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「剣と魔法のログレス」,運営/開発チームインタビュー。国内開発の強みを活かした対応力に自信あり
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印刷2011/12/09 12:00

インタビュー

「剣と魔法のログレス」,運営/開発チームインタビュー。国内開発の強みを活かした対応力に自信あり

 2011年10月12日,マーベラスAQLは,ブラウザMMORPG「剣と魔法のログレス」(以下,ログレス)の正式サービスを開始した。本作は,可愛らしく親しみやすいキャラクターが特徴的な,ブラウザベースの本格MMORPGだ。
 今回は,ログレスの開発体制やこれまでの動向,今後の展開などについて,Aimingで開発プロデューサーを務める辻井康司氏と開発ディレクターの下川晶平氏,そしてマーベラスAQL オンライン事業部 ディレクター 飛塚 剛氏の3名に話を聞いた。

「剣と魔法のログレス」公式サイト


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最初の掴みはシステムとゲーム序盤の作り込み。要望が多いゲームバランスは随時調整


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず,皆さんがログレスの運営・開発上で,どういった役割を担当しているのか教えてください。

辻井康司氏(以下,辻井氏)
 私は開発プロデューサーとして,開発現場の統括を行っています。具体的には,全体スケジュールや各コンテンツのボリュームなどの大枠を決めています。

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Aiming 開発プロデューサー 辻井康司氏
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Aiming ディレクター 下川晶平氏

下川晶平氏(以下,下川氏)
 私はAimingの大阪スタジオで開発ディレクターをやっています。過去には「Blade Chronicle: Samurai Online」などのMMORPGを手がけていますが,ブラウザゲームの開発はログレスが初めてとなります。

飛塚 剛氏(以下,飛塚氏)
 私はマーベラスAQLにて,ログレスの世界観の設定やキャラクターの造形などを主に担当しています。

4Gamer:
 ログレスは正式サービスの開始から2か月近く経過しました。現状での手応えを教えてください。

辻井氏:
 今はちょうど「新規タイトルだから試してみよう」という動きが落ち着いて,定着してじっくりプレイされる人が増えているところだと思います。サービス開始当初は,ブラウザゲームということもあって,いわゆる“村ゲー”だと思って始めたら,実はMMORPGだったということで戸惑ったという意見も見られたのですが,そういった人であっても遊び方を学んだり,独自に見つけたりしながら慣れてきてくれているという感じですね。

画像集#002のサムネイル/「剣と魔法のログレス」,運営/開発チームインタビュー。国内開発の強みを活かした対応力に自信あり
マーベラスAQL オンライン事業部 ディレクター 飛塚 剛氏
飛塚氏:
 具体的な数字は申し上げられませんが,初月である2011年10月に獲得した会員数は注目に値するものとなりました。Aimingさんとご一緒させていただいて、非常にいい滑り出しになったというのが率直な感想です。

4Gamer:
 いいスタートが切れた理由をどのように分析していますか。

辻井氏:
 MMORPGですがブラウザゲームということで,ダウンロードの手間が要らないことです。そこで一つ遊ぶうえでの面倒さをなくし,さらに,チュートリアルもアッサリめにしたので,すぐに戦闘を楽しめるようになっています。こういった序盤の掴みをしっかり作ったことが要因だととらえています。

4Gamer:
 4Gamerの読者レビューを見ると,システム周りの完成度を評価する半面,ゲームバランスに調整の余地があるという意見が目立っています。途中からパーティプレイが必須になってしまい,結果,遊びの幅が狭まるといった内容ですね。

辻井氏:
 ある地点からパーティプレイを必須にしようと最初は考えていました。ですが,徐々に調整していく方針で,まず11月17日のアップデートで,5人のフルパーティでなければ攻略できないという部分を緩和しました。最初は一人で遊びながら,パーティを組む仲間を見つけていただければと思います。

下川氏:
 いつの間にかパーティプレイになっている,という流れが理想なんですね。いきなりパーティが必要になるのではなく,隣で戦っているプレイヤーと「じゃあパーティを組みましょうか」というような。

辻井氏:
 また,尖りすぎていた職業の特性を見直しました。例えば,ナイトとプリーストの中間くらいの回復量となるヒールスキルを追加したといった感じです。こういった調整は,プレイヤーの皆さんからいただいた意見や要望を参考にしています。ログレスでは,調整がやりやすく融通の利きやすいシステムを構築していますので,今後も対応を続けていきます。

