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印刷2011/02/21 18:14

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海外ゲーム四天王 / 第78回:「Dungeons」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第78回:今週の地下迷宮:「Dungeons」
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 自分のダンジョンにさまざまな仕掛けを施し,やってくる勇者を罠にはめるという新作ゲーム,「Dungeons」が2011年2月にリリースされた。あの名作,「ダンジョンキーパー」を思い出させる内容だが,設定やグラフィックスは似ているものの,中身はまったくの別物。ただ勇者を倒すだけでなく,勇者の皆様にいかにダンジョンを楽しんでいただけるかが重要になるというから驚きだ。しかも,ダンジョン業界は上下関係が厳しく,なかなか世知辛い様子。
 そんなDungeonsを,ダンジョンキーパー大好きっ子で,首を長くして新作の登場を待っていたという編集部のgingerが紹介しよう。

勇者の皆様に,いかに楽しんでいただくかが重要 スリリングでエキサイティングで愉快なダンジョンを作ろう

 

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 やあ,みんな! 今日も元気に冒険してる? この地下迷宮は気に入ってもらえたかな? やっぱり,冒険といったらダンジョンだよね。暗く曲がりくねった通路に,無数のモンスター。そして,輝かしい戦いの末に待っているのは,金銀財宝に魔法の品々ときたもんだ。富と名声に飢えた,君達まぬけな冒険者にとって,かくもスリルに満ち溢れたダンジョンはまさにぴったりの場所じゃないかな。

 え,僕は誰かって? ハハッ,いやだなあ。僕はこの迷宮の主,人呼んでダンジョンロードさ。今はちょっと,下品で不快でとことん性悪の元ガールフレンドに裏切られて,こんなダンジョン社会の最底辺とも言える迷宮の最上層に放り出されちゃったけど,今に見てろよ。あの女悪魔め,おっぱいが大きくてちょっといいなあなんて思った僕がバカだったよ! チクショー! ……でも,いいなあ。

 というわけで,今回の海外ゲーム四天王はドイツのゲームパブリッシャ/デベロッパ,Kalypso Mediaから2011年2月に発売されたばかりの「Dungeons」を紹介する。本作の開発を手がけたのは,こちらもドイツはミュンヘンに拠点を置く,Kalypso Media傘下の開発スタジオであるRealmforge Studiosだ。

 

「Dungeons」公式サイト(要年齢認証)

 

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 すでにお気づきのとおり,本作はダンジョンの主ことダンジョンロードとなり,広大な地下世界に迷宮を築き上げ,ノコノコやって来た冒険者達を返り討ちにしていくダンジョンマネジメントゲームだ。こう書くと,ピーター・モリニュー率いるBullfrogが開発し,日本ではエレクトロニック・アーツから発売された名作「ダンジョンキーパー」を思い出す人がいるかもしれない。

 かく言う筆者も,「ついにダンジョンキーパーの後継作がキター! 10年待ったよ!」とばかりに飛びついた口だが,結論から先に言ってしまうと,似ているのはあくまで見た目とコンセプトだけで,本作の中身はダンジョンキーパーとはまったくの別物である。アレレ?  地下迷宮が一つの社会であったダンジョンキーパーに対して,本作のゲーム性を一言で言い表すならば,“地下迷宮風テーマパーク”といったところ。だが,実際に遊んでみると,これはこれでとても面白いので大丈夫。本作では,ダンジョンにやって来た冒険者の皆様をいかに楽しませ,ご満足いただけるかが非常に重要なのだ。

 

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 それはなぜか? ダンジョンにやって来る冒険者達は,「財宝が欲しい」「装備品が欲しい」「モンスターをやっつけたい」「むしろ,モンスターにやっつけられてダメージを受けたい」「それなら,私が回復したい!」「ぴーちく,ぱーちく!!」と,それぞれ自分勝手にやりたいことを持っており,彼らの要望を満たして十分にご堪能いただいたところをひっとらえて牢獄にぶち込み,じわじわといたぶることで,より多くの“ソウルエナジー”を搾り取れるからだ。

 ダンジョンロードのお仕事は,そのために手下のゴブリンに命じて通路や部屋を作り,おどろおどろしい装飾を施して冒険者達の気を引き,各所にモンスターやお宝を配置して,スリリングでエキサイティングなダンジョンを演出すること。

