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[GDC 2018]映像やAR/VR,さらにリアルタイムレイトレーシングまで! 2018年のUnreal Engineはこうなる
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印刷2018/03/22 21:44

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[GDC 2018]映像やAR/VR,さらにリアルタイムレイトレーシングまで! 2018年のUnreal Engineはこうなる

Epic Games CEO,Tim Sweeney氏
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 北米時間の2018年3月21日,アメリカ・サンフランシスコで開催されている「Game Developers Conference 2018」で,Epic GamesによるGDC内イベント「Unreal Day」の基調講演「State of Unreal」が行われた。1日かけて行われるUnreal Dayの開幕を告げる本講演では,直近そして今後のUnreal Engineの状況が語られた。

 最初に登壇したのは同社CEOのTim Sweeney氏だが,驚いたことに,今年の氏の話はモバイルから始まった。世界には35億台のコンピューティングデバイスが存在し,何十億人ものゲーマーが誕生していると氏は語る。
 現在,数多くのモバイルゲームがリリースされているが,最近ではモバイルだからといってカジュアルゲームばかりということはなくなった。昨年発表された「Lineage 2: Revolution」をはじめ,コアなゲームがモバイルでも展開され始めている。Unreal Engine 4を使ったコアなモバイルタイトルとして「Rocket League」「ARK: Survival Evolved」「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS Mobile」,そして「Fortnite」が紹介されていた。

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 Sweeney氏が前日に撮ったというiTunesのランキングを示すスクリーンショットでは,Top10に複数のコアゲームが入っており,時代の変化が如実に感じられるものとなっていた。市場はカジュアルからコアにシフトしていると氏は語る。


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 その中の一つで,Epic GamesがリリースしているFortniteについての紹介を行ったのは,Unreal EngineのディレクターNick Penwaden氏だ。本作のモバイル版では基本的にPCなどと同じゲーム体験を実現しており,そのためにUnreal Engine 4に以下のような大幅な改良が施されている。

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 それでもパフォーマンスが足りない場合には,レンダリング解像度をダイナミックに変えるなどしてフレームレートを確保しているという。Fortniteを開発するうえで行われたUnreal Engineのさまざまな拡張は,多くのゲームにとっても重要なものとなる。

 同社CTOのKim Liberi氏からは,「Realtime Future」と題して主に映像関連の動向が語られた。
 まず紹介されたのは,多くの映像作品を手がけるThe Third Floorの,MRによるスタジオ撮影の様子だ。このスタジオでは,カメラ付きのVRヘッドセットとハンドコントローラを使って,CG世界の中で演技や演出の確認などができる。通常はブルーバックなどで人物の演技を別撮りし,CGの背景と合成するのが最近の流れなのだろうが,このスタジオではCG付きのイメージをあらかじめ確認できるようだ。

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 Fox VFX Labでは,Unreal Engine 4を使ったモーションキャプチャのリアルタイムでの確認が,Digital Dimensionではアニメーション作成が行われており,その制作現場も紹介された。このように,映画・映像業界ではプロの使うツールとして,Unreal Engine 4のリアルタイム映像が高く評価されているという。

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 また,パキスタンの3rd World StudiosでもUnreal Engine 4による映像制作が行われており,その模様も紹介された。

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 映画制作にUnreal Engine 4が使われるようになり,それに合わせて映像制作を意識した機能が充実していくという,好循環が生まれているUnreal Engineだが,その一つの象徴といえるのが,ルームスケールのVR体験とVR映像を組み合わせた短編作品「Carne y Arena」アカデミー賞受賞だろう。数年前にはそんなことはまったく考えられないことだった。

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 続いて,昨年も取り上げられていた「Hellblade: Senua's Sacrifice」でのパフォーマンスキャプチャの様子が紹介された。俳優の演技や表情をCGキャラクターに反映する試みは,デジタルアクターがほぼ実用段階になっていることを感じさせる。

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 最近では,こうしたCGであることを感じさせないような「デジタルヒューマン」がトピックになることが増えてきた。モーションキャプチャやエモーションを,リアルタイムでCGキャラクターに反映させること自体はそう目新しいものでもないのだが,クオリティがどんどん上がってきているのだ。このHellbladeも,不気味の谷を越えたキャラとして話題になっていたものだ。

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 そんな中で紹介されたのが「SIREN」だ。これはTencentと3Lateral,Epic Games,Cubic Motion,VICONが共同で開発したデジタルヒューマンである。3Lateralはデジタルヒューマンの専門企業で,Epic Gamesとは長くパートナー関係にあるという。Cubic Motionはモーションキャプチャの専門企業だ。VICONはモーションキャプチャ機器の専門メーカーである。念のために書いておくと,TencentはEpic Gamesの株式を4割持つ会社である。



 前述のとおり,リアルタイムパフォーマンスキャプチャ用のキャラクターとそのソリューションなのだが,非常に高レベルのものに仕上がっていることが分かる。Expo会場のVICONブースでは,アクターが実際にSIRENを動かしているところが実演されていた。

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 続く3Lateralによるデジタルヒューマンのデモでは,ロンドン出身の俳優Andy Serkis氏が「マクベス」のソネットを表情豊かに朗読していた。さすがはシェイクスピアの国のモーションアクターという圧巻の演技だった。


