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印刷2009/08/03 11:56

連載

徳岡正肇のこれをやるしかない! / 第8回:「Left 4 Dead」と「Killing Floor」でFPSのCo-opを考える(前編)

徳岡正肇のこれをやるしかない!
見た目はよく似ているが,やってみるとぜんぜん違う 第8回:「Left 4 Dead」と「Killing Floor」でFPSのCo-opを考える(前編)

 

 不定期連載「徳岡正肇の これをやるしかない!」第8回のテーマは,FPSにおける“Co-op”(協力プレイ)。取り上げるタイトルはValveの人気作「Left 4 Dead」とTripwireがリリースした「Killing Floor」の二本。いずれも大量に襲ってくるゾンビを撃ち倒すホラーテーマのサバイバルFPSであり,しかもメインとなるゲームモードはCo-op。これだけを取り上げるとそっくりなゲームに思えるが,プレイした感覚はぜんぜん違う。というわけで,まずはこの二本についてライターの徳岡氏が語る。

 

 

Co-op小史――ふたたび注目されているゲームモード

 

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オープニングムービーより。L4Dのゾンビ,もとい感染者は全力疾走。元気いっぱい

 Xbox 360が市場を獲得するのに比例して,“Co-op”(協力プレイ)が着実な浸透を見せてきた。Co-opは,PCのオンラインFPS黎明期から存在するゲームモードであり,一時期は非常にスタンダードだったが,やがて対応するソフトが減り,それに比例して人気も下降したという歴史を持っている。理由はいろいろ考えられるが,おそらく対人戦とCo-opに要求されるマップやAIが根本的に異なることによるだろう。対人戦用のマップにCo-opを後付けしても面白くはなく,とはいえ,一つのモードのために専用マップやAIを作成するのはメーカーとしても労力になりすぎる。そのため,シングルモードを流用できる対人戦に開発の中心が置かれたのだ。
 なかば忘れられたCo-opだったが,Xbox 360の普及とともに,“ジャンプ・イン”という形式で復活する。もともとジャンプ・インという言葉は,「ゲームに飛び込もう」という意味で使われたXbox 360の宣伝コピーだったが,やがてXbox LIVEを介して「シングルミッションをプレイしているプレイヤーのゲームに,別のプレイヤーが参加して協力する」というゲームモードの呼び名としても使われるようになった。

 これが最初に大きく露出したのは,「Gears of War」ではないだろうか。上記のように,それまでFPSやTPSのオンライン対戦といえば基本的に対人戦のことであり,多人数で協力してシングルプレイのシナリオを進行させるというものではなかった。それだけに,Gears of WarのCo-opの面白さは,(とくに初期の)PCオンラインFPSをあまり知らないコンシューマ機プレイヤーの目に新鮮に映ったのではないだろうか。

 

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なお,今回のスクリーンショットは,視野角をデフォルトの75度から90度に変更して撮影している。75度だと酔うんです

 

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KFのタイトル画面

 Gears of Warの成功とともにFPS/TPSのCo-opは再び注目を集めるようになり,やがてその流れは「Left 4 Dead」(以下,L4D)に結実する。AI Directorという新しいギミックを装備したこの作品は,ゾンビシューティングという分かりやすい題材とあいまって,Co-opスタイルFPSの一つの形を作ったといっていいだろう。
 最近では,「Red Orchestra」を開発したTripwireが,「Unreal Tournament 2004」のMODとして制作されていた「Killing Floor」(以下,KF)をリファインして発売し,ゾンビシューティングでCo-opでFPSという形でL4Dを追随しはじめた。

 

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回復薬は無限に使用できる。ただし使用すると右端のメーターが低下,一定値を超えるまで再使用できない。回復率はあまり良くない

 

 ということで,今回はL4DとKFを比較しつつ,改めて現状におけるCo-opベースのFPSの姿を見てみたい。

 

 

