インタビュー
累計5000万枚以上を販売! 人気爆発中のプロ野球カードゲーム「プロ野球オーナーズリーグ」 開発者に聞く,2011年新バージョンのヒミツ
バンダイがサービス中のオンラインゲーム「プロ野球 オーナーズリーグ」が好調だ。2010年3月の第1弾カード発売から,現在発売中の第4弾まで,累計カード販売枚数が5000万枚を超える大ヒットとなっており,3月25日には2011年版の第1弾カードの発売が予定されている。ゲームについても公式WEBサイトのほかにmixi版とYahoo!モバゲー/モバゲータウン版がスタートし,プレイヤー層のさらなる拡大を狙っている。
現在の状況や2011年第1弾の内容について,開発元であるバンダイカード事業部の中村泰良氏に聞いた。
「プロ野球 オーナーズリーグ」公式サイト
プレイヤーで一番多いのは中学生
プロ野球の人気は今も高い
ゲーマガ:
2010年第4弾までに5000万枚以上売れているということですが,当初の目標はどれくらいだったのでしょうか。
年間で約1000万枚が目標でしたので,予想以上の売行きですね。もちろん自分としてはこの企画はいけると思っていましたが,予想より行きすぎかな,というくらいのありがたい反響をいただいております。
ゲーマガ:
その中心的なプレイヤー層はどのあたりでしたか。
中村氏:
僕らの想定していたターゲットは30才前後だったのですが,プレイヤー数でいうと中学生が一番多いくらいなんですよ。ただ,そこが飛びぬけて多いわけではなくて,なだらかな山になっています。30才と14才のプレイヤーが同じくらいの人数になるとは予想していなくて,子供も野球が好きなんだと改めて認識しましたね。やはりプロ野球は幅広く愛されている,まさに日本を代表するスポーツだと思いました。
ゲーマガ:
プレイヤーの声はどうですか?
中村氏:
たとえば,野球に興味がなかった方が,友達に誘われてオーナーズリーグをはじめたら選手を覚えて,はじめて球場に行ったとか,そういったプレイヤーの声も聞きました。自分も子供のころから野球をやってきたので,野球界に少しでも貢献できたのかなと考えると,嬉しいです。
カード単体で魅力のある題材,それがプロ野球
ゲーマガ:
オーナーズリーグで重視していることは何でしょうか。
中村氏:
カードを集めて楽しんでもらうことを一番大切にしています。オーナーズリーグは僕ともう1人で企画をしているのですが,ネットゲームとカードの組み合わせ方には本当に気を使っています。
「ネットカードダス」というビジネスを立ち上げた当初は,ゲームセンターでカードを使って遊ぶゲームが流行っていまして,それを家庭のネット環境に持ってこようという発想だったんですが,ゲームセンターと家庭では大きな違いがあったんです。ゲームセンターの場合はプレイにお金がかかる代わりに1枚カードがもらえて,遊ぶこととカードを買うことが一体になっているんです。でも僕らのゲームはプレイしてもカードはもらえない。遊ぶ行為と,カードを買う行為が完全に切り離されている。だから遊びの部分とカード購入の部分をまったくの別物として考えなおす必要がありました。
その結果,僕らが目指すのは「楽しい野球ゲーム」ではなく,「集めるのがもっと楽しいプロ野球カード」だという考えにたどり着いたんです。ですから,ゲームの部分はカード集めをより楽しくするためのツールになっています。
ゲーマガ:
プロ野球を題材に選んだ理由は何でしょうか?
中村氏:
もともと僕が野球少年だったのも大きかったと思いますし,以前に野球ゲームの開発にも関わっていたので自分の得意分野ということもあります。ですが,カード単体で魅力があるものって何だろうと考えたときに,実際に活躍する選手のカードであれば持っているのは嬉しいものですし,昔からプロ野球のカードは存在していて,集めている人もたくさんいます。それに野球は日本ではやはりナンバーワンスポーツなので,カード単体でのパワーは野球が一番あると考えたんです。
ゲーマガ:
ご自身でも野球のカードは集めていましたか?
中村氏:
集めていましたね。BBMカードやカルビーのプロ野球チップス,一時期はメジャーリーグのカードも買っていました。
ゲーマガ:
プロ野球以外の題材は考えませんでしたか?