 

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 ソウルエナジーは,ダンジョン内に怪しげに光る燭台やいわくありげな棺,見るも無残な骸骨の山などといった,さまざまな不気味な飾りつけを行うために必要なリソースで,やって来たばかりの冒険者を倒しても,ほんのちょっぴりしか手に入らない。これらの不気味オブジェクトを配置するとダンジョンの“風格”が上がり,風格が上がるとより冒険者の方々にご満足いただけるお宝アイテムを置けるようになるという寸法だ。

 

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 十分満足した冒険者はダンジョンから出て行こうとするのだが,宝をタダで持ち逃げされてはこちとらまったくの大赤字である。そこで彼らが出口に到達する前に,ときにはダンジョンロード自らが追いかけていって倒さなければならない。忙しいったらありゃしないが,近頃のダンジョンロードは,迷宮の奥深くで玉座にふんぞり返っているだけでは務まらないのだ。

 しかし,その一方でダンジョンにご満足いただけず,飽き飽きしてたいそうお怒りになった冒険者達は,ダンジョンの力の源である"ダンジョンハート"に怒りの矛先を向けてくる。ダンジョンロードはいくら冒険者に倒されても復活できるが,ダンジョンハートは言わば本丸であり,これを破壊されるとゲームオーバーなので,なんとしても死守しよう。

 

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 冒険者達は時間と共にレベルが上がって手ごわくなるうえ,ステージが進むと一定時間ごとに通常の冒険者よりもはるかに強力な英雄,“チャンピオン”が出現するようになる。チャンピオンは宝物には目もくれず,牢獄に捕らわれた冒険者の解放とダンジョンハートの破壊を目指して一直線に突き進んでくるので,それまでの間にできるだけの準備を整えておきたい。

 さらに,我らがダンジョンロードは今やダンジョン業界のヒエラルキーの最底辺に落とされ,ほかの魔王の手下扱いを受けているため,上司の魔王が「もっと金をよこせ」だの「もっとソウルエナジーをよこせ」だのと,あれこれ注文をつけてくる。しかもやっかいなことに,言うことを聞かないとこちらに敵対的なモンスターの軍を差し向けてくるのだ。醜い足の引っ張り合いとはまさにこのことだが,ダンジョン業界も世知辛いね。

 

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 また各ステージには,クリア目標のほかに多くの小目標が用意されており,それらを達成することでステータスポイントやスキルポイント,そのステージでのみ使用可能な魔法のスクロールを入手できる。新たなポイントを入手したら,それを使ってダンジョンロードの能力を強化するのをお忘れなく。

 こうして着々と面従腹背しながら自分のダンジョンの勢力を伸ばし,より地下深くへと潜りながら,邪魔をする三人のダンジョンロード(つまり,今の上司)を倒して,裏切り者の元ガールフレンドにリベンジするのが,このゲームの最終的な目標だ。

 

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 ゲームモードは,ストーリーに従ってゲームを進めていく「キャンペーン」と,好きなマップを選んで思う存分ダンジョンをカスタマイズしたり,どれだけ生き残れるかを競ったりする「カスタムゲーム」の二つで,マルチプレイモードは用意されていない。キャンペーンモードの序盤はゲームのチュートリアルも兼ねているので,まずはこちらから遊ぶのがいいだろう。

 そんな本作は公式サイトやSteamなどでデモ版が配信されている。ああん? 勇者? そんな奴ら,けちょんけちょんにしてやんよ! という全国の雇われダンジョンロードの皆さんは,まずはデモ版からぜひお試しあれ。あ,もちろん,こんなにやさぐれてないダンジョンロードの皆さんでも,ばっちりお楽しみいただけます。

 

 

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■■ginger(4Gamer編集部)■■
 アニメ,ライトノベル,フィギュアなどに詳しい,比較的柔らかいのが好きな編集者。ゲームに関しても,PC向けインディーズ作品からコンシューマ機用タイトル,アーケードまで,なんでもこなすという便利さなので,この連載をときどき手伝わせている。今回は,餃子をおごるという甘言を弄して記事を書かせたが,連載担当の編集者はその約束をうやむやにするつもりだ。
  • 関連タイトル:

    ダンジョンズ 日本語版

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