Left 4 Dead――まるで映画のように

 

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セミオートのライフル。貫通力の高い強力な弾丸を発射するが,制圧力は低め

 L4Dがどんなゲームであるかについては過去のレビューなどを参照していただくとして(ついでに,「Left 4 Dead 2」にまつわる騒動もいったんおくとして),まずは簡単に特徴をまとめてみよう。
 L4Dは,戦闘の素人である(なかにはベトナム帰還兵もいるが)生存者達が,襲い来る感染者(=つまりゾンビ)から逃げ延びることを主眼とした作品だ。ミッションをクリアするためには邪魔な感染者を撃ち殺さなければならないが,感染者をどんなに倒しても,それだけではミッションをクリアすることはできない。目的はあくまでも「脱出」にある。

 

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HPバーが0になっても,さらに赤いバーが0になるまでに救助されれば生き返れる

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とにかく団体行動が大原則。はぐれると酷い目にあうのがL4Dだ

 

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いよいよ最後のヘリポート。街の夜景が美しいが,見ている暇はない

 L4Dは,マルチプレイCo-opをメインとしているが,ゲームとしては非常にスタンダードなFPSだ。プレイヤーはマップのスタート地点から目的地まで,押し寄せてくる敵をなぎ倒しながら進んでいく。
 キャラクターは4人が用意されているが,各個の能力に差はなく,武器も全部で6種類(+消耗品2種)とシンプルにまとめられている。撃つと爆発するオブジェクトや固定式のミニガンなど,武器として使用できるものも出てくるが,それらはあくまで例外といっていいだろう。

 

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大量の感染者が押し寄せてくる。落ち着いて対処しようと思っても,これがなかなか

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マグライトの先には感染者がうろうろ。こちらに気がつくといっせいにダッシュ

 

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安全地帯に逃げ込むと,次のマップのローディング中に区間成績が発表される

 L4Dの特徴は,敵や装備の「湧き」が,特別なAIによってコントロールされているところだろう。プレイヤーの腕前に応じて難度まで調整するこのAIによって,ゲームのパターン化が大幅に抑止されている。また「いつ何が起こるか分からない」というのはホラーモチーフにとって欠かせない要素であり,プレイヤーのドキドキ感はなかなか高い。

 

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マップ開始時には映画のポスターが。あくまでも映画の撮影という設定なのだ

 

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ソロプレイ時に倒れてしまったときも,NPCが生きていれば助けてくれる

 面白いのは,L4Dはそれぞれのマップを「映画の撮影である」と定義していることだ。そして実際,随所で映画を意識した演出が行われる。マップはチェックポイントごとに後戻り不可能な構造になっているものの,各マップにはそこそこの広さがあり,一本道をひたすら先に進む感覚はあまり強くない(最適化すれば一本道になるが,敵の出現が固定でない以上,完璧な最適化は難しい)。
 とはいえ,ゲームクリアの条件はあくまで脱出なので,理想としてはなるべく短いルートで脱出ポイントまで行くのが望ましい。敵は次々に現れてくるため,短時間でクリアできればできるほど理論上の交戦確率は下がっていく(=被害を受ける可能性も低下する)。
 これとあいまって,L4Dのキャラクターは機敏に動く。リロードはすばやいし,何よりも移動速度が速い。通常のFPSにおけるスプリント程度の速度で常時動き続けているといっていいだろう。
 結果的に,L4Dはゲーム全体のテンポがスピーディだ。そしてそれゆえに,一定の場所で一定時間襲撃を耐えるというイベントも映えるし,暴力的なまでの数を敵に回して無事に脱出できたときの爽快感も高い。

 

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ちょっと分かりにくいが,胆汁を吐きかけられたところ。臭いにつられて大量の感染者が押し寄せる

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セミオートライフルは,スコープを使っての狙撃も可能になっている。有効利用できる状況はあんまりないようだけど

 

