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【PR】MSIの「GeForce RTX 3090 SUPRIM X 24G」は,GeForce史上最強のGPUから高性能を引き出せる大型クーラーが魅力のカードだ
Ampereアーキテクチャを採用するNVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 30」シリーズは,人気を博したGeForce RTX 20シリーズを一気に過去のものとするほど高い性能を発揮することから人気を集めている。その中でも,「GeForce RTX 3090」(以下,RTX 3090)は,10496基ものCUDA Coreを持ち,グラフィックスメモリにはGDDR6Xを24GBも搭載するなど,最上位モデルらしいハイスペックを誇っている。
今回紹介するMSIの「GeForce RTX 3090 SUPRIM X 24G」(以下,MSI RTX 3090 SUPRIM X)は,そのRTX 3090を採用したハイエンドグラフィックスカードで,「Supreme」(最高)をもとにした“SUPRIM”の名を冠するとおりに,かなり豪華なモデルに仕上がっている。
MSIが「CHANGE THE GAME」(ゲームの世界が変わる)とまで謳う本製品の実力はどの程度なのだろうか。早速,テストにより明らかにしてみたい。
MSI公式WebサイトのGeForce RTX 3090 SUPRIM X 24G製品情報ページ
カード長は実測で約333mmと結構大きめ
裏面にもヒートパイプを用いた冷却機構に注目
MSI RTX 3090 SUPRIM Xは,ガンメタリックとシルバーというツートンカラーの大型クーラーで覆われており,かなり落ち着いた印象だ。カード長は実測で約333mmと,「GeForce RTX 3080 Founders Edition」が同287mmだったのと比べると46mmほど長い。ただ,基板自体の長さは294mmほどしかないため,GPUクーラーがカード後方に40mm弱はみ出ている。また,マザーボードに装着したときには,ブラケットから垂直方向に約33mmほどはみ出すので,全体的にはかなり大きな印象を受ける。
GPUクーラーは,3スロット占有タイプで同社オリジナルの「TRI FROZR 2S」を採用。TRI FROZR 2Sは,100mm径相当のファン3基で構成されており,各ファンのブレードは,2枚ごとに外枠と一体成型されるというユニークな形状の「トルクスファン4.0」仕様となっている。
さらにDragon Centerでは,「FROZR AI Cooling」という機能を使うことで,「MSI AI ENGINE」を用いたAIベースのファン制御を利用できるという。FROZR AI Coolingでは,「Performance Mode」「Silent Mode」「Manual Mode」という3種類のファン制御方法を選択でき,Performance Modeは性能重視,Silent Modeでは静音重視のファン制御が行われる。Manual Modeでは,CPUとGPUのそれぞれに個別の温度および負荷率の設定を最大3パターン作って,パターンごとにファンの回転数を指定することが可能だ。
GPUクーラーを横から覗き込むと,8mm径が2本,6mm径が6本という計8本のヒートパイプを組み合わせているのが分かる。MSIによると,そのうち7本がGPU上の銅製ベースに触れる構造になっているとのこと。さらに,メモリチップや電源部には,専用のヒートシンクを装着しており,冷却にはかなりの工夫が施されている。
さらにユニークなのは,カード裏面のバックプレートにも2本のヒートパイプを装着している点だ。MSIによると,これらの2本のヒートパイプによって基板を裏面からも冷却できるので,裏面に実装したメモリチップの冷却に効果的だという。
GPUクーラーには,中央ファンの左右と,SUPRIMロゴがある側面,さらに裏面にあるMSIのドラゴンマーク部分にLEDが組み込まれている。これらのLEDは,Dragon Centerの「Mystic Light」から発光色や発光パターンを変更可能だ。それに加えて,Mystic Lightには「Ambient Link」という機能が用意されており,この機能を使うとゲーム内のシーンに合わせた発光色や発光パターンでLEDが点灯するそうだ。
Ambient Linkに対応しているゲームは,今のところ「MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE」や「ウォッチドッグス レギオン」など6タイトルだけだが,ゲームの臨場感を高めるのに効果的であろう。
PCI Express(以下,PCIe)補助電源コネクタは,8ピンを3基搭載する。他社製のRTX 3090搭載カードは,8ピン2基のものが多いことを考えると,MSI RTX 3090 SUPRIM Xは,電力共有にかなり余裕を持たせていると言ってよさそうだ。
映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3と,HDMI 2.1 Type A×1という構成だ。このあたりは,RTX 3080 Founders Editionと変わらない。
動作クロック設定が変わる3つのシナリオを装備
さらに静音向けのVBIOSも搭載
続いては,MSI RTX 3090 SUPRIM Xのポイントである動作クロック設定を見ていこう。
