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MONSTER×DRAGON
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「RTSとTCGを足してSRPGで割った,100人対戦のゲーム」――スクウェア・エニックス×Yahoo! JAPANの新作「MONSTER×DRAGON」インタビュー
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印刷2011/10/08 00:00

インタビュー

「RTSとTCGを足してSRPGで割った,100人対戦のゲーム」――スクウェア・エニックス×Yahoo! JAPANの新作「MONSTER×DRAGON」インタビュー

 2011年9月28日にティザーサイトが公開され,10月5日には正式発表とともにクローズドβテスターの募集が始まった,スクウェア・エニックスとYahoo! JAPANによる新作ブラウザゲーム「MONSTER×DRAGON」。
 2010年にサービスを開始した「戦国IXA」と同じタッグによる新規タイトルとなるわけだが,現在公開されている公式サイトではまだ,ゲームシステムについての説明も少なく,具体的にどういったゲーム内容なのかなど,不明点が多い。
 タイトルとメインビジュアルだけを取って見ても,“モンスター”と“ドラゴン”という反復表現のようなタイトル名や,背中に城を背負った巨大なドラゴン,その周りを飛び回る無数の飛龍が描かれたメインビジュアルは,不思議と印象に残るものとなっている。

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 今回スクウェア・エニックスとYahoo! JAPAN両社のスタッフから,その内容を教えてもらえる機会を得た。
 本稿では,スクウェア・エニックスの本作プロデューサー岡山博紀氏,マーケティングディレクター下平光峰氏,Yahoo! JAPANのコンシューマー事業統括本部 齋田友徳氏の説明内容と,それらに踏み込んだインタビューをお届けしよう。

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スクウェア・エニックス 第二オンライン企画運営部 プロデューサー 岡山博紀氏
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スクウェア・エニックス 第二オンライン企画運営部 マーケティングディレクター 下平光峰氏
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ヤフー株式会社 コンシューマー事業統括本部 齋田友徳氏

「MONSTER×DRAGON」のCBTに4Gamer.netから応募する

「MONSTER×DRAGON」公式サイト



RTSとTCGを足してSRPGで割った,100人対戦のゲームシステム


 ブラウザゲームというと,コアゲーマーほどあまり良いイメージを抱いていないものだが,岡山氏によると本作は,どうもそういった一般的なブラウザゲームのイメージとは違い,提供方法がブラウザゲームであるというだけで,新しいジャンルのオンラインゲームといった内容となっているようだ。

 まず,本作のゲームシステムは,リアルタイムストラテジー(RTS)とトレーディングカードゲーム(TCG)を組み合わせたような,独自のものとなっている。また,ふつうRTSというと4人程度で対戦することが多いと思うが,本作ではなんと,同時に最大100人のプレイヤーが対戦できるのだ。対戦時間はクローズドβテスト(以下,CBT)では45分に設定されている。

 ゲーム画面は,シミュレーションRPGでよく見られる,スクエア(正方形)で区切られたマップ上に各ユニットが配置されるもの。プレイヤーはそれぞれ自分のデッキと手札を持っており,手札のモンスターを使用して攻撃を行う。マップ内には“クリスタル”の鉱床が点在しており,これを巡って,ほかのプレイヤーと争奪戦を行うことになる。

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 続いて,具体的なゲーム序盤の流れを簡単に見ていこう。

 初めてゲームを開始すると,まずは世界観を説明するデモムービーが流れる。本作の舞台となるのは,ドラグニカという名の大陸のようだ。
 ムービーが終わると,次はプレイヤーを補助するパートナーの選択になる。パートナーのボイスは,男女それぞれ2種類ずつ用意されており,それぞれ違った性格のキャラクターを演出している。ボイスを担当しているのは“人気声優”とのことだが,今のところキャスト名についてはまだ秘密とのこと。

 次は初期デッキの選択だ。デッキはシヴァ(氷),イフリート(炎),ラムウ(雷)の3種類で,代表的な召喚獣が並ぶ。デッキは25枚で構成されており,ここから4枚の手札カードがランダムで配られる。なお本作では,手札からカードを引くことを“召喚”と呼ぶようだ。
 バランス重視にするのか,それともモンスターの見た目重視にするのか,どのような組み合わせでデッキを組むのか,カードを見比べてしばらく悩んでしまいそうである。