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高いところから落ちそうになったときも,NPCが生きていれば助けてくれる

 また,途中で倒れたプレイヤーに対するケアがしっかりしているのも特徴だ。ライフゲージがなくなっただけなら,ほかのプレイヤーに「救助」してもらえばゲームに復帰可能(回数制限はあるが)だし,救助が間に合わなくて死んでしまった場合も,やがて「新たな生存者」として復帰できる。
 途中でゲームから抜けたプレイヤーが出た場合も,空いたメンバーはAIがコントロールし,新たなプレイヤーがログインすれば,その彼(もしくは彼女)として参加してくることになる。

 

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まさに死屍累々。それでもひたすら先に進むしかないのである

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Smokerを殺すと煙がもうもうと立ち込める。咳き込む声のオマケ付き

 

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あちらこちらに落書きが。まあ,そういいたくなる気持ちも分かる惨状ではある

 個人的にL4Dで最も便利だと思ったのは,これがプレイヤーの一時退席を許容するシステムになっていることだ。退席中(休憩中)のプレイヤーが担当していたキャラクターはAIがコントロールするので,そのプレイヤーが戻ってくるまでゲームが止まるといった心配はない。これは電話が一本かかってくるだけでゲームを全面的に止めねばならないFPSにとって,非常にありがたい仕様といえる――MMORPGなら,電話しながら片手でマウスを操作できるかもしれない。
 またこれはFPSに限ったことではないが,「一時退席したプレイヤーを待っていられる時間」には限界があり,とくに世界中からたくさんのプレイヤーが集まってくるタイプのゲームでは「無駄に待つくらいなら,このゲームを抜けて別のチームを探そう」と考えるプレイヤーも多い。L4Dの1マップクリアには1時間弱が必要になるので,この間ずっとゲームに集中し続けられるプレイヤーが4人揃う可能性は,実はそれほど高くない。退席してもそれなりにゲームが続けられるというシステムは,サーバーなどを含めたゲーム環境全体を円滑に進行させる効果があるのだ。このあたり,さすがはValveというところだろう。

 

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大型旅客機が墜落するところ。かなり金のかかった映画ということになるが,よく考えたらCGだ

 

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この無線に応答すると,最後のラッシュがスタート。覚悟を決めてプッシュせよ

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脱出に成功すると(その映画の)エンディングクレジットが流れる凝り方

 

 

Killing Floor――あらゆる点において戦争として

 

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ショットガンの銃弾は壁を貫通する。狭い通路の敵を一網打尽にすることも可能だ

 KFは,もともと「Unreal Tournament 2004」のMODだったものを,Tripwireが商業作品としてリファインした作品だ。好みの問題はあるだろうが,ゲーム全体の完成度はやはり製品版のほうが高いといえる。
 ゲームは大量の感染者と人間が戦うCo-opメインのFPSで,閉鎖空間になっているマップで数回の襲撃を撃退し,最終的には強力なボスを倒すことでクリアとなる。襲撃を撃退するというのはつまり敵を全滅させるということなので,KFにおいては戦術的な撤退を除いて逃げ回ることに意味はない。また,敵の数は決まっているので,とにかく一体でも多くの敵を倒しておくのは無条件で良いことだ。

 

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死んだあとは他人視点でそのWaveを観戦できる

 プレイヤーは,デフォルトでは最大6名まで参加できる。キャラクターは原則として戦闘のプロフェッショナルとされており,登場する武器も多種多様だ。
 近接武器としてはナイフ,マチェット,消防用斧,チェーンソー。拳銃としては9mmハンドガン,9mm二挺拳銃,50口径拳銃,50口径二挺拳銃。そして大型銃器となるとアサルトライフル,レバーアクションライフル,ショットガン,そしてダブルバレルショットガン。このほかクロスボウに火炎放射器,対戦車ロケットまである。お約束ともいえる手榴弾も当然のように存在する。
 また,ボディアーマー(使い捨ての増加HP),治療薬(時間で回復するHP回復薬。他人に使ったほうが効率が良い),溶接機があり,これらも重要な役割を果たす。
 これらの武器/装備は,最初から持っていたり(ナイフ,9mm拳銃,手榴弾,治療薬,そして溶接機は初期装備),マップ上に落ちていたりもするが,敵を倒すことと襲撃を生き延びることによって得られる資金を使って,ショップでの購入も可能だ。襲撃と襲撃の合間には1分間の休憩時間があり,このスキにショップに移動して武器を購入するというわけだ。