中村氏:
カードを買う場所と遊ぶ場所が離れているというのはデメリットで,そこを乗り越えるだけの魅力ある題材は野球しかないと思っていました。オリジナルのゲームだと,バトルのしくみを一から説明する必要があるのですが,野球は日本人ならだいたいルールを知っているんですね。あれだけ複雑なルールなのに,説明しなくていいんです。もしまったく知らない人にルールを説明するとしたら,1番から9番までの選手をポジションに並べて……とすごく難しいのですが,すでにルールが認知されているので説明がいらない。これは大きいですよ。
ゲーマガ:
そう言われると確かに,ルールが認知されていなかったら,ピッチャーがどこにボールを投げるとか,そういったところから説明することになりますね。
中村氏:
カードにルールブックをつけていたら本当に大変ですが,それがいりません。野球やサッカーなど認知されているスポーツというのは,題材にするメリットのある特殊な存在なんです。
あくまで「カードありき」のゲーム設計
カードを楽しむためのこだわり
ゲーマガ:
では,カードを楽しむためのゲームデザインというのは,どういったものなのでしょうか。
中村氏:
通常のオンラインゲームやソーシャルゲームですと,運営側からどんどんミッションを配信してそれをクリアしてもらったり,ゲーム中のアイテムを手に入れてもらったりと,そういう方向に進むのですが,オーナーズリーグはあくまでプレイヤー同士がカードを集めながら楽しむ「場」を提供するイメージが強いんです。ですから,ミッション的なものであるとか,クリアするためのハードルを次々と提供するのではなく,仲間同士で遊ぶことがスムーズになるとか,よりストレスを感じなくなるというところに気を配っています。
ゲーマガ:
全国大会に「第何回」などのタイトルつけていませんが,そういう考えの表われでしょうか。
中村氏:
そうですね。「僕は第何回の優勝者だ」と記録が残ってしまうと,どうしてもコレクションしたくなると思うんですね。そういった,ゲーム側にたまっていくものを,あえて排除しています。開発中も「オンラインゲームだったら育成要素は入れるべき」という提案を何回も言われて,その度に否定しました。オーナーズリーグではゲーム側に蓄積があってはダメなんです。もしそうなると,手元のカードよりもゲーム中のデータが第一になってしまいます。「重ね」システムによって,複数枚カードを登録するとちょっと能力が上がるという育成的な要素を入れていますが,ゲーム中での育成は入っていません。
ゲーマガ:
徹底していますね。
中村氏:
優勝したときに能力的な見返りが欲しいとか,ゲーム開発者であるほど考えてしまいます。普通にオンラインゲームを作るなら僕もそうするんですが,オーナーズリーグに関してはそれは絶対に違うんです。オーナーズリーグでもトロフィーはもらえますけど,あれも画像だけですし,ゲーム中で何かもらうことだけが嬉しいのではなくて,友達からの賞賛であったり,「弱いな」って言われることだって楽しさの一つだと思うんです。だからオーナーズリーグは,ある意味SNSを意識しています。交流の場を提供して快適に使えるようにがんばると。
ゲーマガ:
なるほど。そのうえで運営上工夫している点というのはありますか。
中村氏:
現実のプロ野球と連動するシステムにしています。シーズン中は週1回更新で,実際に調子のいい選手を各球団1名ずつ選び,ゲーム中で絶好調にしています(シーズンオフ中はランダム)。プロ野球も見ながら楽しんでほしいと考えていますので,僕達も毎日すべての試合内容をチェックしています。
現実のプロ野球での活躍を予想!
頭を悩ませる選手選び
ゲーマガ:
カード制作時の選手選びは苦労されますか?