 この表情をクリーチャーにリターゲティングして,同様に詩を朗読させるデモも行われた。


 このように,デジタルヒューマンの分野でもUnreal Engineはトップレベルとなっている。単にバーチャルYouTuberの高級版という感じではなく,デジタルヒューマンだけで映画が作れるレベルになっている。近い将来,この分野はゲームとも無関係ではなくなるだろう。

 続いての話題はAR/MR系の話だ。
 「WINGNUT AR」は,AppleのARkitを使ったもので,テーブルの上などにゲームの情景を表示するものだが,建物を壊したりといった派手なゲームシーンが目の前で広がるという驚きの内容だ。

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 いろいろと話題のMagic Leapについても紹介されたが,素晴らしいものであり,サポートするということしか情報はなかった。

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 MR系では,「League of Legends」で知られるRiot Gamesの取り組みも紹介された。これは中国・北京のいわゆる「鳥の巣」で行われたライブコンサートの映像に,LoLのドラゴンを登場させるというもの。ライブ放送で使うカメラの位置と向きを取得し,カメラで撮影された映像にAR合成を行ったものを放送するという試みだ。ライブコンサートだけでなく,スポーツイベント,e-Sportsイベントなどの放送で,さまざまな演出を加えることができる。実際の映像は以下で確認してほしい。

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 映像関係の話題が多くなっているが,次はVRの話だ。
 ILMxLABのMohen Leo氏が登壇して,今年オープンしたVRアトラクション「Star Wars: Secrets of the Empire」について簡単に紹介した。これは分かりやすく言えば,バックパックPCを背負って移動しながら楽しめるVRアトラクションなのだが,従来のものとは一味違う。どちらかというと,一般的なスター・ウォーズのアトラクションにVRを加えたモノといったほうがいいだろうか。現実空間とVR空間は一致しており,VR空間内で壁に触れると,本当にそこに壁があるといった感じのアトラクションなのだ。


 こちらも並のVRゲームとは比べ物にならないクオリティのグラフィックスなのだが,Leo氏はさらにILMxLABが制作しているDirectX Raytracingのレイトレーシングによるデモも紹介していた。もちろん,Unreal Engine 4上でリアルタイムに実行されているものだ。こんなことはILMにしか許されないのではと思うような,ピカピカのストームトルーパー(?)が登場するなど,会場は大いに盛り上がった。


 ILMxLABがこうしたデモを行っているということは,将来的にはレイトレーシングを使った,よりリアルなVRアトラクションなども実現するのかもしれない。
 続いてNVIDIAのTony Tamasi氏が登壇してリアルタイムレイトレーシングについて解説を行った。図を見る限り,Volta以降のGPUのみをサポートしているようである。

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 Unreal Engineを使ったゲームの状況は,Dana Coeley氏から紹介が行われた。Steam売り上げの歴代3位を記録したPUBGやRocket Leagueが紹介されたあと,Unreal Engine 4を使った開発は大企業にしかできないわけではないとして,16人で開発しているPixel Opusの「Concrete Genie」が紹介された。Concrete Genieは壁などに落書きをする少年の物語で,描いたものが動き出すという独特の世界観の作品である。また,Undead Labからはゾンビシューティングの「State of Decay 2」も紹介されていた。

上段「Concrete Genie」,下段「State of Decay 2」
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 さらにモバイル版「ARK: Survival Evolved」が紹介されたあと,突然,本作のNintendo Switch版の発表が行われた。会場ではSwitchの実機で動いている様子が示されていた。これは世界初公開のものだ。

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 最後に紹介されたのは,ちょっと意外なものだった。
 Unreal Engine 4にはリプレイ機能が用意されているが,これを活用した,Fortniteのコンテンツクリエーションツールのデモは,ゲームのリプレイ動画などをより魅力的に演出できるようなものだったのだ。

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 カメラの位置を変えたり,被写界深度を変えたりといったあたりはNVIDIAのAnselに近いものがあるが,Anselが静止画専用のキャプチャツールなのに対して,こちらは動画を録画できるという違いがある。これもリプレイデータがあるから実現できることである。会場にはFortniteの人気実況者であるAll-A氏が登壇し,興奮した様子で新ツールの紹介を行っていた。

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 そして再度,Tim Sweeney氏が登壇して,Fortniteのクロスプラットフォーム対戦機能について語った。Fortniteは現在(および近い将来で),PC,Mac,PlayStation 4,Xbox One,iOS,Androidをサポートするが,すべてのプラットフォームのプレイヤーと対戦が可能である。ただし,インタフェースなどが異なるとフェアでなくなる可能性があるためか,モバイル版などは初期設定では参加できないようになっている。

 かつてRocket LeagueのPS4版がクロスプラットフォーム機能をサポートしなかった際に,最も強くSIEを批判していたうちの一人がSweeney氏なわけだが,自社のFortniteではしっかりとクロスプラットフォーム対戦を勝ち取ったようだ。そして,氏はこのように世界中のゲーマー同士がさまざまな垣根を越えてつながり合うことが,業界の発展につながるとしてイベントを締めくくった。

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