 

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お腹のあたりに黄色いランプが埋まった巨大な敵,FreshPound。硬い,痛い,速いの三点セットなので,手榴弾の一斉投擲と火力集中で一気に倒してしまいたい。逆に一人で延々とヘイトを引っ張るのもあり

 

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ソロプレイも可能だが,L4Dと違ってソロは本当にソロプレイ

 また,アカウント単位でPerkと呼ばれる一種のスキルも用意されている。Perkには6種類あり,近接攻撃力が向上するBerserker,アサルトライフルの威力が向上し敵の体力が見えるようになるCommando,治療薬の効果が増大するField Medic,火炎放射器のエキスパートFirebug,ヘッドショットのダメージが向上するSharpshooter,そしてショットガンと手榴弾の威力が上がるSupport Specialistとなっている。
 それぞれのPerkは,対応した武器で敵にダメージを与えるなどの特定条件によって成長していき,最大でレベル5まで強化される。レベル0とレベル5の間には相当の能力差があるので,高難度モードに挑むときはある程度までPerkのレベルを上げてからのほうが楽だろう。
 もっとも,Perkがなくては話にならないかといえば,必ずしもそうではなく,低難度(Normalくらいまで)であればPerkよりもプレイヤーの技量のほうが重要だ。またレベル2〜3くらいまでは普通にゲームをしているだけでも上昇するので,レベルがその程度であれば格段困ることはない。

 

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拳銃にはライトがついている。暗いマップではとても重宝する

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ブルパップ式のアサルトライフル。火力は低めだが制圧力は高い

 

 むしろKFにおいて重要なのは,チームワークと作戦である。
 KFのマップは,さほど広くないものが多い。そしてゲームの目的は,敵の殲滅だ。敵は自動的にプレイヤー達の近くに寄ってくるので,理想的な展開は

  • 防御に適したキャンプ地点に全員で集結
  • 敵を撃退
  • ショップまで移動して補給
  • キャンプ地点に戻って迎撃準備

この手順となる。
 KFでは扉を溶接することで敵の侵攻を阻むこともできるので,あえて銃を撃たずに扉を溶接し続けて一定数の敵を釘付けにするのも重要な作戦だ(ただしこのプレイヤーは必然的に収入が下がるので,ショップではほかのプレイヤーが資金を融通してあげよう)。また,Field Medicは高効率の治療薬が使え,足も速くなるとはいえ,あまりに遠くまで離れてしまった味方を援護に行けばキャンプ全体の安全に関わる。作戦の展開と地形の理解がチーム全体で共有されていることが,KFにおいては最も重要なポイントになる。

 

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マップのグラフィックスはなかなかに作りこまれている

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火炎放射器。自分自身にも着火するので,使用時にはある程度注意して使いたい

 

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クロスボウにはスコープがついている。貫通力が高く,撃った矢は回収できる