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 初期設定を終えたら,ロビー画面へと移動。ロビーでは1人で遊ぶ“ミッション”と最大100人まで遊ぶ“戦争”の2つが選べるが,最初はミッション中の“チュートリアル”をプレイすることになる。
 チュートリアルでは,実際にマップ上でのキャラクターの移動や,ゲームの目的となる“クリスタル”の制圧など,基本操作を一通り学べる。操作自体は非常に簡単なため,あまりゲームに慣れていない人でもすぐに理解できるはずだ。

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 なお本作では,プレイヤーは“フォートレス”という,城を背に乗せたドラゴンをユニットとして操作しながら進めていく。ここで,岡山氏が実際にフォートレスを操作しながら,ゲームシステムの特徴を教えてくれた。まず対戦では,“時間”と“コスト”の運用が肝となるらしい。フォートレスの移動やモンスターカードによる攻撃などにはそれぞれコストが設定され,コストに応じた“アクションポイント”(以下,AP)というポイントを消費し行動していく。このAPは自動的にたまっていく。本作はターン制ではなく,半リアルタイムで進行していくため,どのタイミングでどのように動くのか,次の次を考えて行動しないと,APが回復するまでの間にほかのプレイヤーから攻撃されてしまうリスクがつきまとう。

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 さらに,各カードにはスキルが設定されており,地形と同じ属性のカードであればスキルを使用可能だ。ただし,対戦中は相手の手札も確認できるため,相手の手札やユニットの配置から,「相手がこれからどこへ移動するのか」「どのクリスタルを狙ってくるか」といった読み合いが発生するわけだ。


大人数でリアルタイムに遊ぶ,全く新しいタイプの100人が同時に戦う“お祭りゲーム”


 以上の大まかな説明を受けたところで,あらためて3人に話を聞いた。

4Gamer:
 例えが正しいかどうかわかりませんが,遊び方としてはRTSの「League of Legends」などのイメージに近いものでしょうか?

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岡山博紀氏(以下,岡山氏):
 ユニットでの対戦という部分では近いのかもしれませんが,ゲームとしてはまったく違います。インタフェースを含めて,近い言い回しをすれば「シミュレーションRPGを100人対戦で遊んでみた」が分かりやすいかもしれません。ただし,行動順が強制されるターン制ではないのでそれも少し違いますけど。とにかく,すごく賑やかです。

齋田友徳氏(以下,齋田氏):
 今どき珍しい“新しい”ゲームです。私も最初に触らせてもらったとき,「Age of Empires」などの4〜8人くらいで遊ぶイメージなのかな? と思っていたのですが,「100人くらいで遊ぶんですよ」と言われて,「ええっ!?」と驚きました。これは“MMORTS”と言えばいいのかな。「戦国IXA」のときもそうでしたが,この感覚は「Yahoo!ゲーム」にまた新しい遊び方を広めて,市場や客層を開拓できるのではないかと思っています。

下平光峰氏(以下,下平氏)
 プロモーション的には,「100人が同時に戦う“お祭りゲーム”という表現をしていますが,実際その通りです。大人数の中で仲間と協力して連携行動を決められるようになればヤミツキになります。一方で,ひとりでも孤高に戦場を駆け回ってソロ連携といった楽しみ方も可能ですよ。ゲーム好きなら誰でも1度は触れたことがあるSRPGに近いインタフェースで,簡単操作でお楽しみいただけるようになっています。

4Gamer:
 ゲームモードとしては,オンライン対戦が中心になるのでしょうか。

岡山氏:
 今回(10月13日から)のCBTについてはオンライン対戦の“戦争”モードを中心にテスト予定です。

4Gamer:
 これだけの大人数でリアルタイムに遊ぶブラウザゲームというのは,あまり例がないですね。

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下平氏:
 ブラウザゲームを選択したのは,多くの方に遊んでいただけるプラットフォームだからという意味合いが強く,「ブラウザゲームってこういうゲームだよね」というような前提ではなく,「こんなゲームが遊べたら面白いよね」という意識で,最後まで開発チームが進めてくれた結果だと思っています。

