インタビュー
ありそうであまりなかった3D格闘オンラインゲームが登場。「ファイターズクラブ」開発・運営インタビュー
本作は,一見すると横スクロール型の格闘アクションだが,横方向だけでなく,左右含めて8方向への移動/攻撃が可能な3Dアクションゲームで,さらにRPG的なキャラクター育成要素までもが盛り込まれている意欲作だ。11月2日から5日にかけてクローズドβテストが行われる予定となっている。
4Gamerでは,「Hangame Festival★2012」の終了直後,ファイターズクラブの開発会社KOGのCEO,イ・ジョンウォン氏と,本作の日本運営プロデューサーを務めるNHN Japanの君塚靖征氏に話を聞くことができたので,本稿ではその内容をお届けしよう。
「ファイターズクラブ」公式サイト
“3D格闘オンラインゲーム”への新たなチャレンジ
4Gamer:
「Hangame Festival★2012」のステージイベントで,ついに「ファイターズクラブ」の日本展開が発表されましたが,現在の心境はいかがですか。
今は感激と心配の2つが入り混じった,複雑な心境ですね。なにしろこれまで,7年間も開発を続けてきましたから。これほどの開発期間をかけたのは,弊社にとっても初めてのことなのです。
4Gamer:
確かに大作MMORPG並の開発期間ですね……。開発作業ではどのあたりに苦労されましたか?
イ氏:
オンラインゲームというジャンルで「多対多で遊べる3D格闘ゲーム」を実現すること,それに関わるすべての作業です。
3Dグラフィックスのキャラクターを画面内で大勢動かしたり,キーボード/ゲームパッドの両方へ対応したり,オンラインゲームならではのコミュニティや,キャラクターの育成要素などを盛り込んだり。オンラインゲームにとって当たり前の仕様なのですが,これを“オンライン格闘ゲーム”として完成させるとなると,実現するのが途端に難しくなります。
とくに,キャラクターの成長要素を含むゲームバランスの調整は難題でした。仮にレベルアップや装備品でキャラクターを大きく強化できてしまうと,PvPの際にゲームバランスが崩れてしまいますから。
4Gamer:
PvEとPvPの両立にまつわる苦労話は,昨年の韓国での発表会でもおっしゃっていましたね(関連記事)。
ええ。ファイターズクラブのようなオンラインゲームは,ほかのゲームメーカーも作りたいと考えていたはずですが,実際にはリリースされていません。仮にやりたいと思っても,実現できなかったからなのかな,と今では思えます。
我々はさまざまな難題を,時間をかけて1つずつクリアしてきたわけですが,それだけに,こうやって無事にお披露目できたことに感激しています。
4Gamer:
なるほど。それではもう一方の,不安というのはどういう意味でしょう?
イ氏:
日本は格闘ゲーム発祥の地です。その日本で,格闘ゲームの醍醐味を取り入れたファイターズクラブをサービスした場合,ゲーマーにどのように受け入れられるかというものです。不安……というよりは,ちょっとドキドキしていますね。
4Gamer:
イさん自身は格闘ゲームをよく遊ばれるんですか?
イ氏:
はい。学生時代は「バーチャファイター」や「ストリートファイター」シリーズにハマり,ゲームセンターに通っていましたよ(笑)。弊社はアクションゲームにこだわっているゲームメーカーですが,あのときに味わった興奮や感動を皆に伝えたい,という想いが根底にあるんです。
「ELSWORD」のノウハウも生かしたアクション性と演出がウリ
4Gamer:
イさん個人として,ファイターズクラブのどのあたりが面白いと感じていますか。
イ氏:
まず最初に,3Dならではのアクションや,演出の数々に注目してほしいですね。たとえば攻撃時のモーションは,1キャラクターあたり平均120種類ほど用意しており,自然かつリアルなアクションを実現しています。また,スキルなどを使ったときのズームイン/アウトなど,3Dならではの演出にも力を入れています。
4Gamer:
静止画面を見た限り,「アラド戦記」や「ファイナルファイト」を連想する人もいると思いますが,動いているところを見るとまた印象が違ってきそうですね。
それらのタイトルは,ステージに奥行きがあるものの,攻撃時の方向はあくまで左右が基本でしたよね。ファイターズクラブでは,奥行きや高さの概念も取り入れています。
ですので,たとえば敵にアッパーを当てると,左右だけじゃなくて手前や奥にも吹き飛ばせますし,その後にスキルで回り込んでコンボをつなげたり,ジャンプ攻撃で追撃したりと,立体的なバトルが満喫できます。
イ氏:
しかも,見た目は派手ですが,キャラクターの操作は至ってシンプルです。マイキャラは近くの敵の方向を自動的に向くので,適切な距離で攻撃ボタンを押せばヒットします。
4Gamer:
操作は,キーボードとゲームパッドの両方に対応しているんですよね。
イ氏:
はい。キーボードを例に挙げると,攻撃に関してはXキーが強攻撃,Cキーが弱攻撃です。それらに方向キーの入力を組み合わせたりすることで,コンボを繰り出します。
4Gamer:
KOGの代表作である「ELSWORD」も,攻撃に用いるキーが少ない割に,アクションがしっかり作りこまれていました。
「ELSWORD」のノウハウは,今回の開発にも大いに役立ちました。ファイターズクラブにはコンボがあるのですが,一連の動作をショートカットに登録できるような機能の実装を考えています。ワンボタンで「ジャブ→ジャブ→ストレート」みたいなアクションを繰り出せるようになれば,アクションが苦手な人でも,もっと楽しめるようになると思いますので。
4Gamer:
続いて,“クラス”についてお聞かせください。ステージイベントでは,ボクシング,レスリング,エクストリームアーツ,剣術の4種類が発表されましたが,それ以外に関してはいかがでしょうか。
イ氏:
もちろん,ほかのクラスの開発も進めていますが,いきなり全部を公開すると,プレイヤーも混乱してしまいますので,まずは4種類のクラスで楽しんでいただけたらと思います。
君塚氏:
舞台設定が現代ということもありますので,将来的には,ファイターズクラブがサービスされている国のメジャーな格闘技は,一通り実装したいと考えています。
4Gamer:
発表されたクラスの中では剣術が気になりました。ファイターズクラブでは武器も使えるんですか?
イ氏:
そこは開発時に悩んだ部分の1つです。武器が使えると,クラスの幅が一気に広がりますが,その一方で,モーション作成やゲームバランスの調整が大変になります。たとえば剣術だと,リーチが一気に長くなりますし。
でも,クラスの幅を広げることでプレイ時にメリハリを付けたかったので,バランス調整に気を付けつつ,武器を持ったクラスを開発しました。
タイアップも積極的に実施
CBT以降の展開にもご注目を!
今回のステージイベントでは,早くもさまざまなタイアップ展開が発表されましたね(関連記事)。
君塚氏:
そのあたりは結構頑張っています。間口の広いオンラインゲームなので,できるだけ多くの人にアピールするためにも,積極的にタイアップ展開を仕掛けていきますよ。
4Gamer:
ガッチャマンとのコラボや,イメージソングを手がける武論尊氏,水木一郎氏といったラインナップを見る限り,ターゲットの年齢層は,ちょっと高めに想定しているのでしょうか。
君塚氏:
そういうわけではないのですが,「バーチャファイター」や「ストリートファイターII」が現役だった,対戦格闘ゲーム全盛期の頃にゲームセンターに行っていた方には,ぜひ注目してほしいですね。
本作はアクションの見栄えがいいゲームなので,タイアップを企画するとしたら,“戦う”キャラクターに注目しようと考えていたのですが,そんなとき,映画やショートアニメなど,リバイバルに向けて積極的に展開しているガッチャマン(インタビュー後に実写映画化が発表された),すでに実写映画化もされているヤッターマンが目に入ったので,声をかけさせていただきました。
分かりました。話は変わりますが,KOGの今後について話せることがありましたら,そちらについてもぜひ。そろそろ次の新作タイトルが発表されたりするんでしょうか。
イ氏:
弊社は設立以来,アクションゲームにこだわり続けてきました。格闘ゲームは「アクションゲームの王様」といえるもので,それをオンラインゲームとして実現したファイターズクラブの出来には満足しています。
ですので次回作に関しては,これまで蓄積してきたアクションゲームのノウハウを,これまで手がけたことのない,別のゲームジャンルに盛り込みたいと考えています。お披露目できるのは大分先になると思いますが,期待していただけると嬉しいです。
4Gamer:
それでは最後に,ファイターズクラブの日本展開に向けての意気込みをお聞かせください。
イ氏:
「Hangame Festival★2012」のステージイベントでは,とても大勢の人達が集まってくれて感激しました。我々はこれまで,NHN Japanさんと一丸となって,日本のゲーマーが何を求めているのか考えながら開発に注力してきましたが,彼らをもっと楽しませてあげたいと,今日あらためて強く思いました。これからもファイターズクラブをよろしくお願いします。
君塚氏:
長い間準備してきましたが,こうやってお披露目できたことにほっとしています。しかし現在もローカライズ作業の真っ最中なので,ここで気を抜くわけにはいきません。より良いサービスが提供できるよう,これからもKOGとの連絡を密に取り合い,頑張っていきます。クローズドβテスト以降の展開にもご期待下さい!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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