 と,こう書くと「なんだキャンプゲーか」と思う人もいるかもしれないが,主観込みで断言すればそのとおりだ。ただ,人数が少ないときは,キャンプしても圧殺されるだけだし,ちゃんと使うべきところで手榴弾を使って敵を押し返しておかないと,拠点を確保できなくなることもままある。
 また,後半に入ってタフで凶悪な敵が増えてくると,どうしても前線を下げながら敵に対応しなくてはならないシーンが増える。このとき全員が同じ方向を向いて火力を集中しながら後退したのでは,後退した先にも敵がいて大損害ということにもなりかねない。たとえ目の前に対処を急ぐ強敵がいたとしても,手榴弾を一発投げておく程度で済ませて後方の安全確保をするプレイヤーが一人は(大勢だとまた困る)いたほうが,チーム全体の安全性は高まる――KFは,最終的にはこのレベルでのキャンプテクニックが要求される。
 ありていにいえば,理想的な展開をしているときのKFは,ベトナム戦争を描いた映画で陣地にこもったアメリカ軍のような状況になる。そしてそれを裏付けるように,KFにおいては近接武器を除いて,すべて「弾切れ」がある。難度が上がってくると,どう見たってこの敵の数を処理するには弾の数が足りないんじゃないか! という状況も増えてくる。戦友と肩を並べ,残り弾数と相談しながら何百と押し寄せてくる敵と戦うというシチュエーションは,ミリタリー好きにとってたまらない構図の一つといえるだろう。KFにはそういう独特の面白さがあるのだ。

 

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レバーアクションライフル。安価で威力がそこそこあるが,リロードに手間取る。Perkによってはこれ一本でもいける

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チェーンソーでFreshPoundと一騎打ち。低難易度なら楽勝,高難度でもそれなりに可能

 

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50口径の二挺拳銃とは,ゲームならでは。瞬間的火力が大きいのが魅力だが弾数が厳しい

 また,もともとMODであったというのも,KFの大きな魅力の一つだ。KFにはオリジナルのマップが非常に多く,またマップが作りやすい(面白いかどうかはさておき)こともあって,サーバー一覧を見ればいくつものオリジナルマップを見つけられる。こういったマップMODは,そのサーバーに接続するだけで自動的にダウンロードされる(Red Orchestraなどと同じ仕組み)ので,どこかからファイルをダウンロードしておいて,それをインストールして……といった手続きは一切不要だ。
 同様に,最大6人という人数枠も撤廃でき,一応,128人くらいまでの同時参加が可能になっている。32人程度のサーバーであればほぼ常時開設されているので,気軽に参加できるだろう。前述のとおり,KFは戦争だ。戦争において,数は力である。32対800とかいった戦いは,ちょっと笑ってしまうような画面になるが,これはこれでとても面白い。
 そしてこれだけ頭数を揃えてもなお,最終ボスの前に32人全員が殺されて終了ということが起こりうるのがKFのバランスの妙である。ボスはガトリングガンとロケットランチャーを装備,透明化して高速移動でき,凶悪な近接攻撃能力を持っているうえ,ダメージが深くなると透明化して遠くへ逃げ去って体力を回復させる能力(回数制限あり)も持っているというものすごさ。孤立したプレイヤーが一人また一人と殺されていくなか,決死の戦いを繰り広げる展開は,定番といえば定番だが十分に楽しめるのだ。
 個人的には,ボスの種類が増えてくれればなあとは思うが,将来的にはそういうMODが出る可能性もある。こういった自己発展性も,KFの魅力を底支えしているといえるだろう。

 

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32人サーバの様子。かなりみっしりした感じが漂っています

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夜の市街地を再現したマップを,観戦モードで見たところ。いい雰囲気だ

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GoreFist。手に剣がくっついているヤツら。そこそこ硬く,割と痛い

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チームワークが悪いとボスに行き着く前に全滅ということも。甘いゲームではないのだ

 

■■徳岡正肇(アトリエサード)■■
 インディーズから超大作まで,FPSからギャルゲーまで,そしてアナログからデジタルまで,ゲームと名の付くものを片っ端に攻略しては,おそらく制作者でさえ考えなかったような方向から作品の意味や存在意義を考える,4Gamerの誇る大人系ライター。
  • 関連タイトル:

    Left 4 Dead 日本語版

  • 関連タイトル:

    Killing Floor

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