒い砂漠の演奏コンテンツで使えるようにしました。以前は「他社さんの著作物を演奏しないでください」と規約で説明していました。中には「それは著作権侵害だからやめよう」と言ってくださる冒険者さんもいたのですが,注意が行きすぎてしまったこともありました。


4Gamer:
 実際にトラブルにまで発展したことがあったんですね。

和田氏:
 はい。その都度で対応はしていたのですが,じゃあ運営としてどういう判断をするんだという答えをすべての状況で出すのが難しかったんです。

4Gamer:
 極論ですが,それでサービスに影響が出るなら,全面禁止(機能の削除)が一番楽な対処法ではあると思いますが……。

和田氏:
 そうですけれど,演奏コンテンツという機能自体を潰すなんてしたくない。演奏したいと考えている冒険者さんの気持ちを大事にしたい。一方で,社会的に守っていただかなければならないことも確かにある。それを注意する冒険者さんの気持ちも,もっともである。そうした状況のなか,さまざまな解決策を模索した結果,黒い砂漠の演奏コンテンツにおいて,JASRACさんの管理楽曲を使えるようにしました。

4Gamer:
 これは日本独自の施策なんですね。

和田氏:
 はい。JASRACさんと相談して,管理楽曲が使用可能になったことが日本の運営チームとしての結論なんです。これまで著作権侵害だと注意してきた冒険者さんも,それはもうルールとして認められたことだから見守っていこうってところに落ち着きます。同時に,その話とは関係なく,ただ演奏の邪魔をする人もいたので,そういう行為は止めてくださいと,運営から言えるようにもなるわけです。

4Gamer:
 それはもう,ただの迷惑プレイですね(苦笑)。

和田氏:
 こういった,ゲームの世界に存在する冒険者さん同士の関わりによって発展しうるトラブルみたいなものは,ほかにもまだあります。時間がかかるかもしれませんが,それらも良い形で解決して,いろいろな人の自由を守れるように,それを楽しめるように整えていくというのが,現状で私たちの持っている運営方針というところになります。

4Gamer:
 一方で,韓国側からこういう方針でやってくれというのはあるんですか。

和田氏:
 あります。現状では基本的にその方針に則っていますが,例えば冒険者さんからの問い合わせとか,ちょっとした問題が発生したとき,その方針と私の意見が食い違ったときは,私としてはこう考えているんで,こう対応したいですと本社に確認を取り,認識と方針を合わせています。

4Gamer:
 日本の運営チームだけでの判断はできないのでしょうか。

和田氏:
 できる部分とできない部分がありますが,我々で判断,解決できる部分を徐々に増やしているところです。日本人の感性としてここは譲れない。でも本社側としてはこうしたいと意見が食い違うときが度々あり,お互い話をして納得できたところで対応する。実際に,こちらで判断できる範囲が結構広がってきたという実感はありまして,先ほどのJASRACさんの件も,社内調整を含めて動けるところを動いてみて,その結果,うまくいけばいいというところからのスタートでした。


より高レベル,高品質な作品にすべくアップデートし続ける「黒い砂漠」


4Gamer:
 サービス移管前後でプレイヤー数に変化はあったのでしょうか。

和田氏:
 具体的な数字はお話できませんが,ネガティブな話ではありませんよ。日々,DAUなどをチェックしていますが,サービスを始めて7年が経ったPCのMMORPGで,いまだにこんなにプレイヤーさんがいるのかと純粋に驚くレベルです。

4Gamer:
 というと,プレイヤーは増加していると?

和田氏:
 最近ですとドラカニアという新クラスと,果てしない冬の山という新地域が入りましたが,これらを見て入ってきた新規の方も,戻ってきた方もいます。
 果てしない冬の山はレベル1から始められるので,新クラスのドラカニアで冬の山から始めるというプレイヤーが多かったのですが,スタート地点がみんな一緒なんです。そうすると狭い小屋みたいな建物の中に同じ恰好をしたキャラがずらーっと並んでいて,(処理が)重くなるくらい人が集まっていました。

画像集#007のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは
画像集#008のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