中村氏:
最新データにしようと毎日情報を集めていますが,「この選手が昇り調子だから入れたほうがいい」とか,「どの選手をどのレアリティに設定しようか」と,なかなか悩みますね。プレイヤーがそのときのペナントレースでどんなカードが欲しいのか,そこは一番考えます。この選手は活躍するぞと思っていいカードに設定したら,発売のタイミングでは活躍していてくれなくて,あれ?って思うときもあったり,難しいですよ。
ゲーマガ:
いいカードに設定して,狙い通りに活躍してくれた選手だと,例えば誰がいますか。
中村氏:
第4弾のSUPER STARカードの由規選手(ヤクルト)とかですかね。そういうときは嬉しいですね。自分も野球をやっていたので,ピッチャーを見る目は確かかなと。由規選手については,このピッチャーは活躍するぞと,何か月か先を読んで推していました。
ゲーマガ:
写真はどうやって選んでいるのでしょうか。
中村氏:
写真は,球団さんなどからご提供いただいたものから選んでいますが,走るのが得意な選手は走っている写真にしたいし,守備がうまい選手は守っている写真にしたいですね。一番その選手らしい場面をカードにすることを心がけています。僕は小学2年生から高校3年まで野球一筋だったので,この仕草/ポーズがこの選手らしいというのを選ぶ時には,その経験が役立っています。
新バージョンで刷新された「重ね」と,注目の「NEW STAR」カード
ゲーマガ:
3月25日発売の新バージョンの見所はどこでしょうか。
中村氏:
デザインを一新しています。2010年版とはまた違うデザインの路線でかっこよくなりましたので,同じ選手でも手に入れたときに嬉しいと思います。あとは裏面ですね。今までパラメータが三角形のレーダーチャートだったのですが,バー表示に変更して「複数枚の同一カード」の効果を記載しました。今まではカードを重ねたときの成長率が一律でしたが,もっと楽しい遊びにしたくて選手ごとに成長率を変えました。若い選手やこれから期待できる選手は3枚重ねたときにすごく伸びて,逆にベテランの選手は伸び率を低くしていたりとか,選手によっては走力が伸びたり,長打力が伸びたりと変えています。カードごとに成長率を変えることで,3枚重ねたときはどんな活躍をするのかを楽しめる要素になりました。
ゲーマガ:
重ねの上限がこれまでの5枚から3枚に下がった理由は?
中村氏:
5枚はちょっとハードルが高かったかもしれません。5枚だと,たくさんカードを持っている方だけが有利な要素になりがちだったので,上限を3枚にすることで,より多くのプレイヤーにもっと気軽に楽しめる内容になったと思います。
ゲーマガ:
新しいレアリティのカードも登場するそうですね。
中村氏:
2011年第1弾の目玉として,「NEW STAR」カードを新たに作りました。去年活躍した清田育宏選手(マリーンズ)や中田 翔選手(ファイターズ),T-岡田選手(バファローズ),秋山拓巳選手(タイガース)など新しいスターを新しいカードで収録することで,手に入れたときに嬉しい,喜んでもらえるカードになっています。
清田育宏選手(マリーンズ) |
中田 翔選手(ファイターズ) |
T-岡田選手(バファローズ) |
秋山拓巳選手(タイガース) |
ゲーマガ:
裏面を見ると,「重ね」の伸び率がほかのカードに比べてかなり大きいですね。
中村氏:
やっぱり「NEW STAR」ですから(笑)。そこは。若い選手も多いですし,成長後を想定して楽しめるようにしました。
スターカード1枚入りのデータブックが全国のセブン-イレブンで3月25日発売
ゲーマガ:
3月25日の2011年第1弾発売と同時に,ソフトバンク クリエイティブから「プロ野球オーナーズリーグ2011 公式データブック【開幕版】」がセブン-イレブン限定で発売されます。データ集とスターカード1枚のセットになりますが,どういった方に買っていただきたいですか。
中村氏:
オーナーズリーグ未体験の方に,まずはスターカードを手にとって一度オーナーズリーグを経験してもらいたいです。友達と絶対楽しめると思います。選手データがあることで,カード集めもゲームもより楽しめますので,ここから3枚パックや1枚入りのウエハースも買っていただければ嬉しいです。
「プロ野球オーナーズリーグ2011 公式データブック【開幕版】」
新書サイズ/96ページ/オールカラー/スターカード1枚入り(全12種)
735円(税込)
2011年3月25日より,全国のセブン-イレブン限定発売
※取り扱いのない店舗もございます
※カードは3枚入りで発売される「オーナーズリーグ2011 01」に収録のカードと同一です
付属スターカードの一例
(福岡ソフトバンクホークス 馬原孝浩 選手)
データブック内容 :
カード集めの楽しさと対戦の楽しさ! いま人気爆発のプロ野球ゲームをはじめよう!
選手データとコンボ情報を収録!!
ゲームの遊び方解説
コンボリスト(2010 01〜04全コンボ,2011 01主要コンボ)
選手データ (2010 01〜04,2011 01全選手掲載 ※一部データ非公開部分あり)
●3枚入りパック
メーカー希望小売価格 315円(税込)
全国のコンビニエンスストア,カード販売店にて販売
一部取り扱いのない店舗もございます。
●ウエハース(カード1枚入り)
メーカー希望小売価格 105円(税込)
全国のコンビニエンスストア,スーパーマーケットにて販売
一部取り扱いのない店舗もございます。
(社)日本野球機構承認
NPB BIS プロ野球公式記録使用
「プロ野球 オーナーズリーグ」公式サイト
- 関連タイトル:
プロ野球 オーナーズリーグ
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