齋田氏:
 「Yahoo!ゲーム」ではカジュアルなゲームも多く提供していますが,Yahoo! JAPANにはさまざまなお客様がいます。単にブラウザで遊ぶからとか,流行りのソーシャルでといった方だけではないので,「戦国IXA」と同様に純粋なオンラインゲームとして楽しみたい方にもお応えできるものとして,この「MONSTER×DRAGON」も展開させたいと考えています。


トレーディングカードゲーム(TCG)の要素を取り入れつつも,“初心者でも活躍できる”ルールに


岡山氏:
 このプロジェクトの開発が始まった当初,デッキや手札山札といった,TCG的な要素を入れる予定はありませんでした。実は最近,個人的にとあるTCGを始めてみたんですよ。そしたら……今は大会でいいところまで進むほどハマってしまいまして。

一同:(笑)

岡山氏:
 モンスターを召喚しながらバトルするというコンセプトはあったのですが,ゲーム内での育成時間の差による初心者と上級者の強さの差をどう埋めていくべきかという課題を,どうしようかと考えていました。開発ディレクターからモンスターをTCGに近づけたいと提案をもらったときに,「これだ!」と。
 TCGは自分の戦い方を想像してデッキ構築する戦略パートと,実戦でTPOに合わせた立ち回りを身につける戦術パート,この両方の組み合わせ部分が「すごく面白いぞ」と素直に思ったんです。ただTCGの場合はどうしても,1 vs. 1で相性の悪い相手に当たってしまうと,2ターン目で投了なんてことも起こり得るほど“時の運”の要素が強く,さらに共通して覚えなければならないルールが多いので,初心者の方が勝つまではなかなか厳しいということも分かりました。
 それを踏まえて「MONSTER×DRAGON」では,例えば目の前の相手とは相性が悪くても「あの人にだったら勝てそうだ」と対戦相手を途中で変えられ,自分のレベルが低くても勝利を味わいやすくなっています。TCGという面だけで考えると「えっ? 成立するの?」と捉えられるかもしれませんが,そこは実際に触って体験していただきたいところですね。

画像集#020のサムネイル/「RTSとTCGを足してSRPGで割った,100人対戦のゲーム」――スクウェア・エニックス×Yahoo! JAPANの新作「MONSTER×DRAGON」インタビュー
齋田氏:
 なにせ100人もいますから,どこかに倒せる相手がいるかもしれませんよね(笑)。最初に見せていただいて「これは良いなあ」って感じたところはまさにそこで,単に勝ちにこだわるわけではなく,自分なりの楽しみを見つけられたり,負けてもそれなりに楽しめるゲームに仕上がるのではないかと思いました。

岡山氏:
 逆に,そういう勝ち逃げ戦法を取られないように仲間同士が固まって陣形を整えたりとか,そういった戦略部分も発明していくプレイヤーさんが現れると思います。

4Gamer:
 ということは,TCG寄りの戦闘システムは,後からの追加だったんですか。

岡山氏:
 そうなんです。先ほどお話ししたとおり,パラメータとしての強さだけで勝敗が決まることは避けなければならない課題でしたので。

4Gamer:
 パラメータ系だと途中参加のプレイヤーが,ある程度まで追いつくのに1か月はかかってしまいますが,カードゲームであればバランスさえ取れれば,最初に手に入れた何枚かでもある程度まで戦っていけそうですね。

岡山氏:
 といっても,本作でもパラメータの成長要素はもちろん残している部分もありますし,モンスターは戦闘を重ねるとレベルアップしていきます。ただ,レベル1と10とで大きな差があるわけではないので,同じ条件でカード1枚 vs. 1枚であれば頑張って育てた人が勝ちますが,コンボカードによるスキルでの逆転など,それをひっくり返す戦術もいくらでもあるわけです。

4Gamer:
 そういえば,ルーキー限定戦などは想定しているんですか?

