「本当は恐ろしいグリム童話」などの書籍が示すように,我々が子供の頃に見聞きした童話が,実は原作が意図したものとはまったく違うというのは今では有名な話。そんなおとぎ話の現実と理想の違いからヒントを得たPlaylogicの最新作が,Gamescomのショーフロアで展示されていた
「Fairytale Fights」(
PC版 /
PLAYSTATION 3版 /
Xbox 360版)である。
Fiarytale Fightsは,2頭身のキャラクターが闊歩する明るい色調の世界で,一見子供向けのゲームに見えるのだが,実はハードコアな“ハック&スラッシュ”型のアクションアドベンチャーだ。
赤ずきんちゃん,
白雪姫,
裸の王様,「ジャックと豆の木」の
ジャックという4人のキャラクターから好きなものを選び,おとぎの世界で無法行為を繰り返すこととなる。途中,パズル要素のあるアドベンチャーもあるとのことだが,このゲームの肝は,
100種類も存在するという武器を手に,周囲の“敵”を切りまくることにあるのだ。
本作はこんな内容ながら,意外と本格的に制作されており,ゲームエンジンにはUnrealEngine 3を採用。集団で舞う蝶々や川のせせらぎなど生き生きとした世界が,静止画なら絵のように見えてしまう3Dグラフィックスで描かれている。しかし,いったんアクションがはじまると,斧やナイフを手に持った暴漢やモンスター達が愛くるしい赤ずきんちゃんらに襲いかかってくる。こちらもバットやチェーンソーなどで果敢に応戦し,コンボ技などを盛り込んだ血みどろのハック&スラッシュを繰り広げ,マップは血で覆われていくのである。
会場のデモ担当者によると,相手の体が切り離される場所は事前に決められているのではなく,実際に武器が当たった部分がダメージを受けるとのこと。デモでは,肉屋のようなNPCが動物を切り刻んでいるシーンがあったが,それも包丁が当たっている部分が実際に切れていっているのだとか……。キャラクターの衣装や周囲の家屋に飛び散った血しぶきの滴る様子も,よく見ると生々しく,何とも無駄に最先端のゲーム技術を取り入れたものだと感心してしまう。
本作ではいくつかのアチーブメントが用意されており,なかには社会問題に発展しそうな内容もあるとかないとか。一見子供向けなゲームなだけに,10月の発売を前にさまざまなところで問題視される可能性がある,コントラバーシャルなゲームだといえるだろう。
会場のデモはPLAYSTATION 3版でマルチプレイモードが楽しめるようになっており,4人までのプレイヤーがところ狭しと跳ね回りながら戦うのが,どこか
「スマッシュブラザーズ」を連想させた。PLAYSTATION 3のほか,Xbox 360版もリリースされる予定で,PC版も来年早々には販売されるとのことだ。