MSI RTX 3090 SUPRIM Xのブーストクロックは1860MHzで,リファレンス仕様の1695MHzから,165MHz分引き上げられたクロックアップモデルとなっている。ベースクロックは非公開ながらも,GPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 2.36.0)で確認すると1395MHzとなっていたので,ここはリファレンス仕様と変わらない。ちなみに,後述するテスト環境で,テスト中におけるGPUのコアクロックをGPU-Zで追ってみたところ,1995MHzまで上昇しているのを確認した。
なお,メモリクロックは19.5GHz相当で,こちらもリファレンスから500MHz相当引き上げられている。
ちなみに,こちらも両シナリオでテスト中のコアクロックをGPU-Zで追ってみると,Extreme Performanceで2010MHz,Silentでは1995MHzまで上昇していた。ちなみにCreator Modeは,「Adobe Photoshop CS」のようなコンテンツ制作アプリケーションに最適化したシナリオで,Customizeは,CPUやGPUのクロックなどをユーザーが適宜調節可能なシナリオとなっている。
そのほかにMSI RTX 3090 SUPRIM Xでは,「GAMING」「SILENT」という2種類のVBIOSを搭載している。工場出荷時設定はGAMINGで,SILENTに変更してみても動作クロック設定はBalancedと違いがなかった。おそらく,GPUの電圧やファン制御まわりが変更されるのだろうが,具体的なことは不明だ。
Gaming ModeやTrue Colorなど
独自機能が盛りだくさんのDragon Center
Dragon Centerにはほかにも,ゲームで便利な機能が用意されているので紹介しておこう。
まずは「Gaming Mode」からだ。これを適用すると,シナリオはExtreme Performanceに切り替わり,ゲーム用にメインメモリ領域を確保したうえで,システムの最適化が行われる。さらに,出力映像の画質調整を行う「True Color」機能もゲーム向けのモードに変更されることで,映像出力がゲームに合わせた色味になる。加えて,ゲームごとにGaming Modeの有効,無効を設定することも可能だ。
また,「MSI HighLight」とは,プレイ中のゲームを簡単にビデオキャプチャできるという「NVIDIA Highlights」と似た機能だ。対応しているゲームは,「Apex Legends」や「Fortnite」などの7タイトルに限られるが,プレイ動画を残したいという人にとっては使い勝手がよい。
「Monitor」機能は,CPUとGPUの動作クロック表示のほか,GPUの各種電圧やファン回転数などをリアルタイムで確認できる。とくに電圧は,かなり細かく表示できるので,GPUの動作状態を確認したいユーザーにとっては重宝する機能ではないだろうか。
3つのシナリオすべてでテストを実施
ドライバにはテスト時最新の460.79を利用
それでは,テスト環境の構築に話を移そう。今回,比較対象にはRTX 3080のFounders Editionを用意した。下位モデルとの性能差をハッキリさせておくためだ。また,前述のとおりMSI RTX 3090 SUPRIM Xは,動作クロック設定が異なる3つのシナリオを選べるので,それらすべてでテストを実施した。
使用したドライバソフトは,「GeForce 460.79 Driver」で,テスト時点で最新のバージョンだ。また,RTX 3090はPCIe 4.0をサポートしているので,今回はCPUに「Ryzen 9 5950X」を,マザーボードには,AMD X570チップセットを搭載したMSI製の「MEG X570 ACE」を用いる。それ以外のテスト環境は表のとおり。
CPU | Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz, |
---|---|
マザーボード | MSI MEG X570 ACE(AMD X570, |
メインメモリ | G.Skill F4-3200C16D-16GIS |
グラフィックスカード | MSI GeForce RTX 3090 SUPRIM X 24G (GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB) |
GeForce RTX 3080 Founders Edition (グラフィックスメモリ容量10GB) |
|
ストレージ | Samsung Electronics SSD 850 |
電源ユニット | SilverStone Technology |
OS | 64bit版Windows 10 Pro(Build 19042.630) |
チップセットドライバ | AMD Chipset Drivers 2.07 |
ドライバソフト | GeForce 460.79 Driver |
テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション23.2に準拠。それに加えて,リアルタイムレイトレーシングやDLSSの効果を確認するため,「3DMark」(Version 2.16.7113)に含まれる「Port Royal」と「NVIDIA DLSS feature test」も実施した。なお,NVIDIA DLSS feature testでは「DLSS 2.0」を利用し,品質モードはQualityを選択している。