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パーティの参加/離脱を容易にしたことで見えてきた“薄い”コミュニティ形成の兆し


4Gamer:
 ゲーム内のことでも運営・開発上のことでも構わないですが,これまでで印象に残っている出来事はありますか。

辻井氏:
 「パーティ参戦システム」の実装ですね。これは簡単にパーティに参加してもらえるようにと実装したもので、別の機能として考えていたシステムを流用したものです。。開発チームではソーシャルゲームを意識して,当初はフレンドを作ってもらい,そこからパーティプレイをしてもらうという流れを作ろうと考えていたんです。
 ところが,ブラウザゲームをメインでプレイしてきた人は,パーティを組むという概念に馴染みがないんですよね。データを見ても,パーティプレイが必要になる局面での停滞率や離脱率が明らかに多かったんです。
 そこで下川に相談したら,パーティ参戦システムを前倒しで実現できるんじゃないかと。

4Gamer:
 その対応の速さは,どこから来るのでしょうか。

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辻井氏:
 Aimingの開発チームは,自分達が作ったゲームを実際にやり込みますから,何が問題になっているのかそれぞれがきちんと把握しています。正直なところ,サービス開始から1か月は,ゲーム内で情報を収集して,すぐに相談して企画を作り開発を始めるということばかりやっていました。その中では短期でできること,ある程度の期間が必要なことをハッキリ分けて,優先順位をつけています。
 パーティ参戦システムに関しては,大雑把にパーティを組むためのチュートリアルと位置付けていて,とりあえず「参戦可能」のところに入ればパーティに参加できます。これは新規プレイヤーが多いほど効果が高いと考え,最優先で実装することにしました。

下川氏:
 実際、パーティ参戦システムはレベルを上げるための“薄い”コミュニティの中核になりつつあります。つまりパーティに参加して,希望のレベルに達したら即抜けていく,といったような使われ方をしているんです。

4Gamer:
 なぜログレスでは,パーティ参戦システムのそういった使われ方がうまくいったのだと思いますか。

辻井氏:
 理由の一つとして,チャンネル1〜5では「参戦OK」と運営で誘導していることがあると思います。この試みがうまくいって,勝手にパーティに参戦しても悪くないという意識が根付いたようです。

下川氏:
 開発チームも,参戦可能の設定をデフォルトでONにするというチャレンジをしたんですよ。

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辻井氏:
 MMORPGのいいところは,ほかのプレイヤーとコミュニケーションを取っての距離が縮まるほど楽しくなる部分だと思っています。その第一歩として,パーティ参戦システムを使ってもらうといいんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 話は変わりますが,下川さんはブラウザゲームを初めて手がけたということですが,何か苦労はありましたか。

下川氏:
 私だけでなく,チーム全員がブラウザゲームの開発にたずさわるのは初めてです。実はプレイ経験もほとんどないので,皆,新鮮な気持ちで自分達のゲームを遊んでいますね。
 開発上で一番苦労したのは,解像度が低いところです。インタフェースを作るのが大変で,とくに戦闘のUIは何度も作り直して,ようやく今の形に落ち着きました。とはいえ,まだまだ改良の余地がありますね。

辻井氏:
 操作すべき部分がピカピカ光って,誰が見ても分かるUIはそうそう変わらないですけれどね。バフ効果などの見た目部分は,確かに改良したいです。

下川氏:
 ともあれ,クローズドβテスト直前までブラウザゲームとしてしっくりさせることに,てんやわんやしていました。

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辻井氏:
 Flashを使っている部分もあるので,動作が重くなってしまうんです。反応も決していいとはいえないので,そこをいい意味でごまかすデザインを苦心したり。あとはたくさんのプレイヤーが集まると,動作が重すぎて操作ができなくなる点も改善しなければなりません。

下川氏:
 実際,「これがクライアント型だったら……」と思うことは,結構ありましたね。

4Gamer:
 では,ここに注目してほしいというポイントはありますか。

辻井氏:
 ビジュアル面も頑張っています。クライアント型のゲームにも負けないようこだわりました。もっと突き詰めることも可能なんですけれど,ある程度までに抑えて,その分バリエーションを増やす方向に振っています。


