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MSI「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」を試す。「Twin Frozr VI」クーラー搭載カードは,静音動作を求める人向け
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印刷2016/09/12 00:00

レビュー

「Twin Frozr VI」クーラー搭載のGTX 1060 6GBは,静音動作に期待する人向け!?

MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6G

Text by 宮崎真一


GeForce GTX 1060 GAMING X 6G
メーカー:MSI
問い合わせ先:アスク(販売代理店)サポートセンター 03-5215-5652(平日10:00〜12:00および平日13:00〜16:00)
実勢価格:3万7000〜4万円程度(※2016年9月12日現在)
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 「ミドルクラス市場向けGPU」と呼ぶのはちょっとためらわれる価格設定であるものの,性能と価格のバランス自体はよいことから,市場では「GeForce GTX 1060 6GB」(以下,GTX 1060 6GB)の人気が高いようだ。
 国内ではNVIDIAの「Founders Edition」が出荷されないこともあって,各社はGPUのリリース直後からオリジナルデザイン版を積極的に市場投入しているが,今回取り上げるMSI製カード「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」(以下,GTX 1060 GAMING X 6G)も,その1つである。

GTX 1060 6GB GPU
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 4Gamerではすでに,「GeForce GTX 1080」搭載の「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」(以下,GTX 1080 GAMING X 8G)と「GeForce GTX 1070」搭載の「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」(以下,GTX 1070 GAMING X 8G)のレビューをお伝えしているが,今回のGTX 1060 GAMING X 6Gは,まさにそれら「GAMING X」シリーズの新作という扱いの製品だ。

 では,このGTX 1060 6GB搭載のGAMING Xカードは,従来モデルと同じように,ゲーマーの期待に応えてくれるだろうか。MSIから入手した個体を使って確かめてみたい。


上位モデルと同様,「Gaming APP」から3つの動作モードを選択可能


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 発表時に「GeForce GTX 1060」と呼ばれていたGTX 1060 6GBがどのようなGPUかは,GPUレビュー記事でチェックしてもらうとして,さっそく,GTX 1060 GAMING X 6Gがどのようなカードなのか見ていこう。

 上位クラスのGPUを搭載する従来モデルがそうであるように,GTX 1060 GAMING X 6Gも,「OCモード」「ゲーミングモード」「サイレントモード」という3つの動作モードを持ち,メーカー保証の範囲内で,異なる動作クロック設定を選び,利用できるようになっている。
 具体的な動作クロック設定は以下のとおりだ。

  • OCモード:ベース1594MHz,ブースト1809MHz,メモリ8108MHz相当
  • ゲーミングモード:ベース1569MHz,ブースト1784MHz,メモリ8008MHz相当
  • サイレントモード:ベース1506MHz,ブースト1708MHz,メモリ8008MHz相当

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 サイレントモードの設定値はリファレンスクロックと完全に同じ。それをベースとして,工場出荷時設定となるゲーミングモードではGPUコアクロックを約4%引き上げてメモリクロックは据え置き,OCモードではゲーミングモードからさらにGPUコアクロックを25MHz,メモリクロックも100MHz相当引き上げた設定となっている。

 さて,後述するテスト環境において,実際に自動クロックアップ「GPU Boost」の効果をGaming APPから確認してみると,OCモードでは1949MHz,ゲーミングモードでは1911MHz,サイレントモードでは1860MHzまでブーストクロックが到達するのを確認できた。
 同じ環境でGTX 1060のFounders Editionは1885MHzまで上がっていたので,動作クロックの上がり幅はかなり大人しめといった印象を受ける。とくにサイレントモードではFounders Editionよりクロックが低くなるので,このあたりがスコアにどう影響するのかは気になるところだ。後段で確認したい。

Gaming APPから3モードのブースト最大クロックを追った結果
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細かいところで簡略化を確認できるものの,基本的には既存のGAMING Xモデルとよく似ている


 続いてカードそのものを見ていきたい。

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 カード長は実測で約278mm(※突起部除く)で,これはGTX 1080 GAMING X 8GやGTX 1070 GAMING X 8Gとまったく同じ。さらに,マザーボードに差したとき,Founders Editionより垂直方向に約34mm長い点も変わっていない。2スロット仕様のGPUクーラー「Twin Frozr VI」を採用する点も同じなので,ぱっと見でGTX 1080 GAMING X 8GやGTX 1070 GAMING X 8Gと区別するのは難しいだろう。
 補助電源コネクタの数が8ピン×1になっているところが外観上における唯一の違いと言ってもいいくらいだ。

