［TGS 2011］今度のダンテは天使と悪魔のハーフ。「DmC Devil May Cry」スペシャルステージの実機プレイデモで新たなスタイリッシュアクションが明らかに

　9月16日，東京ゲームショウ2011のカプコンブースで行われた「DmC Devil May Cry」スペシャルステージにて，「DmC Devil May Cry」（PlayStation 3/Xbox 360）の実機プレイデモが初披露された。従来のシリーズからイメージを一新した本作において，ダンテはどういったアクションを魅せるのだろうか？

　今回のステージに登壇したのは，本作のプロデューサーを務めるカプコンの江城元秀氏と，同じくプロデューサーを務めるCapcom EntertainmentのAlex Jones氏の2人である。
　本作は，イギリス・ケンブリッジのNINJA THEORYとカプコンのタッグによって開発が進められている。江城氏やAlex氏は，NINJA THEORYへと足繁く通っており，本作をより良いものにするためのミーティングを重ねているそうだ。


　まず紹介されたのが，主な舞台となる街「LIMBO -リンボ-」。DmCの舞台は現代の現実世界だが，リンボは現実世界と魔界の中間に位置しているらしい。街自体が生きており，リンボの中でダンテが悪魔に遭遇すると，そこからさまざまな空間へ引きずり込まれてしまうそうだ。

　さて，「Devil May Cry」シリーズ最大の特徴といえば，巨剣リベリオンと二丁拳銃エボニー＆アイボリーを用いたスタイリッシュなアクションだが，今作においてもそれは健在だ。
　そしてその上で，今作におけるアクションの新要素として“天使の能力”と“悪魔の能力”の2通りの特殊能力が明かされた。これまでのダンテは“悪魔と人間のハーフ”という設定だったが，今作のダンテは“天使と悪魔のハーフ”であるらしく，その両方の能力を切り替えながら戦うことができる。たとえば天使の能力を使用すれば，剣が鎌に変形し，スピードアップした攻撃を放てる。また悪魔の場合は，剣が斧に変形し，威力の強い派手な攻撃を繰り出すことができるのだ。江城氏は「通常のリベリオンのアクションとうまく組み合わせることで，より多彩なアクションを決めることができる」と述べる。


　また，従来のシリーズから最も大きく変化しているのが，主人公・ダンテのデザインだ。白髪に赤のロングコートがトレードマークだった従来のダンテとは大きく異なり，今作のダンテは黒の短髪で，かなりラフな格好をしている。
　この新ダンテのデザインについて，江城氏は「海外のデザインセンスを上手く取り入れつつ，顔の表情やファッションについては，日本のファンにも受け入れられるように，海外のスタッフと調整した」とこだわりを明かす。またAlex氏も，ダンテのデザインを一新するにあたり「父親のフェラーリを借りて走っているようなドキドキ感だった」とそのプレッシャーの大きさを表現し，「みんなが納得できるダンテにするために，時間をかけて調整しました」と述べた。


　ここで，アシスタントプロデューサーである内田洋平氏の操作により，本作の実機プレイデモが初披露された。なお，開発中のため，ダンテの体力ゲージ・デビルトリガーゲージなどのゲージ類は画面に一切表示されていないのでご了承いただきたい。
　最初のステージでは，ダンテによる基本アクションの数々を実演。今作では空中コンボのバリエーションが大幅に増加しており，上空に撃ち上げた敵を，地面へ着陸させることなく矢継ぎ早に攻撃を叩き込んでいくダンテのアクションが確認できた。


　また，戦闘中のBGMはリアルタイムで変化するようになっており，ダンテのアクションがハイテンションであればハイテンションであるほど，BGMもアップテンポになっていくそうだ。
　戦闘中以外のシーンでは，半透明の姿でダンテに同行している少女が登場。彼女は現実世界の住人であるらしいが，どういった目的でダンテと行動を共にしているのだろうか。

　続く2番目のステージでは，“デビルトリガー”の発動を実演。デビルトリガーといえば，シリーズ定番のパワーアップ能力。今作のデビルトリガーでダンテが剣を地面に突き立てると，周りの敵が一斉に空中に浮かび上がる。そしてダンテ自身は白髪に赤のコートという，ファンにはお馴染みの格好に変身！　大幅にパワーアップしたダンテが，怒濤の勢いで空中コンボを連発していく。デビルトリガーは空中にいる状態でも発動可能となっており，ピンチの場面で発動させれば，戦況を一気にひっくり返すチャンスが得られるはずだ。


　最後に披露されたのは，刻一刻と姿を変えていくリンボの中でアクションするステージだ。先にも紹介したとおり，今作の舞台であるリンボは，生物のように動いている。この特徴はただのゲーム内の演出にとどまらず，ゲーム内の遊びの幅を広げるための仕掛けとして，ゲームシステムに組み込まれているのだ。
　ここでは，侵入者であるダンテを排除しようと，街に並ぶ建物や足元の石畳が，リアルタイムで激しく崩れていく。ダンテはその中をわき目もふらず駆けて行くが，教会に足を踏み入れたところで床が次々と“割れて”いき，目指す出口が遙か彼方へと遠のいていってしまった。万事休すか――といった場面だが，今回のダンテには天使の能力が備わっている。天使の羽で空中を滑空し，遠くの足場までもひとっ飛びだ。無事に教会の出口まで辿りついたところで，今回のデモプレイは終了となった。


　なお既報のとおり，今作「DmC」をベースにしたハリウッド実写映画の制作が決定している。江城氏によると，現在はシナリオの執筆段階にあるそうだが，本作のディレクターも大満足するほどのシナリオになっているとのことだ。

　最後にAlex氏は「NINJA THEORYの技術力の高さを活かしつつ，カプコンのアクションゲームに関するDNAを加えることで究極のゲームを作りたい。期待していただきたい」と力強く述べた。続いて江城氏も「新しい形で『Devil May Cry』を生まれ変わらせるという想いで，カプコンの新しい挑戦の一つとして制作しています」と，本作に込めた想いを述べた。

　本作については，従来のシリーズから大幅な方向転換が図られたため，戸惑っているファンがいることは事実だ。しかし，今回のプレイデモで紹介されたように，シリーズの一番のキモであるスタイリッシュなアクションについては，非常に力を入れて作り込まれているし，デビルトリガーの演出などを見れば，過去作に対する多大なリスペクトも強く感じられる。やはり「Devil May Cry」の名前を背負う以上，本作における“DMCらしさ”の純度は非常に高いと言えよう。今回のTGS会場では残念ながらプレイアブル出展されていなかったため，別の機会で実際に“DMCらしさ”を体験できるチャンスを楽しみに待ちたいところだ。

「DmC Devil May Cry」公式サイト