日本一ソフトウェアは,PSP用アドベンチャーシリーズの最新作にして完結編,「
流行り神3 警視庁怪異事件ファイル」を
8月6日に発売する。価格は5229円(税込)。
本作は,2004年に発売されたPlayStation 2用ソフト「流行り神 警視庁怪異事件ファイル」を皮切りに,その後PS2,PSP,ニンテンドーDSで展開されてきた,人気アドベンチャーシリーズの第3作。
プレイヤーは,警視庁の“警察史編纂室”に所属する警部補・風海純也(名前変更可能)となり,上司にあたる犬童蘭子警部や,同僚の賀茂泉かごめ警部補,小暮宗一郎巡査部長らと共に,都市伝説が絡んだ怪異事件の捜査にあたることになる。
ちなみに,本作の時代設定は流行り神2の約1年後となっており,シリーズファンおなじみの登場人物達は健在だ。下に主要登場人物のプロフィールを掲載したが,今回紹介した以外にも,新たな事件の関係者や,おなじみのサブキャラクター達が登場する。個人的には,「2」から1年の時を経た間宮ゆうかの髪型が気になるところだ。「1」くらいの長さになってるといいなぁ。
 風海 純也警察史編纂室に所属する警部補。25歳。国家公務員第1種(いわゆるキャリア)として警視庁に採用され、一時期は捜査一課に所属していたが、とある怪異事件の捜査ををきっかけに今の部署に異動となる。怪異事件に対して、科学的にもオカルト的にも思考を広げることの出来る柔軟な思考力を持つ。 |
 小暮 宗一郎警察史編纂室に所属する巡査部長。29歳。独身。ベテラン刑事然とした風貌を持つ体育会系刑事。礼儀正しい熱血漢で、その見た目にたがわず腕っ節も相当強い。が、流血や怪談、怪奇現象に拒否反応を示すなど、意外な一面も持ち合わせている。 |
 犬童 蘭子風海や小暮の上司で、階級は警部。警察史編纂室のヌシとして、日々業務ではなく公営ギャンブルや昼寝にいそしんでいる。部下達が関わっている事件に興味が無いのか、常にダラダラとしているが、稀に含蓄のあることを言って周囲を驚かせる謎の人物。怪しげな大阪弁を話す。 |
 賀茂泉 かごめ警察史編纂室に所属する警部補。25歳。学生時代に渡米しプロファイリング技術を習得。帰国後、入庁し、科学捜査研究所プロファイリング研究チームの一員としてその知力を遺憾なく発揮していた。オカルトの存在を全面否定しており、オカルトを容認する風潮を持つ編纂室のあり方を変えるべく情熱を燃やし、あえて編纂室に異動してきた(※流行り神2のエピソード)。毒舌で常に高飛車な態度をとるが、自覚は皆無。 |
 羽黒 薫3からの新キャラクター。警視庁刑事課の警察官。その見た目と愛想の良さから、周囲の上司や女性陣に可愛がられている。オカルトオタクで、編纂室が扱う事件にも興味を持っている。 |
 道明寺 秋彦風海たちの前にふらりと現れ、編纂室に怪異事件を持ち込む謎の人物。警視庁の刑事だというが、登場するたびに名乗る役職や所属が異なり、その実態はようとして知れない。怪しい人物ではあるものの、持ってくる情報は編纂室のメンバーにとって貴重なものが多く、疎ましがられながらもある種の信頼を勝ち得ている。 |
ゲームの進め方によって,シナリオ展開が“科学ルート”もしくは“オカルトルート”に分岐するというマルチシナリオ方式は,本作にも当然採用されており,本編シナリオ5話+αで構成されるストーリー展開に,バリエーションの豊富さと奥深さを付与している。
本稿では,流行り神3 の序章である“第零話『客の消えるブティック』”のあらすじを紹介しよう。有名な都市伝説を連想させるタイトルだが,果たしてどのような展開が楽しめるのだろうか?