カードを別の角度から。細かく見ると,ブラケットとGPUクーラーをつなぐ金属板が細くなっているとか,8ピン×1の補助電源コネクタが少し奥まった配置になっているとか,GTX 1060 6GBはSLI非対応ということもあり,背面側のカバー形状が変わっているとかいう違いはあるのだが,一見した印象はこれまでのGAMING Xカードと変わらない
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というわけでこちらが補助電源コネクタ部。少し奥まった配置となっている。GTX 1060 6GBのリファレンスデザインだと6ピン×1なので,ここは強化が入っているという理解でいい
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外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1。レイアウトも含めてGTX 1060 Founders Editionと共通だ

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 見た目がほぼ同じTwin Frozr VIクーラーの仕様も,従来製品のそれと変わらない。エッジの傾斜が異なる羽を交互に配置する「Torx Fan 2.0」(トルクスファン2.0)を採用した100mm角相当のファンを2基搭載する点や,GPUコアの温度が60℃を下回っている状況ではファンの回転を止める「Zero Frozr」(ゼロフローザー)機能を利用できるようになっており,Gaming APPから本機能の有効/無効を切り換えられる点も共通だ。

Twin Frozr VI側面にある「Gaming Dragon」ロゴとMSIロゴのLEDカラーはGaming APPを使うことで光る色と光り方を選択できる。クーラー上にある赤い稲妻のような意匠部は光り方のみ選択可能だが,このあたりもGTX 1080 GAMING X 8GおよびGTX 1070 GAMING X 8Gと同じ
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 さて,GPUクーラーの取り外しは自己責任であり,取り外した時点でメーカー保証は受けられなくなる。それを断ったうえで,今回はレビューのため特別に取り外して,基板とGPUクーラー詳しく見ていこう。

 まずGPUクーラーだが,分解してみて最初に気付いたのは,GTX 1080およびGTX 1070搭載モデルと比べて,ヒートパイプの本数が減っていることだ。GTX 1080 GAMING X 8GおよびGTX 1070 GAMING X 8Gだと,8mm径が1本に6mm径が4本という構成だったのに対して,GTX 1060 GAMING X 8Gでは8mm径が1本と6mm径が2本になっている。これは,GPUの規模に合わせて,冷却機構のコストも抑えたということなのだろう。
 また,GTX 1080 GAMING X 8GおよびGTX 1070 GAMING X 8Gだと,メモリチップ用にはヒートスプレッダ,電源部にはヒートシンクを採用しているのに対し,GTX 1060 GAMING X 6Gだと,基板表面を覆うのは1枚のヒートスプレッダのみとなっている。

Twin Frozr VIクーラーを取り外したところ。クーラーの作りはGTX 1080 GAMING X 8GおよびGTX 1070 GAMING X 8Gと比べていろいろ異なっていた。6mm径のヒートパイプは2本とも「S」字状となっている。なお,背面側の補強板で隠れた場所に,カード背面側にLEDを搭載するGAMING Zシリーズ用と思われる電源コネクタが見えるので,本製品も基板自体はGAMING Zシリーズと共通なのだろう
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 基板側も,基本設計はGTX 1080 GAMING X 8GおよびGTX 1070 GAMING X 8Gと似た印象ながら,搭載するGPUに合わせて簡略化がなされている。
 電源部は見る限り5+1フェーズ構成。Founders Editionの3+1フェーズと比べれば豪華だが,基板上の空きパターンや“空白地帯”からしても,詰め込んであるとまでは言えない感じだ。
 もっとも,MSI独自の品質規格「Military Class 4」に準拠した「Hi-c CAP」コンデンサや,日本メーカー製の固体コンデンサ,「Super Ferrite Choke」といった高耐久品で電源部は構成されており,MSIのゲーマー向けグラフィックスカードらしい安心感はある。

電源部に寄ったところ
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 なお,GPU用のMOSFETは「M3816N」という型番で,これは調べた限り,データシート未公開のため,詳細不明だ。一方のメモリチップ用は「SM7320」なので,Sinopower Semiconductor製のDual MOSFETということでこちらは間違いないだろう。
 また,デジタルPWMコントローラはuPI Semiconductorの「μP9511P」という,最近よく見るものになっている。