さらに,「Fortnite」に関しては,グラフィックスAPIをDirectX 12に変更したうえで,DLSSとレイトレーシングを有効にし,レイトレーシングの設定に関しては負荷が最大となるように変更している。テスト方法自体はレギュレーションと同じだ。
なお,解像度は,以前実施したRTX 3090のレビューで,「Dynamic Super Resolution」を用いた8K解像度のテストにあまり意味を見出せなかったため,今回は3840×2160ドット,2560×1440ドット,それに1920×1080ドットの3つ選択した。
BalancedはRTX 3080から約15%ほど高い性能
Extreme Performanceはさらに3〜4%程度上回る
以下のグラフでは,各シナリオでの動作を明確にするため,「MSI RTX 3090 SUPRIM X Balanced」といった具合に,各項目にシナリオを明記することを断りつつ,3DMarkの結果から順に見ていこう。グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。
Balancedシナリオは,RTX 3080から7〜15%程度スコアを伸ばしており,Extreme Performanceになると,さらにそこから2%ほどスコアが向上していた。クロックアップの効果がしっかりと表れている。一方で,SilentはFire Strike UltraでようやくRTX 3080を上回るものの,それ以外では届いておらず,とくにFire Strike“無印”で30%も差を付けられている。これは,GPUの動作クロックが抑えられたことに加えて,Windowsの電源プランが省電力に切り替わり,CPUが本来の性能を発揮しなかったことが要因と思われる。
続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものとなる。
ここではCPU性能の影響がなくなるため,BalancedとRTX 3080との差は10〜15%程度となり,とくに低解像度での開きが顕著となった。また,Extreme Performanceも,Balancedを1〜3%程度上回っており,若干ではあるが差を広げた。一方のSilentは,Fire Strike“無印”で,やはりRTX 3080に届かない。動作クロックを抑えていることが,かなり性能にも影響しているようだ。
Fire Strikeからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したのがグラフ3だ。すべてのテストにおいてCPUを統一しているため,スコアもきれいに横並びとなっているが,やはりSilentだけが落ち込んだ結果となった。
GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ4だ。
CPU性能の影響が大きいため,Fire Strike“無印”ではスコアが頭打ちになっている。だが,Fire Strike ExtremeやFire Strike Ultraの結果を見ると,BalancedはRTX 3080に対して,17〜20%程度とかなりの差を付けた。また,Extreme PerformanceとBalancedとの差も最大で2%程度と,これまでのテストと似た傾向だ。なお,CPU性能も加味されるこのテストでは,やはりSilentがあまり奮わない結果となっている。
では,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果を見てみよう。グラフ5は総合スコアをまとめたものだ。
ここでは,BalancedとRTX 3080との差は8〜11%程度と,Fire Strikeよりも差が縮まっている。これは,Time Spyの総合スコアにCPU性能が加味される比重が大きめであることが要因と思われる。
Extreme PerformanceのBalancedとの差は2〜3%程度と,こちらはFire Strikeの傾向を踏襲している。なお,SilentはFire Strike同様に,解像度の低いTime Spy“無印”の結果はよくないが,Time Spy Extremeでは,Balancedから約2%低い程度の位置に収まっている。
続くグラフ6はTime SpyのGPUテスト結果,グラフ7はCPUテストの結果となる。
まず,GPUテストからだが,BalancedとRTX 3080との差は11〜14%程度と,総合スコアよりも差が開いている。やはり総合スコアでは,CPU性能がネックになっていたのだろう。また,Extreme PerformanceとBalancedとでは3%弱の差があり,これは総合スコアを踏襲した形となっている。また,総合スコアと同様にSilentはTime Spy“無印”で,RTX 3080を下回っており,ここでも動作クロックを抑えた影響が見て取れる。
一方のCPUテストの結果はFire Strikeと同様で,CPUが同一なのでSilent以外はスコアも並んでいる。
リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。
ここでは,BalancedとRTX 3080との差は約14%,Extreme PerformanceとBalancedの差は2〜3%程度となり,Time SpyのGPUテストと似た傾向だ。また,SilentもRTX 3080をしっかりと上回っており,Balancedから約2%低い位置に留まっている。
さて,もうひとつのレイトレーシングテストであるDirectX Raytracing Feature test(グラフ内ではDXR feature test)の結果がグラフ9となる。