岡山氏:
 そういったものに関しては,今後必要があれば追加していきますが,初心者/上級者間のパラメーターとしてのプレイヤーレベル差の課題を,戦争ルールでなにか吸収できないかと開発したものがあります。
 このゲームは「一番(クリスタルを持っている)強い奴を落とす方が勝ちにつながる」というルールが,戦争の基本方針として整備されています。例えば,勝ち続けていくとクリスタルが貯まっていきますが,戦争中は「クリスタル所持ランキング」というものが公開されます。戦国IXAでいうところの「賞金首」ですね。
 もしサッカーであれば,どれだけ優秀な選手でも,5人までならなんとか抜けるかもしれませんが,もし10人がかりで囲まれたら絶対に止められてしまいます。同じように戦争中は,最終的に一番おいしい「賞金首」は強いだろうという想定のもと,みんなが寄ってたかって攻撃することも極端なケースでは発生します。そこを同じチームの人がどう守ってあげるのか,そういう連携が生まれていくとどんどん面白くなりますよね。
 弱い人が狙われてしまうことをルールで回避したつもりですので,初心者の方が「俺でも活躍できるんだ」と感じていただけると思います。

画像集#029のサムネイル/「RTSとTCGを足してSRPGで割った,100人対戦のゲーム」――スクウェア・エニックス×Yahoo! JAPANの新作「MONSTER×DRAGON」インタビュー

4Gamer:
 「強い奴が狙われやすい」という話ですが,上手い人はある程度ポイントを稼いだ時点で逃げ始めるような,そういったゲーム展開になるんでしょうか。

岡山氏:
 CBT開始当初は,ギルドが生まれるまでは,そういった動きになることもあるでしょう。個人としてはクリスタル取った方が活躍しているように見えますしね。ただ,ギルドやチームといったものが機能し始めると,チーム内でクリスタルを公平に持つようになるのではと思っています。最後にトドメを刺した人がクリスタルを得られるので,プレイヤー同士でトドメを差す順番を回して,1人がやられたときのリスクを回避していくなどの新たな戦略が発生していくと考えています。

4Gamer:
 そういったクリスタルを公平に持つようになるということは,戦国IXAのように,1番になるとレアなカードが出やすいくじのチケットがもらえるような,ゲーム内でのポイントランキングなどは,とくに用意されていないのでしょうか。

岡山氏:
 もちろんそういうものも用意していきますが,現状では,戦場でクリスタルを多く持っていること以外にも,「相手の防衛カードを一番破壊した」「一番回復してあげた」など,行動によっても個別に詳細にランキングがついており,そのランキング上位者にもきちんと報酬が与えられます。一番最後に美味しいところを取った人だけがたくさんカードを引けるというわけではなく,プレイヤーの活躍度を公平に評価するようにしていきたいですね。

下平氏:
 そういう公平性なども含めて,「絶妙なゲームシステム」を目指していきたいですね。まずはCBTにご参加いただき,その魅力の片りんを感じてもらいつつ,満たされていない部分などを,どしどしご意見いただきたいです。

4Gamer:
 参加者からの意見なども集めて細部にわたってゲームシステムを調整するためのCBT開催となったわけですね。

齋田氏:
 普段「Yahoo!オークション」や「Yahoo!ショッピング」などでお使いいただいているYahoo! JAPAN IDをお持ちでしたら,すぐに無料で登録できます。オンラインゲーム愛好家はもちろんのこと,インターネットで情報を集めている好奇心旺盛な皆さんに,この新しい遊びをぜひ一緒に体験していただきたいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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 今回のインタビューからも分かるように,ゲーマー層から見ればライトなイメージの強いブラウザゲームの分野において,スクウェア・エニックスとYahoo! JAPANは非常にゲームらしいゲームを作ろうと試みているようだ。
 ただ,Yahoo! JAPANの会員に多いであろうライト層を完全に無視しているわけではないだろう。むしろ分かりやすいインタフェースで簡単に操作できそうなので,その入り口は広いように感じられる。コアゲーマーにも遊び甲斐のある深い内容になりそうな本作は,これから要注目のタイトルといえるだろう。

 なお今後の「MONSTER×DRAGON」のスケジュールだが,クローズドβテスターの募集は11日までで,CBTは10月13〜28日の2週間開催される。また,OBTは今冬予定とのことだ。冬にOBTを実施する際にはウェブに限らず,さまざまな形でプロモーションを予定しているらしく,ゲームの中身と同様,プロモーションでも“お祭り騒ぎ”となりそうだ。


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