GPU用電源部(左)とメモリチップ用電源部(中央),デジタルPWMコントローラ(右)
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搭載するメモリチップ
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 メモリチップはSamsung Electronics製の「K4G80325FB-HC25」(8Gbit,8Gbps品)で,これはGTX 1060 6GBのFounders Editionが搭載するものと同じ。そのため,OCモードでは若干ながらメモリチップの仕様を超えて動作することとなる。
 なお,メモリチップ2枚分の空きパターンがある点もFounders Editionと同じだ。


3つの動作モードでFounders Editionとの違いをチェック


 今回,GTX 1060 GAMING X 6Gの比較対象としては,GTX 1060 6GBのFounders Editionを用意した。GTX 1060 GAMING X 6Gにある3つの動作モードでそれぞれFounders Editionに対してどのようなスコアを示すかを確認してみようというわけである。
 なお以下グラフ中では,スペースの都合上「GAMING X 6G(OCモード)」「GAMING X 6G(ゲーミングモード)」「GAMING X 6G(サイレントモード)」と表記して区別する。

 テストに用いるグラフィックスドライバはテスト開始時の最新版となる「GeForce 372.70 Driver」。そのほかテスト環境はのとおりとなる。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0に準拠。ただし,「3DMark」(Version 2.1.2973)では,レギュレーションで規定する「Fire Strike」だけでなく,DirectX 12テストである「Time Spy」も実施する。なお,Time Spyのテストにおいては,「2回実行し,高いほうの総合スコアを採用する」という,Fire Strikeと同じルールを適用した。

 テスト解像度は,GTX 1060 6GBがミドルハイクラス市場向けGPUということから,今回,1920×1080ドットと,アスペクト比16:9で一段上となる2560×1440ドットを選択した。
 また,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,その挙動がテスト状況によって変わる可能性を排除すべく,同機能をマザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


メーカーレベルのクロックアップ効果はほぼ無視できるレベル


 順にテスト結果を見ていこう。
 グラフ1は3DMarkのDirectX 11版テストであるFire Strikeの総合スコアをまとめたものだ。
 GTX 1060 GAMING X 6Gのスコアにおいては工場出荷設定となるゲーミングモードのそれが1つの基準となるわけだが,同モードにおけるテスト結果は,対GTX 1060 6GB Founders Editionで約102%。OCモードに切り換えても約103%であり,メーカーレベルのクロックアップ効果は控えめだ。また,序盤でブースト最大クロックがFounders Editionより低いことを指摘したサイレントモードは,若干ではあるものの,Founders Editionより低いスコアを記録している。

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 続いてDirectX 12版テストのTime Spyだが,グラフ2を見ると,スコア傾向はFire Strikeと変わっていないのが分かる。GTX 1060 GAMING X 6Gのサイレントモードは,こちらだとFounders Editionより若干高いスコアだが,実スコア差は11しかないので,ここはほぼ横並びとするのが正しい評価だろう。

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 グラフ3,4は「Far Cry Primal」の結果となる。
 Far Cry PrimalでもGTX 1060 6GBとの力関係はほぼ変わらず,GTX 1060 GAMING X 6Gはゲーミングモードで約2%,OCモードで3〜4%程度高いスコアを示し,サイレントモードでは完全に揃った。

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 「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)の結果がグラフ5,6となる。
 ARKはシンプルに,描画負荷が高まるとグラフィックスメモリ負荷も高まるため,メモリクロックの引き上げを伴うOCモードで,対Founders Editionのスコアが最大約9%に開いた。一方,メモリクロックが変わらないゲーミングモードおよびサイレントモードだと,スコア傾向はここまでと同じだ。

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 グラフ7,8は「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)の結果である。
 The Divisionにおいては,3DMarkやFar Cry Primalと比べると,わずかながらGTX 1060 GAMING X 6Gが優勢で,対GTX 1060 6GBのスコアはOCモードで3〜5%程度,ゲーミングモードで2〜4%程度高く,サイレントモードでも最大約1%高くなった。ただ,実フレームレートでいえばせいぜい4fpsがいいところであって,これを体感するのは限りなく難しいだろう。

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 それはグラフ9,10にスコアをまとめた「Fallout 4」でも同じ。GTX 1060 GAMING X 6Gのゲーミングモードにおけるスコアは対GTX 1060 6GBで最大でも約2%しか上がっていない。メモリクロックの引き上げを伴うOCモードでも,スコア差は最大で約4%だ。