第零話「客の消えるブティック」あらすじ
同じ庁舎内にある捜査一課が巷を騒がせている『有名政治家失踪事件』で忙殺されているのとは対照的に、編纂室のメンバーは今日も時間を持て余していた。彼らが扱う怪異事件など、そう頻繁に起こるものではないからだ。書類作成や資料整理といったルーチンワークに勤しむ彼らの元に、行方不明人の捜査依頼が舞い込む。
依頼者は峰岸さおり。探して欲しいのは中学生になる娘【峰岸紫音】だという。他の部署では、政治家失踪事件の捜査で忙しく、「ありがちな家出だろう」として取り合ってもらえなかったため、回りまわって編纂室に話を持ってきたのだと語る。
市民に貢献するのも公僕の仕事、と捜査を引き受けた編纂室メンバーは、紫音の友人“志乃田真由美”から紫音がよく顔を出す店の情報を聞きだす。真由美自ら案内してくれたその店は、中学生には到底似つかわしくない――彼女たち小遣いではとても手の出ないような品が並んだブティック【SHUUU!!】だった。紫音や真由美は頻繁にこの店に出入りし服や靴を買うのだという。親が稼いだお金を湯水のように使う彼女たちの感覚に編纂室メンバーは頭を抱える。背伸びをしたい年頃なのかも知れないが、派手な振る舞いをしていたことがきっかけとなり紫音が事件に巻き込まれている可能性も考えられるようになってきた。
真由美が2つ目に案内した店も、若い女性に圧倒的な人気を誇るブティック【K * オルレア】だった。この店にしても風海や小暮などからすると尻込みする価格の商品が並んでいるが、店内では中高生達が幸せそうな笑顔で次々と服を買っていく。 【K * オルレア】のオーナー“高嶋紅”は、彼女達のカリスマであり、彼女の言動や生み出す商品は、信仰の対象の域にまで達しているようだった。
紫音の失踪は、どうやら【K * オルレア】来店前後と見られ、当時の店内の視カメラの画像をチェックしてみるが、そこには奇妙なものが映っていた――いや、映るべきものが映っていなかった。ビデオには、試着のために試着室に入った紫音の姿が映っている、その後試着室から出てこず、服だけを残して忽然と姿を消していた。
試着室から紫音が消えた? それともビデオに細工がされているのか?
困惑する一同の前に、さらに奇妙な情報がもたらされる。現在【 K * オルレア】が建っている場所に以前あったブティックでも、今回の紫音のように試着室に入った客が行方不明となった事件が複数発生しているというのだが――。
零話の登場人物紹介
峰岸さおり
失踪した“峰岸紫音”の母親。警察史編纂室に紫音の捜索を依頼。
大槻愁
紫音が通っていたというブティック『SHUUU!!』のオーナー。
志乃田真由美
紫音の学校の友人。遊び仲間。
高嶋紅
若い女性層に絶大な人気を誇るブティック『K*オルレア』のオーナー。
 |
本作は基本的に,いわゆるテキストアドベンチャーと呼ばれるジャンルのゲームなのだが,文章を読んでいるだけでは,事件を解決に導くことはできない。ゲーム中に入手したキーワードを用いて,事件や関係者の相関図を整理する“推理ロジック”システムや,捜査活動の随所に挿入され,その後の捜査方針やストーリー展開を文字どおり左右することになる“セルフ・クエスチョン”,ゲーム的にもプレイヤー的にも勇気(カリッジ)が必要な選択肢を選ぶときに必要な“カリッジ・ポイント”など,さまざまなシステムを活用しつつ,捜査を進めていくのだ。
そのほか,警察/オカルト用語などを網羅した“FOAFデータベース”や,バックログ機能/既読分スキップ機能といった仕様も継承されているほか,シナリオ展開のルートがひと目で分かる“分岐ツリー”がバージョンアップしており,プレイアビリティは相当高そうだ。
シリーズ完結編とアナウンスされている点は,ファンにとってはやや残念だが,シリーズ最秀作になりそうな雰囲気は,第1報からヒシヒシと伝わってくる。ファンは続報を楽しみにしつつ,今のうちに「1」「2」の既読率100%を目指しておこう。
なお現在,シリーズ1作目のPSP版「流行り神 Portable 警視庁怪異事件ファイル」の大容量体験版が,PlayStation Storeにて無料で配信されている。ゲームのシナリオが1話分まるまるプレイできるので,ゲームの雰囲気を確認したい人は,ぜひ利用してほしい。