「このGamescomで,初めて開発チームの仲間と会った」と語る,日本在住のデンマーク人アーティスト,ステファン・ラング氏
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Paradox Interactiveのビジネスブースにおいて,新たなグランドストラテジーゲームとなる「
Magna Mundi」が公開されていた。このゲームを開発するUniverso Virtualは,スペイン在住のカルロス・グスタボ(Carlos Gustavo)氏らを中心にした,7か国20人あまりの開発者が参加するという,かなり異色の“バーチャル”開発チームである。
Magna Mundiは,ナポレオンの登場に至るまでの300年間を舞台に,1年に1ターンのペースで国家作りをしていくというターン制のストラテジーゲームだ。元々,Universo Virtualのメンバーは,「Europa Universalis」をはじめとしたParadox作品のコアなプレイヤー達だ。Magna Mundiの開発コンセプトは「我々だったら,Europa Universalisをこう作る」というものであるらしく,その画面の雰囲気,そしてゲームシステムの基本部分は,我々もよく知るParadoxのゲームと同じようなものだと考えてよいだろう。そもそもがこのゲームは「
Europa Universalis III」のMODとして開発されており,EU3世代のゲームで利用されたClausewitz Engineの提供を受けているのである。Paradoxにとっては2世代前のゲームエンジンにあたるものだが,「
Hearts of Iron III」や「
Victoria II」でも使われた十分な実績のあるエンジンだ。
作っているのがマニアックなストラテジーゲーマー集団であることは間違いなく,西はポルトガルから東は日本まで,ヨーロッパ,アフリカ,アジア地域に点在する400もの国々がプレイアブルになっており,ゲーム中に発生する歴史イベントは4000種にも及ぶという。日本のマップだけ見ても,細川氏や山名氏など10程度の勢力に分かれているという細かさで,相当にやり込み甲斐のあるゲームになりそうだ。
もちろん,イギリスやスペインで海洋王国を目指してもいいし,アラビアの国家として領土拡大を目指すのも,日本統一に画策するのもプレイヤー次第。国家が滅亡しない限り,ゲーム終了までプレイヤーはじっくりと自分の好きなようにプレイできるのが,Magna Mundiの特徴でもある。そのほかの大きな要素としては,人口と国家の資金以外には具体的な数値や統計が用意されておらず,「国家保全 = 非常に良い」とか,「国家としての効率 = あまり良くない」といった,曖昧な表現による国政の判定表記が,逆に中世らしくてリアリティを感じさせるものになっていることが挙げられる。
Magna Mundiのゲームそのものからは話が逸れるが,会場で開発チームの一員に日本在住のデンマーク人,ステファン・ラング(Stefan Lang)氏を発見したことも報告しておこう。「日本の文化,食べ物,女の子の全部好き!」と言ってはばからないラング氏は,現在神戸の学校に通う留学生だが,このプロジェクトにはモデラー兼3Dアーティストとして参加しているという。旧式のゲームエンジンであるため,自分の能力が本作であまり発揮できていないと嘆いていたが,自分の関わるゲームが日本のメディアに取材されるという事実に驚き,大喜びしている様子だった。Paradoxの作品は,海外でも濃いめのゲーマー御用達の嗜好品であるが,日本にもそんなコアなストラテジストは意外といるので,4Gamerの過去記事をぜひ眺めてみよう,ステファン君。