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 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果がグラフ11,12となるが,ここでもメーカーレベルのクロックアップ効果はあまり感じられない。「最高品質」の2560×1440ドットで,GTX 1060 GAMING X 6GのOCモードはGTX 1060 6GBに対して約4%高いスコアを示しているが,平均フレームレートで言えば62.0fpsが64.6fpsへ上がっているだけなので,体感するのはまずもって不可能と思われる。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 グラフ13,14にスコアをまとめた「Project CARS」でも傾向は変わらない。GTX 1060 GAMING X 6Gは,OCモードであっても,GTX 1060 6GBより最大約3%高いスコアを示すに留まっている。

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消費電力の増大は控えめ。Twin Frozr VIの冷却性能と静音性は申し分なし


 クロックアップによって得られる性能向上がそれほどないため,クロックアップ設定によって無駄に消費電力が上がっていると,そこは大きなマイナスポイントになるわけだが,実際のところはどうだろうか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体での消費電力を測定,比較してみよう。

 テストにあたってはゲームでの利用を想定し,ディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時とした。

 その結果はグラフ15のとおり。アイドル時はいずれも50W弱で揃っており,また,アプリケーション実行時も,OCモードでFounders Edition比で最大14Wの増大が見られるものの,ゲーミングモードは2〜7Wの増大に留まっており,スコア差はかなり小さい。サイレントモードに至っては,Founders Editionとほぼ同じスコアだ。クロックアップのための電圧設定引き上げといったことを,GTX 1060 GAMING X 6GでMSIは行っていないということなのだろう。

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 GPUの温度からTwin Frozr VIの冷却性能も確認しておこう。ここでは,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 1.10.0)から温度を取得することにした。
 テスト時の室温は約24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態に置いているので,この点は注意してほしい。また,GPUクーラーどころか温度センサーの位置も異なるため,横並びの比較に意味はないことも押さえておいてもらえれば幸いだ。

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 というわけで結果はグラフ16のとおりだが,Twin Frozr VIのファン設定は標準のままにしているため,アイドル時にはファン回転が止まり,数字は相対的に大きくなる。もっとも,実温度は50℃を下回るレベルなので,問題はないと言っていいだろう。
 注目したいのは高負荷時で,60℃台半ばというのは見事だ。前述のとおり,上位GPUを搭載するカードと比べるとTwin Frozr VIの仕様は簡略化されているわけだが,それでも十分すぎるほどの冷却能力は確保できているわけである。

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 さて,気になるTwin Frozr VIの動作音だが,それは下記に示す動画を見てもらうのが一番早いだろう。これは,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置いて,音声付きのビデオとして撮影したものだ。
 テストにあたっては,Gaming APP側の設定をゲーミングモードとしたうえで,PCをアイドル状態で1分間放置し,その後,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の2560×1440ドットで4分間実行して,その模様をすべて収めている。

 テスト開始後1分間はファンが停止しているため,環境音しか聞こえない。そして,1分後にベンチマークを実行すると,まずコイル鳴きと思われる周波数の高い音が聞こえだす。そして,そこから40秒後,つまりファイル冒頭から1分40秒後にファンが回転を始め,次第に動作音を増していく。
 ベンチマーク実行3分後(=ファイル冒頭から4分後)には,ファンの動作音もそれなりに大きなっているものの,コイル鳴きともどもその音量は小さく,ケースに入れてしまえばまったく聞こえないレベルだ。GTX 1070 GAMING X 8Gなどがそうであったように,GTX 1060 GAMING X 6Gが搭載するTwin Frozr VIの静音性も相当に高い。



静音動作のGTX 1060 6Gカードとしては大いに価値がある


製品ボックス
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 以上,メーカーレベルで高い動作クロック設定がなされたクロックアップモデルとしてのGTX 1060 GAMING X 6Gは,控えめに述べてもそれほど魅力的でない。また,Gaming APPによる動作モード選択効果もほとんどないので,LEDイルミネーションにこだわりがない人からすると,Gaming APPをインストールする意義にも疑問符が付くレベルだ。

 ただし,静音動作を期待できるGTX 1060 6GBカードとしての完成度は非常に高い。2016年9月12日現在の実勢価格だと,GTX 1060 6GB搭載カードの相場がざっくり3万2000〜4万円程度のところ,GTX 1060 GAMING X 6Gは3万7000〜4万円程度と,高いほうに属するが,GPUクーラーの冷却性能と静音性に価値を見出せる人にとっては,納得のいくプレミアム(=価格の上乗せ)と言えるのではなかろうか。

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