4Gamer:
 自分も冬の山からのスタートを試しましたが,こんなにストーリードリブンのゲームだったかと思うぐらい,今までとは毛色が違っていて驚きました。

和田氏:
 実は今回の果てしない冬の山のメイン依頼は,ストーリー部分がほぼフルボイスです。以前の韓国の配信で,ジェヒさん(黒い砂漠プロデューサー キム・ジェヒ氏)が,果てしない冬の山はカットシーンをいっぱい入れて,ストーリーの演出にすごく力入れていますと発言されているんです。

画像集#003のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

4Gamer:
 そんなに長いものじゃないですが,序盤から多数のカットシーンがありました。

画像集#004のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

和田氏:
 そういう方向ならそれに見合ったクオリティにしないといけないと,これまで以上に翻訳に気を使っていて,日本語チェックに私も入って「この言い回しはおかしいから変えて」とか,いろいろ直してもらいました。ただ,それでも冬の山のストーリーの翻訳には至らない箇所がいくつかあり,反省しているところです。そして,次はバレノス地域のメイン依頼のカットシーンにリブートが入るんですよ。

4Gamer:
 現在はまだ,開発進行中ということですか。

和田氏:
 作業中です。当然ここにもボイスは入ってくるので,また同じようにチェックしないと,という感じですね。今後,ストーリーにも力を入れるらしく,日本語のクオリティは我々の責任でもあるので,世界観ややり込みの深さなど,黒い砂漠が持っているポテンシャルに見合ったものに仕上げていこうとチームメンバーと話しています。

4Gamer:
 新クラスのドラカニアについて,プレイヤーからの評判はいかがでしょうか。

和田氏:
 概ね良い評判をいただけています。プレイヤーさんからのご意見や反応を見ていると,ドラカニアは女性キャラで,ちょっと重めの動作なんです。そこがこれまでと違って楽しいのと,エフェクトがカッコいいという意見がすごく多いですね。

4Gamer:
 青と赤,雷と炎のエフェクトでしたね。

和田氏:
 最初はなんで雷と炎なんだろう? と少し疑問だったのですが,設定を確認して「なるほどこういうことか」と。また,操作した際には動作が重めだからこそ一撃が大きくて,狩りもしやすいし,そこにカッコいいエフェクトが重なるので,見ていてもプレイしていても気持ちいいです。

画像集#009のサムネイル/「黒い砂漠」日本運営チームにインタビュー。運営プロデューサー和田氏が守りたい“プレイヤーのための自由な生活”とは

4Gamer:
 3月26日に配信されたカルフェオンエピソード2では,ドラカニアの覚醒は後日と発表がありましたが,詳しい日程は決まっているのですか。


和田氏:
 そういう大きなアップデートは,日本だけじゃなく韓国を中心に全世界の地域で,どのタイミングでやろう,みたいな形で決められるので,お答えするのは難しいです。ただ,開発スタッフが頑張って開発中ですので,期待していただければと思います。

4Gamer:
 日本運営チーム側としてにロードマップのような形で発表はできないわけですか。

和田氏:
 開発が関わるものだと,ちょっと難しいですね。

4Gamer:
 とすると,大型アップデートに関する内容は,韓国発の生配信を見るのが一番早いという感じになりそうですが。

和田氏:
 そうなりますね。また,情報統制が厳しくて,実は知っているけど言えないみたいなのも多いんです。世界中の黒い砂漠の冒険者さんが絶えず情報を探っていて,新情報を日本で先に公開しちゃうと「日本でこういう発表があった。これは日本だけなのか,俺たちの地域にも反映されるのかどっちなんだ」とカスタマーサポートに問い合わせが行くんですよ。
 地域ごとにマーケティングや運営のチームがあって,それらが予定しているアップデートなどにも影響が出かねないですから。

4Gamer:
 ヘタに話してしまうと,ほかの地域の運営が困ってしまうわけですね。

和田氏:
 そうなんです。現在,アップデート前日の夜に「黒サバ冒険日誌」でアップデート内容を配信しています。ほかの地域でもやっているかもしれませんが,始めた当初は日本だけでしたね。

4Gamer:
 前日夜なら……といった感じでしょうか。けっこうギリギリのタイミングですよね。

和田氏:
 これは日本側から,冒険者さんに向けてこういう形で情報を出したいので,やっていいですかと話をして,ちょっとした内容だけだったらいいよと返答をもらって実現にこぎ着けたんです。