2011年12月にクランシステムを,2012年頭に高レベルコンテンツを相次いで実装


4Gamer:
 それでは,今後のアップデート予定などを教えてください。

辻井氏:
 まず11月17日に,アップデート第1弾を行いました。山岳のバランスを調整して,一人でも遊べるゾーンを増やしました。またこのアップデートでは,一度も装備していないレアアイテムや有料アイテムのトレードを可能にしました。
 そして12月には,クランシステムを導入する予定です。ログレスにもギルドはありますが,それとはまた別のコミュニティです。クランは,およそ20人くらいのメンバーで構成される団体になります。最初はクランチャットが使えるくらいですが,のちのちクラン内で協力する要素や,クラン同士を競わせるような要素を追加していきます。

4Gamer:
 クラン同士を競わせるというのは,PvPコンテンツという意味でしょうか。

辻井氏:
 それも考えていますが,最初は協力プレイの要素を入れていきます。例えば,ボスを倒した数のランキングなどですね。上位クランには報酬や恩恵があるような感じです。

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下川氏:
 ゲームの創世期には,PvPよりも協力プレイのほうがふさわしいと考えたんですよ。

辻井氏:
 もちろんPvPの実装も考えているのですが,殺伐としちゃう可能性もありますし,一部の人だけの遊びになってしまってももったいないですので。そこをうまく熟成させようと考えると,もう少し時間が必要ですね。

4Gamer:
 最初は協力プレイによって,クラン内の結束力を高めさせるということですか。

辻井氏:
 ええ。「オレが強い」というような自己顕示は,レイドボス戦などでも実現できますし。そういうことも含めて,今のログレスには協力プレイのほうがハマるだろう,と。
 あとは2012年の早い段階で,新エリアを実装しようと考えています。これは今までのエリアとはコンセプトが異なり,高レベルに達してアイテム集めくらいしかやることがなくなってしまったプレイヤーに向けた,強いボスなどの出てくる腕試し的な場所などを考えています。
 クエストシステムにも「ログレスクエスト」というものが追加されます。これは,女王が直接プレイヤーにクエストを提供する,などといったものも含まれます。

下川氏:
 「ログレスクエスト」では世界観を感じさせるような様々なクエストを用意する予定です。

4Gamer:
 なるほど。そのほか,今お話してもらえることはありますか。

辻井氏:
 アバターのバリエーションはかなり用意してあって,季節感のあるものなどを順次リリースしていきます。「ほかの人との違いを出したい」というニーズにも応えていますので,ぜひ期待してください。

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4Gamer:
 今,季節の話が出ましたがイベントやキャンペーンはどうでしょう。

辻井氏:
 随時企画していきますが,優先すべきことがあればリソースはそちらに割きたいと考えています。ですが,駆け足でいろいろやっている段階なので,なかなかイベントやキャンペーンの長期スケジュールまでは手が回っていないという感じですね。

4Gamer:
 今はまだ,システムの改良や新コンテンツの方に優先してリソースを割きたいというわけですか。

辻井氏:
 ええ。お話しているとおり,ログレスは新しい遊びを追加したり,細かい調整を施したりしやすいんです。一度ログレスから離れてしまった人は,期間を置いてもう一度試してみると,ナイトの回復スキルの性能が上がっていたり,ソロで行けるところが広がっていたりといった違いを感じられるのではないでしょうか。

4Gamer:
 分かりました。最後にログレスに期待している人にメッセージをお願いします。

辻井氏:
 繰り返しになりますが,オンラインゲームは“生き物”です。今後のログレスは,より奥が深く,より遊びやすくなるようにコンテンツの追加とバランス調整を行っていきます。運営・開発チームも,皆さんと一緒に遊びながら意見や要望を随時汲み上げていますので,ぜひ今後の展開にも期待してください。

下川氏:
 今あるログレスの世界に,いろんな遊びを突っ込んでいきますので,ぜひこれからの展開を楽しみにしていてください。

飛塚氏:
 ログレスはつねにより遊びやすくなっていますので,今後とも遊んでいただけるよう,よろしくお願いします。

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 Aimingの開発チームは自分たちも熱心にログレスを遊んでいるということで,ゲーム内で何が起きているのかを,一般のプレイヤーと同じような視点で感じているそうだ。そうした情報は,ゲームバランスの調整や新コンテンツの開発に活かされているわけだ。
 もちろん,プレイヤーの要望すべてがゲームに反映されているわけではないだろうが,一歩ずつ前に進もうという意志は感じ取れる。今後も国内開発ならではの,迅速な,そして手厚いケアの実現に期待したいところだ。

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