このテストでは,タイトルどおりDirectX Raytracingを用いたレイトレーシング映像の描画を行うのだが,BalancedとRTX 3080との差はかなり広がった。Port RoyalよりもDirectX Raytracingのほうが,差が顕著になるのはなかなかおもしろい傾向だ。
ただ,Extreme PerformanceはBalancedに約1%しか差を付けれておらず,あまり存在感を発揮できていない。また,SilentはBalancedからスコアは低下しているものの,RTX 3080を上回っている点は立派だ。
続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ10となる。
DLSS 2.0有効時の結果を比較すると,BalancedとRTX 3080とでは11〜15%程度の開きがあり,Time Spyと傾向に大きな差はない。また,DLSS 2.0有効時でも,Extreme Performanceはしっかりとパフォーマンスを伸ばしており,SilentもRTX 3080を上回っているあたりは評価できよう。
では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ11〜13は「Far Cry New Dawn」の結果となる。
Far Cry New Dawnは,CPU性能の影響が大きいようで,3840×2160ドットであっても,BalancedはRTX 3080に有意義な差を付けていない。それは,Extreme Performanceも同じで,CPUがボトルネックとなりBalancedからフレームレートを伸ばせていない。なお,最小フレームレートを見ると,Silentだけ大きく落ち込んでおり,省電力設定の電源プランが足を引っ張った格好だ。
続いて,「バイオハザード RE:3」の結果がグラフ14〜16となる。
ここでも1920×1080ドットでは,CPUのボトルネックにより平均フレームレートが丸まりつつあるが,2560×1440ドット以上の解像度を見ていくと,BalancedはRTX 3080より10〜14%程度高い結果を残している。Extreme Performanceも,そこからしっかりと平均フレームレートが2〜4%程度も伸びており,とくに,最小フレームレートに当たる99パーセンタイルフレームレートが,3840×2160ドットで120fpsに迫る勢いを見せている点は注目に値する。
Silentも,ここではCPU性能がネックにならないようで,RTX 3080を超える結果を発揮している点も押さえておきたいポイントだ。
「Call of Duty: Warzone」(※グラフ内ではCoD Warzone)の結果がグラフ17〜19だ。
ここでは,BalancedとRTX 3080との差が最大で約8%にまで縮まっている。だが,それでも1920×1080ドットで平均フレームレートが240fpsに達している点や,3840×2160ドットで平均フレームレートが120fpsを超えている点など見所は多い。Extreme Performanceは,1920×1080ドットこそ,平均フレームレートでBalancedに差を付けることができていないが,それ以上の解像度では3〜4%程度としっかりフレームレートを伸ばしている。Silentも,1920×1080ドットこそRTX 3080に届いていないが,2560×1440ドットではしっかりと上回る結果を残している。
レイトレーシングとDLSSを有効にした「Fortnite」の結果をグラフ20〜22に示す。
ここでは,BalancedとRTX 3080との差が30〜34%程度まで広がり,さすが上位モデルといったところか。99パーセンタイルのフレームレートも,1920×1080ドットであれば60fpsを上回っており,最も負荷が大きいレイトレーシング設定にしているにも関わらず,プレイアブルな結果を発揮している。
その一方で,Extreme Performanceは,1920×1080ドットこそ平均フレームレートでBalancedに3fps弱ほど差を付けているものの,それ以外では2fps未満とあまりクロックアップの効果が表れていない。ただ,SilentもBalancedと大きな差がなく,RTX 3080に大きな差を付けている点は注目すべきポイントだ。
グラフ23〜25が「Borderlands 3」の結果だ。
ここでも,1920×1080ドットではCPUが足かせになってフレームレートが頭打ちになっている。そこで,2560×1440ドット以上の解像度を見ていくと,BalancedとRTX 3080との差は7〜13%程度となり,3DMarkなどと似た傾向となった。ただ,やはりExtreme PerformanceはBalancedに明確な差を付けておらず,あまり有用性を感じない。だが,SilentはBalancedからそれほどフレームレートが落ちておらず,RTX 3080を安定して上回った。
グラフ26は「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
同ベンチマークはCPU性能の影響も大きいため,Balancedは1920×1080ドットと2560×1440ドットでは,RTX 3080を引き離せていない。だが,3840×2160ドットにもなると,RTX 3080に約13%と上位モデルらしい性能を発揮した。Extreme Performanceは,同じく3840×2160ドットでBalancedから約4%高いスコアを残し,今回で唯一の1万7000台にまで達している。だが,CPU性能がネックとなり,SilentはRTX 3080にまったく届かない結果となってしまっている。
そんなFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ27〜29だ。
平均フレームレートは,総合スコアを踏襲した形となった。一方,最小フレームレートはCPU性能に拠るところが大きいのだが,BalancedはRTX 3080と比べて,3840×2160ドットで約15%も向上している点は立派の一言。
グラフ30〜32は,「PROJECT CARS 2」の結果をまとめたものだ。
やはり,1920×1080ドットではCPUがボトルネックになるようで,平均フレームレートは丸まりつつある。そこで,2560×1440ドット以上に目を移すと,BalancedとRTX 3080との平均フレームレートの差は4〜14%程度と,おおむねこれまでの傾向と似た結果となった。Extreme Performanceは,Balancedから平均フレームレートを3〜5%ほど伸ばしている。またSilentは,CPU性能がネックとなるため平均フレームレートは伸び悩んでRTX 3080を下回り,3840×2160ドットで並ぶのがやっとという結果になっている。
消費電力は相応に大きめ
GPUクーラーのTRI FROZR 2Sの冷却性能は優秀
さて,MSI RTX 3090 SUPRIM Xは8ピンのPCIe補助電源コネクタを3基搭載していることに加えて,動作クロックが引き上げられていることもあり,実際の消費電力はどの程度なのか気になるところだ。そこで今回は,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。
なお,今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中の結果を示している。その結果をグラフ33に示そう。
この結果を見ると,RTX 3080が300〜350W付近で収まっているのに対して,MSI RTX 3090 SUPRIM XはBalancedで400Wを超えるあたりで推移しており,消費電力は相応に高めだ。ただ,Extreme Performanceでも消費電力が大幅に増えているわけではなく,逆にSilentも,あまり消費電力は低くなっていないようだ。
そこで,グラフ33の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたものがグラフ34となる。各項目の名称は,Balanced,Performance,Silentと略していることをお断りしておく。
RTX 3080が約330Wなのに対して,MSI RTX 3090 SUPRIM Xは,Balancedで約427Wと,100W程度消費電力に差がある。だが,Extreme Performanceでも427.2W程度で,Balancedとの差は見られない。Silentは,Balancedから5Wほど低下しているものの,RTX 3080よりも消費電力が大きいことは変わらない。
続いて,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力のみを計測した結果も見てみよう。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ35だ。
ピーク値を採るテストであるため,どうしても差が極端になる傾向はあるが,それでもRTX 3080とBalancedとの差は,107〜136W程度とかなり開いてしまっている。また,Silentは,CPU性能があまり要求されないテストでは,消費電力を低く抑えられているようだ。一方,あまりCPU性能が問われないテストに関しては,RTX 3080を上回る結果となってしまっている。
最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,グラフィックスカードによってファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。それを踏まえた結果はグラフ36のとおり。
RTX 3090 SUPRIM Xは,Balancedの高負荷時でも70℃を下回っており,MSI自慢のオリジナルクーラーであるTRI FROZR 2Sの冷却性能は,かなり高いと言ってよさそうだ。Extreme Performanceでも70℃に留まる点も好感が持てる。
最後に筆者の主観であることを踏まえたうえで,RTX 3090 SUPRIM Xの動作音について述べておくと,ウルトラハイエンドのグラフィックスカードとしては,結構静かだなという印象を受けた。もちろん,動作音が聞こえるのは確かだが,少なくともPCケースに入れてしまえば聞こえなくなるレベルだ。
価格は25万円前後とかなり高め
長年にわたり安定して使いたいならお勧めの1枚
RTX 3090 SUPRIM Xの実勢価格は25万円前後と,かなり高価なのは事実だ。それに加えて,消費電力も高いので,万人にお勧めする製品ではなかろう。だが,少しでも高い性能が欲しいゲーマーが,クロックアップモデルの購入の検討しているのであれば,このRTX 3090 SUPRIM Xは,お勧めの1枚であると言える。
長期間安定して利用したいと考える人にとって,このRTX 3090 SUPRIM Xは,GPUクーラーの冷却性能の高さや電源周りをはじめとした作り込みなど,かなり魅力的なモデルとなるのではないだろうか。
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