4Gamer:
 なるほど。アップデートに関係するか分かりませんが,4月29日の7周年記念放送で新情報を公開する予定などはありますか(※インタビューは4月22日に収録)。

和田氏:
 日本に採集量アップのスキルを持ったペットの実装が発表されます。というのも,実はペットのハリネズミが,日本以外では採集量アップのスキルを持っているのですが,日本だけは違っていたんです。その対応としての追加になります。

4Gamer:
 日本のハリネズミは消えたりしない?

和田氏:
 消えません。現在,日本以外の地域で実装されているハリネズミと同じで,採集量アップのスキルを持った新しいペットが実装されます。
 この新ペットはほかの地域でも実装され,パール商店で購入するものになります。ですが,日本はログインボーナスのような形で全冒険者に配布されます。これは日本の冒険者が今まで採集量増加のスキルを使えなかったので,そのお詫びと実装されるのを待ってくださったお礼の気持ちを込めつつ,やっと実装できたので使ってくださいね,ということなんですよ。


念願のオフラインイベントがついに開催! 今後もゲーム内外でさまざまなイベントを実施予定


4Gamer:
 5月8日に日本での運営7周年を迎える黒い砂漠ですが,運営方針とは別に今後どのような活動を行っていくのか,展望がありましたら教えてください。

和田氏:
 運営側の活動として,このインタビューが出るころにはお知らせが出ていると思いますが,オフラインイベントを予定しています。オフラインイベントは冒険者さんからの要望もあり,私も実施したかったもので,定期的にやっていきたいと考えています。と言うのもプレイヤーさんと直接話せる場は欲しいですし,いろいろな場所で何回も僕らの考えを伝えるというのも大事なことなので,その手段のひとつとして実施したかったんです。

4Gamer:
 オフラインと言えば,昨年末にコラボカフェを開催したじゃないですか。あれは運営チームからの発案ですか。

和田氏:
 昨年の夏に運営チームからコラボカフェをやりたいねという話が出て,マーケティングから話を進められますよと返ってきたので,タイミングを調整して実施できたという流れですね。もともと私はコラボとか,アライアンス的なものをやる仕事で入社して,サヴァ缶や砂コーヒーを手がけたりもしていたので,その流れのひとつとも言えます。

4Gamer:
 サソリを出そうと言ったのは和田さんですか?

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[2021/12/23 14:48]

和田氏:
 コラボカフェのメニューは運営メンバーで案を出して,関係各所に回してOKをもらってという形でした。ゲーム内にサソリ焼きがあるのでリストに入れた感じですね。ただ,本当にサソリを出せるかどうかは分からなかったんです。聞いてもらったら「行けますよ」と言うので,「じゃあ,お願いします」って。でも,あれも最終決定に至るまでは紆余曲折あったんですよね……。

GMエントの精霊氏:
 スッ……って,(和田氏が)リストに入れたと聞きましたけど。

一同:(笑)

4Gamer:
 ほかにやりたいイベントや企画はありますか。

和田氏:
 エントやペンジーがGMとしてログインすることがあるんですが,そこで得たコミュニケーションで我々が気づかされることもあります。これまでは制限がありましたが,以前よりもやりやすくなっているので,今後はGMイベントの数も増やしていきたいですね。

4Gamer:
 わりと頻繁に行われているGMイベントですが,日本運営が独自に開催しているものなんですか。それとも,韓国で実装されていたものを,日本でも実施したのでしょうか。

和田氏:
 両方あります。韓国でやるものを,我々のほうでも一緒にやりましょうというのもありますし,こちらで企画して日本だけでやるものもあります。

4Gamer:
 日本だけで企画した場合,イベントの開発や調整などは日本で行えるのでしょうか。

和田氏:
 開発の手が入っちゃうものはちょっと大変ですが,GMが世界のどこかに隠れて,見つけた人の先着何名かにアイテムをプレゼントしますといった,かくれんぼみたいなGMイベントなら比較的,少ない調整で行えます。

