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オンラインアクションの老舗が満を持して放つ対戦格闘RPG「ファイターズクラブ」。良い作品は開発とパブリッシャの連携で生まれる
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印刷2011/05/16 16:20

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オンラインアクションの老舗が満を持して放つ対戦格闘RPG「ファイターズクラブ」。良い作品は開発とパブリッシャの連携で生まれる

 5月13日〜14日にかけて,韓国・済州島で行われたカンファレンス“HANGAME EX 2011”で,オンライン対戦格闘RPG「ファイターズクラブ」が発表された。会期中はカンファレンスのほかにQ&Aセッションが別途行われたので,それらの内容をまとめて紹介していこう。

画像集#012のサムネイル/オンラインアクションの老舗が満を持して放つ対戦格闘RPG「ファイターズクラブ」。良い作品は開発とパブリッシャの連携で生まれる

 ファイターズクラブの開発を行う韓国KOGは,11年前からオンライン対応のアクションゲームにひたすら拘り続けてきたデベロッパである。日本のゲームファンなら,「エルソード」の開発元だと聞けばピンと来る人も多いと思うが,それ以外のタイトルすべてがオンラインアクションゲームなのだ。

 KOG代表のイ・ジョンウォン氏は,長い開発者人生を振り返り,アクションゲームの頂点に位置するジャンルは“格闘”だと語る。格闘ゲームは,普遍的なゲームジャンルで,プレイヤーからのニーズも常にあるものの,いざ開発するとなると一筋縄ではいかないのだという。
 なにしろ格闘ゲームには,“バーチャファイター”や“鉄拳”などといった金字塔があり,たとえオンラインゲームといえども,自然とあのクオリティを求められてしまうからだ。

 イ氏はそれらのタイトルをリスペクトしており,それと同時に,オンラインアクションに長年携わりながらも,オンライン格闘というジャンルが開発できないことに,もどかしさを感じていたようだ。
 そういった中,いくつものタイトルを手がけ,「今ならいける!」と確信して作られたのが,このファイターズクラブである。

画像集#003のサムネイル/オンラインアクションの老舗が満を持して放つ対戦格闘RPG「ファイターズクラブ」。良い作品は開発とパブリッシャの連携で生まれる


簡単操作かつ奥深い戦術が楽しめることで,幅広いゲーマー層にアピール


 ファイターズクラブは,アクションゲームとしてのベース部分をしっかり作り込んだうえで,“オートターゲッティング”での遊びやすさや,“カスタムコンボ”による奥深い戦術などを盛り込み,幅広いゲーマーにアピールできる内容となっている。それでいて,RPG要素が含まれているのが大きな特徴だ。

 アクション部分から見ていくと,本作はリアルさだけでなく,それ以上に“魅せる”ことを重視している。モーションキャプチャーを行う際は,格闘家ではなくアクション俳優を起用し,例えば映画「マトリックス」などのような,オーバーアクションにも通じる現代風のバトルを心がけているという。

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 プレイヤーが選べるクラスに関しては,ボクシング,レスリング,テコンドーなどといった素手での格闘に加え,剣道をはじめとした武器を使うタイプもカバー。NPCの武器を奪って戦ったり,地面の砂を相手に吹っかけたり,壁を利用した三角蹴りを行ったり,缶を投げつけたりと,ステージ内のオブジェクトを巧みに利用したアクションが可能だ。
 モーションの数も多く,例えば被ダメージ時のモーションは一般的なアクションであれば100種類もあれば多いといわれる中,本作では400弱も用意されている。これらの多彩なバリエーションによって,ゲームプレイを見た人のほとんどが「痛い!」と感じてくれるそうだ。

 ところで,格闘ゲームはシステムを奥深くすると,初心者にとってのハードルが高くなりがち。そこで,ライトゲーマーでも攻撃の爽快感が手軽に味わえるように,“オートターゲッティング”のシステムが用意されている。これは,もっとも近い敵に向かって攻撃を行うというもので,例えば敵の周りをグルグル回りながら攻撃ボタンを連打するだけでも,ちゃんと敵に向かって攻撃してくれるわけだ。

 中〜上級者には,カスタムコンボを使いこなすことで,よりゲームが楽しめるようだ。従来のコンボは,技と技との繋がりがある程度決まっているが,本作ではより多くの技の中から,自分だけのオリジナルコンボが作れるという。技を繰り出す爽快感がアップすると共に,心理的な駆け引きも増しているとのことだ。

 これらのアクションゲームとしてのベース部分は,これまでの11年によって培われたノウハウの結集であり,クオリティにはかなりの自信があるそうだ。その証明として,本作では最初からPvPを重視して作られている。対戦格闘で主流の1対1だけでなく,オンラインならではの3対3も同じくらい面白いとのこと。イ氏はゲームセンターの筐体を囲んで盛り上がった少年時代を振り返りつつ,あの熱気をネットカフェで再現したいんだ,と熱心に語っていた。

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開発会社とパブリッシャの連携で良いゲームを生み出す


 開発の大きな転換期となったのは,パブリッシャであるNHNグループとの提携にあったという。NHNとの協議によって,レベルアップやスキルをはじめとしたキャラクターの育成要素,対ボス戦などといった,“RPG”部分が大きく盛り込まれる。それによって本作は,“対戦格闘RPG”というべきゲームに仕上がったのだという。

 イ氏によると,そういったRPG要素のサジ加減は,開発現場で最も苦労している部分だという。極端な話,キャラスペックで勝敗が決まってしまうようでは,対戦格闘の醍醐味が損なわれてしまうからだ。しかし,より幅広いゲーマーに伝えるには,この部分は決して欠かすことができないと認識しているそうだ。

 ちなみに筆者はG★2009でも,本作を取材している(関連記事)。当時はまだパブリッシャを探している段階で,RPG要素もそれほどフィーチャーされていなかったが,たしかに当時と比べると格段に良くなっているように感じた。
 アクション部分のパワーアップもさることながら,オンラインゲームとして成功するには,キャラクター育成に代表される,長期的に楽しめるコンテンツはやはり欠かせないだろう。


 NHNグループは,今回のEX2011を通じて,パブリッシャとしてこれまで以上に積極的に活動することを表明している。今回の取材で,NHNと提携した多くの開発会社は「ただ単に,良いゲームを開発するだけではダメだ」と話し,同時にパブリッシャ側であるNHNも,良いタイトルを見つけ契約して売るだけではなく,両者が意見を出し合って作り出すことが重要だと強調している。ファイターズクラブの変化は,こうした両者の意思がはっきり表れた結果だと言えるだろう。


 本作のサービススケジュールに関しては,まずは韓国で2011年の第3四半期にクローズドβテストを行い,年内のサービス開始を目標としている。日本でのサービスはその後になりそうだ。アクションゲームの老舗とNHNががっちり手を組んだファイターズクラブは,もしかすると「アラド戦記」に続くヒット作品に仕上がるかもしれない。

韓国KOGのCEO イ・ジョンウォン氏
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