GMエントの精霊氏:
 船に乗って海洋ワールドボス「ベル」を倒しに行くというのも,GMイベントのひとつですね。


和田氏:
 これらは日本で考えていたイベントですが,逆に先日開催した冬の山ツアーは韓国やほかの地域でも実施したイベントです。新しく実装された地域なので冒険者に紹介しましょうみたいな感じで全世界でやっていることを,我々も一緒にやった感じですね。

4Gamer:
 なるほど。皆さんのほうから韓国に,こういうイベントをやろうという意見の投げかけやアイデア出しとかはあるんですか。

GMエントの精霊氏:
 実際にやったことと,ボツになったものもあります。

GMペンジー氏:
 GMを殴るヤツは?

GMエントの精霊氏:
 GMがプレイヤーの皆さんから攻撃してもらうというイベントも,とくに開発は必要なくてできたイベントでしたね。最後に攻撃を与えた人はログに残るので,それを利用してラストアタックを決めた人にプレゼントをあげるという企画です。

GMペンジー氏:
 「GMキャラのHPって無茶苦茶高いんだけど,あれって倒せるのかな?」みたいなのがGMイベントごとに冒険者さん達の話題に上がっていて,じゃあ1回殴られてみようかというのが発端ですね。

4Gamer:
 冒険者さんの動画で見ましたが,人が集まっていて盛況だったのが分かります。

GMエントの精霊氏:
 でもあれ,サーバーにすごく負担がかかってしまい,怒られかけたんですよね……。なんとか事なきを得たのですが。

4Gamer:
 人が1か所に集中するようなイベントは大変そうです(苦笑)。
 アップデート内容を紹介する黒サバ冒険日誌のほかに,双方向とまではいかないと思いますが,プレイヤーとやり取りするような配信は考えていますか。

和田氏:
 私がやろうと思っていて考えてはいますが,具体的にどうやってやるのがいいか検討中です。そもそも日本運営チームのリーダーとして私が表に出てきたのが先月(3月下旬)からなので……。

4Gamer:
 正直,GMエントの精霊さんやGMペンジーさんのほうがプレイヤーには知られていますよね。

和田氏:
 ですよね。だから私が今出て「何でも言ってください」と言っても,そもそも「お前誰だよ」となるんです。もうちょっと私の存在と言いますか,日本の運営についての方針が皆さんに届いてから,双方向でコミュニケーションが取れる場所をちゃんと設けていくつもりです。

4Gamer:
 じゃあ,まだいつかは言えないと。

和田氏:
 そうですね。先日,カルフェオンエピソード2のアンケート結果を公開したのですが,実はこれまで結果の報告をしたことがなかったんです。それもよくないので,冒険者さん達とのコミュニケーションのひとつとして,今後は私が出て報告も行っていくつもりです。


4Gamer:
 あのアンケートですと,ふんどし再販の要望が面白かったです。

和田氏:
 あれもちょっといろいろあるんですが,確認しているところです。

4Gamer:
 おや,再販に前向きなんですか? ネタアバターとして,かなりイカしてると思っていますが(笑)

和田氏:
 今のところは,なんとも……というところですね。もう少し話す必要があるのですが,アルシャのPvP大会にふんどしで出られる方もいらっしゃったり,あれで温泉に入っている方もいらっしゃったりするので,愛されているのを感じます。ただ,本当に申しわけないのですが,残念ながら実現はかなり難しいです。ふんどしは数年前に販売した衣装で,再販する場合は新しいクラスに合わせた調整が必要になります。ですが,現在は新しい衣装の開発を優先していますので。

4Gamer:
 それでは最後に,黒い砂漠を遊んでいるプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

和田氏:
 黒い砂漠を遊んでくださってありがとうございます。お話ししたとおり,冒険者さんが遊ぶ環境をどうやって良くしていくか,いかにもっと遊びやすくしていくかが運営の仕事だと思っています。
 いろいろできることも多いし,楽しいって思えることも多い黒い砂漠ですけど,できることが多い分,問題も起こりうるという面もあるので,それらをちょっとずつ改善していこうと考えています。
 もっともっと長くサービスを続けて,運営を安定的にできるように取り組んでいきたいと思いますので,よろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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――2022年4月22日収録


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